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(翻訳記事)準々決勝:煌き、瞬き、前へはばたき清水 直樹(日本・大阪) vs. Gaudenis Vidugiris(リトアニア)

(翻訳記事)準々決勝:煌き、瞬き、前へはばたき清水 直樹(日本・大阪) vs. Gaudenis Vidugiris(リトアニア)

Josh Bennett / Transtaled by Kenji Tsumura

原文はこちら

清水 直樹(Wolves and Angels) vs. ゴーデニス・ヴィドゥギリス/Gaudenis Vidugiris(Geists)

 清水 直樹は緊張と興奮の入り混じった表情で準々決勝の席に着いた。「これはあの時と同じ椅子なんです。」 彼はそう言ってその椅子を指し示した。「僕が最後のフィーチャーマッチで座っていたあの椅子と。」 彼はStanislav Cifkaとのその一戦に勝利し、トップ8の席にたどり着いた。これは彼にとって二度目となるプロツアー・サンデーだ。以前にトップ8に残ったプロツアー・オースティンでは3位に入賞し、世間に彼の名を知らしめた。彼が今週末にプレイしているのは、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》、《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》、そして《修復の天使/Restoration Angel》を軸に据えた一般的な「白緑赤」デッキだ。

 清水の対戦相手もまた、栄光のプロツアー・サンデーでのプレイ経験を持つ人物だ。Gaudenis Vidugirisは準々決勝でFabien Thieleに接戦の後に敗れたものの、ちょうど1年ほど前に名古屋で行われたプロツアーでトップ8を記録している。彼は今度こそ準々決勝の戦いを乗り越えられるはずだと期待している。Vidugirisは鬼才Sam BlackがチームStarCityGames・Blackのために創造し、このトーナメントで成功すると思われた「青緑白」のデッキを使用している。《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》、《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》、《幽体の飛行/Spectral Flight》、さらに《高まる残虐性/Increasing Savagery》がもたらす爆発力に対抗できるデッキは、この環境にほんのわずかしか存在しない。


清水 直樹とGaudenis Vidugirisの両者は再びプロツアー・サンデーの舞台に戻ってきた。

ゲーム1

 Vidugirisは予選ラウンドを1位で通過したために先手後手の決定権を持っており、それにより彼は先手を選んだ。Vidugirisは初手をキープしたが、清水はマリガン。シャッフルを終え6枚のカードを引きなおし、マリガンすべきか否かについて再考する清水は、集中と共に目を閉じた。そして深いため息と共にキープを宣言。

 Vidugirisは《森/Forest》と「スピリット」を宣言した《魂の洞窟/Cavern of Souls》からゲームを開始し、対する清水は《進化する未開地/Evolving Wilds》で《森/Forest》をサーチした後に、《断崖の避難所/Clifftop Retreat》と《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を追加する立ちあがり。Vidugirisはアンタップしてドローをすると、頭を抱えた。彼は3枚目の土地を置けなかったのだ。

 清水は《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》でアタックして1点のダメージを与え、2枚目の《断崖の避難所/Clifftop Retreat》をプレイする。Vidugirisはゆっくりとカードを引くと、なんとも言えないリアクションを見せた。彼の引いた《進化する未開地/Evolving Wilds》は、彼が呪文を唱えるまでにもう1ターンが必要なことを意味していた。彼は執行猶予を受けたものの、一方の清水も1点のアタックと3枚目の《断崖の避難所/Clifftop Retreat》を置くことしかできない。

 Vidugirisは《島/Island》を探し出すと、アンタップを経て《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》をキャスト。清水は2枚目の《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》と《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》を置くにとどまる。Vidugirisが2枚目の《島/Island》を探しあてると、清水に苦痛を与える準備が整った。4マナというのは、《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》に2枚の《幽体の飛行/Spectral Flight》を付けるのにうってつけだ。10点ものダメージが大空を駆け抜ける。そのような状況に直面してしまった清水は、アンタップすると即座にカードを片付けた。

《聖トラフトの霊》が大空を舞い、Vidugirisに準々決勝・初戦の勝利をもたらした。

清水直樹 0-1 Gaudenis Vidugiris

ゲーム2

 清水のデッキは再び協調することを拒み、彼にたった5枚の初手で戦うことを余儀なくさせた。

 どちらも《森/Forest》から《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を呼び出すスタート。清水がアタックするとVidugirisは《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》同士の交換を受け入れた。清水は《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》と《軽蔑された村人/Scorned Villager》と続ける。Vidugirisは《進化する未開地/Evolving Wilds》からマナを出せるようになる《豊かな成長/Abundant Growth》を持っており、そこから2枚目の《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》をキャストする。

 明らかに動きの悪い清水は、《森/Forest》を置いただけでターンを返し《軽蔑された村人/Scorned Villager》を「変身」させる。Vidugirisは《内陸の湾港/Hinterland Harbor》から《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》へと繋げた。カード枚数面で大きく劣る清水がアタックを敢行すると、Vidugirisはこの交換を喜んで受け入れた。そして清水は何もキャストすることができない。


