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【観戦記事】 第13回戦: Paul Rietzl(アメリカ) vs. Owen Turtenwald(アメリカ)

【観戦記事】 第13回戦: Paul Rietzl(アメリカ) vs. Owen Turtenwald(アメリカ)

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Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年8月28日

原文はこちら

ポール・リーツェル/Paul Rietzl(世界ランキング3位/ハンガーバック・アブザン)vs. オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald(世界ランキング10位/アブザン・コントロール)(スタンダード)

 ポール・リーツェルとオーウェン・ターテンワルドの両名にとって、この試合が正念場となる。ここで勝てばトップ4入賞が確定し、負ければその保証はなくなるのだ。世界ランキング3位のリーツェルは現在のオポネントが極めて低く、「恐らく」苦労することになるだろう。一方、先頭集団で走り続けてきた世界ランキング10位のターテンワルドは、ほぼ確実に入賞できる見通しだ。

「順位表は見たかい?」 リーツェルが尋ねた。

「いや」

 リーツェルは、彼らの座るフィーチャー・テーブルを眺める素振りをした。「とりあえず、お互いうまくいっているようだね」

「そうだな」 ターテンワルドは返事をする。

 このマッチアップの感触を尋ねると、リーツェルは彼らしい答えを返してくれた。「あー、わからないな。たぶん勝てそう。相手は世界最高のプレイヤーだけど、こっちも練り込んだデッキを持ってきた。良いデッキだ。たぶん勝てるよ」 それから彼はひと呼吸置いて、言った。「果敢に挑むつもりさ」

「『アブザン・コントロール』の方が有利だと思われているけど、私のリストは他の『ハンガーバック・アブザン』とは結構違う――はっきりとね」 リーツェルのデッキは確かに《搭載歩行機械》を採用したものだが、普通のものよりコントロール側に寄せた形に仕上がっている。「ハンガーバック・アブザン」といえばその多くが「アブザン・アグロ」に《搭載歩行機械》を加えたものだが、リーツェルは意図してその形にしなかったのだ。

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ポール・リーツェルにとっては生き残るための戦い。オーウェン・ターテンワルドにとってはトップ4入賞を確かなものにするための戦いだ

 ターテンワルドの「アブザン・コントロール」に搭載された全体除去の数々は、彼に有利をもたらすだろう。そもそも、見たところ除去呪文が途切れることはなさそうで、その点でもターテンワルド有利と言えそうだ。デッキリスト上はターテンワルド有利と出ているが、だがリーツェルの側にも活躍できる脅威はある。

ゲーム展開

 まるでこのゲームに台本があるかのように、最初の4ターンはターテンワルドの思惑通りに進んだ。《羊毛鬣のライオン》を2マナの除去呪文で対処すると、《先頭に立つもの、アナフェンザ》2枚を3マナの除去で退場させる。手札には《龍王ドロモカ》があり、それを繰り出すまでライフをたっぷり残しておけた。

 リーツェルの方は、軽快な動きとはならなかった。4ターン目に土地を置くことができず、また戦場にある土地のうち2枚が「ペイン・ランド」で、マナを生み出すだけで彼のライフは15点まで削れていた。だが最初の3体が除去を受けてもなお、リーツェルの動きは止まらない。《包囲サイ》に《勇敢な姿勢》を撃ち込むと、続けて《ドロモカの命令》で裏向きのクリーチャーに+1/+1カウンターを置きつつ、ターテンワルドの唯一のクリーチャーである《クルフィックスの狩猟者》を除去した。

 次のターン、リーツェルはさらに勢いに乗った。ターテンワルドは《太陽の勇者、エルズペス》を繰り出し3体のブロッカーを用意するが、裏向きになっていたリーツェルのクリーチャーは《棲み家の防御者》だった。「大変異」を果たしたリーツェルは《ドロモカの命令》を回収し、即座にそれを唱えて《棲み家の防御者》に3つめの+1/+1カウンターを置き、《太陽の勇者、エルズペス》を攻撃。小さな兵士たちではブロックできず、リーツェルはこの強力なプレインズウォーカーを難なく打ち倒した。その後《棲み家の防御者》は《究極の価格》を受けることになったが、それは重要な仕事を成し遂げたのだった。

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アブザン同士によくある1対1交換のにらみ合いで一歩も引かないリーツェル

