マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【観戦記事】 準々決勝ステージ2:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Donald Smith(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝ステージ2:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Donald Smith(アメリカ)

authorpic_meghanwolff_0.jpg

Meghan Wolff / Tr. Keiichi Kawazoe

2017年2月5日

原文はこちら

パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Pauro Vitor Damo da Rosa(世界ランキング7位/マルドゥ機体) vs. ドナルド・スミス/Donald Smith(マルドゥ機体)

 パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサはプロツアー『霊気紛争』3日目の第一戦に勝利した。この栄光の一戦は殿堂顕彰者にとっては小さな一歩だが、プロツアートップ8の場でトロフィーという大きな偉業を狙うためには重要な一歩でもある。一方スミスは、スイスラウンド4位という順位によってこの準々決勝第2ステージに直接進出している。

 両プレイヤーは、ステージに3つあるテーブルの1つに着席した。フィーチャー・マッチ・エリアを囲むカーテンは観客に囲まれ、戦況に応じて会話をしたり、賞賛したり、また沈黙したりしている。

 ダモ・ダ・ロサは初参戦の2003年以来、10年以上プロツアーを戦い続けている。2011年には史上最年少で生涯プロポイント300点を達成し、2012年には南米出身者として初のプロツアー殿堂に選出されている。

 一方ドナルド・スミスはチーム「Lingering Souls」に『テーロス』ブロックの頃から参加している。ルイジアナ州カットオフ出身、21歳の彼は今まで4回のプロツアーに参加しているが、そのうちすでに2回で上位25位に入っており、そして今回はトップ8に進出しているのだ。今回のスタンダードラウンドでは未だにマッチ無敗の8-0-2という成績を記録している。

 両プレイヤーとも、トップチームがこのダブリンでこぞって選択した、サヒーリ・コンボに対して強いマルドゥ機体を持ち込んでいる。しかしながら、このトップ8の場では、ただ1人の黒緑昂揚を除けば互いに機体デッキ同士の戦いとなっていた。

 《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》の禁止と『霊気紛争』による《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》の追加によって「マルドゥ機体」デッキの形は変動し、プレイヤーによって多少の違いが生まれている。スミスは他の形よりもさらに攻撃的な姿勢をとっており、《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》2枚と《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》3枚でライフレースの優位を得ようとしている。一方、ダモ・ダ・ロサのデッキは《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》の代わりに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》という強力極まりない、だがマナ・コストはデッキの他のカードの倍というカードを2枚採用している。

qf_pv_smith.jpg
10年以上のキャリアを誇るパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサは、堅実な成績を積み重ねて自身初のプロツアートップ8に進出した新星ドナルド・スミスを迎え撃つ。

ゲーム展開

 スミスは順位によって先手を選択した。最初の7枚は満足できるものではなかったが、次の6枚はキープすることができた。一方ダモ・ダ・ロサは7枚に満足し、マッチが始まった。

 ダモ・ダ・ロサが初動を取り、《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》を呼ぶ。2ターン目には、両プレイヤーは《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を出す。これにより、アーティファクトを得た《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》がパンプアップし、ダモ・ダ・ロサが先に3点のダメージを刻む。

 スミスは返しに、《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar(EMN)》を追加する。サリアが《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に搭乗し、4点のダメージを与える。サリアはそのままダモ・ダ・ロサの《ショック》に倒れたが、彼は3枚目の土地に到達できなかった。

 4ターン目、スミスは《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar(KLD)》を盤面に追加して搭乗し、《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》で攻撃する。しかしながら、ダモ・ダ・ロサもデパラを追加し、9点の攻撃でスミスのライフを4まで押し込んだ。

 スミスの盤面にはデパラと《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》があるため、アタックや展開をせずにそのままターンを返した。ダモ・ダ・ロサは対して《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を追加して搭乗し、《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》、デパラ、そして《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》の合計12点でアタックした。

 スミスは《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に搭乗させてブロックし、さらにダモ・ダ・ロサのデパラに《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》を撃ってこのターンのダメージを《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》の3点に留め、命を繋いだように見えた。が、直後にダモ・ダ・ロサが手札の《ショック》を見せると、そのままカードを片付け始めた。

