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【観戦記事】 第13回戦:Reid Duke(アメリカ) vs. Jacob Wilson(カナダ)

【観戦記事】 第13回戦:Reid Duke(アメリカ) vs. Jacob Wilson(カナダ)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年10月17日

原文はこちら

リード・デューク/Reid Duke(エスパー・コントロール) vs.ジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilson(世界ランキング7位/ダーク・ジェスカイ)

 プロツアーの上位争いも、第13回戦を迎えて緊張感が増す。トップ8入賞の夢はこの試合にかかっているのだが、しかしリード・デューク、そして世界ランキング7位のジェイコブ・ウィルソンの両名にとっては、プロツアー後半の緊張感も慣れたものだ。両者とも、ここまで9勝3敗。ここで勝ちを譲る余裕はない。ここでの敗北はほとんどトップ8戦線からの離脱を意味し、勝てれば望みを繋ぐことができるだろう。

それぞれのデッキ

 ウィルソンは、すでにこの環境での地位を確立している――同時に恐れられてもいるデッキのひとつを手に戦いに臨んだ。『戦乱のゼンディカー』発売以来トーナメントを脅かし続ける「ダーク・ジェスカイ」は、この環境で唯一《カマキリの乗り手》と《はじける破滅》の両方を無理なく扱えるアーキタイプだ。その2枚の組み合わせはこの上なく危険であり、さらに《ヴリンの神童、ジェイス》をゲーム序盤に「変身」させる、後半には《オジュタイの命令》で墓地から戦場へ戻す、といったギミックも健在だ。

 ウィルソンのデッキがコントロール寄りのゲームでも「戦える」のに対して、デュークのデッキはその土俵で「戦う」ものだ。「エスパー・コントロール」に落ち着いたデュークは、このアーキタイプに付きものだったドラゴンの採用を控え、代わりに打ち消し呪文と除去呪文を満載した形を選んだ。《ヴリンの神童、ジェイス》を除けば、メイン・デッキに採用されたクリーチャーは2枚の《アラシンの僧侶》のみで、実質的なフィニッシャーは《精霊龍、ウギン》に頼ったものになっている(あるいは《次元の激高》を「覚醒」で唱える場合もある)。

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リード・デュークとジェイコブ・ウィルソンのデッキは、青白の2色では共通している。しかしこの戦いでは、それぞれの選んだ3色目が鍵となる大きな違いを生み出した。

ゲーム展開

 両プレイヤーとも2ターン目に《ヴリンの神童、ジェイス》をプレイし、鏡合わせに対峙したままゲームを進めた。

 先に「変身」したのはウィルソンの側。彼は続けて《カマキリの乗り手》を繰り出し、この試合最初のダメージを与えた。デュークも続けて《ヴリンの神童、ジェイス》を「変身」させようとしたものの、ウィルソンはここぞとばかりに《龍詞の咆哮》で排除し、盤面には《道の探求者》を加えた。

 デュークも《次元の激高》で盤面を一掃し、両者ともチャンスを掴ませない。デュークは《完全なる終わり》でウィルソンが新たに繰り出した《雷破の執政》を除去すると、さらにウィルソンのターンの終わりに《時を越えた探索》で手札を補充した。

 カード・アドバンテージの面ではデュークが優位に立ったものの、盤面はいまだにウィルソン側が有利だった。《束縛なきテレパス、ジェイス》が縦横無尽の活躍を見せ、ウィルソンはジェイスの助けを得ながらデュークに対処必須の脅威を送り込み続けた。まずは2枚目の《カマキリの乗り手》。それから《オジュタイの命令》で《道の探求者》を戦場へ戻す。ウィルソンがかけるプレッシャーは着実にデュークのライフを削っていき、やがてデュークは《オジュタイの命令》でライフを回復し、さらに《束縛なきテレパス、ジェイス》の[-3]能力を起動してライフ回復を繰り返さざるを得なくなった。

 そこに小さな隙を見出したウィルソンは、それを逃さず2枚目の《雷破の執政》を繰り出し、さらに《束縛なきテレパス、ジェイス》の最終奥義ではなく[-3]能力の方を起動して呪文を唱え、一気に畳みかけた。

 追い詰められたデュークは、逆転の一手を必要としていた。彼は《精霊龍、ウギン》をタップ・アウトで繰り出すと盤面を一掃し、残り忠誠度3で《精霊龍、ウギン》を戦場に残した。今度はウィルソンが、完璧な解答を用意する必要に迫られる。だが彼は肩を落とすことなく、《カマキリの乗り手》で《精霊龍、ウギン》を退場させ、再びゲームの天秤を戻した。デュークも負けじと2枚目の《精霊龍、ウギン》をプレイし、[+2]能力で《カマキリの乗り手》を除去する。

