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【戦略記事】 注目の1枚:巻きつき蛇

【戦略記事】 注目の1枚:巻きつき蛇

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Meghan Wolff / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年2月4日

原文はこちら

 スタンダードでは時折、レアに匹敵する活躍を見せるコモンやアンコモンが現れる。サイドボードに添えられるのではなく、1枚か2枚だけ採用されるのでもなく、メイン・デッキに4枚積みされるもの。それを中心にデッキを組むほどの1枚が登場するのだ。

 黒緑の2/3の蛇である《巻きつき蛇》は、まさにそういったカードだ。

スタンダード環境を這い回り迫り来る蛇

 完璧なタイミングだったのかもしれない。《巻きつき蛇》は「ここしかない」というときにスタンダードの舞台へ上がった。《約束された終末、エムラクール》がスタンダードから去り、「黒緑」系のデッキには大きな穴が空いた。そこへ這い寄って来たのが、エムラクールの触手を受け継ぐのに相応しい《巻きつき蛇》だ。

 《巻きつき蛇》の強さは、有する能力に集約される。

あなたがコントロールする、アーティファクトやクリーチャーの上にカウンターが1個以上置かれるなら、代わりにその数に1を足した数のその種類のカウンターをそのパーマネントの上に置く。

あなたがカウンターを1個以上得るなら、代わりにあなたはその数に1を足した数のその種類のカウンターを得る。

 《巻きつき蛇》の能力はいたってシンプルだ。こういうカードを扱う上で求められるのは、どのように使うかではなくいかに「悪用」するかだ。

 +1/+1カウンターが置かれる際に追加のカウンターを置く能力といえば、『タルキール覇王譚』のレアのエンチャント、《硬化した鱗》に近いだろう。

 《硬化した鱗》は当時のスタンダードで色々と試されたが、結果を残したのはローテーション落ちを迎える数週間前、グランプリ・ヒューストン2016でのことだった。《硬化した鱗》はついに居場所を見つけ、+1/+1カウンター満載の強力な緑白デッキで活躍を見せたのだ。しかし今大会の参加者たちは、その《硬化した鱗》に似た《巻きつき蛇》に雌伏の時間を過ごさせるつもりはなかったようだ。

 多くのプレイヤーがこの『霊気紛争』のアンコモンを中心に強力なカードを集めたデッキを組んだ。中には《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》のように、『カラデシュ』ブロック以前のスター・カードを採用したものもある。

 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》は「緑白トークン」のようなデッキで採用されていたが、「緑黒『昂揚』」や「白青フラッシュ」のようなデッキの隆盛に押されていた。《巻きつき蛇》が登場したことで、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》は再び日の目を見ようとしている。

「《巻きつき蛇》をコントロールしている状態で他にクリーチャーが2体ほどいれば、《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》の[-2]能力ひとつで負ける気がしません」と語るのは、初日のスタンダード部門で「緑黒『《巻きつき蛇》』」を手に4勝1敗の成績を収めたチーム「Fire Squad」のティエン・ヌエン/Thien Nguyenだ。

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《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》のようなカードと《巻きつき蛇》の組み合わせの強さを誰よりも知るチーム「Fire Squad」のティエン・ヌエン

 だがヌエンは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》を《巻きつき蛇》と組み合わせるカードとして最強のものとは考えておらず、他にも強力なアドバンテージを生み出す組み合わせがあると指摘する。

「《巻きつき蛇》の力を最大限に引き出せるのは《ピーマの改革派、リシュカー》だと思います」とヌエンは言う。「個人的には、2ターン目《巻きつき蛇》、3ターン目《ピーマの改革派、リシュカー》が今のスタンダード最強の動きだと思っています。みんな《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》の組み合わせが最強だと言うけれど、《巻きつき蛇》から《ピーマの改革派、リシュカー》の動きが決まれば十分匹敵しますよ」

 ヌエンのデッキは他の《巻きつき蛇》を採用したデッキと異なり、《ピーマの改革派、リシュカー》を4枚投入したものになっている。それは、前述の通り《巻きつき蛇》から《ピーマの改革派、リシュカー》の動きが極めて強力だからだ。

 そしてこれも、《巻きつき蛇》が現在のスタンダードで生み出す多くのシナジーのほんの一部に過ぎない《歩行バリスタ》もまた追加の+1/+1カウンターを得ることで強力なシナジーを形成し、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》のコンボを止めるため多くのプレイヤーが採用した。

 他にも、『カラデシュ』の神話レアである《新緑の機械巨人》のようなカードも相性抜群だ。それ自体が強力な1枚だが、ヌエンに言わせれば「《巻きつき蛇》が戦場に出ているなら、《新緑の機械巨人》が3枚来ても歓迎ですよ」とのことだ。

 それから今大会では、《巻きつき蛇》が「エネルギー・カウンター」も増やせることを活かして《光袖会の収集者》でカードを引いたり、赤を足して《蓄霊稲妻》を採用したりするデッキも現れた。

 こうしてさまざまなシナジーが現環境に深く刺さっているところを見ると、やはり《巻きつき蛇》は最高のタイミングで現れたと思わざるを得ない。このアンコモンは、一新されたスタンダード環境で存在感を示すべくその力を振るっている。

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