マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【観戦記事】 第7回戦:Gerry Thompson (アメリカ) vs. Josh Utter-Leyton(アメリカ)

【観戦記事】 第7回戦:Gerry Thompson (アメリカ) vs. Josh Utter-Leyton(アメリカ)

authorpic_meghanwolff_0.jpg

Meghan Wolff / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年10月6日

原文はこちら

ジェリー・トンプソン/Gerry Thompson(青黒コントロール) vs. ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton(青黒コントロール)

 スリリングなマジックの試合を観た。と言っても、信じない者がいるかもしれない。この試合ではクリーチャーが少なく、たとえクリーチャーがあってもそれらが戦場に立つ姿はまず見られない。長い道のりを超えてクリーチャーが戦場にたどり着いても、気づけば墓地にいるような戦いだ。だが見事なゲームを演出するのに、クリーチャーによる駆け引きは必須ではない。ジェリー・トンプソンとジョシュ・アター=レイトンが、それを証明したのだ。

 世界選手権2017、初日最終戦。トンプソンは、スタンダード・ラウンド全勝でこの試合を迎えた。アター=レイトンは世界最高のコントロール使いである八十岡翔太を破り、再びコントロールの同系戦を迎えることになった(編訳注:10/8 翻訳を修正しました)。ここで勝利した方は、初日を上位で終えるだろう。

ゲーム展開

 ダイス・ロールはトンプソンが勝利。彼は目の前の選択肢を前に、動きを止めて思考を巡らす。この試合で数え切れないほど直面する「選択肢」の、最初のひとつだった。しばらく選択肢を吟味したのちに、トンプソンは通常ではまずない「後手」を選択した。

「翔太との対戦では、1ゲーム目は私が後手を選び、2ゲーム目は彼が後手を選び、そして3ゲーム目で私は先手を選びました」と、アター=レイトンが口を開いた。「世界最高のコントロール・プレイヤーがサイド後のゲームで後手を選ぶんですから、先手後手の選択は悩ましいですよね」

 序盤は互いに《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》や《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》、《検閲/Censor(AKH)》の「サイクリング」など、ドローを進めていった。トンプソンが《アズカンタの探索/Search for Azcanta(XLN)》を設置すると、アター=レイトンはそれを許可したが、《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta, the Sunken Ruin(XLN)》へ「変身」するとすぐさま《廃墟の地/Field of Ruin(XLN)》で破壊した。

「厄介なゲームになりそうだな」 トンプソンが言う。

「おそらく」 アター=レイトンも同意した。

 この《水没遺跡、アズカンタ/Azcanta, the Sunken Ruin(XLN)》と《廃墟の地/Field of Ruin(XLN)》の交換が起きたのは、10ターン以上経過してからのことなのだ。

 その後、トンプソンはアター=レイトンのターン終了時に《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を着地させた。アター=レイトンは「ライフが動きますよ!」と私に伝える。そしてその通りに、《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》は《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt(XLN)》を受ける前にアター=レイトンへ5点のダメージを与えた。私は「コントロール・ミラーだからライフの動きは緩慢だろう」という言葉を飲み込んだ。

 戦場からクリーチャーがいなくなると、今度は両者ともライブラリーの残り枚数を数える。トンプソンは残り15枚。アター=レイトンは残り23枚だ。

r7_thompson.jpg
真剣な眼差しのジェリー・トンプソン。10ターン以上にわたって動きがない序盤だったが、それは真剣勝負そのものだ。

 トンプソンが動きを止める。「まだカードを引くよ」。続く数ターンにわたり、彼はロバート・フロスト/Robert Frostの名言を体現した。「問題を解決する一番の方法は、最後まで取り組み続けることだ」――ライブラリーの残り枚数がさらに減るのをいとわず、トンプソンはドロー呪文を連打する。

 そしてトンプソンは《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》を引き込み、それを唱えた。《不許可/Disallow(AER)》と《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》の応酬が起き、《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》は着地した。そして《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》は、《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt(XLN)》で除去されるまでに2体の《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を墓地から戻した。

 《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》が1体生き残り、トンプソンはターンを迎える。彼はゾンビとなって復活した機械巨人で攻撃を始める。

 残りライブラリーは3枚。アター=レイトンのライフは残り11点。

 2枚。7点。

 1枚。3点。

 《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》による最後の攻撃を前に、アター=レイトンはカードを片付けた。トンプソンが1ゲーム目を先取したのだ。

「一発でも攻撃を防げていたら結果は違っていましたね」 サイドボーディングを始めると、アター=レイトンがつぶやいた。「いや、そううまくはいかないか」

 しかし続くゲーム、トンプソンはダブル・マリガンを喫した。

「これはあなたにこそ必要なものですかね」 2ターン目に《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast(XLN)》をプレイしながら、アター=レイトンが言う。このカードの採用が、両者のデッキにある、ほぼ唯一の違いだ。

「俺にもくれよ」と、ライフを支払いカードを引くアター=レイトンにトンプソンは言ったが、「いや、ひとりしか使えないか」と撤回した。

 そして数ターン後、アター=レイトンは《強迫/Duress(XLN)》を放ち、トンプソンが持つ大量の打ち消し呪文から1枚を抜き去った。するとトンプソンも2枚の《強迫/Duress(XLN)》で対抗。これは報復か、あるいはメッセージを送ったのだろう。「《不許可/Disallow(AER)》を抱え込むなんて俺が許可しない」と。

 だがしかし、アター=レイトンは《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast(XLN)》のおかげで失った手札を補充できる。

