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【観戦記事】 第3回戦:Samuel Pardee(アメリカ) vs. Marcio Carvalho(ポルトガル)

【観戦記事】 第3回戦:Samuel Pardee(アメリカ) vs. Marcio Carvalho(ポルトガル)

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Chapman Sim / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年9月1日

原文はこちら

サミュエル・パーディー/Samuel Pardee(世界ランキング9位) vs. マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho(ドラフト)

 2015-2016年シーズンのプロツアーにおいて、マルシオ・カルヴァリョはこの場にいる24人の中で最も高いリミテッド勝率を記録した。世界選手権に出場する選手はみなこのゲームの達人であり、それらを上回ったという偉業は驚嘆に値するだろう。「ドラフト・マスター」のタイトルは伊達ではない。カルヴァリョは昨シーズンの4つのプロツアーにて、ドラフト部門で合計20勝3敗1分という成績を叩き出している。だから必然、彼に注目せねばなるまい――彼が今、今大会の第1ドラフトでも3戦全勝を懸けた戦いに臨んでいるならなおさらだ。この第3回戦での対戦相手はサミュエル・パーディー。彼もまたここまでふたりの相手を打ち破り、フィーチャー・マッチ・テーブルにつくことになった。

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「カルヴァリョは良いデッキが組めたみたいだね」とパーディーは言う。「こっちには初めて使う《合鍵》が入ってるよ。こっちのデッキにも強いカードはあるけれど、カルヴァリョはデッキ自体が強いからなあ!」

 確かに、カルヴァリョの組み上げた「黒赤吸血鬼」には質の高い「マッドネス」支援カードが採用されており、シナジーに富んだ形に仕上がっている。《流城の死刑囚》や《貪欲な求血者》、そして《オリヴィアの竜騎兵》は、《錬金術師の挨拶》や《自暴自棄》、2枚の《無差別な怒り》といった「マッドネス」呪文を駆使するデッキにうってつけだ。さらに、カルヴァリョのデッキは《集合した頭目》と《生命の危機》をマナ・コストの最大値に置いた素晴らしいマナ・カーブを描いていた。

 一方、パーディーのデッキも彼が言うほど精彩を欠いたものではない。事実としてここまでの2戦を勝ち抜いているのだから、彼にはもっと自信を持ってほしいくらいである。彼の組み上げた「赤白」デッキは、魅力的なシナジーに満ちたものではないかもしれない。しかし《異端聖戦士、サリア》を中心にした軽量クリーチャーと、コンバット・トリックによる強力なテンポ・ゲームを可能にしている。また、《合鍵》と《刹那の器》や、2枚採用された《霊体の予備兵》を組み合わせることで、膠着状態を破ることもできるだろう。

 この勝負、本当にどちらが勝つかわからない。戦いに臨む両者はどうかと言えば、「このあまりに過酷な舞台で2勝1敗できるだけでもすごいことだよ」と口を揃えるのだった。

 うんうん、その通りだ!

ゲーム展開

 ダイス・ロールに勝利したカルヴァリョが先手。パーディーは《ムーアランドの流れ者》と《異端聖戦士、サリア》で戦端を開いた。カルヴァリョはクリーチャー同士の交換を避け、《エムラクールの加護》で厄介な《異端聖戦士、サリア》を除去すると、《スレイベンの異血種》で殴り合いに応じる。

 4ターン目、パーディーはタップ・アウトで《単体騎手》と《刹那の器》を展開。続くターンに《ナヒリの策謀》を戦場に置き、《刹那の器》を起動した。《ナヒリの策謀》はゲームを変える1枚であり、これでカルヴァリョはブロックが極めて難しくなった。彼はそのままライフ・レースに突き進む他に選択肢を失い、《ガツタフの放火魔》に望みを託した。しかしその目論見は、パーディーの繰り出した《ヴィルディン群れの除けもの》に阻まれる。


阻む者、サム・パーディー

 破壊不能を得た《単体騎手》で攻撃すると、パーディーは《霊体の予備兵》でスピリット・トークンの数を倍にした。これで合計3点のライフを得た彼は《単体騎手》を《同体騎手》へ「変身」させることに成功したのだ! 引き込んだ《生命の危機》で《同体騎手》には対処できたものの、カルヴァリョの残る手札は土地2枚のみで、行動を起こせない。

 圧倒的な優位を得てもなおパーディーは慎重に歩みを進め、チャンプ・ブロックができるように常にスピリット・トークンを2体立たせながら攻撃を続けた。やがて、《ヴィルディン群れの除けもの》と《ヴォルダーレンの決闘者》がこのゲームを奪っていったのだった。

