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【観戦記事】 準決勝:Marcio Carvalho(ポルトガル) vs. Oilver Tiu(アメリカ)

【観戦記事】 準決勝:Marcio Carvalho(ポルトガル) vs. Oilver Tiu(アメリカ)

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Chapman Sim / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年9月4日

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マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalho(バント・カンパニー) vs. オリヴァー・ティウ/Oliver Tiu(世界ランキング18位/ターボ・エムラクール)

 14回戦にわたる激戦を経て、24人の世界選手権出場選手は4人を残すのみとなった。準決勝第1戦ではブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinが八十岡 翔太を下し、いよいよこの試合、「ドラフト・マスター」と「構築マスター」の対決に注目が集まる。ここで勝利したプレイヤーはついに決勝の舞台へ進み、ブラウン=デュインと世界選手権2016王者のタイトルを懸けた伝説の戦いに挑むことになるのだ。

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長く厳しい戦いを乗り越え、世界最高の24人からさらに選りすぐりの4人に名を連ねたマルシオ・カルヴァリョ(写真左)とオリヴァー・ティウ

 ドラフト・ラウンドは終わりを告げ、ここからは「構築マスター」のティウに分があるように見える。ここまでの驚くべき戦績と、「ターボ・エムラクール」と「バント・カンパニー」の相性を考えると、マッチアップも良好なようだ。

 ティウの愛機は《約束された終末、エムラクール》を可能な限り素早く唱えることを主眼に置いており、ゲームが長引けば凄まじいまでの力を発揮する。ティウにとってはゲームを長引かせることで有利を得ることになるが、彼の操るデッキは替えの利かないパーツがいくつもあるため、それを集めていくことが鍵になるだろう。

 「替えの利かないパーツ」とは?

 まずは《原初のドルイド》。これは「バント・カンパニー」の序盤の攻勢を阻み、ティウのライフを守ってくれる。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》も同じ機能を果たし、地上だけでなく上空からの攻撃も防いでくれる。

 それから、《約束された終末、エムラクール》や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》の力を引き出すために、ティウは墓地も十分に肥やす必要がある。そこで《群れの結集》や《過去との取り組み》、《発生の器》といったカードが役に立つだろう。それらは繰り出すべき脅威を探すだけでなく、《コジレックの帰還》を墓地へ落とす役目も果たしてくれる。

 《コジレックの帰還》は、「バント・カンパニー」側が最も警戒すべきカードのひとつだろう。ティウのデッキには、《コジレックの帰還》の能力を誘発させるエルドラージがメインから8枚採用されており、《ウルヴェンワルド横断》というそれをサーチする手段も備えている。墓地に《コジレックの帰還》がある状態は、対戦相手のカルヴァリョにとって常に敗北の可能性がある。気を抜けば、彼の軍勢は一瞬にして壊滅するのだ。

 また、《不憫なグリフ》や《老いたる深海鬼》といったコストの高いエルドラージを「現出」で唱えるために、ティウは《原初のドルイド》や《巡礼者の目》といった小型クリーチャーも揃えたいところだ。そして、デッキをスムーズに動かしゲームを終わらせる一撃へ繋ぐ十分なマナを確保するために、《ニッサの巡礼》というマナ加速と《ヴリンの神童、ジェイス》というライブラリーを掘り進めるカードを採用している。

 では、カルヴァリョの側はどうだろうか?

 カルヴァリョが目指すのは、素早くクリーチャーを展開し序盤からプレッシャーをかけ、《集合した中隊》でそのままティウを圧倒することだ。また《原初のドルイド》や《巡礼者の目》にも《反射魔道士》を積極的に使い、大型エルドラージが序盤に「現出」してしまうのを防ぐ必要があるだろう。《老いたる深海鬼》はカルヴァリョの側にも2枚採用されており、「エムラクール降臨のターン」にティウの土地をタップしたり、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》とその子どもたちを寝かせたり、と活躍が期待できる。また、子グモたちは《石の宣告》で一掃するのも美しいだろう。

 とりわけ注目すべきは、《呪文捕らえ》の存在だ――これはティウのデッキに対して最も有効なのだ。これを複数枚引き込んでティウの肝となる呪文を打ち消し、《無私の霊魂》や《大天使アヴァシン》で盤面を守れば、カルヴァリョが優位を得られるだろう。サイドボーディング後は、2枚の《即時却下》が《約束された終末、エムラクール》と誘発した能力を一度に対処できる切り札になる。それから《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も、戦場に出ればティウがこれを除去するのはほぼ不可能だ。

 この時点でどちらが勝者として「現出」するのかを断定するのは難しい。ゲームの流れを追うことにしよう!

