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【観戦記事】 チームシリーズ決勝:Genesis vs. Musashi 優勝決定戦

【観戦記事】 チームシリーズ決勝:Genesis vs. Musashi 優勝決定戦

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Frank Karsten / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年10月8日

原文はこちら

 ここまでの激戦になるとは、誰にもわからなかったことだろう。記念すべきプロツアー・チームシリーズ第1シーズンの優勝トロフィーをめぐるチーム「Genesis」とチーム「Musashi」の戦いは、ついに最終段階を迎えたのだ。

 本日ここまで、前シーズン最高の活躍を見せたふたつのチームがそれぞれ3人ひと組のグループに分かれ、『イクサラン』チーム・シールドでの戦いを繰り広げてきた。「Genesis」が第1戦を勝ち取り、第2戦でもマーティン・ダン/Martin Dangがあと1勝すればチームの優勝を決めるところまで迫ったが、「Musashi」は苦境を乗り越えて勝敗をイーブンに戻した。

 第1戦第2戦のゲームの模様、プレイヤーのデッキは、それぞれリンク先を読んでほしい。最終決戦に挑むのは、各試合で勝利したグループだ。「Musashi」が送り出すのは、全員が2回以上プロツアー・トップ8入賞を経験している、日本が誇るプレイヤー――行弘 賢と市川 ユウキ、山本 賢太郎の3名だ。一方「Genesis」を代表して最後の戦いに挑むのは、ゴールド・レベル・プロのトーマス・ヘンドリクス/Thomas Hendriks、世界選手権2015王者セス・マンフィールド/Seth Manfield、プロツアー『異界月』王者ルーカス・ブロホン/Lukas Blohonの3名である。

A卓:トーマス・ヘンドリクス(白赤恐竜) vs. 行弘 賢(赤緑恐竜)

 ヘンドリクスのデッキは、コストの軽いクリーチャーをコンバット・トリックで支援しながら《縄張り持ちの槌頭/Territorial Hammerskull(XLN)》によってブロックを難しくして攻め込む形だ。この環境で多くのプロ・プレイヤーが好むアグレッシブな「白赤恐竜」デッキの好例と言えよう。しかしゲームが長引けば、行弘の「赤緑恐竜」デッキの方が有利になるかもしれない。《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw(XLN)》のように、サイズに優れたクリーチャーを行弘は擁しているのだ。

 第1ゲームが始まる前に、ヘンドリクスは初手をセス・マンフィールドとルーカス・ブロホンに見せて判断を仰いだ。チーム戦ではチームメイトとのコミュニケーションが認められており、ヘンドリクスはマリガン判断から仲間の優れた洞察を存分に活かそうとしたのだ。

 6枚になった彼の手札からは2ターン目《猛竜の相棒/Raptor Companion(XLN)》、3ターン目《激情の猛竜/Frenzied Raptor(XLN)》と悪くない動きが繰り出されたが、行弘の《猛竜の幼生/Raptor Hatchling(XLN)》が《猛竜の相棒/Raptor Companion(XLN)》の足を完全に止め、ヘンドリクスは機先を制することができなかった。やがて行弘は《川守りの恩恵/River Heralds' Boon(XLN)》を駆使して2対1交換を取ると、その後も戦闘中の《決別の砲撃/Unfriendly Fire(XLN)》で有利な交換をものにした。ゲームの勝利を掴むには、十分すぎる展開だった。

 第2ゲーム、当然のように先手を選んだヘンドリクスだが、彼は再び7枚の初手を前に難しい選択を迫られた。

 どちらの色マナも確保できて行弘の持つ6マナの恐竜に対する優秀な除去もあるが、序盤のクリーチャーが欠けており遅い手札だった。まずセス・マンフィールドに相談した彼は続けてルーカス・ブロホンにも意見をもらい、この難しい選択にチーム一丸となって取り組んだ。チームメイトふたりはマリガンを勧め、ヘンドリクスはそれに従った。しかし6枚に減じた手札にも改善は見られず、彼はダブル・マリガンを余儀なくされる。

