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【観戦記事】 第13回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Lukas Blohon(チェコ)

【観戦記事】 第13回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Lukas Blohon(チェコ)

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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年9月3日

原文はこちら

八十岡 翔太(世界ランキング8位/アブザン・カンパニー)vs. ルーカス・ブロホン/Lukas Blohon(世界ランキング3位/風景の変容)

 トップ4入賞者が決まるまであと2ラウンド。ここでフィーチャー・マッチに呼ばれたふたりはともに8勝4敗。すなわち、日曜の決勝ラウンドへ進出するには少なくともあとひとつ勝たなければならない。この試合に懸かるものは多いが、ここで対峙するふたりのプロツアー王者は「懸かるものの多い試合」を十分に経験している。

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八十岡 翔太(写真左)とルーカス・ブロホン。ふたりのプロツアー王者は、高いプレッシャーの中での試合を勝ち抜いた経験がある。

 プロツアー『異界月』王者にして世界ランキング3位のルーカス・ブロホンは、昨シーズン驚くべき活躍を見せた。彼はプロツアー・レベルの戦いで勝率69%を記録したのだ。世界選手権への出場は初めてだが、競技の世界には10年以上前から身を置いている。かつてはパートタイムでホテルのスタッフとして勤めながら、時間を作ってはプレミア・イベントへ旅に出ていた。今、彼はマジックのプロとして活動し、時間をマジックと家族、そして恋人のために使っている。今大会に向けてはひとりで練習を重ねてきたが、同じチェコの友人であるペトル・ソフーレク/Petr Sochurekとマーティン・ジュザ/Martin Jůzaのアドバイスには常に信頼を置いている。

 対するプロツアー・チャールストン2006王者にして世界ランキング8位の八十岡 翔太もまた、素晴らしいシーズンを過ごして「アジア太平洋地域上位」の枠で世界選手権出場を果たした。八十岡は幼少の頃よりカード・ゲームに親しみ、常に競技的な世界で過ごしてきた。マジックというゲームでの腕前の高さは、彼を2015年度の殿堂入りに導くほどだ。彼は構築の達人としても知られ、しばしば一風変わったデッキで注目を集めると、恐るべき速度と正確さを誇るプレイで見る者を魅了してきた。

それぞれのデッキ

 この試合は、ブロホンの「風景の変容」と八十岡の「アブザン・カンパニー」の対決となった。ブロホンのデッキの狙いは、序盤にマナ基盤を整え、《風景の変容》で《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と7枚か8枚の《山》を一気に戦場に揃えて対戦相手を焼き尽くすことだ。一方八十岡のデッキは、《臓物の予見者》と《シルヴォクののけ者、メリーラ》、《台所の嫌がらせ屋》を揃えて1グーゴルプレックスのライフと無数の占術を獲得し、《残忍なレッドキャップ》を見つけ出して今度は無制限のダメージを相手に与えるというものだ。

 両者とも、「教示者能力」を用いたシルバー・バレット戦略をとっている。ブロホンは《白日の下に》経由で《滅び》を放つことができ、八十岡は《召喚の調べ》から《呪文滑り》を持ってきて《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の対象を逸らすことができる。この戦いに挑む両者は、それらをゲーム中常に意識しておかなければならないのだ。

 また、サイドボードには『異界月』の新たなカードが見受けられる。「以前は、こちらのデッキがかなり有利だった。対戦相手に干渉できる手段はこちらが多かったし、『アブザン・カンパニー』はこちらのコンボを止める手段がなかった」と、ブロホンは試合後に語る。「だが《膨らんだ意識曲げ》がこちらに効き過ぎる。《極楽鳥》から《台所の嫌がらせ屋》、そして《膨らんだ意識曲げ》と動いてきたら、まず勝てないだろうね」

 八十岡は《膨らんだ意識曲げ》を2枚サイドボードに採用していた。しかしこの試合では、それらを引き込むことはなかった。

ゲーム展開

 第1ゲーム、八十岡はダブル・マリガンを喫し、ブロホンに十分なプレッシャーをかけていくことができなかった。《台所の嫌がらせ屋》で攻撃に向かい《ガヴォニーの居住区》で強化していく体勢は整えたものの、素早いクロックを用意できない。

 一方のブロホンは《桜族の長老》でマナ基盤を築き、《俗世の相談》で手札を整えつつ、《謎めいた命令》で八十岡の展開を阻害する。

 ブロホンはすでに《風景の変容》を手に入れており、状況も極めて良好。あとは致死ダメージへ至るために土地をもう1枚引き込むだけだ。彼は幸運にも《白日の下に》を引き込み、《明日への探索》へと繋げた。強力な「教示者能力」を土地1枚のために使用したことで、八十岡はすべてを悟った。

 果たして、続くターンに止めの一撃となる《風景の変容》が放たれ、大量の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発が八十岡に致死量を超えるダメージを与えたのだった。

 第2ゲーム、八十岡は再びダブル・マリガンとなったが、手札破壊を2枚手に入れ妨害はできた。《思考囲い》がブロホンの手札を明かすと、《差し戻し》、《瞬唱の魔道士》、《白日の下に》、《稲妻》、そして土地3枚という内容。八十岡は《差し戻し》を落とし、2枚目の《思考囲い》を通した。

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2ゲーム目も5枚の手札で始めることになり、手札破壊による妨害が時間を稼いでくれることを願う八十岡。

 2枚目の《思考囲い》は《白日の下に》を抜き去り、これでブロホンの手札には《稲妻》と《瞬唱の魔道士》が残った。八十岡は《呪文滑り》を展開し、ブロホンが《稲妻》→《瞬唱の魔道士》→《稲妻》と立て続けに撃ち込まない限り《稲妻》を無力化することに成功した。

 だがブロホンは、《瞬唱の魔道士》を用いたより大きなゲーム・プランを立てていた。八十岡はこのゲームでも十分なプレッシャーをかけられていないため、ブロホンはマナ基盤を築く時間をたっぷりと用意できた。間もなくして8マナを揃えると、彼は《瞬唱の魔道士》で序盤に捨てられた《白日の下に》を「フラッシュバック」したのだ。

 《白日の下に》から《風景の変容》を放つと、ブロホンの戦場に並ぶ7枚の土地は2枚の《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》と5枚の《山》に変わった。《呪文滑り》をもってしても10回に至る《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発をすべて逸らすことは叶わず、八十岡は右手を伸ばすことになったのだった。

ルーカス・ブロホンが2勝0敗で八十岡 翔太を撃破。

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