ゲーム展開

 先手はカルヴァリョだが、このゲーム最初に動いたのはティウだった。彼は1ターン目に《発生の器》を展開したものの、カルヴァリョが2ターン目に《薄暮見の徴募兵》を繰り出すとそれを「変身」させるわけにはいかず、《発生の器》の起動は見送った。代わりにティウは《原初のドルイド》を展開したが、それはすぐに《反射魔道士》によって手札に戻される。再展開が許されないティウは、《ニッサの巡礼》を唱えてターンを渡した。

 ブロッカーがいないこのとき、カルヴァリョは《実地研究者、タミヨウ》によって最大限のアドバンテージを得る最高のチャンスを得た。彼は2体の攻撃を通し、カードを2枚引くことができた。ティウは《群れの結集》後に《巨森の予見者、ニッサ》を繰り出し、それが戦場に残ることを祈った。しかしその願いは叶わない。カルヴァリョは《ドロモカの命令》を構えており、《薄暮見の徴募兵》を3/3にしつつ《巨森の予見者、ニッサ》を格闘で除去したのだ。カルヴァリョは再び2体のクリーチャーで攻撃すると5点のダメージをティウに与え、《実地研究者、タミヨウ》の能力によってさらに2枚のカードがカルヴァリョにもたらされた。

 状況はカルヴァリョ有利。しかもその差は、ティウの手に負えないほど広がっているように見える。残りライフ9点と追い詰められたティウの眼前には、4/3の《不屈の追跡者》と3/3の《薄暮見の徴募兵》、2/3の《反射魔道士》が並んでいた。カルヴァリョがするべきは、《実地研究者、タミヨウ》の[-2]能力で《原初のドルイド》をタップし、メイン第1ゲームを手にすることだけだった。

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カルヴァリョがティウを寄せ付けず第1ゲームを勝ち取る

 第1ゲームは思うような動きができなかったティウだが、先手となった第2ゲームは少々改善されたように見えた。彼は《ヴリンの神童、ジェイス》と《ニッサの巡礼》でゲームを始めたが、《首絞め》と《不屈の追跡者》のプレッシャーを受ける。カルヴァリョは白マナを捻出できず、不利を感じていた。しかし彼は知らない。ティウの手札が、唱えられず居心地が悪そうな《約束された終末、エムラクール》2枚と、土地のみであることを。

 それを象徴するかのように、ティウはなんとか無表情を装いこの「空城の計」を維持しようとした。

 4枚目の土地を置けなかったカルヴァリョは、攻撃でティウのライフを残り13点に落とすと《森の代言者》を戦線に加えてターンを渡した。続くターンにカルヴァリョが全軍で攻撃を宣言すると、ティウは《不屈の追跡者》を《ヴリンの神童、ジェイス》でブロックし、ダメージが入る前に能力を起動してプレインズウォーカーに「変身」させた。酷いマナ・フラッドの果てにティウはついに《コジレックの帰還》を引き込み、彼はそれをカルヴァリョのターン終了時に唱えた。そしてアンタップを迎えると《約束された終末、エムラクール》を唱え、墓地の《コジレックの帰還》の能力を誘発させてカルヴァリョの盤面を一掃した。

 その後、ティウは《発生の器》から《過去との取り組み》を連打し、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を2枚手に入れた。彼の盤面には、7体のクモが一気に並んだのだ! ティウはさらに《束縛なきテレパス、ジェイス》で《ウルヴェンワルド横断》を「フラッシュバック」し、《老いたる深海鬼》を獲得。この後何が起きても対応できる盤石の状態を完成させた。

 そして《ウルヴェンワルド横断》をもう1枚引き込んだティウは、最後の《約束された終末、エムラクール》を持ってくるとカルヴァリョの軍勢に攻撃を命じ、これを壊滅させた。ティウの盤面に9体ものクリーチャーが並ぶのに対し、カルヴァリョのもとには2体のみ。この状況を救う1枚がないことを確かめると、カルヴァリョはカードを片付け、サイドボードに手を伸ばすのだった。

