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【観戦記事】 第7回戦:Marcio Carvalho(ポルトガル) vs. Seth Manfield(アメリカ)

【観戦記事】 第7回戦:Marcio Carvalho(ポルトガル) vs. Seth Manfield(アメリカ)

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Frank Karsten / Tr. Keiichi Kawazoe

2016年9月1日

原文はこちら

マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho(バント・カンパニー) vs. セス・マンフィールド/Seth Manfield(世界ランキング2位/バント・スピリット)

 本日の最終戦は、2つのバントデッキ――とりわけ4枚の《集合した中隊/Collected Company(DTK)》、《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》、《反射魔道士/Reflector Mage(OGW)》を搭載したデッキ同士の戦いとなったが、2つのデッキの類似点はこれだけであった。

 ドラフトマスターであるマルシオ・カルヴァリョは《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter(SOI)》や《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SOI)》を擁する純正のバント・カンパニーを使っている。このデッキは間違いなくスタンダードで最高のデッキであり、下馬評でもこの世界選手権の本命と考えられている。

 一方昨年の世界王者セス・マンフィールドはバント・スピリットを選択した。このデッキはカード・アドバンテージを得るためクリーチャーには頓着せず、《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer(EMN)》や《鎖鳴らし/Rattlechains(SOI)》、《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald(EMN)》というマナ・カーブに沿った展開力で、空中から素早くクロックを刻むことを目指している。

 マンフィールドは最近新しい家族ができたため、今回シアトルに到着するまでほとんどイベントへの準備をしていなかった。そのため、到着してからは部屋に閉じこもって準備に取り掛かったのだった。2日間、彼はMagic Onlineで100マッチ以上をこなし、非常に多数の選択肢を試したのだった。

 その中のひとつであったバント・スピリットデッキは、彼が属するチーム「East-West Bowl」がプロツアー『異界月』に持ち込んだものだったが、その時はよい結果を収めることができなかった。セスは今のメタゲームにおいてこのデッキを使うことに気持ちよさを感じており、結果としてこのラウンドに5勝1敗で臨むことを可能にしていた。

 カルヴァリョは席に着くと、「2年連続の世界選手権制覇かい?」と声をかけた。

 マンフィールドは笑いながら「それにはまだ長い道のりだね」と応じた。


マルシオ・カルヴァリョとセス・マンフィールドはバント同士の対戦に臨んでいる

 両者はこのラウンド開始時においてスタンディングのトップであり、また世界を代表するプレイヤーであった。マンフィールドにとって今シーズンは前回の世界選手権優勝を皮切りに、複数のグランプリでの優勝などでプロ・ポイント88点という度肝を抜くような1年であった。一方カルヴァリョにとってもこのシーズンは素晴らしいものだったが、彼は2005年の世界選手権や2008年のプロツアー・クアラルンプールでのトップ8という栄光を取り戻そうとしていた。

ゲーム展開

 第1ゲーム、カルヴァリョは理想的な動きを見せた。2ターン目《森の代言者/Sylvan Advocate(OGW)》、3ターン目《反射魔道士/Reflector Mage(OGW)》、そして《集合した中隊/Collected Company(DTK)》を4、5ターン目と立て続けに展開した。しかし最初の中隊は《意思の激突/Clash of Wills(ORI)》で打ち消され、2枚目も《首絞め/Noose Constrictor(EMN)》1枚を見つけただけであった。カルヴァリョが戦場を圧倒するにはまだ不足だった。

 一方、マンフィールドは立ち上がりで多少つまづき、3ターン目でもなおマナを使っていなかった。そして、彼のデッキは劣勢をひっくり返す良い方法に欠けていた。数少ない道の一つは《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald(EMN)》からスピリットを連打することだったが、カルヴァリョは《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》という完璧な回答を用意しており、既にマンフィールドのライフに王手をかけていた。

 マンフィールドは2ゲーム目を始めることを選択した。2ターン目に《無私の霊魂/Selfless Spirit(EMN)》、4ターン目に《集合した中隊/Collected Company(DTK)》から2体の《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》、そして5ターン目にはさらに《集合した中隊/Collected Company(DTK)》から《無私の霊魂/Selfless Spirit(EMN)》と《反射魔道士/Reflector Mage(OGW)》と展開した。


カルヴァリョは2015-16シーズンのドラフトマスターだが、今日は構築でも実力を証明してみせている

 《反射魔道士/Reflector Mage(OGW)》は、マンフィールドの空中戦力を阻む砦だったカルヴァリョの《首絞め/Noose Constrictor(EMN)》を手札に戻し、彼の計画を挫いた。マンフィールドはその空中戦力を叩きつけ、ダメージレースで優位に立った。

 最後にとどめを刺したのは《実地研究者、タミヨウ/Tamiyo, Field Researcher(EMN)》であった。カルヴァリョはダメージレースの遅れを取り戻そうとしたが、タミヨウが2体のクリーチャーを抑えこみ、マンフィールドの勝利を確定させた。

 最終ゲーム、当然のようにカルヴァリョが先手を取った。

「ダイスロールに勝てたのは本当に幸せだったよ。きっと、それはとても重要だったんだ」 カルヴァリョは言った。

「後手を取ったっていいんだよ?」とマンフィールドは笑う。

「このゲームではありえないね」と返す。「さあ、始めるよ」

 先手を取ったことで、5ターン目終了時点でカルヴァリョはより良い盤面を築いていた。彼は《爪の群れの咆哮者/Krallenhorde Howler(SOI)》、《森の代言者/Sylvan Advocate(OGW)》、そして《反射魔道士/Reflector Mage(OGW)》をコントロールしていたが、一方マンフィールドは《無私の霊魂/Selfless Spirit(EMN)》から始めたものの4枚目の土地を手に入れられずにいた。


現世界王者はマナ不足から抜け出す手段を探し求めていた

 実際、マンフィールドは5ターン目でも土地を手に入れられずにそのままターンを返し、手札を捨てる羽目に陥った。もちろん、それは彼が《呪文捕らえ/Spell Queller(EMN)》のためにマナを残しているということだが、カルヴァリョはカウンター合戦を《意思の激突/Clash of Wills(ORI)》で制して《薄暮見の徴募兵/Duskwatch Recruiter(SOI)》を呼び、マンフィールドの有利を防いだのだった。

 マンフィールドに残された道はただ土地を引いて《集合した中隊/Collected Company(DTK)》から良いものを引き当てることだけだった。彼は土地を引き当てた......が、続く6枚はすべて土地だった。結局、このターンも実質的に4ターン目・5ターン目と変わらなかった。

 これは非常に悔しかっただろうが、マンフィールドはいつもどおりのスポーツマンシップに則った態度を崩さず、敗北を認めて手を差し出し、そして対戦相手の翌日に幸あることを願った。

「ドラフトラウンドでうまくやれると思ってたんだけどね。構築はあまり自信がなかった」と、カルヴァリョは後で私に答えた。「でも、今回はいい感じだよ!」

 マルシオ・カルヴァリョはブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinとともに初日6勝1敗でトップに立った。

マルシオ・カルヴァリョ 2-1 セス・マンフィールド

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