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【観戦記事】 第7回戦:Seth Manfield(アメリカ) vs. 渡辺 雄也(日本)

【観戦記事】 第7回戦:Seth Manfield(アメリカ) vs. 渡辺 雄也(日本)

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Chapman Sim / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月27日

原文はこちら

セス・マンフィールド/Seth Manfield(世界ランキング4位/呪禁オーラ)vs.渡辺雄也(世界ランキング12位/白青コントロール)(モダン)

 現在世界ランキング12位の渡辺 雄也は、思わず寒気を覚えるほどの凄まじい戦績を持っている。

 プロツアーに12回出場するたびに、1度はトップ8に顔を出してきた渡辺。グランプリに至っては89回の出場中実に22回トップ8に入賞し、7度優勝している。また、世界選手権が現在の形になってから4回すべてに出場しているプレイヤーは世界で渡辺ただひとりであり、シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar以外に世界選手権王者のタイトルを持っているのも渡辺のみなのだ。だがこのジャパニーズ・ウィニング・マシーンはすでにこれだけのキャリアを持ちながらも、さらなる世界選手権王座獲得を目指して歩みを止めない。

 一方のセス・マンフィールドの戦績も驚くべきものだ。3度のグランプリ優勝もさることながら、プロツアー出場13回とグランプリ出場60回のキャリアの総合勝率が、それぞれ62%と65%という目覚ましいものなのだ。また今シーズン、マンフィールドは生涯獲得プロ・ポイントも150点のラインを超え、プロツアー殿堂顕彰の選考対象に入った。

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渡辺 雄也という巨大な存在と対峙するだけでも萎縮してしまうところだが、セス・マンフィールドはデッキ相性の上で大きな有利を得ている。

 だがマンフィールドにとって今重要なことは、目の前のジャパニーズ・ジャガーノートを本日最終戦となるここで止めることだ。両プレイヤーとも5勝1敗でこの試合を迎えている今、この試合に勝った方が順位表の最上位に君臨することになるだろう。

それぞれのデッキ

 渡辺は今大会に「白青コントロール」を持ち込み、モダン・ラウンドが始まると瞬く間に3連勝を重ねた。彼のデッキ選択が今回のメタゲームに合致していたのは明らかだ。ところが今、その渡辺のデッキが追い詰められていた。

「かなり厳しい戦いになると思います」、と渡辺は認める。「相性が悪すぎる」

「そうだね、デッキの相性はこっちが有利だ。でもプレイは渡辺が上さ」と、マンフィールドが声に出した。「その差が結果にどう出るのか、想像がつかないね」

 実際に、渡辺は「呪禁オーラ」への備えをしてこなかった。サイドボードの《呪文滑り》1枚と《否認》2枚では有効打にはなりにくいだろう。メインデッキに至っては、効く場面が狭いものや、遅いもの、あるいはまったく役に立たないものばかりなのだ。

 《流刑への道》が通用するのは《コーの精霊の踊り手》のみで、《林間隠れの斥候》や《ぬめるボーグル》に対処する手段はない。《台所の嫌がらせ屋》や《修復の天使》、そして《龍王オジュタイ》はダメージ・レースを支えてくれるかもしれないが、マンフィールドがそれをひっくり返すには《夜明けの宝冠》を持っているだけでいいのだ。なんとか4マナまで到達して《至高の評決》を放っても、マンフィールドはそれまでに「族霊鎧」を持つエンチャントを1枚は引き込んでいて、《ぬめるボーグル》を迫り来る死から守ることだろう。

 だがそれでも、対戦相手が渡辺であることを忘れてはならない。渡辺雄也とは、それほどのプレイヤーなのだから。

ゲーム展開

 渡辺が《天界の列柱》をタップインしてゲームを始めると、マンフィールドは早速《林間隠れの斥候》から《コーの精霊の踊り手》へと繋いた。渡辺はノータイムで《流刑への道》を差し向けるが、他に良い対象はいなかった。

 マンフィールドの狙いが《コーの精霊の踊り手》に打ち消しや除去を集めることであるのは明らかだった。彼は2枚目の《コーの精霊の踊り手》を繰り出し、続けて《天上の鎧》と《ハイエナの陰影》を《林間隠れの斥候》へエンチャントすると、カードを2枚引くことができた。

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「呪禁オーラ」を駆る対戦相手から、なんとかして勝利をもぎ取ろうと狙う渡辺。

 マンフィールドのクロックが着実に渡辺のライフを刻む。渡辺は《台所の嫌がらせ屋》と《修復の天使》でライフ・レースを試みた。ところが、そのプランは一瞬で破られた。

 残るマンフィールドの仕事は、有力なエンチャントを重ねていくだけだ。彼は《林間隠れの斥候》へ《夜明けの宝冠》を追加し、さらに《怨恨》を2枚貼り付けた。《林間隠れの斥候》はパワー14の絆魂持ちという怪物に変貌し、《謎めいた命令》の連打でもしなければ渡辺の勝つ見込みはなくなったのだった。

 2ゲーム目もマンフィールドは1マナ域、今度は《ぬめるボーグル》を繰り出すことに成功した。そしてそれはすぐに《ハイエナの陰影》と《蜘蛛の陰影》を身に付け、3/3のクリーチャーになる。全体除去を恐れる必要がなくなったマンフィールドは、《天上の鎧》と2枚目の《蜘蛛の陰影》を《ぬめるボーグル》へ重ねていく。

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エンチャントで着飾るマンフィールド

 ここまでの動きを計算してみると、《ぬめるボーグル》はわずか3ターン目にして8/8のクリーチャーとなっている。

 だがここに至っても渡辺は動きを見せず、1枚もカードを唱えることなくライフを9点まで落とした。ここまで手も足も出ない渡辺の姿を見るのは、本当に珍しい。実際のところ客観的に見ても、彼にできることはほとんどなかった。

 渡辺の手札には《呪文嵌め》、《龍王オジュタイ》、《流刑への道》、《修復の天使》が握られている。見たところ敗色は濃厚だ。やがて渡辺も同じ結論に至り、彼は右手を伸ばして丁寧に投了を示したのだった。

マンフィールド 2−0 渡辺

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