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【戦略記事】 デッキテク:ドナルド・スミスの「トレジャー・レッド」

【戦略記事】 デッキテク:ドナルド・スミスの「トレジャー・レッド」

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Meghan Wolff / Tr. Keiichi Kawazoe

2017年10月6日

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 赤使いにとっては嬉しく、またコントロール使いにとっては辛いことに、ドナルド・スミス/Donald Smithの新しい赤単は、マジックの根本を崩しアドバンテージを得るものだった。

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ドナルド・スミスの準備時間は限られていたため、彼はスタンダードの赤いカードに何ができるかを探求することを選んだ。

 スミスにとって、世界選手権のための準備時間は非常に限られてしまっていた。

「ちょうどシアトルに引っ越すところだったから、せいぜい40時間程度しか準備に充てられなかったんだ。じっくりプレイするわけにもいかないから、とにかくスマートにやった。時間的にも不利だし、もともと下から数えたほうが早いんだから、赤単を使うしかないってのが僕の至った考えさ。勝とうと思ったら《稲妻の一撃/Lightning Strike(XLN)》を4枚撃つしかないんじゃないかな」

 スミスは自身をあまり楽観的な方だとは思っていないが、最初の印象よりはやれると感じている。

「フラグに聞こえるかもしれないけど、コンボデッキみたいなのに対しては心配してないから、実際のところ、いけると思うんだよ。毎ターンひたすら叩きつけるだけってのは好きだし、それが唯一のやるべきことだからね」

 昨シーズン活躍した「ラムナプ・レッド」のように、スミスのデッキは軽量の速攻クリーチャーと火力呪文で可能な限り相手に20点を叩き込むことに軸を置いている。

 他の赤いデッキと異なることは、通常より強力な《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》や《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》を採用する2マナ・3マナ域に、宝物をもたらす《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》や《風雲船長ラネリー/Captain Lannery Storm(XLN)》を採用している点だ。この《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》は、スミスにとってローテーション後の赤に与えられた難問を解く鍵になった。

「皆このカードを評価してないけど、実は使えるんだよ」と、この1/1の海賊・ゴブリンを評価した。「《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》についてだったら1時間でも語れるよ」

 実際に1時間も語ることはなかったが、それでも他のプレイヤーのレーダーにかからなかったカードを非常に褒めていた。これはスミスの興味を惹いた唯一の2マナ1/1なのだ。彼によれば、たとえマナ・レシオが優れずとも、宝物がより強力な脅威にアクセスする手段として非常に優れているというのだ。

「このゲームの根幹のひとつ、マナ・カーブの概念を壊しているんだよ」と、スミスは宝物メカニズムを評する。「マナ・カーブを加速するから、いろいろなことができるようになるんだ。それは、今までできなかったことだよ」

「組んでみたら実際回ったんだ。一番良い動きは《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》から3ターン目のチャンドラだけど、それだけじゃないんだ。他の動きもいろいろ考えたよ」

 スミスのデッキは2つの異なる方向を持っているため、それぞれ違った攻め方を取ることができる。ひとつ目は、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》や《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》、また《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》の永遠といった強力なカードを、《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》や《風雲船長ラネリー/Captain Lannery Storm(XLN)》の宝物経由で早く打ち出すことだ。以前の赤単と異なり、こうした重いカードを多めにとることができるようになった。スミスのメイン・デッキにはチャンドラが4枚、《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》が2枚も採用されている。

 もうひとつの方向は、より攻撃的だ。理想的な動きは1ターン目《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》、2ターン目《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》、3ターン目《風雲船長ラネリー/Captain Lannery Storm(XLN)》という順番だ。ここで宝物を使い切って《稲妻の一撃/Lightning Strike(XLN)》か《削剥/Abrade(HOU)》を打てば、3ターン目にして7点を叩き込むことができる。しかも、ここでカードを使い切れるから、次のターンに《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》を出せればそのまま攻撃に回せるのだ。

 この「トレジャー・レッド」とも呼ぶべき赤いデッキにとって、宝物は《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》を使うために大量の土地を必要としないことも意味している。土地を1~2枚生け贄に捧げた後でも、十分に強力なカードを使うことができるのだ。

 スタンダードのローテーション直後、『イクサラン』環境で赤単を組むことについてのひとつの困難は、1マナ域の多くを失ったことだった。しかし、スミスはそれに対して良い手を見つけたと言う。

「確かに回してみて1マナ域がなくなったことを実感したけど、このデッキの隠し味で言えば《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》は実質1マナなんだよ。確かに実際には2マナなんだけど、1マナを生むことができるから、後半には《ずる賢いゴブリン/Wily Goblin(XLN)》で1/1を残しながら宝物をすぐマナにしてハゾレトとかを出すことができて、結局大した問題じゃなくなるんだ。ハゾレトが本当にうまくいくなら《羽ばたき飛行機械/Ornithopter(AER)》でさえ使えたはずだよ。ベストではないけど、それなりにはやれるはずさ」

 構築やテストの時間が足りなかったことがこのようなアグロ戦略を強いた面はあったが、それでも彼はこの発明に満足している。

「今まで経験したことがないくらい変なことなんだけど、」と前置きする。「この60枚って金曜にプレビューが公開された直後に考えた60枚とまったく同じなんだ。こんなことは初めてさ。きっとこのデッキは天からの贈り物だね」

 スミスにとっては気分が良いだろうが、しかし3ターン目にチャンドラの脅威に直面する対戦相手にとってはそうではないだろう。スミスのデッキは赤単にとって理想的な、早い段階でダメージを叩きつけるような戦略をとっているかのようにも見えれば、一転して相手の盤面に打ち勝つような強力な脅威を出すこともできるのだ。スミスや熱意あるアグロ使いたちは、彼の理論が近く結果を出すであろうことを確信している。

Donald Smith - 「トレジャー・レッド」
世界選手権2017 / スタンダード (2017年10月6~8日)
16 《山》
4 《ラムナプの遺跡》
3 《陽焼けした砂漠》

-土地(23)-

4 《ボーマットの急使》
3 《損魂魔道士》
4 《地揺すりのケンラ》
4 《ずる賢いゴブリン》
3 《風雲船長ラネリー》
3 《熱烈の神ハゾレト》
2 《栄光をもたらすもの》

-クリーチャー(23)-
3 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
3 《削剥》
4 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文(14)-
4 《暴れ回るフェロキドン》
2 《ピア・ナラー》
1 《熱烈の神ハゾレト》
2 《栄光をもたらすもの》
2 《チャンドラの敗北》
2 《街の鍵》
1 《削剥》
1 《屍肉あさりの地》

-サイドボード(15)-

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