 2ゲーム目は、カルヴァリョの《オリヴィアの竜騎兵》が《ムーアランドの流れ者》と対峙した。どちらも飛行を持ち得る2/2クリーチャーという互角の戦力だが、カルヴァリョは攻撃をためらった。「マッドネス」を活かせるカードを残しておき、のちの凶悪な動きに繋げることを選んだのだ。彼はパーディーと同様に《猛々しい狼》を盤面に加えた。

 ここでカルヴァリョが攻勢に出る絶好のチャンスを得た。攻撃してきた《オリヴィアの竜騎兵》に対してパーディーが《ムーアランドの流れ者》でブロックに入ると、カルヴァリョは「マッドネス」からインスタント・タイミングで《無差別な怒り》をエンチャントする。続けて速攻を持った《マルコフの十字軍》を繰り出すと、5ターン目にしてパワー4のクリーチャーが3体も並ぶ強烈な盤面が完成したのだ!

 《霊体の予備兵》をもってしてもパーディーがこのライフ・レースで勝てる見込みはなく、その上カルヴァリョは《錬金術師の挨拶》と《集合した頭目》で追い打ちをかけた。

「いやあ、さっきは引きが良すぎたよ。滅茶苦茶だったね」と、カルヴァリョは申し訳なさそうに言う。

 パーディーは最終ゲームに向けてのサイド・プランを練りつつ頷き、カルヴァリョの動きが最高のものだったことに同意した。

 そして迎えた第3ゲーム。パーディーは1ターン目に《テラリオン》を置くと、「この幸運を称えてくれよ」と冗談を飛ばした。

 カルヴァリョは《貪欲な求血者》、《傲慢な新生子》と優れた「マッドネス」支援カードを展開する。パーディーの盤面には《吠え群れの狼》1体だけだったが、彼はそこに《ヴォルダーレンの決闘者》を加えた。《貪欲な求血者》でブロックできなくなったカルヴァリョだが、彼は盤面を一気に制圧しようと手札に潜ませておいた《自暴自棄》を「1対1交換のために」放った。

 4ターン目、カルヴァリョは何も繰り出さずに2体のクリーチャーで攻撃へ向かい、(《沼》が1枚しかないため唱えられない)《流城の死刑囚》を捨てて《貪欲な求血者》の打点を上げた。カルヴァリョは3/1となった《貪欲な求血者》にさらに《放たれた怒り》を重ね、「《強大化》+《ティムールの激闘》」さながらのコンボでパーディーのライフを20点から一気に12点まで叩き落とした。この時点でカルヴァリョが2枚目の《放たれた怒り》を持っているのは明らかだったが――両者ともそのことを口には出さなかった。


相手に有利を与えないよう慎重に立ちまわるマルシオ・カルヴァリョ

 《ファルケンラスの後継者》がパーディーにプレッシャーを与えると、彼は(《テラリオン》を生け贄に捧げて)《天使の粛清》を撃ち込んだ。しかしこれでパーディーの除去呪文は弾切れとなり、続く《ヴィルディン群れの除けもの》を止めるものはなくなった。

 《永遠の災い魔》と《罪を誘うもの》を戦線に追加したパーディーだが、カルヴァリョが全軍で攻撃すると自らの死が迫っているのを感じた。《傲慢な新生子》、《貪欲な求血者》、擬似的な「火吹き」能力とトランプルを持った《ヴィルディン群れの除けもの》――2枚目の《放たれた怒り》が唱えられれば、生き残るすべはない。パーディーは全軍で《ヴィルディン群れの除けもの》をブロックしたが、それは7/3二段攻撃の怪物に変貌した。カルヴァリョが手札に残る最後の1枚を捨てて《貪欲な求血者》を3/1にするまでもなく、パーディーは右手を伸ばしたのだった。

「初手から《放たれた怒り》が2枚あったのは間違いないね。でなけりゃ、あそこで『火力呪文みたいに』使わないよ。いいプレイだった」と、パーディーは勝者を称えた。

「勝つにはあれしかなかった。4ターン目に何もしないままターンを渡したら、もう倒し切るのは無理だったからね。きっと《罪を誘うもの》でじわじわ削られていたよ」と、カルヴァリョは答える。

マルシオ・カルヴァリョが2勝1敗でサミュエル・パーディーを撃破。

 「ドラフト・マスター」は今大会でもその名に恥じぬ力を見せ、全勝でスタンダード部門を迎えることになった!

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