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(翻訳記事)第16回戦:狼男と踊れStanislav Cifka(チェコ) vs. 清水 直樹(日本・大阪)

(翻訳記事)第16回戦:狼男と踊れStanislav Cifka(チェコ) vs. 清水 直樹(日本・大阪)

Nate Price / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

原文はこちら

スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka (Reanimator) vs. 清水直樹(Wolves and Angels)

 1回戦だけをおいて、私は再び清水直樹のいるフィーチャー・マッチに座っていた。清水はやはり満面の笑みを浮かべ、私に近づいてきて握手を求め、言った。「また会えたね」 今回、彼が対峙するのは前に対戦したジョン・フィンケルのような偶像ではなく、脱落の危険である。彼とその対戦相手のスタニスラフ・ツィフカの両者にとって、このマッチに勝つか負けるかは、トップ8に残れるかそれとも脇役となって応援するだけになるかの瀬戸際なのである。

 脇役となって応援するといえば、ツィフカには見覚えのある応援団長がついていた。3メートル離れたところに、あのマーティン・ジュザ/Martin Juzaが、同胞のマッチを見守っていた。彼はこの日がどれほど苦難に満ちたものだったかを語ってくれた。ヨーロッパ地域のプレイヤー選手権出場候補であり、ワールド・マジック・カップのチェコ代表レースでもトップを走ってはいるが、このプロツアーから脱落した結果、他に3人のチェコ人プレイヤーに逆転の余地を残してしまった。「こんなのは勘弁だ! 友人の負けを祈りたくなんてないが、でも、選手権には出たい。くそっ、がんばれっ」


トップ8の最後の椅子を賭けたスイス最終戦に挑むスタニスラフ・ツィフカと清水直樹

ゲーム1

 いつもの通り、「狼と天使」デッキを使う清水が戦場に先んじる。《アヴァシンの巡礼者》が第1ターンに姿を見せるが、それで加速してやることがあるわけでもないのか第2ターンにはただそれで攻撃し、1点のダメージを与えるにとどまった。ツィフカは3枚目の土地を出すと《根囲い》を使い、リアニメイト・デッキに必須の墓地を肥やそうとるすも、墓地に置かれたのは《信仰無き物あさり》だけだった。最終的に手札が9枚になったものの、土地過剰のため捨てたのは土地2枚だった。

 清水は次のターン、《高原の狩りの達人》を出して陣営を整える。5ターン目の《堀葬の儀式》で勝利をもぎ取られることがないように素早く仕掛けていくのだ。ツィフカは《国境地帯のレインジャー》で急いで防御を整え、《沼》をデッキから持ってくる。この2/2で清水は次のターン攻撃するかどうかを一瞬考え、そして攻撃しないことを選んで《高原の狩りの達人》を反転させ、《高原の荒廃者》でツィフカの《国境地帯のレインジャー》に対抗させる。ここでツィフカも《高原の狩りの達人》を出したことで、清水は相打ちの危険を冒して《高原の荒廃者》で攻撃するかどうかを考えなければならなくなった。


このマッチのプレッシャーは強烈だ

 やがて、ツィフカのターン終了時に清水は《硫黄の流弾》を使い、ツィフカに3点の直接攻撃をかける。そうすることで、彼のターンに2体目のクリーチャー(《軽蔑された村人》)を唱えても《高原の荒廃者》が人間に戻ってしまわないようにしたのだ。そして攻撃を仕掛け、狼が相打ちになってツィフカのライフは4点減って10点になる。ツィフカの2体目の《高原の狩りの達人》が出て、ツィフカのライフが12点まで回復するとともに戦闘の障害となって少しの時間を稼ぐ。清水にとって幸運なことに、清水は《ケッシグの狼の地》を出しており、戦闘で大きなアドバンテージを得ることができる状態だった。一方、不幸なことには、そうするためにはほとんどのマナを使い切らねばならず、ツィフカの《高原の狩りの達人》が変身してしまうことになる。しかし、清水はここで《高原の荒廃者》での攻撃を選んだ。ツィフカは狼と《高原の狩りの達人》でブロックし、清水はブロック・クリーチャーの1体を《硫黄の流弾》で除去することで《高原の荒廃者》を守り、2対1交換に持ち込んだ。

