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【観戦記事】 準決勝:Kelvin Chew (シンガポール) vs. William Jensen (アメリカ)

【観戦記事】 準決勝:Kelvin Chew (シンガポール) vs. William Jensen (アメリカ)

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Meghan Wolff / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2017年10月8日

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ケルヴィン・チュウ/Kelvin Chew(世界ランキング11位/青黒コントロール) vs. ウィリアム・ジェンセン/William Jensen(世界ランキング12位/ティムール・エネルギー)

 ウィリアム・「ヒューイ」・ジェンセンは、この世界選手権の第1回戦から、この大会終了後も長く語り継がれることになるであろう12連勝を飾った。12連勝はどのレベルのマジックでも印象的な快挙だが、それが世界最強の24人が集まった場所で起こったとなれば、紛れもなく驚くべきことだ。

 トッププレイヤーの中で比べても、ジェンセンに勝利経験がないわけではない。20年の経験の中で、プロツアーでトップ8入賞が5回、グランプリ優勝が6回。今年後半のグランプリではオーウェン・ターテンウォルド/Owen Turtenwaldとリード・デューク/Reid Dukeと組んでクリーブランドで優勝し、続けて京都でも優勝しており、その結果として今年の世界選手権にはプロポイント上位者として招待されることになった。

 本日準決勝第1試合でのジュンセンの対戦相手であるケルヴィン・チュウは、この週末、殿堂顕彰者である彼に第13回戦で初めて土をつけた相手であった。シンガポールから来たこの才能あふれるプレイヤーは見事な1年を過ごしており、グランプリ・北京で優勝し、プロツアーでも好成績を残し続けたことで、彼にとって初めてのプラチナ・レベルを得ることになった。

 2万5千ドルと決勝の椅子を懸けて、チュウはもう一度、この週末でわずかなプレイヤーしか達成していないことに挑み、世界選手権の巨人を倒そうとする。一方のジェンセンは、土曜日の戦績に残された2連敗を覆すことを狙っているのだろう。

 チュウは新しいデッキ、コントロール・プレイヤーの手札を整える助けとなり、しかも後には純粋なカード・アドバンテージをもたらす《水没遺跡、アズカンタ》に変身する伝説のエンチャント《アズカンタの探索》を入れた、新しいバージョンの「青黒コントロール」を携えて世界選手権に挑んだ。しかし、このデッキでチュウが気に入っている部分は《スカラベの神》であり、彼いわくそうでもしなければまともに勝てないゲームで、第5ターンに戦場に現れ、対戦相手のクリーチャー全てをリアニメイトすることでこのデッキの勝利の助けとなるというのだ。

 ジェンセンは、多くのプロが前シーズン最強のデッキだと考えていた「ティムール・エネルギー」をプレイしていた。最近のスタンダードのローテーションで失ったものは非常に少なく、この週末、このデッキを使っている他のプレイヤー同様に、ジェンセンはこのデッキは勝利に必要なものを持っているということを証明した。ジェンセンのバージョンでは、このデッキには《慮外な押収》1枚と《本質の散乱》2枚に加えて《暗記+記憶》1枚をメインに入れており、サイドボードにはさらなる打ち消し呪文も入っているため、多くのクリーチャー・デッキに比べると有利にコントロールと戦うことができるのだ。

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ゲーム展開

 ジェンセンはゲームの序盤からチュウのライフにプレッシャーをかけていき、《牙長獣の仔》を第2ターンにプレイする。チュウはカードを引いたがこれを除去する《致命的な一押し》は無く、この『カラデシュ』のアンコモンから大量のダメージを受ける態勢になった。第3ターンに《霊気との調和》、さらに《牙長獣の仔》の攻撃が通り、ジェンセンはチュウのもう1枚の除去呪文である《本質の摘出》で除去されなくするのに充分なエネルギーを貯めることができた。

 案の定、ジェンセンの第2ターンの《牙長獣の仔》は長く生き残り、チュウのライフ総量をかなり削ることになった。第6ターンにチュウはついに《ヴラスカの侮辱》を《牙長獣の仔》に唱えた。これは効率的な対策だったが、貴重な4マナ呪文をジェンセンの2マナ・クリーチャーに使ったのは、最高の取引と言えるものではなかった。

 しかしながら、ジェンセンのアタッカーからのプレッシャーなしでカードを引くことに専念できるようになったチュウにとっては、これは効率的なプレイだったのだ。

 盤面を固めようとするチュウの《奔流の機械巨人》はジェンセンの最後の手札《本質の散乱》に打ち消される。その後チュウはアンタップし、《スカラベの神》を唱えた。デッキの一番上から引いたが、ジェンセンはその強力な神話レアへの対策を引くことはできなかった。《逆毛ハイドラ》はジェンセンがエネルギーを蓄えて呪禁をつける間もなく《本質の摘出》され、彼の次のターンにはチュウの《スカラベの神》がジェンセンの《牙長獣の仔》と《逆毛ハイドラ》を墓地から引き出してチュウの戦場に並べる。そして、ジェンセンのクリーチャーたちがかつての仲間を蹴散らしたのだった。

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 第2ゲームに、チュウは土地は2枚しかないが《致命的な一押し》や《本質の散乱》などの初期の対応手段がたっぷりある手札をキープした。《アズカンタの探索》と多少の運があれば、ライフ総量が少なくなりすぎる前に必要な土地を引けるだけのカードを見ることができるだろう。

 ジェンセンは第2ターンに何もプレイせず、これはチュウにとってありがたいことだった。プレッシャーが少なければ、マナが足りない手札を何とかする時間がその分多く得られることになる。チュウはジェンセンの最初のプレイである《つむじ風の巨匠》に《本質の散乱》を唱え、第3ターンには3枚目の土地を出した。手札にもう土地はなく、あるのは《奔流の機械巨人》と《天才の片鱗》。チュウは後のドローを整えられる《アズカンタの探索》をプレイすることを選んだ。

