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【観戦記事】 第10回戦:山本 賢太郎(日本) vs. Patrick Chapin(アメリカ)

【観戦記事】 第10回戦:山本 賢太郎(日本) vs. Patrick Chapin(アメリカ)

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Josh Bennett / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年12月3日

原文はこちら

 本日のドラフト・ラウンド最終戦、山本 賢太郎は初日のモダン・ラウンドで敗れたパトリック・チャピン/Patrick Chapinにリベンジを図る。

 昨晩、パトリック・チャピンの話題が夜通し尽きなかったのは当然のことだろう。チャピンのファンたちは、彼が今大会で7戦全勝の見事なスタートを切ったことをソーシャル・メディアで取り挙げ、声援を送った。いまだ無敗のままというわけにはいかなかったものの、まだ今大会のペースを握っているのは彼だ。ドラフトしたジェスカイ・デッキを駆使し、ここでもうひとつ先へ進みたいところだ。

 山本 賢太郎も5勝2敗と十分な成績を収め、初日を2位で折り返した。そして今日のドラフト・ラウンドをここまで2勝している。このまま全勝を遂げれば、喜びもひとしおだろう。彼が使用するのは青緑に軽く赤をタッチしたもので、《高山の灰色熊》を用いたテンポ的な動きが鍵を握っているようだ。

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殿堂顕彰者パトリック・チャピンは、ここで輝かしい記録を保持したいところ。一方の山本 賢太郎も、頂点へ向けたレースを続ける。

ゲーム展開

 山本の盤面に最初に現れたのは、3ターン目の《高山の灰色熊》。チャピンも《ジェスカイの風物見》を繰り出す。それを山本は《鐘音の一撃》で封じ込め、さらにターンを渡す前に《湿地帯の水鹿》を追加した。チャピンは「変異」クリーチャーを送り出すが、それも《ジェスカイの風物見》と同じ運命をたどり、6点もの攻撃を受け残りライフは11点まで落ちる。山本も「変異」クリーチャーを召喚し、圧倒的な盤面差を作り上げた。

 チャピンはドロー後、ターンを返した。追加の土地は置けず、4マナを構えた形だ。山本は《増え続ける成長》で決めにかかる。チャピンは+1/+1カウンターを3つ得た《湿地帯の水鹿》に《打ち倒し》を当てたが、それで敗北を食い止めることはできなかった。残りライフは2点まで落ち込み、目の前には巨大なクリーチャー2体。チャピンはドローを確認すると、カードを片付けた。

 2ゲーム目は先手を取ったことで、チャピンは山本のアグレッシブな展開に対応することができた。だが《湿地帯の水鹿》からスタートしたものの、3ターン目に理想通りのマナを引き出せない。山本は強力な《高山の灰色熊》を繰り出す。チャピンは2点で攻撃し、《塩路の巡回兵》で守りを固めた。だが不幸なことに、山本は留まることなく攻撃に来る。チャピンは《龍鱗の加護》の前に対抗することができず、それを通した。山本は《湯熱の精》を盤面に追加し、ターンを渡した。

 チャピンは《カマキリの乗り手》を繰り出し、3点で攻撃。2マナを立たせてターンを返す。それでも山本は止まらない。彼は《湯熱の精》で攻撃し、チャピンはそれを受けた。山本はターンを渡す。《龍鱗の加護》の兆候が濃くなることはなかったが、チャピンは警戒を怠らない。彼は《沸血の導師》を召喚し、《塩路の巡回兵》の「長久」を起動。攻撃せずターンを返す。山本は素直に《龍鱗の加護》を《湯熱の精》に使った。お互いに小細工が通用しないことは、わかっていた。

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対戦相手の次のビッグ・プレイを待つチャピン。

 強化を受けた《湯熱の精》が再び攻撃に向かい、チャピンのライフは残り10点となった。山本は《高地の獲物》と「変異」クリーチャーを繰り出す。ここでチャピンは動きを止め、盤面を見渡した。使えるマナは6マナで、地上は混戦状態。加えて、4/4の飛行持ちがこちらのライフを脅かしている。彼は解決策を求め、《沸血の導師》の「ルーター能力」を起動することに決めた。その後「変異」クリーチャーをプレイし、《カマキリの乗り手》で3点のダメージを与える。

 山本は地上の混戦を突破する道を見出そうとしたが、効果的なものは見当たらかった。彼は空から4点を与え、「変異」クリーチャーを繰り出すと《カマキリの乗り手》に《鐘音の一撃》を差し向けた。理想的な使い方とは到底言えないが、ライフ・レースが接戦である以上、チャピンから6マナを奪えるのは極めて大きい。チャピンはアンタップに必要なコストを支払い、3点で攻撃。お互いのライフが7点で並んだ。山本はさらに空から4点のダメージを加え、2枚目の《鐘音の一撃》を《カマキリの乗り手》に貼ると、《高地の獲物》を展開した。

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ライフ・レースが求められる盤面で、そのポイントを見極める山本。

