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【観戦記事】 準決勝:Eduardo Sajgalik(カナダ) vs. Lucas Esper Berthoud(ブラジル)

【観戦記事】 準決勝:Eduardo Sajgalik(カナダ) vs. Lucas Esper Berthoud(ブラジル)

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Meghan Wolff / Tr. Tetsuya Yabuki

2017年2月5日

原文はこちら

エドゥアルド・サイガリク/Eduardo Sajgalik(マルドゥ機体) vs. ルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoud(マルドゥ機体)

 プロツアー『霊気紛争』準決勝第2試合。エドゥアルド・サイガリクはこの日3試合目を迎え、ルーカス・エスペル・ベルサウドにとっては初戦だ。だが戦いはこれからが本当の正念場。彼らはこれから、決勝進出を懸けた戦いに身を投じるのだ。両者とも、プロツアー・タイトル獲得への障害をもうひとつ越えるべく、決意を新たにする。

 エドゥアルド・サイガリクは、チーム「MTG Mint Card」の一員として今大会へ挑んだ。プロツアー初参戦は10年前、プロツアー・ジュネーブ2007のときで、それ以来プロツアーへは17回出場し、プロツアー『ラヴニカへの回帰』では自身初のトップ8入賞を果たしている。今でこそカナダのモントリオールに居を構えているが、かつてはフランスに住み、イングランドに住み、と世界中を飛び回っていた。

 ブラジルのサンパウロ州タウバテ出身のルーカス・エスペル・ベルサウドはチーム「DEXThird」に所属し、そして今、試合前に舞台の外から熱烈な応援を向けているブラジルのマジック・コミュニティの一員だ。世界選手権2005でデビューしたベルサウドは、2007年にブラジル選手権を制している。

 ベルサウドとサイガリクは両者とも、今大会のトップ8のうち6つを占めた「マルドゥ機体」を手にしている。デッキ選択の理由について「車を運転するのが好き」と答えたベルサウドだが、その言葉通り車を――厳密には航空船を――見事に操り、予選ラウンドのスタンダード部門で10戦全勝のパーフェクト・レコードを叩き出した。一方のサイガリクは「MTG Mint Card」のチームメイトの勧めを信じ、このデッキに自身を託した。

 同じ「マルドゥ機体」とはいえ両者の構成は似通ったものではなく、ベルサウドは《発明者の見習い》3枚と《ピア・ナラー》2枚、《無許可の分解》4枚に《ショック》2枚と可能な限り攻撃的な形にしている。対するサイガリクも同じく《無許可の分解》を4枚取っているが、《ピア・ナラー》を採用せず《致命的な一押し》を4枚搭載している。

 また両者とも《キランの真意号》は4枚採用しているが、他の「機体」の採用に違いが見受けられる。ベルサウドは《霊気圏の収集艇》2枚、サイガリクは《耕作者の荷馬車》3枚だ。サイガリクのデッキにはサイドボードの《金属の叱責》のように青のカードがタッチされており、色マナを安定させるための構成だろう。ベルサウドの方は、サイドボードもマルドゥの3色に徹底している。

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最高峰の戦いを10年にわたって経験してきた両者が、プロツアー優勝トロフィーを手にするための歩みを進めるべく激突する。

「Good luck, have fun」 シャッフルを終えると、ベルサウドが声をかけた。両者は握手を交わし、戦いの火蓋が切られた。

ゲーム展開

 ベルサウドは1ターン目《模範的な造り手》という模範的なスタート。しかし続けて《屑鉄場のたかり屋》を加えたところにサイガリクの《致命的な一押し》を受けて《模範的な造り手》は退場する。

 ベルサウドは《発明者の見習い》と《経験豊富な操縦者》で展開を進めるが、サイガリクは《無許可の分解》で《経験豊富な操縦者》を除去し盤面の優位を取らせない。

 しかし4ターン目、ベルサウドが《スレイベンの検査官》と《ピア・ナラー》を繰り出すと、飛行機械・トークンも加わった彼の盤面はついに優勢になった。サイガリクは《キランの真意号》で攻勢を抑えようと試みるが、ベルサウドは《ピア・ナラー》の能力を駆使して攻撃を通した。