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そう、3点。《カマキリの乗り手》を墓地へ

 頼みの綱の《カマキリの乗り手》が除去されたウィルソンだったが、彼はそれでも懸命に戦いを続けた。しかしデュークはウィルソンの繰り出す脅威を捌きながら《精霊龍、ウギン》でライフを攻めていく。間もなくして、両者は2ゲーム目へ移ることになったのだった。

「《束縛なきテレパス、ジェイス》の奥義を使っておくべきでした」と、ゲームの合間にウィルソンは自身の判断を悔やんだ。

 1ゲーム目を長引かせてしまったウィルソンだが、除去を揃えられてゲーム後半のアドバンテージを取られないように、デュークのライフを早い段階から攻める必要があることは理解していた。そして、2ゲーム目の初手はまさにそれを実現できるものだった――2体の《道の探求者》が、4ターン目までにデュークのライフを12点まで落とし込む。《束縛なきテレパス、ジェイス》がクロックを和らげる助けになったものの、《カマキリの乗り手》と《ジェスカイの魔除け》の攻勢を受けたデュークは残りライフわずか5点まで追い詰められ、致命打に加えて《束縛なきテレパス、ジェイス》までいる盤面と向き合うことになった。

 その状況を救ったのは、またもや《次元の激高》だった。盤面を一掃し時間を稼いだデュークは、《束縛なきテレパス、ジェイス》の[-3]能力で《オジュタイの命令》を再び唱え4点のライフ回復とカード1枚を手に入れると、猛攻から生き延びる道を探る。

 だがウィルソンは、デュークがライフを得たことを気に留めなかった。彼は盤面を作り直し、デュークが《束縛なきテレパス、ジェイス》から再び《次元の激高》を唱えるとそれを《軽蔑的な一撃》で弾き、デュークのライフを残り3点まで落とした。3点、つまり《カマキリの乗り手》で即座にゲームが終わる点数だ。

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このマッチアップでは「攻める側」に回ったウィルソン。デュークの「エスパー・コントロール」を前に手をこまねくことはできない

 ウィルソンは《カマキリの乗り手》よりさらに強力な1枚を持っていた。《嵐の憤怒、コラガン》を「疾駆」で繰り出し、強力な軍勢をデュークへ差し向ける。だがデュークはここでも、完璧な解答を持っていた。2枚の《正義のうねり》が《カマキリの乗り手》と《嵐の憤怒、コラガン》を除去し、ライフも7点に戻して無事ターンを迎えたのだ。

 これが決め手となった。そこからは、まさに典型的な「エスパー・コントロール」の流れだ。《残忍な切断》が《道の探求者》を除去し、そして《オジュタイの命令》が《雷破の執政》を打ち消しつつ《ヴリンの神童、ジェイス》を戦場に戻した。やがて時が満ちるとデュークは《精霊龍、ウギン》を唱え、ウィルソンはデュークの勝利を祝して右手を差し伸べるのだった。

デューク 2−0 ウィルソン
Reid Duke - 「エスパー・コントロール」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 / スタンダード
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《島》
3 《魔道士輪の魔力網》
3 《大草原の川》
3 《窪み渓谷》
2 《吹きさらしの荒野》
1 《血染めのぬかるみ》
1 《精霊龍の安息地》
1 《平地》
1 《乱脈な気孔》
1 《沼》

-土地(27)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《アラシンの僧侶》

-クリーチャー(6)-
4 《意思の激突》
3 《究極の価格》
2 《予期》
2 《風への散乱》
4 《オジュタイの命令》
2 《完全なる終わり》
2 《次元の激高》
1 《残忍な切断》
4 《時を越えた探索》
2 《精霊龍、ウギン》
1 《宝船の巡航》

-呪文(27)-
2 《払拭》
2 《強迫》
3 《正義のうねり》
2 《アラシンの僧侶》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《深水の大喰らい》
1 《否認》
1 《残忍な切断》
2 《龍王シルムガル》

-サイドボード(15)-
Jacob Wilson - 「ダーク・ジェスカイ」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 / スタンダード
4 《血染めのぬかるみ》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《山》
3 《神秘の僧院》
2 《大草原の川》
2 《燻る湿地》
1 《進化する未開地》
1 《島》
1 《平地》
1 《窪み渓谷》

-土地(26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《道の探求者》
4 《カマキリの乗り手》
4 《雷破の執政》
2 《嵐の憤怒、コラガン》

-クリーチャー(17)-
2 《焦熱の衝動》
1 《払拭》
1 《乱撃斬》
4 《龍詞の咆哮》
4 《はじける破滅》
1 《ジェスカイの魔除け》
1 《オジュタイの命令》
1 《残忍な切断》
2 《宝船の巡航》

-呪文(17)-
2 《払拭》
1 《竜使いののけ者》
1 《強迫》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《見えざるものの熟達》
2 《正義のうねり》
1 《手酷い失敗》
1 《勇敢な姿勢》
1 《オジュタイの命令》
1 《隔離の場》
1 《黄金牙、タシグル》

-サイドボード(15)-

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