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(特集記事)デッキテク:赤緑ケッシグ(マシアス・ハント)

(特集記事)デッキテク:赤緑ケッシグ(マシアス・ハント)

Nate Price / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

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 初日終了時に、哀れなカバレージ奴隷である私たちは埃塗れのカバレージ部屋で文字に囲まれて苦闘していた。最高のプロツアー・カバレージをお届けするため、私たちは一日中指を動かして疲れていたので、ちょっとしたメモがあったがその内容を忘れていた。

マシアス・ハント/Matthias Hunt 6-2

キール・ストール/Kyle Stoll 7-1

ブランドン・ネルソン/Brandon Nelson 4-4

マット・ナス/Matt Nass 5-3

ジェイソン・スコウスボー/Jason Schousboe 4-4

シャハール・シェンハー/Shahar Shenhar 7-1

マイケル・ヘイトリック/Michael Hetrick 6-2

リッキー・シダー/Ricky Sidher 6-2

アンドレス・プリスト/Andrejs Prist 6-2

ジョシュ・マックレイン/Josh McClain 5-3

 このプロツアーに静かに浸透した、西海岸とミネアポリスに2つの中心点がある小さなチームの存在を思い出すまで、この名前の羅列と数字の意味がわからなかった。Team Panikと名乗る彼らは、我々の注目を集めていた。このリストには名高いプレイヤーも含まれている。たとえばマシアス・ハントは最優秀新人だし、シャハール・シェンハーはこのシーズン2つのグランプリを制している。マット・ナスもグランプリ優勝者と、このチームに技量が備わっているのは疑う余地もない。そして、このチームは革新的な赤緑中量級デッキを駆り、合計するとブロック構築で30勝18敗という好成績を残している。


赤緑ケッシグ・デッキを使い、構築部分で好成績を残した
マシアス・ハントとTeam Panikの仲間たち

 夜充分な休息を取って、ファンタを一缶飲んで回復した私は、マシアス・ハントに彼のチームのデッキについて話を聞きにいった。マジック・オンラインでの実績に基づき、アヴァシンの帰還登場前のブロック構築最強デッキは白赤人間のアグロ・デッキだった。クリーチャーの軍団で攻め立てながら対戦相手を大量の火力呪文で焼き切っていたそのデッキに、《銀刃の聖騎士》や《士気溢れる徴集兵》が加わったのだからプロツアーもそのデッキのものだと思われていた。

 《森》《平地》《山》を使ったこのユーモア溢れるデッキを見たとき、世界は大騒ぎになった。白赤人間対策として作られた「狼と天使」デッキはこのプロツアーで支配的だ。《忌むべき者のかがり火》で人間はこんがりだ。《高原の狩りの達人》でブロック・クリーチャーが2体増え、少しだけライフも増やす。変身すれば攻撃力にもなる。天使の前には火力も戦闘も関係ない。このデッキは、白赤人間デッキの天敵なのだ。

チームはどんなデッキにも有効な《絡み根の霊》を入れたかったが、色が濃すぎるので入れられるデッキに制限がある。

 しかし、ハントとその仲間はこのイベントに向けてのデッキ調整中に投げ出しはしなかった。重要なカードはたった1枚、《ウルフィーの銀心》。「白赤人間デッキを倒すにあたって、除去は有効じゃないと思ったんだ。人間は強くて速くて、対策手段がいろいろと必要になりすぎる。つまり最高の方法は、それ以上のクリーチャーを出すことだと。そして、現時点で、プレイヤーたちはこの環境最強のカードの1つが《ウルフィーの銀心》だと気づき始めてると思うよ。《ウルフィーの銀心》は白赤人間への対策になる。だから《ウルフィーの銀心》を中心にしたデッキを組み上げることにしたんだ。Channelfireballのと同じような、もうちょっと「歩く《栄光の頌歌》」の多い白緑デッキ、それに赤緑デッキ、さらには3色デッキも作った。3色デッキにしなかった理由は、《絡み根の霊》を第2ターンに確実に出せるようにするためだ。多色デッキではこうはいかないからね。コントロールにはとても有効で、白赤相手には2回もブロックできる。ただ、3色デッキには弱かった。ここに来て3色デッキが多いと気付いたので、サイドボードを考えるために何度も何度もミラー・マッチをやったよ」

 このデッキは、考え方として、相手よりも大きなクリーチャーを出さなければならない。そしてそのためにこそ《ウルフィーの銀心》が入っている。3色デッキと同じように、《アヴァシンの巡礼者》や《軽蔑された村人》といったマナ加速も充分に入っているので《高原の狩りの達人》や《ウルフィーの銀心》を手早く出すことができる。ハントは、3色デッキとのよくある対戦においては《ウルフィーの銀心》を出すまでに勝負は決まっているという。「位置取り競争をしている騎手のようなものだ。どちらもマナ・クリーチャーを8体ずつ入れていて、それを除去するための《火柱》も持っている。場合によっては《忌むべき者のかがり火》だってある。もう一つ考えられるのは《高原の狩りの達人》を速く出して変身させ、マナ・クリーチャーを除去することだけど、これはもう大差が付いた後の話だ。《情け知らずのガラク》でマナ・クリーチャーを倒すのもアリだね。変身したガラクに対処するのは大変だ。向こうにも同じ手があるだろうから、ガラクが狙っているクリーチャーを守るために《ケッシグの狼の地》を取っておくことも必要になる」

 サイドボードにも興味深い計画が詰まっていた。白赤人間と3色デッキへの対策として、《解放の樹》が入っているのだ。

「狼と天使」デッキに対するTeam Panikのデッキの真骨頂――《解放の樹》。

「一番の大技は、《解放の樹》の準備だ。仮想敵相手にはすごく有効で、これと《高まる残虐性》《ウルフィーの銀心》の相互作用も有用だ。《解放の樹》のタフネスを4点なり19点なり強化して、それから自分のライフと入れ替えてしまえばいい。さらに、無敵のブロック・クリーチャーにもなってくれる。テスト中には、3色デッキを相手にしたゲームの7割で《解放の樹》をタップしてライフを得るような局面に遭遇したんだ。《豊かな成長》4枚と《ネファリアの溺墓》しか戦場にない状態で、相手のライブラリーを削りきって勝ったこともある。目が飛び出るほど驚くだろうけど、本当のことだ」

 目が飛び出るかどうかはさておき、結果が物語っている。これがハントのリストだ。

マシアス・ハントの赤緑ケッシグ
プロツアー『アヴァシンの帰還』バルセロナ・イニストラード・ブロック構築
14 《森》
7 《山》
3 《ケッシグの狼の地》

-土地(24)-

4 《アヴァシンの巡礼者》
4 《軽蔑された村人》
4 《絡み根の霊》
1 《国境地帯のレインジャー》
4 《高原の狩りの達人》
4 《ウルフィーの銀心》

-クリーチャー(21)-
4 《豊かな成長》
3 《火柱》
1 《硫黄の流弾》
4 《忌むべき者のかがり火》
3 《情け知らずのガラク》

-呪文(15)-
4 《解放の樹》
3 《士気溢れる徴集兵》
3 《獰猛さの勝利》
2 《高まる残虐性》
2 《小悪魔の遊び》
1 《ネファリアの溺墓》

-サイドボード(15)-

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