 ツィフカの次のカードが《高原の狩りの達人》だと思った人は、彼と同じぐらいに幸運だということになる。そして、彼がプレイできたのはさらなる幸運だった。清水は手を止めず、《ウルフィーの報復者》をターン終了時に出すとアンタップして、《ガヴォニーの居住区》を出してから4体による総攻撃を仕掛ける。今度はツィフカが考える番だった。どうブロックするか、そしてどうしのぐか、最適な行動を考える。彼のライフは12点で、ブロック・クリーチャーは3体。うち2体は《高原の狩りの達人》だ。最終的に、彼は《ウルフィーの報復者》を狼でブロックし、《高原の狩りの達人》を温存する。清水は《ガヴォニーの居住区》を起動し、軍勢を強化。ツィフカのライフを残り3点にしてターンを返した。

 ここからの展開は面白いものだった。ツィフカがアンタップして《高原の狩りの達人》2体を示し、変身させ始める。そして、その間に、彼は清水のクリーチャー《軽蔑された村人》を対象にしようとする。清水は変身と言いながらその《軽蔑された村人》を反転させようとしているところだった。ここでジャッジが介入し、ツィフカが対象を選んでいるので誘発を忘れていたものだと指摘する。つまり、清水のその誘発はスタックの底に置かれることになり、通常と違う順番、ツィフカの狼男の後で変身することになるというのだ。清水はヘッドジャッジを呼んだ。テーブルジャッジとヘッドジャッジ、それに両プレイヤーを交えての話し合いの結果、ヘッドジャッジは清水には対戦相手の行動を止める余地が充分にあったと判断し、ジャッジの裁定を支持した。ツィフカの《高原の狩りの達人》2体が変身し、清水の《軽蔑された村人》と《アヴァシンの巡礼者》を除去すると、ツィフカの《高原の荒廃者》2体に対し、清水の戦力は《高原の荒廃者》と《ウルフィーの報復者》だけになった。

 そして、清水にとって最悪に思えた状況のときだった。ツィフカは《血統の切断》を使い、清水の《高原の荒廃者》を除去したのだ。清水は《高原の荒廃者》を手にし、取り除いてから、ツィフカに《血統の切断》は誰がコントロールしているかにかかわらず、同名のクリーチャーを全て追放するのだと静かに指摘した。驚きながら、ツィフカは自分の全てのクリーチャーを手に取り――そして、カードを片付けて投了の意志を示したのだった。


重要なマッチの1ゲームを手痛いミスで落としたツィフカ

 非常に奇妙なミスの連発により、まず清水の手からこぼれ落ちた勝利が、1分後にツィフカの手からこぼれ落ちた。プロツアーのトップ8を目前にして、最強のプレイヤーたちも緊張しているのだ。

スタニスラフ・ツィフカ 0-1 清水直樹

ゲーム2

 両プレイヤーとも第2ゲームはマリガンなしで、ツィフカが先手となる。《根囲い》から《高原の狩りの達人》2枚を墓地に送り、《山》を手札に入れる。一方、清水は第1ターンに《アヴァシンの巡礼者》を出せなかったものの第2ターンに《軽蔑された村人》を出した。デッキの展開を理解したツィフカは時間を無駄にせず、《火柱》でマナ・クリーチャーを除去する。そして再びの《根囲い》から《断崖の避難所》を含む2枚の土地を引き、《国境地帯のレインジャー》と《小悪魔の遊び》を墓地に送った。

 ツィフカの《火柱》の効力で、清水は第3ターンになにもできずに終えたかに見えたが、ツィフカのターン終了時に《ウルフィーの報復者》を唱えるに至ってそうでなかったことが明らかになった。さらに《国境地帯のレインジャー》と《墓掘りの檻》を戦線に加え、ツィフカは急激に窮地に追い込まれる。《墓掘りの檻》という明白な障害にも関わらず、ツィフカは他の道を探してプレイを続ける。《血統の切断》を使って《ウルフィーの報復者》を除去するも、清水はすぐに《高原の狩りの達人》で戦線を維持した。ツィフカは対抗して《オリヴィア・ヴォルダーレン》を呼び出した。清水のデッキはそれへの対策を無数に持っていたが、それが手になければ急を要する相手になる。

