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【観戦記事】 第14回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Seth Manfield(アメリカ)

【観戦記事】 第14回戦:八十岡 翔太(日本) vs. Seth Manfield(アメリカ)

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Chapman Sim / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年9月3日

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八十岡 翔太(世界ランキング8位/アブザン・カンパニー)vs. セス・マンフィールド/Seth Manfield(世界ランキング2位/アブザン)

 第14回戦、世界ランキング2位のセス・マンフィールドと同8位の八十岡 翔太はともに8勝5敗でこの試合を迎えた。トップ4入賞に望みをかけるためには、ここで勝たなくてはならない――そのためにこの週末の激戦を乗り越えてきたのだから。両者のうちどちらが勝ち残っても、2度目の世界選手権トップ4入賞だ。マンフィールドは2年連続優勝を目指し、八十岡は初戴冠にもう一度挑戦することになる。

 両者のデッキは同じ色(白、黒、緑の3色)だが、そのアプローチは大きく異なる。マンフィールドの「アブザン」は消耗戦に力を入れた形であり、対戦相手のキーカードを手札破壊で捨てさせ、戦場の脅威には除去呪文で対処し、《タルモゴイフ》や《包囲サイ》といった強力な攻撃手でゲームを素早く終わらせる、というプランをとっている。

 一方の八十岡は、《集合した中隊》を用いた形。つまり、クリーチャー以外の呪文に割ける枠はほとんどない。しかし彼のデッキには無限コンボが搭載されており、それが決まればマンフィールドの勝利への道は閉ざされるだろう。

 《族樹の精霊、アナフェンザ》か《シルヴォクののけ者、メリーラ》が戦場にあれば、《臓物の予見者》で《台所の嫌がらせ屋》や《残忍なレッドキャップ》を何度も生け贄に捧げることができる。その結果、無制限にライフを得たりダメージを与えたりできるのだ。それを実現するには、《集合した中隊》でコンボのパーツを集め、《召喚の調べ》で完成させる動きが肝になる。必然、マンフィールドのすべきことは、そのコンボ・パーツを崩していくことだ。

 もちろん八十岡の側にも消耗戦で勝利する道はある。3枚コンボを決められない場合は、効率の良いカードで粘り強く戦うことになるだろう。例えば《台所の嫌がらせ屋》は一度では除去しきれないため、マンフィールドの《ヴェールのリリアナ》に対して有効だ。また《集合した中隊》は1枚で2体のクリーチャーを展開することができ、《永遠の証人》が絡めばもう一度使い回せる。そして《ガヴォニーの居住区》は「頑強」を持つクリーチャーを「リフレッシュ」することができ、八十岡の軍勢はしぶとくなるだろう。

 マンフィールドいわく、このマッチアップは避けたかったとのこと。とにかく、戦いのゆくえを見守ろう。

ゲーム展開

 八十岡が先手を取ったが動き出しはマンフィールドが早く、1ターン目《貴族の教主》から2ターン目に《未練ある魂》、3ターン目に《包囲サイ》という強力な展開を見せた。素晴らしいスタートを切った現世界王者だが、しかしこれでも十分とは言い難かった。

 事実、ほぼ完璧な初動を決めたにも関わらず、マンフィールドはこのゲームを落としたのだ。

 八十岡は3ターン目に《台所の嫌がらせ屋》を繰り出し、続くターンに《シルヴォクののけ者、メリーラ》と《臓物の予見者》を展開した。そう、お察しの通りだ。八十岡は無制限にライフを獲得しながら占術でライブラリーを掘り進め、《残忍なレッドキャップ》を見つけ出した。そして次のターンにそれを繰り出すと、今度は無限ダメージでマンフィールドの苦しみを早々に終わらせたのだった。

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ディフェンディング・チャンピオンを相手にわずか4ターンで1ゲーム目を奪った八十岡 翔太。

 第2ゲーム、マンフィールドは再び《貴族の教主》に続けて《未練ある魂》を唱え、スピリット・トークン2体を繰り出した。八十岡は《極楽鳥》から素早く《台所の嫌がらせ屋》へ繋げる。

