EVENT COVERAGE

マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2015

戦略記事

モダン・メタゲームブレイクダウン

矢吹 哲也
authorpic_adamstyborski.jpg

Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月27日


 わずか24人のトーナメントにおけるメタゲームを見るのは、偏った環境を読み解く面白い練習になる。ひと握りのプレイヤーが同じ選択をするだけでも、環境のバランスは大きく動くのだ。

 今年の世界選手権のモダン部門を見てみると、その風景が変容していることは明らかだ。

デッキ名使用者数使用割合
親和625%
死せる生417%
呪禁オーラ313%
白黒トークン28%
アブザン14%
青赤《若き紅蓮術士14%
青赤双子14%
グリクシス・ツイン14%
ジャンド14%
マーフォーク14%
ティムール・ツイン14%
白青コントロール14%
赤白バーン14%
合計24100%

 「親和」はモダンの主力アーキタイプのひとつであり、今回も様々なプレイヤーに選ばれている。中でも最も特筆すべきは、デッキ・ビルダーとして高名な世界ランキング8位のサミュエル・ブラック/Samuel Blackがこのデッキを選択したことだろう。彼は、チームメイトのジャスティン・コーエン/Justin Cohenがプロツアー『運命再編』へ持ち込み決勝まで進出した「アミュレット・ブルーム・コンボ」デッキが世間に広まるのを手助けしていたのだ。他にこの通称「ロボッツ/robots」を選択したプレイヤーには、世界ランキング6位のジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilsonや10位のオーウェン・ターテンワルド/Owen Turenwald、2位のマイク・シグリスト/Mike Sigrist、3位のポール・リーツェル/Paul Rietzl、そして19位のアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneもいる。効率を突き詰めることでよく知られた「親和」デッキは、今大会でも高速のアグレッシブな戦いを見せてくれるはずだ。

 そして、2番目に人気を集めたデッキには目を惹くものがある。なんと「死せる生」だ。今大会に向けてともにデッキの吟味を行ったヨーロッパのプレイヤーたち――プロツアー『タルキール龍紀伝』王者マーティン・ダン/Martin Dang、「Magic Online」王者マグナス・ラント/Magnus Lantto、プロツアー『マジック・オリジン』王者にして世界ランキング16位のヨエル・ラーション/Joel Larsson、そしてワールド・マジック・カップ2014優勝国デンマークのキャプテン、マーティン・ミュラー/Martin Muller――が持ち込んだこのデッキは、その名を冠する《死せる生》を中心にした、普段の使用率は比較的少ないコンボ・デッキだ。墓地をクリーチャーで満たしてから《暴力的な突発》や《悪魔の戦慄》の「続唱」で《死せる生》に繋げるこのデッキは、サイドボードに対策を用意してあるかどうかによって結果が大きく左右されるものだ。

 もうひとつ、対策を講じなかったプレイヤーに対して有利なデッキとして知られているのが、世界選手権2013にてリード・デューク/Reid Dukeが使用し彼の決勝進出を支えた「呪禁オーラ」だ。プロツアー『タルキール覇王譚』王者にして世界ランキング7位のアリ・ラックス/Ari Laxや世界ランキング4位のセス・マンフィールド/Seth Manfield、それから17位のスティーヴ・ルービン/Steve Rubinはともに準備を進め、同じような形に仕上げてきた。彼らは恐らくこのデッキへの対策はしてこないだろうと睨み、デュークのときと同じ成功を狙った。(世界ランキング9位のブラッド・ネルソン/Brad Nelsonもともに調整を行ったが、彼はこの週末に有利なデッキとして「ジャンド」を選択した。)

 そしてここからは、それぞれの選択が多彩になる。世界選手権2連覇を果たした世界ランキング13位のシャハール・シェンハー/Shahar Shenharとランキング1位のエリック・フローリッヒ/Eric Froehlichのふたりは手を組み、「白黒トークン」という答えを導き出した。世界ランキング21位のアントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral Leonは、自身も有名な使い手として、そしてプロツアー『運命再編』の勝利へ導いてくれたデッキとして、「青赤双子」を振るった。ティアゴ・サポリートは/Thiago Saporitoは、殿堂顕彰に選ばれたウィリー・エデル/Willy Edelを始めとしたブラジルのプレイヤー仲間たちがここ最近のモダン・トーナメントで使い続けている、馴染み深い「アブザン」デッキを手に今大会に臨んだ。Magic Onlineでのデッキ調整に長けた世界ランキング25位の山本 賢太郎は、《タルモゴイフ》を搭載した「ティムール・ツイン」を選択。ランキング5位のリー・シー・ティエン/Lee Shi Tianは、プロツアー『運命再編』にて彼をトップ8入賞へ導いた「赤白バーン」デッキを持ち込んだ。

 そして、普段のモダンではめったに見られない選択が続く。

 世界ランキング24位のパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaが選択したのは、ごくわずかに黒をタッチした「グリクシス・ツイン」。メインデッキとサイドボードに《コラガンの命令》1枚ずつ、それからサイドボードには《黄金牙、タシグル》を3枚控えさせておくことで、マッチアップによっては長期戦を見据えた戦い方に変えることができるのだ。

 世界ランキング14位のショーン・マクラーレン/Shaun McLarenは、「青赤《若き紅蓮術士》」デッキを手にした。これはかつて人気を誇った「秘密を掘り下げる者」デッキを発展させたもので、今は《秘密を掘り下げる者》を抜いて打ち消しと火力を増量し、防御とテンポでゲームを奪う形になっている。

 そして、世界ランキング11位のアンドレイ・ストラスキー/Ondrej Straskyは、自身でもモダンのグランプリでよく使用して2日目の海を泳ぎ、ついにグランプリ・コペンハーゲン2015にてプシェメック・コシンスキー/Przemek Knocinskiの手によって開花した「マーフォーク」を選んだ。

 今回の環境全体を通して見てみると、以下のように興味深いことがわかる。

  • 「欠片の双子」は大きく数を減らしている。モダン環境で最も人気を集める手堅いデッキが、今大会では使用者3人に留まっている。
  • 「死せる生」と「呪禁オーラ」が、各プレイヤーのサイドボードを試すことになった。これらに備えてこなかった者は、予想外の角度から敗北を喫するだろう。
  • 最も使用者を集めた「親和」デッキには、全員が当たることになるだろう。ここでもサイドボードの選択が鍵となる。
  • 他のモダン・イベントと同様に、各プレイヤーのメタゲーム予想を試すようなユニークな選択が多く行われている。

 プレイヤーたちはモダン・ラウンド4回戦を経て、2日目開始時の地位を固める。同時に、今大会、世界選手権2015で調子を上げたプレイヤーも明らかになることだろう。

  • この記事をシェアする

RESULTS

対戦結果 順位
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

RANKING

NEWEST

サイト内検索