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【戦略記事】 プロツアー『霊気紛争』 初日スタンダード・メタゲーム・ブレイクダウン

【戦略記事】 プロツアー『霊気紛争』 初日スタンダード・メタゲーム・ブレイクダウン

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Tobi Henke / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年2月3日

原文はこちら

 集計終了。カバレージ班のメーガン・ウォルフ/Meghan Wolffと私は今大会のデッキ分布を分析すべく425人分のデッキリストを集計し、分類し、また別の分類からの分析も行った。

 この週末を迎えるにあたっては、ふたつのアーキタイプに注目が集まっている。ひとつは「緑黒『巻きつき蛇』」、もうひとつは《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》のコンボを中心にしたデッキだ。無論、今大会に向けては世界最高のプレイヤーたちがチームメイトとともに極秘の調整を重ねてきており、予想外の戦略が登場することにも期待がかかる。

 さて、実際の分布はどのようになったのだろう?

アーキタイプ使用者数使用率
マルドゥ「機体」9522.4%
ジェスカイ「コピーキャット」コントロール7216.9%
黒緑「巻きつき蛇」6615.5%
黒緑「昂揚」317.3%
4色「コピーキャット」255.9%
青赤コントロール153.5%
グリクシス・コントロール143.3%
ジェスカイ・コントロール133.1%
緑白トークン112.6%
黒赤アグロ92.1%
4色「霊気池・コピーキャット」81.9%
グリクシス「即席」71.6%
青黒コントロール61.4%
エスパー・コントロール51.2%
ジャンド「巻きつき蛇」51.2%
黒赤ゾンビ40.9%
青黒「即席」30.7%
青赤「熱病の幻視」30.7%
ティムール「霊気池の驚異」61.4%
白黒ミッドレンジ30.7%
白青フラッシュ30.7%
青赤ゾンビ20.5%
4色「巻きつき蛇」20.5%
赤白人間20.5%
バント・フラッシュ10.2%
黒赤コントロール10.2%
4色コントロール10.2%
4色「電招の塔」10.2%
4色エネルギー・アグロ10.2%
4色「即席」10.2%
ジェスカイ「機体」10.2%
ジャンド10.2%
ジャンド・アグロ10.2%
ジャンド・エネルギー・アグロ10.2%
赤緑エネルギー・アグロ10.2%
スゥルタイ「昂揚」コントロール10.2%
ティムール「電招の塔」10.2%
白青「逆説的な結果」10.2%
白青スピリット10.2%
合計425100.0%

 「マルドゥ『機体』」だって?

 いくつものビッグ・チームがこのデッキを選択した。その選択の背景には、《密輸人の回転翼機》《約束された終末、エムラクール》《反射魔道士》の禁止、「白青フラッシュ」の衰退から多くのプレイヤーがコントロール・デッキを持ち込むであろうという現在の状況がある。そういった状況の中で、「機体」を用いたアグレッシブなデッキは依然として強力なコントロール戦略に対して有効な武器であることがプレイテストによって示され、《密輸人の回転翼機》の穴は《キランの真意号》で埋められると判断されているようだ。加えて、あるプロツアー王者も指摘している通り、《キランの真意号》は《サヒーリ・ライ》に対しても有効だ。強力な航空船が空中から襲いかかるため、《サヒーリ・ライ》をただ繰り出して生き残るのを願うだけでは通用しない。4ターン目に成立し得る《守護フェリダー》とのコンボを5ターン目以降に遅らせるのだ。

 しかし上記の表では「マルドゥ『機体』」が使用者数トップになっているが、実態を映したものではない。《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》を用いた「コピーキャット」系のデッキをすべて合算すると、異なる絵が見えてくるのだ。

「コピーキャット」系10524.7%
ジェスカイ「コピーキャット」コントロール7216.9%
4色「コピーキャット」255.9%
4色「霊気池・コピーキャット」81.9%

 結果として今大会の使用者数第1位の座を獲得したのは「コピーキャット」系で、全体のおよそ4分の1を占めるプレイヤーが《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》の2枚コンボを採用した。その中で最も人気の形は「ジェスカイ・コントロール」であり、除去呪文と打ち消し呪文、そして1/4のブロッカーでゲームを固めつつ大量の猫・ビーストで勝負を決めるものとなっている。