 ここにきて、1対1交換を続けたターテンワルドの手札が切れた。彼の戦場にあるのは《龍王ドロモカ》ただ1体だ。だがその1体が堅固な守りとなり、新たに《精霊信者の賢人、ニッサ》が加わるとさらに盤石になった。リーツェルの側は、《羊毛鬣のライオン》、《包囲サイ》、《風番いのロック》、そして《風番いのロック》の生み出したトークンという布陣。ライフは13対10でリーツェルが勝っていた。彼は恐るべき《衰滅》をターテンワルドが持っていないと見て、《風番いのロック》を戦場に待機させた。

 今度はターテンワルドが攻撃に向かう番だ。《龍王ドロモカ》の攻撃によりライフ・レースは逆転し、《風番いのロック》がリーツェルにライフをもたらす前に除去することもできた。それでもリーツェルは、逆転の兆しを見せる。彼は複雑な戦闘でうまく立ち回り、《龍王ドロモカ》以外のすべてを退場させた。手札には《太陽の勇者、エルズペス》と《包囲サイ》が待っていた。だが再びライフが減らされ、ターテンワルドとの差を広げられる。

 そしてこのゲームの決め手が訪れた。ターテンワルドはドロー後、《棲み家の防御者》を裏向きでプレイする。このただの2/2が、はるかに大きな仕事を成し遂げるのだ。

 迎えたリーツェルのターン、彼は《太陽の勇者、エルズペス》を呼び出し、パワー4以上のクリーチャーをすべて破壊する能力を起動した。ターテンワルドは《棲み家の防御者》を「大変異」し、墓地から《胆汁病》を回収。それを自身の《龍王ドロモカ》に向けて唱え、パワーを下げて《太陽の勇者、エルズペス》の能力で破壊されないようにしたのだ。このテクニックで《龍王ドロモカ》は生き残り、一方リーツェルの《包囲サイ》は失われた。そして、ターテンワルドのライブラリー・トップから現れた《包囲サイ》が、リーツェルに《包囲サイ》を繰り出す間も与えず彼のライフを取り去ったのだった。

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危険のただ中にあっても集中を切らさないターテンワルド

 サイドボーディングの間、リーツェルはメモを見続けた。「60枚すべてが完璧なときに、何かを抜くと思うかい?」

 2ゲーム目の初手を確認した両者はともにマリガンを選択した。リーツェルは勢い余って、バンクーバー・マリガンの占術を忘れてしまった。最初のドローをしながら、彼は「最高の1枚来い、最高の1枚来い、最高の1枚を」と念じた。1ゲーム目よりさらにコントロール的なゲーム展開を進めながら、リーツェルが言う。「新しいバンクーバー・マリガンで、私みたいなやつがこうやって損をするのか。私はマリガンをしないからね。新しいマリガンの練習はしてこなかったんだ」

 最初に大きな一撃を加えたのは、ターテンワルドだった。《思考囲い》から《包囲サイ》へ繋いだのだ。《思考囲い》が、リーツェルの《太陽の勇者、エルズペス》2枚、《黄金牙、タシグル》、《英雄の破滅》、《ドロモカの命令》を公開する。ターテンワルドは《太陽の勇者、エルズペス》を取り去り、《包囲サイ》でライフを11対18にした。

 そのライフ差はしばらくそのまま続いた。両プレイヤーとも、優位を探り合い、カードを引き合い、除去を交わし、クリーチャーを強化した。リーツェルの《黄金牙、タシグル》が《アブザンの魔除け》に屠られる前にカードを1枚彼にもたらし、ターテンワルドの《棲み家の防御者》が《ドロモカの命令》の犠牲になる前に《勇敢な姿勢》を墓地から回収した。

 そして、より質の高いドローを得てそのにらみ合いを制したのは、ターテンワルドの方だった。《思考囲い》がリーツェルの手札にある唯一の呪文を抜き去り、2枚目の《棲み家の防御者》が《包囲サイ》を回収すると、この試合の終わりが見えた。ライフ5対13でターンを迎えたリーツェルは、ライブラリーの一番上のカードをそのままプレイする。

 それは、この状況への解答となりリーツェルを窮地から救う《包囲サイ》ではなかった。必要なものを引き込めなかったリーツェルを尻目に、ターテンワルドは対戦相手の《包囲サイ》を除去し、《アブザンの魔除け》で自軍を強化し、そして全軍攻撃で勝利をもぎ取ったのだった。

リーツェル 0−2 ターテンワルド

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