「気をつけろよ!」 アター=レイトンがドローにライフを捧げ続けて、戦闘ダメージを受けていないにも関わらず残り6点と心許なくなると、トンプソンは注意した。アター=レイトンは2枚目の《強迫/Duress(XLN)》を撃ち込み、トンプソンの手札に《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》が控えていたことを知った。だがそれを通すためのリソースはなく、トンプソンはカードを片付けることになった。これで1勝1敗だ。

「《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast(XLN)》は好きになれないな」とトンプソンが不穏なことを言う。

「何ですって?」 アター=レイトンは突然のクレームに視線を鋭くする。

「きちんと脅威を引き込めていたらこっちの勝ちだった。《強迫/Duress(XLN)》も《本質の散乱/Essence Scatter(AKH)》も《不許可/Disallow(AER)》もあったし」 トンプソンはそう返し、最終ゲームへの準備を終えた。

「あら、まあ」 初手の7枚を見るなり、田舎のおばあちゃんのような声を上げるトンプソン。第3ゲームでは両者ともマリガンを喫することになった。「貴重なドロー・ゴー・タイムがなくなっちゃうな」と、デッキをシャッフルしながらトンプソンは言う。

 アター=レイトンがこのゲーム最初の《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》を唱えると、トンプソンはそれを打ち消し、観る者すべてを驚かせた。

「ミスったかな。でも早くメシに行きたいんだ」

 本当にそういう理由だったのか、それともアター=レイトンの土地のプレイが止まり出したことを受けて、打ち消し合戦になったときにリソース上の不利を強いるためだったのか。しかし数ターン後、アター=レイトンは《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast(XLN)》を唱え、トンプソンは先ほどの言葉通りそれを通すことになった。

r7_wrapter.jpg
この試合を通して、主に対戦相手のターンの終了時にマナを使い呪文を唱えるジョシュ・アター=レイトン。

 アター=レイトンが《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を連打するとゲームが動き出した。トンプソンの打ち消しを受けながらも、《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast(XLN)》のおかげでアター=レイトンの手札は豊富だ。

 トンプソンは《強迫/Duress(XLN)》を放ち、《不許可/Disallow(AER)》2枚に《多面相の侍臣/Vizier of Many Faces(AKH)》、《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》、《ヒエログリフの輝き/Hieroglyphic Illumination(AKH)》、《本質の散乱/Essence Scatter(AKH)》2枚というアター=レイトンの手札を公開する。トンプソンはもう1枚《強迫/Duress(XLN)》を撃ち込み、《本質の散乱/Essence Scatter(AKH)》を2枚とも抜き去った。

 その理由は続くターンに明らかになった。トンプソンは《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》をプレイしたのだ。4枚の《不許可/Disallow(AER)》(互いに2枚ずつ)が飛び交ったのちに《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》は着地し、トンプソンは《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》を再利用した。しかしこれで彼はタップ・アウトの状態になる。

「楽しんでくれ!」 トンプソンはアター=レイトンにターンを渡した。

「そのつもりです」 アター=レイトンは答える。

 アター=レイトンは並んでいる土地を仕分け、対戦相手にとって不吉な予言になる束をいくつか作った。コントロール・デッキと対峙した者なら誰でも、それを不吉に感じることだろう。

 マナの計算を終えたアター=レイトンは、《強迫/Duress(XLN)》でトンプソンの手札が《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》と《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt(XLN)》であることを確認すると、こちらも《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》を繰り出してターンを渡した。両者の墓地にある大量の《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》をゾンビ化するマナも十分にある状態だ。

 トンプソンは最後のカードを引き込んだが、それは土地だった。盤石のアター=レイトンを前に《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》を通す手立てはなく、アター=レイトンの《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》が《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk(KLD)》を蘇らせ《不許可/Disallow(AER)》を再利用すると、トンプソンはカードを片付けるのだった。

「オーライ、メシ食いに行こう」とトンプソンは声をかけた。「グッドゲーム」

トンプソン 1-2 アター=レイトン

Gerry Thompson - 「青黒コントロール」
世界選手権2017 / スタンダード (2017年10月6~8日)
8 《島》
6 《沼》
4 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》
2 《水没した骨塚》
2 《廃墟の地》

-土地(26)-

3 《スカラベの神》
2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(5)-
4 《致命的な一押し》
4 《検閲》
4 《本質の散乱》
3 《アズカンタの探索》
4 《不許可》
2 《本質の摘出》
4 《ヒエログリフの輝き》
3 《ヴラスカの侮辱》
1 《天才の片鱗》

-呪文(29)-
2 《禁制品の黒幕》
2 《多面相の侍臣》
4 《強迫》
1 《リリアナの敗北》
2 《否認》
1 《アズカンタの探索》
2 《本質の摘出》
1 《廃墟の地》

-サイドボード(15)-
Josh Utter-Leyton - 「青黒コントロール」
世界選手権2017 / スタンダード (2017年10月6~8日)
6 《島》
5 《沼》
4 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》
4 《進化する未開地》
3 《廃墟の地》

-土地(26)-

2 《スカラベの神》
3 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(5)-
4 《致命的な一押し》
4 《検閲》
4 《本質の散乱》
3 《アズカンタの探索》
4 《不許可》
2 《本質の摘出》
4 《ヒエログリフの輝き》
3 《ヴラスカの侮辱》
1 《天才の片鱗》

-呪文(29)-
3 《禁制品の黒幕》
2 《多面相の侍臣》
4 《強迫》
2 《否認》
1 《アルゲールの断血》
1 《宝物の地図》
1 《本質の摘出》
1 《廃墟の地》

-サイドボード(15)-

前の記事: 【英語記事】 Friday Video Highlights | 次の記事: 【トピック】 Facebookアルバム:世界選手権2017 1日目
マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017 一覧に戻る