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緒戦を有利に進めたチーム「Genesis」だが、最終戦を迎えた今、心許ない状況に陥っていた。

 それでも5枚の手札は驚くほど優れたものだった。行弘が軽量クリーチャーで盤面を埋め尽くす中、ヘンドリクスは4/4の《薄暮の賛美者/Glorifier of Dusk(XLN)》で耐える。両者とも有効な攻撃を仕掛けられず、盤面は膠着した。

 しかし行弘は、クリーチャーを追加し続ける。ヘンドリクスが《イクサランの束縛/Ixalan's Binding(XLN)》を唱え《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw(XLN)》に対処すると、このターン、彼はタップ・アウトの状態になった。これで行弘はコンバット・トリックの恐れなく攻撃に向かうことができ、《川守りの恩恵/River Heralds' Boon(XLN)》で《薄暮の賛美者/Glorifier of Dusk(XLN)》を討ち取ることに成功する。追放されていた《巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmaw(XLN)》も《押し潰す梢/Crushing Canopy(XLN)》で救い出し、強大なクリーチャーの群れによる攻撃でヘンドリクスの残りライフは1点となった。

 その後なんとかその1点を守り盤面を捌いたヘンドリクスだが、行弘が引き込んだ《翡翠の守護者/Jade Guardian(XLN)》が最後の一撃を加えたのだった。

ヘンドリクス 0-2 行弘

C卓:ルーカス・ブロホン(青黒海賊) vs. 山本 賢太郎(白黒吸血鬼)

 珍しいことに、山本のデッキはコモンのみで構成されていた。だが「吸血鬼」部族にはコモンのシナジーが多くある。ブロホンのデッキは《溢れ出る洞察/Overflowing Insight(XLN)》が主力となったものであり、序盤は交換を繰り返して時間を稼ぎ、7枚ものカードを引いてアドバンテージ差で勝つことを目指している。山本としては、それを防がなければならない。

 第1ゲームは盤面が膠着したが、山本は《流血の空渡り/Skymarch Bloodletter(XLN)》を引き込み、その膠着を破った。《選定された助祭/Anointed Deacon(XLN)》による強化を受けて、《流血の空渡り/Skymarch Bloodletter(XLN)》は毎ターン4点のダメージを空から与えていく。

 ブロホンの盤面に飛行をブロックできるものはなく、除去呪文も持っていない。彼に残されたのはダメージ・レースに応じることだけだ、《凶兆艦隊の侵入者/Dire Fleet Interloper(XLN)》2体は威迫を持っているため、山本にとってもダメージを防ぐのは難しい。

 しかし山本にそこまで多くの時間は必要なかった。彼が《吸血鬼の士気/Vampire's Zeal(XLN)》を放つと、もう1ターンあった猶予は短縮され、致命打がブロホンを襲った。

 第1ゲームはこれにて決着となった。だが勝負が決する戦いをすべてカメラで収めるため、この卓の第2ゲームは一度待つことになった。

B卓:セス・マンフィールド(青緑マーフォーク) vs. 市川 ユウキ(青黒海賊)

 マンフィールドと市川の対戦は、両者とも比較的サイズの小さいアグレッシブなクリーチャーを繰り出し、それを強化する手段を豊富に持つデッキ同士の戦いとなった。市川は《海賊のカットラス/Pirate's Cutlass(XLN)》を駆使してテンポ良く攻めることができ、マンフィールドは《川守りの恩恵/River Heralds' Boon(XLN)》や《蔦形成師の神秘家/Vineshaper Mystic(XLN)》でマーフォークを強化して戦う。

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チームシリーズ優勝まであと1勝に迫る「Musashi」。

 第1ゲーム、序盤にクリーチャーと除去の交換が繰り広げられると、タフネスの高いクリーチャーが盤面を膠着させた。つまり、回避能力を持った方がこのゲームを制するということだ。マンフィールドの《風を跨ぐ者/Wind Strider(XLN)》と《嵐を変容する者/Storm Sculptor(XLN)》が除去を受けず盤面に残り、市川にはこれらを止めるすべがなかった。