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第2ゲームはティウが取り、試合をタイに戻す。

 第3ゲーム、ティウは序盤に土地を詰まらせ、《ウルヴェンワルド横断》で《島》を持ってきた。カルヴァリョは3ターン目に何も行動を起こさずターンを渡し、ティウは早くも《爪の群れの咆哮者》と対峙することになった――《呪文捕らえ》の気配だ。ティウはそれをかわすべく、《巡礼者の目》を繰り出すのを止めた。それでもカルヴァリョはプレッシャーをかけ続けるために《呪文捕らえ》を繰り出し、攻撃でティウのライフを残り13点まで落とした。

 カルヴァリョは《森の代言者》を戦場に加えた。彼の盤面に並ぶクリーチャーがすべてタフネス3であることにお気づきだろうか。この布陣なら、ティウの手札にある《コジレックの帰還》が効かないのだ。ティウは《コジレックの帰還》を墓地へ送るために、効果がないにも関わらずそれを放った。続けて「現出」の種としてうってつけな《巡礼者の目》を繰り出す。しかしカルヴァリョは《反射魔道士》でそれを許さなかった。全軍攻撃でもう7点のダメージがティウに入ると、彼は残り5点でこの状況を脱する道を見出せなかった。

 そして第4ゲーム!

 ティウは《発生の器》で序盤から墓地を肥やすことに成功し(気分も「昂揚」する!)、《森の代言者》のプレッシャーを受けながらも《ニッサの巡礼》でマナを加速した。この時点でカルヴァリョの土地は3枚であり、ティウの《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は通り彼が盤面の優位を得た。さらに3/3になった《節くれ木のドライアド》が続き、ティウの守りは堅固になる。あとはもっと時間を稼ぎ、《払拭》を構えながら《約束された終末、エムラクール》を唱えるのみだ。だが続く《発生の器》と《群れの結集》は防がれ、ティウは前進する歩みを止められた。カルヴァリョの《呪文捕らえ》2体が、それらを捕らえたのだ。

 そして続くカルヴァリョの動きが、ゲームの流れを変えた。《石の宣告》で蜘蛛・トークンを一掃すると、《反射魔道士》で《墓後家蜘蛛、イシュカナ》本体もバウンス。これに対応してティウはしばらく思案を重ね、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を生け贄に《老いたる深海鬼》を繰り出して1ターンの猶予を得た。だがしかしこれで空の守りが崩れ、カルヴァリョは2体の《呪文捕らえ》とともに上空を舞った。

 そして3度の攻撃を繰り出したすえに、カルヴァリョはブライアン・ブラウン=デュインとの世界選手権2016王者の座をかけた決戦に歩みを進めたのだった。

マルシオ・カルヴァリョがオリヴァー・ティウを3勝1敗で下し、決勝へ!
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勝利の幸福を噛み締めるマルシオ・カルヴァリョ。オリヴァー・ティウとの死闘を生き抜き、決勝の舞台に至る。
Marcio Carvalho - 「バント・カンパニー」
世界選手権2016 トップ4 / スタンダード (2016年9月1~4日)
3 《森》
5 《平地》
2 《島》
3 《要塞化した村》
3 《大草原の川》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》
4 《進化する未開地》

-土地(26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《森の代言者》
2 《首絞め》
2 《無私の霊魂》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《不屈の追跡者》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《大天使アヴァシン》
2 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(27)-
1 《石の宣告》
1 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《実地研究者、タミヨウ》

-呪文(7)-
2 《異端聖戦士、サリア》
1 《不屈の追跡者》
2 《ドロモカの命令》
1 《石の宣告》
1 《否認》
2 《即時却下》
2 《悲劇的な傲慢》
1 《意思の激突》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード(15)-
Oliver Tiu - 「ターボ・エムラクール」
世界選手権2016 トップ4 / スタンダード (2016年9月1~4日)
9 《森》
4 《島》
1 《山》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《シヴの浅瀬》
2 《見捨てられた神々の神殿》

-土地(22)-

3 《原初のドルイド》
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《約束された終末、エムラクール》
2 《巡礼者の目》
1 《巨森の予見者、ニッサ》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
2 《不憫なグリフ》
3 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(18)-
4 《発生の器》
3 《ウルヴェンワルド横断》
4 《過去との取り組み》
2 《群れの結集》
4 《コジレックの帰還》
3 《ニッサの巡礼》

-呪文(20)-
2 《節くれ木のドライアド》
2 《不屈の追跡者》
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《絡み草の闇潜み》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
3 《払拭》
2 《侵襲手術》
1 《久遠の闇からの誘引》
1 《爆発的植生》
1 《深海の主、キオーラ》

-サイドボード(15)-

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