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プロツアー『霊気紛争』

戦略記事

注目の1枚:キランの真意号

矢吹 哲也
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Meghan Wolff / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年2月3日


 《密輸人の回転翼機》が抜けた穴は大きい。ソーサリー・タイミングの除去をあざ笑うこの3/3飛行はプレインズウォーカーを翻弄し、ライフを削り取り、手札の充実を助けた。それらすべてをわずか2マナと「搭乗1」の低コストで成し遂げていたのだ。

さようなら。

 『カラデシュ』発売後の数か月にわたり、この一見小さなアーティファクトはさまざまなデッキに採用され、トップ8に入賞した。《密輸人の回転翼機》の退場は、《光輝の炎》や《燻蒸》をかわしながらプレッシャーをかけられる2マナ域に頼っていた既存のデッキの存在を脅かすほどのことだった。

 そこで《キランの真意号》の登場だ。この伝説の「機体」は、今大会にて136のデッキに採用されている。単純な性能だけを見れば、《キランの真意号》は《密輸人の回転翼機》をしのぐ。同じく飛行を持ち、コストも2マナだというのに、パワーとタフネスが1ずつ上回っているのだ。

ようこそ!

 だが「搭乗3」とコストが重くなっている。果たして《キランの真意号》は本当に《密輸人の回転翼機》に代わり、「マルドゥ『機体』」のようなデッキを支えることができるのだろうか?

 この命題は、プロツアー『霊気紛争』にて予選ラウンドのうち10回戦のスタンダード部門を戦う参加者たちが答えを探し求めているものだ。そしてこれに対しては、多くのプレイヤーが力強く頷き「イエス」と答えている。

 《密輸人の回転翼機》と同様に《キランの真意号》はコストが軽く、損な交換になるケースがほとんどない。テンポ・アドバンテージを得ることができ、ゲームの早い段階で機先を制することができる。

 「とにかく軽い」と、チーム「Mutiny」のジャスティン・コーエン/Justin Cohenは言う。「マナの面で損をすることがほとんどないんだ。負けるのは《致命的な一押し》だけだね。他は良くて同等か、テンポ損をすることになる」

 《密輸人の回転翼機》と異なり、《キランの真意号》は《スレイベンの検査官》単体では動かせない。しかしその点は《経験豊富な操縦者》が十二分の働きを見せ、また《模範操縦士、デパラ》や《異端聖戦士、サリア》もあることから、「機体」を中心にした戦略は成立する。

 そして「ルーター能力」こそ持っていないものの、《キランの真意号》は《密輸人の回転翼機》が果たしていた最も重要な仕事をこなすことができる。

「《キランの真意号》もプレインズウォーカーにプレッシャーを与えられる」と、コーエンは言う。「こちらの手札にニッサやギデオンがあるときに対戦相手が《キランの真意号》をプレイしてきたら本当に厄介だよ。こちらにできることは何もない。プレインズウォーカーたちは怯えるばかりさ」

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密輸人の回転翼機》に代わってプレインズウォーカーを中心にした戦略に痛打を与える《キランの真意号》へ喜んで「搭乗」するジャスティン・コーエン。

 搭乗員が確保できる限り、《キランの真意号》は《密輸人の回転翼機》が占めていた座にぴったりと収まることだろう。場合によっては強化版とさえ言えるかもしれない。

「基本的には《密輸人の回転翼機》と同じ機能を同じ使い方で得られる」と、コーエンは続けた。「それから、プレインズウォーカーを守る使い方もできるというのは《密輸人の回転翼機》より優れた点だね」

 ただし《キランの真意号》は伝説のパーマネントであり、《密輸人の回転翼機》のように複数枚を同時に運用することはできない。また、《密輸人の回転翼機》の枠ではもうひとつ新たな「機体」が採用候補となっている。《霊気圏の収集艇》だ。《霊気圏の収集艇》は自身こそ3マナだが、「搭乗1」とコストは十分に補えている。

 熾烈な枠争いは《キランの真意号》に軍配が上がったようだが、ほとんどの「機体」系デッキが《キランの真意号》4枚に加えて1~3枚の《霊気圏の収集艇》を採用している。「機体」系のデッキが他のデッキを押し退けて進めるかどうかが判明するのは、まだ先のことだろう。

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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