 不幸にも、第4ターンにジェンセンが《逆毛ハイドラ》を唱えたとき、チュウの戦場にあるアンタップ状態の土地はわずか1枚で、他に頼れるものもなかった。ジェンセンは呪禁をつけるのに充分なエネルギーを蓄えており、これは対処しにくい脅威だった。ジェンセンの次の2枚の呪文、《栄光をもたらすもの》2枚はそれぞれ《至高の意志》と《霊気溶融》で対処されたので、この対処しにくさは必要だった。

 チュウは《逆毛ハイドラ》を《スカラベの神》で膠着させようとしたが、ジェンセンは《霊気溶融》のつけられた《栄光をもたらすもの》の督励能力を使い、《マグマのしぶき》を唱えてこれに対処する。しかも《マグマのしぶき》で《スカラベの神》は追放されて、チュウの手札に戻ることもできなかった。

 チュウは膠着させるべく、今度は《奔流の機械巨人》を使う。いったん戦場に出たものの、ブロックする前にジェンセンの《蓄霊稲妻》が飛んだ。その結果《逆毛ハイドラ》に1ターンの隙ができたので、チュウは《ヴラスカの侮辱》を唱えようとする。しかしジェンセンは《蓄霊稲妻》を唱え、呪禁をつけるのに必要なエネルギーを手に入れる。これで《逆毛ハイドラ》は生き残っただけでなく、勝利を決めるアタッカーにもなったのだった。

 サイドボード後の最初のゲームとなる第3ゲームは、《否認》4枚と《至高の意志》に加えて《スカラベの神》への対策となる《慮外な押収》を使えるジェンセンに有利だった。

 ジェンセンはマリガンし、第3ターンにマナ・カーブよりもいくらか遅い《牙長獣の仔》を唱えるまで動けなかった。それが解決されて、第4ターンにチュウが《天才の片鱗》を唱えようとしたところでジェンセンは《否認》を唱え、その後次のターンに《つむじ風の巨匠》を唱える。《つむじ風の巨匠》と育ち続ける《牙長獣の仔》を見て、チュウは自分のメイン・フェイズに《天才の片鱗》を唱えるしかなかった。

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 ジェンセンは2ターン続けて攻撃して7点を与え、チュウは最後の望みをかけて《奔流の機械巨人》を唱える。これがジェンセンの《至高の意志》で打ち消されて、ゲーム終了となった。

 チュウは第4ゲームの序盤、あらゆる対策を持っているように見えた。《導路の召使い》には《致命的な一押し》、《つむじ風の巨匠》には《本質の散乱》、《栄光をもたらすもの》には《霊気溶融》、さらには《反逆の先導者、チャンドラ》にも《ヴラスカの侮辱》。

 そして、ケルヴィン・チュウとその決勝進出の望みを葬り去る雪崩は、最後の《つむじ風の巨匠》から始まった。《つむじ風の巨匠》が数体の飛行機械を出し、その次のターンには《牙長獣の仔》が登場する。チュウがジェンセンの次の攻撃を生き乗る手段を探すべく、《天才の片鱗》の占術で2枚のカードを下に送り、《水没遺跡、アズカンタ》を起動し、《検閲》をサイクリングし、《異臭の池》をサイクリングしている間、ジェンセンはただ頷くだけだった。

 しかしチュウは目的を達することができず、ジェンセンが決勝に進出することになった。

ウィリアム・ジェンセンが3勝1敗でケルヴィン・チュウを下し、決勝に進出!
Kelvin Chew - 「青黒コントロール」
世界選手権2017 / スタンダード (2017年10月6~8日)
7 《島》
8 《沼》
4 《異臭の池》
4 《水没した地下墓地》
1 《水没した骨塚》
1 《進化する未開地》
1 《廃墟の地》

-土地(26)-

3 《スカラベの神》
2 《奔流の機械巨人》

-クリーチャー(5)-
4 《致命的な一押し》
4 《本質の散乱》
3 《検閲》
2 《霊気溶融》
2 《アズカンタの探索》
3 《不許可》
2 《本質の摘出》
2 《至高の意志》
4 《天才の片鱗》
3 《ヴラスカの侮辱》

-呪文(29)-
3 《才気ある霊基体》
1 《豪華の王、ゴンティ》
4 《強迫》
2 《否認》
1 《アルゲールの断血》
2 《本質の摘出》
1 《バントゥ最後の算段》
1 《大災厄》

-サイドボード(15)-
William Jensen - 「ティムール・エネルギー」
世界選手権2017 / スタンダード (2017年10月6~8日)
4 《森》
1 《島》
2 《山》
4 《植物の聖域》
4 《根縛りの岩山》
3 《尖塔断の運河》
4 《霊気拠点》

-土地(22)-

4 《牙長獣の仔》
4 《導路の召使い》
4 《ならず者の精製屋》
4 《つむじ風の巨匠》
3 《逆毛ハイドラ》
4 《栄光をもたらすもの》

-クリーチャー(23)-
4 《霊気との調和》
2 《マグマのしぶき》
4 《蓄霊稲妻》
2 《本質の散乱》
1 《削剥》
1 《慮外な押収》
1 《暗記+記憶》

-呪文(15)-
2 《奔流の機械巨人》
1 《チャンドラの敗北》
4 《否認》
1 《削剥》
2 《人工物への興味》
1 《至高の意志》
1 《天才の片鱗》
1 《慮外な押収》
1 《霊気圏の収集艇》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》

-サイドボード(15)-

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