清水が第2ゲームで厳しい手札につまづく一方で、Vidugirisは彼の優位を全面に押し出した。

 Vidugirisは代わりの《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》をキャストしてターンを返すと、清水は5枚目の土地を置けたが何もできず。Vidugirisは6点のダメージを叩き込み、勝利への道を確固たるものにすべく《解放の樹/Tree of Redemption》を戦場へ。清水はいまだに動くことが叶わず、続いて現れた《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》は清水に3本目への移行を決心させるに十分すぎるものだった。

清水直樹 0-2 Gaudenis Vidugiris

ゲーム3

 ついに清水は7枚の初手でゲームを開始することができた。彼は《森/Forest》から《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を呼び出すスタートを切ると、Vidugirisも《魂の洞窟/Cavern of Souls》で「人間」を宣言し、こちらも1ターン目に《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を。清水は《軽蔑された村人/Scorned Villager》と《進化する未開地/Evolving Wilds》を続ける。Vidugirisはドローをしてから1分ほど考えを巡らせ、最終的に《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》でのアタックを経て《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》をキャストしてターンを返した。清水は《進化する未開地/Evolving Wilds》から《山/Mountain》をサーチし、自身のターンに《忌むべき者のかがり火/Bonfire of the Damned》をX=1で唱えVidugirisの戦場を一掃する。さらに《軽蔑された村人/Scorned Villager》でアタックしてターンを終えた。

 Vidugirisは今度は「戦士」を宣言した2枚目の《魂の洞窟/Cavern of Souls》を置くのみでターンを終えると、清水の《軽蔑された村人/Scorned Villager》は《月傷の狼男/Moonscarred Werewolf(DKA)》へと姿を変える。これで2点のアタックをした後に追加の《軽蔑された村人/Scorned Villager》をキャストする清水。Vidugirisは《内陸の湾港/Hinterland Harbor》を置くのみでまたもターン終了。ここで清水は《修復の天使/Restoration Angel》を戦線に加えると、返すターンに全軍でアタック。Vidugirisは《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》をキャストして《月傷の狼男/Moonscarred Werewolf(DKA)》を打ち取るが、清水は《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》を追加してその穴を埋める。

 Vidugirisは5枚目の土地を置いて《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を戦場に送り込み、これを《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》と「結魂」させる。だが彼にとっては不幸なことに、ここまで出番を待ち望んでいた清水の《士気溢れる徴集兵/Zealous Conscripts》が《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を奪い去る。清水のアタックをなんとかチャンプブロックして1ターンの猶予を得たVidugirisだったが、それはただの時間稼ぎでしかなかった。

清水直樹 1-2 Gaudenis Vidugiris

ゲーム4

 両者ともに《進化する未開地/Evolving Wilds》からゲームを開始した。Vidugirisは《島/Island》をサーチし、《内陸の湾港/Hinterland Harbor》から《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》を。対する清水は《山/Mountain》をサーチし、《森/Forest》から《軽蔑された村人/Scorned Villager》を戦場に送り込む。Vidugirisは《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》で1点のアタックを行い、「スピリット」と宣言された《魂の洞窟/Cavern of Souls》の力を借りて《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》をキャストする。清水はこれに《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》で答え、物事が上手く運ぶように祈りをささげる。

 Vidugirisは《豊かな成長/Abundant Growth》を《島/Island》付ける以外に自身のターンにすることがないようで、《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》で1点のアタックをするのみにとどまる。清水は5マナをタップすると《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を戦場へ解き放ち、《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》と「組」にさせると、《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》と狼トークンでアタックを敢行。「瞬速」でキャストされた《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》が狼トークンを喰らうも、Vidugirisは6点のダメージを受ける。Vidugirisはアンタップすると《解放の樹/Tree of Redemption》を呼び出した。

 ここでようやく白マナを生み出すことのできる《断崖の避難所/Clifftop Retreat》をドローした清水。「組」になっている《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》と《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》でアタックを行い、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》こそブロックされたものの、Vidugirisのライフを8まで落とす。清水が一切の呪文を唱えずにターンを終えたため、彼の《軽蔑された村人/Scorned Villager》と《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》はそれぞれ「変身」し、《高原の荒廃者/Ravager of the Fells》がVidugirisに更なる2点のダメージを与える。

 Vidugirisは両手で頭を抱えながら、次にどうすべきかについて必死に考え込む。結局、彼は《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を唱え《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》と「組」にすることを選んだ。そして《不可視の忍び寄り/Invisible Stalker》と《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》でアタックを行うが、これは清水の思惑通りの展開だった。清水が4マナをタップして《修復の天使/Restoration Angel》を呼び出すと、これが《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》をアンタップした上で《修復の天使/Restoration Angel》と「結魂」する。7/8になった《修復の天使/Restoration Angel》が天使トークンを、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》が《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》を返り討ちにすると、清水の優位は揺るぎないものになった。