 その他の形は緑のカードを加え、2枚コンボにこだわらない構成だ。《ならず者の精製屋》や《つむじ風の巨匠》を《守護フェリダー》で使い回しながら対戦相手に対処を迫り続け、道が開けるのを待つ。また、道を開く手段として多くのデッキリストに《老いたる深海鬼》が採用され、中には「エネルギー」の要素をより深めて《霊気池の驚異》と組み合わせた形もある。

「黒緑」系10424.5%
黒緑「巻きつき蛇」6615.5%
黒緑「昂揚」317.3%
ジャンド「巻きつき蛇」51.2%
4色「巻きつき蛇」20.5%

 細分化して詳しく見ようとするあまり《沼》にはまっていたようだ。「木を見て《森》を見ず」とはこのことか。実はクリーチャーを中心にした「黒緑」系のデッキもまた、全体の4分の1を占めていたのだ。2マナ域の枠争いは、《巻きつき蛇》と《歩行バリスタ》が《残忍な剥ぎ取り》を食った形になった。「昂揚」はもはや「黒緑」系に欠かせない要素ではなくなり、人気急上昇の蛇が+1/+1カウンターやエネルギー・カウンターを増やしている。

 そして「エネルギー・カウンターも増やせる」という能力が、このアーキタイプに色を足すプレイヤーを生み出した。例えば《牙長獣の仔》や《緑地帯の暴れ者》との組み合わせがうまくいったなら、《霊気との調和》や《蓄霊稲妻》も組み合わせたくなるだろう。あるチームがそれを実現し、残るふたりは《空乗りのエルフ》や《実地研究者、タミヨウ》も加えた。《ニッサの誓い》も色の安定に一役買っているようだ。

「青コントロール」系5512.9%
青赤コントロール153.5%
グリクシス・コントロール143.3%
ジェスカイ・コントロール133.1%
青黒コントロール61.4%
エスパー・コントロール51.2%
4色コントロール10.2%
スゥルタイ「昂揚」コントロール10.2%

(「コピーキャット」系、「黒緑」系、「機体」系に続く)第4位の使用者数を集めたのは、インスタントを好み、除去や打ち消し、ドロー手段、そして非常に少ない勝ち手段を備えた典型的なコントロールだった。全体から見ればおよそ8分の1と決してメタゲームの主流とは言えないが、有名チームが青系のコントロール・デッキで今大会に挑むことを決断している。

「機体」以外のアグロ・デッキ184.2%
黒赤アグロ92.1%
黒赤ゾンビ40.9%
赤白人間20.5%
ジャンド・アグロ10.2%
ジャンド・エネルギー・アグロ10.2%
赤緑エネルギー・アグロ10.2%

 「機体」系のデッキが一大勢力を築いているのに対し、他の形のビートダウン・デッキは極めて数が少ない。それでも《サリアの副官》に加えて《金属ミミック》も獲得した「人間」系のデッキは、いまだ注目すべきものだろう。また《密輸人の回転翼機》を失ってもゾンビは死なないということを、《墓所破り》が証明しようとしている。だがここで特筆すべきは、「黒赤アグロ」で《キランの真意号》に「搭乗」する《速接会の技師》の姿だろう。

「即席」系112.6%
グリクシス「即席」71.6%
青黒「即席」30.7%
4色「即席」10.2%

 最後に、「即席」系のデッキにも注目したい。活躍が期待されるプレイヤーたちによるチームが、『霊気紛争』の新たなキーワード能力を持つ3色をすべて活かしてデッキを組み上げた。また、革新的なデッキを作ることに定評があるプレイヤーは、「青黒」の形を導き出した。

 無論、今大会には他にも多くのアーキタイプが存在している。「緑白トークン」はかつての栄光を再び手にするべく、+1/+1カウンターの扱いにさらに磨きをかけた。「白青フラッシュ」もまた、《密輸人の回転翼機》と《反射魔道士》を失いながらも残っている。ここまで登場したデッキとは異なる道を行く者もあれば、組み合わせてまた別の形を見出す者もいる。

 今大会は、「コピーキャット」系、「黒緑」系、「機体」系の3つでメタゲーム全体の4分の3を占める結果になった。さらに8分の1を「青コントロール」系が、そしてその後に意欲作や既存デッキの強化版、かつての強力なデッキ等が続く。プロツアー『霊気紛争』のスタンダード・メタゲームは以上の通りだ。

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