 今度は、八十岡のコンボで決着することはなかった――たとえ彼がパーツを揃えていても。マンフィールドは《未練ある魂》を「フラッシュバック」すると、《安らかなる眠り》で両者の墓地を一掃した。これで無限コンボを封じると、マンフィールドは4体のスピリット・トークンで空から勝利を掴みにいった。

 八十岡はプランBへ移行する。

 《台所の嫌がらせ屋》で攻撃すると、彼は《族樹の精霊、アナフェンザ》と《臓物の予見者》を展開した。これで「鼓舞1」が誘発し、《極楽鳥》が1/2へ――スピリット・トークンの群れに対して心強いブロッカーが生まれた。

 マンフィールドの《最後の望み、リリアナ》が、《臓物の予見者》を倒す。八十岡は被害が拡大する前に行動を起こさなければならない。彼が《族樹の精霊、アナフェンザ》と《台所の嫌がらせ屋》で攻撃すると、マンフィールドは3体のトークンで《族樹の精霊、アナフェンザ》を止め、《台所の嫌がらせ屋》へは《貴族の教主》でチャンプ・ブロックに入った。

 しかし八十岡はここで《集合した中隊》。2枚目の《台所の嫌がらせ屋》と《クァーサルの群れ魔道士》が戦線に加わり、「鼓舞1」が2回誘発する。《族樹の精霊、アナフェンザ》は3/3(ブロックに入っていた3体のスピリット・トークンと相討ち)となり、《極楽鳥》も2/3飛行に育った。

 八十岡のコンボに対する切り札である《安らかなる眠り》を引き込んだにも関わらず、マンフィールドは盤面の優位を握られた。《未練ある魂》を唱えた彼の盤面は3体のスピリット・トークンが残るのみで(自身の《安らかなる眠り》によって、《未練ある魂》はすぐに追放された)、対する八十岡は《クァーサルの群れ魔道士》と2/3の《極楽鳥》、《台所の嫌がらせ屋》2体という布陣。《安らかなる眠り》は《最後の望み、リリアナ》の[-2]能力も封じ込めていたが、いずれにしても八十岡はこれを退場させるべく全軍を差し向けた。

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セス・マンフィールドは八十岡のコンボに対して「安らかなる状況」になったが、それでは不十分だというのか?

 2体のスピリット・トークンで《台所の嫌がらせ屋》を相討ちに取ったマンフィールドだが、八十岡は3枚目を繰り出した。マンフィールドは《苦い真理》で状況を覆すカードを探しにいく。《コジレックの審問》で八十岡の手札に残るカードを見ると、それは《残忍なレッドキャップ》だった。無論それは続くターンに繰り出され、《最後の望み、リリアナ》に止めを刺した。

 続く2ターンもドローが空振りすると、マンフィールドは右手を差し出し八十岡の幸運を願ったのだった。

八十岡 翔太がセス・マンフィールドを2連勝で撃破。

「サイド後は《安らかなる眠り》を入れるから《タルモゴイフ》を抜いたんだけど、そうなると《台所の嫌がらせ屋》がかなりの脅威になったね」と、マンフィールドは語る。「それから、《安らかなる眠り》と相性最悪のカードを引いたのも不運だった。これは勝てないと思ったし、実際に勝てなかったね。うん、やっぱりこのマッチアップは不利だ」

 こうして八十岡はトップ4入賞を懸けた戦いを制し、オリヴァー・ティウ/Oliver Tiuとマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoの対戦を見に行った。カルヴァリョが勝てば、八十岡のトップ4入賞が決まる。しかしティウが勝てば、タイブレークで滑り込むことを願うしかない。

「今大会はオリヴァーを3回も倒したのに、その彼がトップ4入賞を懸けて戦ってるよ」と、八十岡は言う。「いいプレイヤーだね。この最終戦で彼が勝てば、たぶん僕はトップ4入賞を逃すだろう。最高のリベンジになるんじゃないかな!(笑)」

 今一度、戦いのゆくえを見守ろう。

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