清水が繰り出した《ちらつき》と「結魂」の組み合わせは、物事を日本人プレイヤーにとって良いものへと好転させた。

 清水は返すターンに《高原の荒廃者/Ravager of the Fells》、《修復の天使/Restoration Angel》、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》でアタック宣言。Vidugirisは厳しい状況ながらも最善の策を模索し、《解放の樹/Tree of Redemption》で《高原の荒廃者/Ravager of the Fells》を受け止め、清水の《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》は自身の《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》でチャンプブロックすることに。Vidugirisは《解放の樹/Tree of Redemption》の能力を起動してライフを入れ替えたが、《修復の天使/Restoration Angel》のダメージを受けてライフは6に。清水は戦闘後に《軽蔑された村人/Scorned Villager》、そしてVidugirisを破滅へと導く《火柱/Pillar of Flame》をキャストし、《解放の樹/Tree of Redemption》を葬り去る。Vidugirisは最後のドローを確認した後に投了を宣言した。

清水直樹 2-2 Gaudenis Vidugiris

ゲーム5

 最終ゲームはカメラマッチで行われるため、両プレイヤーはしばしの待機を余儀なくされた。清水が席を立ったので、私はVidugirisに先ほどの決定的な場面について尋ねてみた。「もちろん《修復の天使/Restoration Angel》は頭をよぎったよ。《断崖の避難所/Clifftop Retreat》を引いた時の清水のリアクションを見ればなおさらね。ただし、彼が《ガヴォニーの居住区/Gavony Township》を起動できるようになったから喜んでいる可能性もあった。重要なことは、もし彼が《修復の天使/Restoration Angel》を持っていたらどの道俺が勝つのは難しかっただろうということさ。《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を《解放の樹/Tree of Redemption》と組にすることも考えたが、おそらくそれでは不十分だっただろう。もしも彼が《修復の天使/Restoration Angel》を持っていないと想定するなら、あれが最適な行動だったと思う。」

 彼らは他の対戦結果を確認し、Alex HayneがJon Finkelを、そして行弘 賢がDenniz Rachidを打ち負かしたことを知ると、清水は大きな拍手を送った。清水とVidugirisは再び彼らの席に着き、最終ゲームが開始された。

 Vidugirisは《森/Forest》と《島/Island》を並べ、清水は《進化する未開地/Evolving Wilds》から2ターン目に《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を戦場に。さらに2枚目の《進化する未開地/Evolving Wilds》を置いてターンを返した。Vidugirisは「戦士」と宣言された《魂の洞窟/Cavern of Souls》を置くだけでターンを終える。清水は《進化する未開地/Evolving Wilds》で2枚目の《森/Forest》を手に入れ、《山/Mountain》を置いてターン終了を宣言。するとVidugirisは《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》を「瞬速」でキャストした。

 4枚目の土地が置けないVidugirisは、《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》に《幽体の飛行/Spectral Flight》を纏わせ5点のダメージを与える。戦闘後に《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を追加してターンを終えようとすると、ここで清水は《修復の天使/Restoration Angel》を戦場に。清水は続くターンに《火柱/Pillar of Flame》で《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim》を除去しつつ4点のアタックを行い、《軽蔑された村人/Scorned Villager》を追加した。


第5ゲーム、清水の《修復の天使》の挙動により、Vidugirisとの接戦はさらに先の読めないものとなった。

 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》を引いたVidugirisはしばし考えを巡らせ、彼の選択肢について検討を重ねた。彼の《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》が2枚目の《幽体の飛行/Spectral Flight》身につけ清水を襲うと、清水のライフは8に。Vidugirisは2マナを起こしたままターンを返す。そして今度は清水が必死に考え込む番だ。彼は震える手で土地とクリーチャーから5マナを捻出すると、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》を呼び出し《修復の天使/Restoration Angel》と組にした。

 Vidugirisはアンタップすると椅子にもたれかかった。彼は計算に計算を重ね、次なる行動を決定しようと試みる。そして肩をすくめながら土地をタップすると、《ウルフィーの報復者/Wolfir Avenger》に《高まる残虐性/Increasing Savagery》をキャストした。《修復の天使/Restoration Angel》が身を挺して主を守り、清水に1ターンの猶予を与える。Vidugirisは勝利を感じ前がかりに座り直す。清水はアンタップすると、ゆっくりとカードを引いた。そして彼は顎に手をあて、考えを巡らせる。清水は《軽蔑された村人/Scorned Villager》をキャストし、《ウルフィーの銀心/Wolfir Silverheart》と「結魂」させてからアタック。Vidugirisのライフを8とし、《修復の天使/Restoration Angel》をキャストできるマナを残してターンを返す。

 様々な可能性を考慮しつつも、Vidugirisはアタックした。清水はそれ以上ブラフを引き延ばすことはせず、敗北を認め右手を差し出した。Vidugirisは安堵のため息をつくと共にかぶりを振ると、彼を応援していたプレイヤーたちと固い握手をかわした。

清水直樹 2-3 Gaudenis Vidugiris

 Gaudenis Vidugirisが3-2で準決勝進出!

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