 第2ゲームは、市川が《指名手配の獄道者/Wanted Scoundrels(XLN)》と《海賊のカットラス/Pirate's Cutlass(XLN)》でこの環境最速のスタートを切り、3ターン目にして6点もの攻撃を繰り出した。マンフィールドは《水罠織り/Watertrap Weaver(XLN)》で市川の攻勢を防ぎ、さらに《嵐を変容する者/Storm Sculptor(XLN)》で《水罠織り/Watertrap Weaver(XLN)》を手札に戻すとその能力を再利用する。

 しかし《指名手配の獄道者/Wanted Scoundrels(XLN)》のアンタップ制限が解除され攻撃を再開すると、市川は《潜水/Dive Down(XLN)》でマンフィールドのダブル・ブロックをも生き延びてみせた。土地も止まりクリーチャーも手札に戻されたマンフィールドは、盤面の不利をはっきりと自覚する。その後、その差を覆すことは叶わなかった。

 第3ゲームは、小型クリーチャーの応酬だった。そして戦場に合計5体のクリーチャーが並び、その中で最大のものが市川の《大嵐呼び/Tempest Caller(XLN)》とマンフィールドの《アゾカンの射手/Atzocan Archer(XLN)》という状況になる。

 ここで市川が《吸血鬼の印/Mark of the Vampire(XLN)》を《這い回る心止虫/Skittering Heartstopper(XLN)》へエンチャントすると、戦場の最大サイズを更新した《這い回る心止虫/Skittering Heartstopper(XLN)》で攻撃に出た。

 マンフィールドにとっては正念場だ。絆魂持ちは対処しなければならないが、接死を持つ以上こちらの小型クリーチャーたちでは不利な交換を強いられる。その上、両者とも《卑怯な行為/Skulduggery(XLN)》や《潜水/Dive Down(XLN)》、《川守りの恩恵/River Heralds' Boon(XLN)》といったコンバット・トリックの存在を意識しなければならないのだ。

 両陣営とも3人のプレイヤーが集まり、この難解なパズルへの答えを探した。そして市川の全軍攻撃に対し、マンフィールドはダブル・ブロックで受けて立つ。3枚ものコンバット・トリックが飛び交い――3/4絆魂、接死の《這い回る心止虫/Skittering Heartstopper(XLN)》は、生き残った。

 それでもマンフィールドは続くターンもダブル・ブロックを敢行し、《這い回る心止虫/Skittering Heartstopper(XLN)》を討ち取った(市川は《弱者成敗/Vanquish the Weak(XLN)》でマンフィールドの目論見を砕くことは選択しなかった)。するとその後、ゲームはスリリングなトップ・デッキ勝負に移行する。両者とも互角の戦いを見せたが、市川の方がライフに余裕があった。そしてついに、彼は《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》を引き込んだ。戦場に着地した時点で5/5の《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》は、すぐに6/6になった。

 マンフィールドはチャンプ・ブロックを余儀なくされた。彼は《座礁/Run Aground(XLN)》を引き込み撃ち込んだが、市川はそれに対応して《欲望の深み/Depths of Desire(XLN)》で自身の《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》を手札に戻し、時間稼ぎを許さない。このプレイにより、市川は次のターンも再び致命打を繰り出すことができたのだ。

 マンフィールドに《巧射艦隊の略取者/Deadeye Plunderers(XLN)》を防ぐすべはなかった。致命打を前にしたチーム「Genesis」は、敗北を悟り一斉に右手を伸ばす。八十岡 翔太、覚前 輝也、渡辺 雄也の3名がフィーチャーマッチエリアへ駆け込んで来た。チームメイトの勝利を、祝うために。

マンフィールド 1-2 市川
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チーム「Musashi」がチームシリーズ決勝第2戦と優勝決定戦を制し、2016-2017年プロツアー・チームシリーズ・チャンピオンの座を獲得!

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