 チャピンは肩をすくめると、再びアンタップのためのコストを支払い、これで両者のライフ総量は4対3で山本が1点リードした。今度は3マナ残ったため、少なくとも《沸血の導師》の「ルーター能力」は起動できる状態だ。山本は少し時間をかけて様々な攻撃の可能性を吟味したが、最終的に《湯熱の精》のみを送り出した。チャピンは《カマキリの乗り手》を差し出し、それは墓地へ送られた。「ルーター能力」で土地を捨て、アンタップ後全軍で攻撃。山本はそのすべてをブロックし、《高地の獲物》2体を盤面から失ったがライフは8点に回復した。必然、チャピンの続くプレイは《対立の終結》で盤面を流すことだった。山本は《族樹の管理人》の「変異」を解き、再生する。チャピンの続くカードは《ジェスカイの学徒》だった。

 山本の手札にはまだカードがある。彼は早急に解答が必要になる《遠射兵団》を繰り出した。チャピンのデッキは彼に《ジェスカイの風物見》を与えた。山本は2体のクリーチャーを攻撃に向かわせ、チャピンは祈るように《遠射兵団》をダブル・ブロック。だが不幸にも山本は2枚目の《龍鱗の加護》を持っており、試合は決着したのだった。

チャピン 0-2 山本

 ストイックな姿勢を持つ山本が、3戦全勝を迎えてようやくカメラに笑顔を見せた。私が彼に今回のドラフトについて尋ねると、初めは芳しくないと感じていたことを打ち明けた。彼は第1パック後半で《鐘音の一撃》を2枚見たことからこのアーキタイプに向かい、緑の重量級と組み合わせ始めた。そのアイデアを進めると最終的にティムールかスゥルタイになるが、彼は3色目を軽くタッチする程度に抑え、緑青2色の路線で進めていった。問題は、そのどちらの色にも恵まれなかったことだ。残りのパックから取れたときに嬉しそうな様子だった《増え続ける成長》についても尋ねると、彼は緑青の中でもとりわけ強いカードだと語ってくれた。

 これで成績を8勝2敗とし、トップ4入りに手が届く範囲になった彼の喜びのほどはどうだろう? 驚くべきことに、彼の答えは「ノー」だった。彼はスタンダードのデッキ選択に自信が持てず、まだまだわからないと付け加えたのだった。

山本 賢太郎
世界選手権2014 / 『タルキール覇王譚』ブースタードラフト
8 《森》
6 《島》
1 《山》
1 《岩だらけの高地》
1 《急流の崖》

-土地(17)-

2 《族樹の管理人》
2 《高地の獲物》
1 《ジェスカイの長老》
1 《湿地帯の水鹿》
3 《高山の灰色熊》
1 《牙守りの隊長》
1 《遠射兵団》
1 《湯熱の精》
2 《長毛ロクソドン》

-クリーチャー(14)-
2 《鐘音の一撃》
1 《凶暴な殴打》
1 《ティムールの魔除け》
2 《龍鱗の加護》
2 《増え続ける成長》
1 《漂流》

-呪文(9)-
1 《血溜まりの洞窟》
1 《ジャングルのうろ穴》
2 《春の具象化》
1 《マルドゥの悪刃》
1 《殻脱ぎ》
1 《頑固な否認》
1 《射手の胸壁》
1 《鐘音の一撃》
1 《境界の偵察》
1 《ティムールの戦旗》
1 《吠える鞍暴れ》
1 《苦々しい天啓》
1 《マー=エクの夜刃》
1 《戦場での猛進》
1 《スゥルタイの占い屋》
1 《大牙コロッソドン》

-サイドボード(17)-
Patrick Chapin
世界選手権2014 / 『タルキール覇王譚』ブースタードラフト
6 《平地》
4 《島》
4 《山》
2 《急流の崖》
1 《開拓地の野営地》
1 《風に削られた岩山》

-土地(18)-

1 《ジェスカイの学徒》
1 《跳躍の達人》
1 《戦名を望む者》
2 《カマキリの乗り手》
1 《沸血の導師》
1 《ジェスカイの風物見》
1 《雪花石の麒麟》
1 《ケルゥの呪文奪い》
1 《霧炎の織り手》
1 《塩路の巡回兵》
1 《氷河の忍び寄り》
1 《軍用ビヒモス》
1 《真珠湖の古きもの》

-クリーチャー(14)-
1 《苦しめる声》
1 《悪寒》
1 《ジェスカイの魔除け》
1 《打ち倒し》
1 《運命編み》
2 《目潰しのしぶき》
1 《対立の終結》

-呪文(8)-
1 《鮮明のレンズ》
2 《湿地帯の水鹿》
1 《砂への挑戦》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《テイガムの策謀》
1 《ゴブリンすべり》
1 《軍族童の突発》
1 《僧院の群れ》
1 《ラッパの一吹き》
2 《湯熱の精》
1 《塩路の巡回兵》
1 《シディシのペット》
1 《まばゆい塁壁》
1 《松歩き》

-サイドボード(16)-

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