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(特集記事)リミテッド全勝のプロに聞く

(特集記事)リミテッド全勝のプロに聞く

Josh Bennett / Translated by Kenji Tsumura

原文はこちら

 アヴァシンの帰還・ドラフトはプロフェッショナルな場でデビューをはたした。そしてアヴァシンの帰還・ドラフト6回戦を終えた後、6-0という完璧な成績を収めたプレイヤーはほんの僅かしかいなかった。私は6-0したプレイヤーの中から数名の有名なプレイヤーたちに、彼らのこの環境に対する思考と戦略を尋ねてみることにした。

 最初に話を聞いたのはチーム「ChannelFireball」に属し、エルフとコンボをこよなく愛する(訳注:グランプリ・オークランド2010)Matt Nassだ。

「とにかくデッキのマナカーブを低くすることが何よりも大切なんだ。可能な限り軽く。もしもそうできなかった場合、君に何かをする余裕はなくなる。この環境はまぎれもなく速い。」

 私は彼に色の強弱について聞いてみた。「青が最高の色だけど、黒以外ならどの色でもいい。たまには黒を使って良いデッキを作れることもあるけど、それには強力なアンコモン、とりわけ《人殺しの隠遁生活/Homicidal Seclusion》のようなカードが必要不可欠だ。」

アヴァシンの帰還・ドラフトにおける黒は弱々しいが、もしも《人殺しの隠遁生活》のような良質なアンコモンがあるのなら、黒も決して悪くはない。

 実際に彼はこの教訓を1回目のドラフトで活用しており、1パック目の中盤で《血のやりとり/Barter in Blood》が流れてきたことで彼は黒に参入した。彼の2回目のドラフトの初手は《枷霊/Fettergeist》でそこから環境最強色をドラフトできることを願ったが、2手目で緑のカードをピックしその後青の流れが悪いと察すると、彼は青から赤へと色を切り替え、最終的にマナカーブの美しい攻撃的なデッキを作りあげた。

「青が最良の色だとされるもうひとつの理由として、青には《一瞬の散漫/Fleeting Distraction》のようなサイクリングカードが大量に存在することが挙げられる。これにより通常よりも重要なカードを引ける確率が上がるからね。」

 横にいた中村 修平の力を借りて、私は日本代表争いのトップをひた走る渡辺 雄也に話を聞くことができた。彼はこの環境が好きだと言ったが、誰だって6-0したらその環境が好きになるものだ。

「イニストラード環境ほどではないにしろ、この環境は本当に速いです。基本セット2012に近いですね。青は最良の色ですが、今回に限らず青はいつでも強いですね。」 彼はそう言って笑った。「《霧鴉/Mist Raven》と《翼作り/Wingcrafter》がトップコモンです。僕は両方のドラフトでこれらを2枚取れましたが、本当に強かったですね。」

渡辺 雄也のピックは最も強力な青のコモンを指向した。

 私が彼に戦略的なアドバイスを求めると、彼はこう答えてくれた。「この環境には使用に値するカードがそんなに多くありません。あなたがプレイしたくないような、点数の低いカードがたくさんあります。そしてこれは全ての色に共通する事柄です。これが何を意味するかと言うと、ピックの際にもしもクリーチャーカードか非クリーチャーカードかで悩んでいる時は、僕は常にクリーチャーカードを優先するようにしています。非クリーチャーカードが少なくても問題はありませんが、クリーチャーカードは必須ですからね。」

「それと2マナ域のカードの枚数も非常に重要で、僕は2マナ域が5枚未満になったことはないですね。」 彼の1回目の「青赤」デッキも、2回目の「青黒」デッキもこれを反映していた。

 最後に、私は今しがた構築フォーマットでまたひとつ勝ち星を重ねたGaudenis Vidugirisをつかまえた。Gaudenisと彼のチームメイトが属するStarCityGames・Blackチームは、調整において多くのドラフトをこなしており、彼らにとって最も重要な成果は「赤白人間」の強さを認識できたことだった。「もしも欲しいカード何種類かが同時にまわってきた場合、《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt(AVR)》を後回しにした方がいいだろうけど、そこで《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt》を取るとしたら、君のデッキがすでに凄まじいほど強力な時だろう。それはまるでコンボデッキのような強力なデッキに仕上がる。良い知らせとしては、仮に《屋根職人の反乱/Thatcher Revolt》が取れなかったとしても、君のデッキは立派な「赤白」の攻撃的なデッキに仕上がるってことだ。」

 Vidugirisはこれを実行し、《クルーインの打撃者/Kruin Striker》や《暴動の首謀者/Riot Ringleader》で勝ち星を重ねた。「赤と白の強みは、環境的に1マナ域のカードが使用に値することだ。この環境にはタフネス1のクリーチャーがたくさんいるし、1マナ域のクリーチャーはそれらと容易に相打ちを取ることができる。例えば《大聖堂の聖別者/Cathedral Sanctifier》なんかは、何のシナジーがなくともデッキに入れる価値があるってことさ。」

 私は彼に遅いデッキはどうかと尋ねてみた。「遅いデッキを組むこともできるけど、それにはプランが必要だ。とりわけ緑の『結魂』クリーチャーのようなね。もしも攻撃的なデッキに対して十分な敬意を払っていない場合、君は負けることになるだろう。」

 私が黒は最も弱い色かと尋ねたところ、彼はそれに同意したが、黒を使った実用レベルのデッキも存在すると主張した。「人々は《人殺しの隠遁生活/Homicidal Seclusion》の強さには気付いているが、実際にはそれがなくても良いデッキは作れる。《流血の鑑定人/Bloodflow Connoisseur》のようなカードは一見大したことのないものに見えるが、何かと組み合わせることで恐ろしい力を発揮する。《骨の粉砕/Bone Splinters》もそういった類いのカードだし、《骨の粉砕/Bone Splinters》は良いカードだけれども信用を得られていない。時のらせん環境を思い出してみてほしい。Mike Hronは黒を狙っていたが、それは誰もが黒を嫌っていたことを逆手に取った戦略だった。そして彼はプロツアーで優勝した。このような状況は、私にそれを想起させる。」

 最後の質問は、渡辺が言及した使用に値するカードが不足していることについてだったのだが、彼はこれに同意した。「これにより、良いレアを引いたからといって色替えをするのは難しくなっているね。他の環境であれば、2パック目で良いレアを引いたならそこからその色に向い、最終的に十分な枚数のカードを手に入れられるだろう。だが私の考えではこの環境でそれを行うのは不可能だ。」

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