 サイガリクは《ピア・ナラー》を《無許可の分解》で対処することに成功したものの、さらなる攻撃を受けて残りライフは1点に。最後は《霊気圏の収集艇》がこのゲームに決着をもたらした。

 両者は決勝ラウンドの疲労と緊張について話し、この席で戦うことの難しさを共有した。長きにわたる戦いと非日常的な緊張感の中で最高のプレイを選択するのは本当に難しい、とサイガリクは語る。

 サイガリクが先手を取り、第2ゲームが始まった。両者とも初手をキープしたが、意外にも1ターン目にクリーチャーが出てこない。動き出しは2ターン目、サイガリクが《屑鉄場のたかり屋》を繰り出し、ベルサウドが《経験豊富な操縦者》を送り出すと、両者は速度を増していった。

 続くターンには両者とも「機体」を展開したが、それは《キランの真意号》ではなかった。サイガリクは《耕作者の荷馬車》、ベルサウドは《霊気圏の収集艇》だ。絆魂持ちの飛行クリーチャーを手に入れたベルサウドだが、それでも《致命的な一押し》で《経験豊富な操縦者》を除去されると押し込まれる形になった。サイガリク側に《経験豊富な操縦者》が現れると一挙9点――ベルサウドの残りライフの半分――を削り取り、優位を確立した。

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ここまでの3日間にわたる激戦を通して、ベルサウドはその確固たる技術を見せつけてきた。

 ベルサウドは《スレイベンの検査官》を繰り出し、土地を立たせてターンを渡した。サイガリクはそれが意味するところを察し、「搭乗」せずに《経験豊富な操縦者》、《キランの真意号》、《スレイベンの検査官》と盤面を固めると、ベルサウドに呪文の使用を迫った。その狙い通り、ベルサウドは《無許可の分解》を《経験豊富な操縦者》へ。しかし『カラデシュ』が誇る最強除去をもってしても、この場では不十分だった。サイガリクはこちらも《無許可の分解》を撃ち込んで全軍で攻撃し、ベルサウドの残りライフを優に上回るダメージを与えたのだった。

「本当にいいリストを組み上げたな」と、サイガリクが言った。互いに交換したデッキリストを精査しサイド・インするカードを選びながらふと出た言葉だった。

 第3ゲームが始まり、サイガリクは1ターン目《模範的な造り手》を繰り出したがベルサウドはそれを《致命的な一押し》で対処。サイガリクは2体目の《模範的な造り手》で再び盤面のリードを取りにかかり、これは戦場に残った。一方ベルサウドは《キランの真意号》をプレイし、続くターンには《経験豊富な操縦者》と《模範的な造り手》を展開。高い攻撃力でサイガリクへプレッシャーをかけていく。

 サイガリクの盤面には《模範的な造り手》1体のみであり、ベルサウドの猛攻を止められない。ターンを迎えたサイガリクは次のドローを確認したが、手札には土地があふれてベルサウドのさらなる攻撃を防ぐ手立てはなく、彼はカードを片付けたのだった。

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2016-2017年シーズンに大活躍を見せるサイガリク。

 第4ゲーム、サイガリクは初手に顔をしかめ、マリガンを選択。続く6枚をキープした。

 両者とも序盤を同じ動きで始めた。すなわち1ターン目《模範的な造り手》、2ターン目《キランの真意号》だ。この鏡写しの状況を先に破ったのは、サイガリクだった。彼は《屑鉄場のたかり屋》を展開し、7点で攻撃を仕掛ける。ベルサウドはこれを通し、反撃することを選んだ。しかしその攻撃はサイガリクの《致命的な一押し》によって阻まれ、《キランの真意号》を失うことになった。

 ベルサウドは《ピア・ナラー》を繰り出して盤面を取り戻そうとするが、サイガリクはそこへ《無許可の分解》を放った。襲い来る《キランの真意号》に飛行機械・トークンを向かわせてなんとか生き残ったベルサウドだったが、盤面の差を埋めることは叶わなかった。