 第2ゲームに向けてのシャッフルをしている間に、お互いは調整チームや事前準備について話を始めた。

 スミスは「(グランプリ・)プラハには出た?」とたずねた。

「出たよ」とダモ・ダ・ロサは答えた。実際、彼は前週に行われたそのグランプリでは準優勝しているのだが、そのことには謙虚にも言及しなかった。

 スミスは続けて、「直前のグランプリに出るって調整に悪影響出たりしないの?」と聞く。

「無いね。グランプリに出ていれば、その分ドラフトの戦略や色々な構築の意見を得られるんだ。これは大きな助けになるよ」とダモ・ダ・ロサは答えた。

 第2ゲームの準備が整い、両プレイヤーは初手を取る。ダモ・ダ・ロサはマリガンを選択したが、6枚でキープできる手札を得られた。

qf_pv2.jpg
ダモ・ダ・ロサは厳しい競技者として知られているかもしれないが、プロツアーでも有数の柔和な表情を見せるプレイヤーでもある

 ゲームは《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》同士から始まったが、ダモ・ダ・ロサは2ターン目に《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を唱えて3/2として攻撃に移った。

 3ターン目、スミスは《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar(EMN)》を出した。ダモ・ダ・ロサはため息をついた。自分のターンに入ってもう一度ため息をつくと、《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を唱えタップ状態で出し、占術でカードを下に送り、そして《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》で攻撃した。ライフレースは、サリアをどうにかしない限りダモ・ダ・ロサが常に一歩遅れとなる。

 スミスはデパラと、彼自身が「デッキ内で最悪のカード」と言う《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》を盤面に追加した。最悪のカードかどうかはともかく、急使は自身と《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》の能力でこのターンさらに3点のクロックを作り出す。

 次のターンでスミスが総攻撃をかけると、ダモ・ダ・ロサは《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》でブロックしようと搭乗する。スミスは対応して、ブロック前に《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》で除去し、ダモ・ダ・ロサのライフを刈り取った。これでゲームカウントは同点となる。

 スミスは《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》を指して「やっとこれでこいつを外せる!」と言った。「どうせ抜くの知ってるだろうから、もう公言してもいいよね」

「サヒーリ系の青デッキには実際よく効くんだけどね」と、彼は後でこのカードの選択を正当化した。

「うん、たしかにその小物は君にとってお粗末なものだろうね」とダモ・ダ・ロサは同意した。

 サイドボードも終わり、両プレイヤーは初手をキープした。ダモ・ダ・ロサが先手でゲームを開始する。第1ターンに動けたのはスミスだけで、最初の行動は《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》だ。

 第2ターン、ダモ・ダ・ロサは《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を、スミスは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を唱える。そして、次のターンでダモ・ダ・ロサは《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を唱えると占術で少し考え込み、次のターンのマナ配分と返しに受けるダメージを計算し始めた。結局、そのカードをトップに置いた。これは対戦相手にとっては不吉な兆候だろう。

 スミスは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》で攻撃し、《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》との交換を誘った。ダモ・ダ・ロサはこれに応じる。

qf_smith.jpg
スミスはプロツアーに新たな強者として君臨しようとしている

「よし!」 スミスはこの取引で有利を得られたと確信して、そう言った。

 スミスは《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》と《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》で盤面を回復させる。

 返しのターンでダモ・ダ・ロサが空中から4点入れて、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar(BFZ)》をプレイすると、スミスにとって今一番必要なものが《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》だということがより明確になった。スミスは相手の脅威のひとつである《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》には《断片化/Fragmentize(KLD)》で対処できたが、それでもまだ大量のクリーチャーとギデオンに直面していた。

 ダモ・ダ・ロサが2ターン後、スミスの《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar(EMN)》に《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》を打ち込むと、ギデオンでスミスにとどめを刺した。

 マッチの終わりが近づくにつれ、サイドボードに疲れた両プレイヤーの会話は目に見えて減ってきていた。

 先手のスミスは7枚でキープ、一方のダモ・ダ・ロサは6枚となる。

 スミスは《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》、ダモ・ダ・ロサは《スレイベンの検査官/Thraben Inspector(SOI)》でゲームを始める。スミスは2ターン目に《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を、3ターン目には《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を追加した。