 清水はアンタップしてカードを引き、手札は4枚。そして、この局面で役に立つ《ガヴォニーの居住区》があった。真剣に考えた後、清水は全軍突撃に入る。ツィフカは迷ってから《国境地帯のレインジャー》をブロックすることに決める。彼の手には2マナがあり、清水が《ガヴォニーの居住区》を使っても《オリヴィア・ヴォルダーレン》を強化しながら1点飛ばせる状態だった。しかし、清水は強化せずに死ぬに任せ、そして《忌むべき者のかがり火》をX=2で唱えて確実に《オリヴィア・ヴォルダーレン》を除去する道を選んだ。ターン終了時に、ツィフカは《人間の脆さ》を使って《高原の狩りの達人》を除去し、清水の戦力を狼トークン1つだけにしてゲームの流れを引き戻す。《小悪魔の遊び》で狼トークンを除去すると、戦場が空になり、両プレイヤーの手札2枚だけが残された戦力になる。

 この静寂を破ったのは清水であった。ツィフカの終了ステップに《ウルフィーの報復者》を出したのだ。そして《ガヴォニーの居住区》を使って強化すると、ツィフカを攻撃して残りライフは3点。ツィフカはカードを引くも、有効打を引けずに投了した。清水直樹はプロツアー・アヴァシンの帰還のトップ8に進み、ジョン・フィンケルとの再戦が彼を待っている、かもしれない!

スタニスラフ・ツィフカ 0-2 清水直樹


Stanislav Cifka / リアニメイター
プロツアー:アヴァシンの帰還・バルセロナ(イニストラード・ブロック構築)
6 《山》
4 《森》
1 《平地》
1 《沼》
4 《断崖の避難所》
4 《森林の墓地》
2 《ゆらめく岩屋》
4 《進化する未開地》

-土地(26)-

2 《国境地帯のレインジャー》
4 《高原の狩りの達人》
1 《鷺群れのシガルダ》
2 《黄金夜の刃、ギセラ》
2 《グリセルブランド》

-クリーチャー(11)-
4 《信仰無き物あさり》
4 《火柱》
1 《霊炎》
1 《人間の脆さ》
4 《根囲い》
2 《血統の切断》
4 《堀葬の儀式》
3 《小悪魔の遊び》

-呪文(23)-
2 《修復の天使》
2 《オリヴィア・ヴォルダーレン》
1 《鷺群れのシガルダ》
1 《士気溢れる徴集兵》
3 《脳食願望》
1 《人間の脆さ》
2 《墓場の浄化》
1 《冒涜の行動》
2 《忌むべき者のかがり火》

-サイドボード(15)-
清水 直樹 / Wolves and Angels
プロツアー:アヴァシンの帰還・バルセロナ(イニストラード・ブロック構築)
10 《森》
2 《山》
1 《平地》
4 《断崖の避難所》
2 《ケッシグの狼の地》
1 《ガヴォニーの居住区》
4 《進化する未開地》

-土地(24)-

4 《アヴァシンの巡礼者》
3 《軽蔑された村人》
4 《国境地帯のレインジャー》
3 《ウルフィーの報復者》
4 《高原の狩りの達人》
4 《修復の天使》
4 《ウルフィーの銀心》

-クリーチャー(26)-
3 《火柱》
4 《硫黄の流弾》
3 《忌むべき者のかがり火》

-呪文(10)-
2 《士気溢れる徴集兵》
1 《火柱》
1 《信仰の盾》
3 《墓掘りの檻》
1 《大物潰し》
1 《高まる残虐性》
3 《小悪魔の遊び》
1 《忌むべき者のかがり火》
2 《情け知らずのガラク》

-サイドボード(15)-

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