 仕切りを越えて聞こえてくるブラジルの友人たちからの応援に、サイガリクは朗らかな笑顔を見せた。

「後手で勝てるのかな」とサイガリク。ここまではすべて、先手側が勝っている。「勝てる気がしないよ!」

 最終ゲーム、序盤の動きに変化があった。サイガリクは《スレイベンの検査官》2枚を繰り出し、ベルサウドは《キランの真意号》からゲームを始める。ベルサウドは3ターン目、《グレムリン解放》でサイガリクの「手掛かり」をひとつ破壊し、グレムリンを生成した。

「《グレムリン解放》だと! しかも対象は......『手掛かり』!」 サイガリクは思わず笑い声を上げた。彼は盤面に脅威を追加せず、2/2のグレムリンを前に1/2を攻撃に送り出せなかった。

 ベルサウドが《屑鉄場のたかり屋》を唱えようとするも、サイガリクは《呪文捕らえ》を瞬速で唱え、《屑鉄場のたかり屋》を捕らえつつ飛行クリーチャーでダメージを通した。

 しかし続くターン、ベルサウドは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を呼び出す。彼は2/2の同盟者を生み出しつつ、忠誠カウンターを消費して《キランの真意号》を動かした。サイガリクは「手掛かり」を生け贄に捧げ、《致命的な一押し》で《キランの真意号》の攻撃を許さない。

 迎えたターン、サイガリクはこちらも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を唱え、すぐに「紋章」を生み出した。3/4となった《呪文捕らえ》がベルサウドの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を退場させ、ベルサウドの盤面には2/2のグレムリンと同盟者のみとなった。対するサイガリクの側には2/3の《スレイベンの検査官》もいる。盤面の優位は明らかで、勝負は決まったかに見えたそのときである。ベルサウドが《領事の旗艦、スカイソブリン》を戦線へ投入したのだ。《領事の旗艦、スカイソブリン》の砲撃が《スレイベンの検査官》を焼き、サイガリクの盤面に残る《呪文捕らえ》も完全にサイズで劣ることになった。

 サイガリクは2枚目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を繰り出したが、ベルサウドは《呪文捕らえ》へ《無許可の分解》を撃ち込み、捕らえられていた《屑鉄場のたかり屋》を着地させると《領事の旗艦、スカイソブリン》へ「搭乗」させた。ベルサウドの攻撃でサイガリクは盤面を一掃され、続く攻撃で残りライフも大半を失った。この状況を覆す手立てはなく、サイガリクは右手を差し出したのだった。

ルーカス・エスペル・ベルサウドがエドゥアルド・サイガリクを3勝2敗で下し、決勝へ!

Lucas Esper Berthoud - 「マルドゥ機体」
プロツアー『霊気紛争』 スイスラウンド2位 / スタンダード (2017年2月3~5日)
3 《平地》
3 《山》
4 《感動的な眺望所》
1 《鋭い突端》
4 《秘密の中庭》
1 《凶兆の廃墟》
1 《燻る湿地》
4 《産業の塔》
2 《霊気拠点》

-土地(23)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
3 《発明者の見習い》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《経験豊富な操縦者》
2 《ピア・ナラー》
1 《異端聖戦士、サリア》

-クリーチャー(22)-
2 《ショック》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》
2 《霊気圏の収集艇》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(15)-
1 《発明者の見習い》
2 《無私の霊魂》
1 《致命的な一押し》
1 《断片化》
1 《空鯨捕りの一撃》
2 《グレムリン解放》
1 《耕作者の荷馬車》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》
2 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
1 《鋭い突端》

-サイドボード(15)-
Eduardo Sajgalik - 「マルドゥ機体」
プロツアー『霊気紛争』 スイスラウンド7位 / スタンダード (2017年2月3~5日)
3 《平地》
4 《感動的な眺望所》
4 《秘密の中庭》
4 《尖塔断の運河》
4 《産業の塔》
3 《霊気拠点》

-土地(22)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《模範的な造り手》
1 《発明者の見習い》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《経験豊富な操縦者》
2 《模範操縦士、デパラ》

-クリーチャー(19)-
4 《致命的な一押し》
1 《発火器具》
4 《無許可の分解》
4 《キランの真意号》
3 《耕作者の荷馬車》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(19)-
2 《呪文捕らえ》
2 《断片化》
2 《ショック》
3 《金属の叱責》
2 《苦い真理》
1 《空鯨捕りの一撃》
2 《燻蒸》
1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-サイドボード(15)-

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