 対してダモ・ダ・ロサは、2枚目の土地を得られずにいた。4ターン目にはすでに返しの致死ダメージに直面しており、しかも《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar(EMN)》によって新しいクリーチャーもブロックに回れなくなっていた。次のカードを引いたはものの、そのままカードを片付けることになった。

 スミスはシャッフルしながら、「うーん、実際3-0されちゃうんじゃないかと本当にビクビクしてたんだ」

 ダモ・ダ・ロサは笑って「十分良くやってるじゃないか」と返した。

 両プレイヤーともマリガンして6枚になり、そして占術でカードを下に送った。

 スミスは《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar(KLD)》、ダモ・ダ・ロサは《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》から始めた。そして、スミスが《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を出してから攻撃すると、この2体は相打ちとなった。

 相打ちのあと、両者はさらにクリーチャーを展開する。ダモ・ダ・ロサは《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar(KLD)》を、スミスは《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を出して搭乗する。

 次のターン、両プレイヤーはそれぞれ機体の攻撃を受けながらダメージと呪文の応酬をした。ダモ・ダ・ロサは相手の《経験豊富な操縦者/Veteran Motorist(KLD)》を《ショック》で、スミスは相手の《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》を《断片化/Fragmentize(KLD)》でそれぞれ処理した。

 スミスの《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》に対処できる飛行クリーチャーがいなかったため、ダモ・ダ・ロサは《模範操縦士、デパラ/Depala, Pilot Exemplar(KLD)》で攻撃しながら1マナを払って必要な機体を探しに行った。しかし2回の攻撃を経ても、ダモ・ダ・ロサはスミスの《キランの真意号/Heart of Kiran(AER)》への回答を見つけることができず、6ターン目についに致死ダメージによってスミスに握手を申し出たのだった。

ドナルド・スミスがパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサを3-2で下して準決勝進出!

Donald Smith - 「マルドゥ機体」
プロツアー『霊気紛争』 スイスラウンド4位 / スタンダード (2017年2月3~5日)
3 《平地》
4 《感動的な眺望所》
4 《秘密の中庭》
4 《尖塔断の運河》
4 《産業の塔》
3 《霊気拠点》

-土地(22)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
2 《ボーマットの急使》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《経験豊富な操縦者》
2 《模範操縦士、デパラ》
2 《異端聖戦士、サリア》

-クリーチャー(22)-
2 《致命的な一押し》
1 《ショック》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》
3 《霊気圏の収集艇》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(16)-
2 《折れた刃、ギセラ》
2 《致命的な一押し》
2 《断片化》
1 《ショック》
4 《金属の叱責》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《乱脈な気孔》

-サイドボード(15)-
Paulo Vitor Damo da Rosa - 「マルドゥ機体」
プロツアー『霊気紛争』 スイスラウンド8位 / スタンダード (2017年2月3~5日)
4 《平地》
2 《山》
4 《感動的な眺望所》
1 《鋭い突端》
4 《秘密の中庭》
1 《乱脈な気孔》
2 《尖塔断の運河》
4 《産業の塔》
1 《霊気拠点》

-土地(23)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《経験豊富な操縦者》
2 《模範操縦士、デパラ》
2 《ピア・ナラー》

-クリーチャー(20)-
3 《ショック》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》
2 《耕作者の荷馬車》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(17)-
2 《異端聖戦士、サリア》
2 《儀礼的拒否》
2 《致命的な一押し》
3 《金属の叱責》
2 《グレムリン解放》
1 《耕作者の荷馬車》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
2 《尖塔断の運河》

-サイドボード(15)-

前の記事: 【英語記事】 Quarterfinals Stage 2: Liu Yuchen (Mardu Vehicles) vs. Eduardo Sajgalik (Mardu Vehicles) | 次の記事: 【英語記事】 Semifinals: (8) Márcio Carvalho (Mardu Vehicles) vs. Donald Smith (Mardu Vehicles)
プロツアー『霊気紛争』 一覧に戻る