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【戦略記事】 デッキテク:クリスティアン・カルカノとパスカル・メイナードの「青黒アリストクラッツ」

【戦略記事】 デッキテク:クリスティアン・カルカノとパスカル・メイナードの「青黒アリストクラッツ」

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Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年10月17日

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 プロツアー『戦乱のゼンディカー』に臨むプレイヤーの多くが、メタゲームは固まったものだと確信していたことだろう。「アタルカ・レッド」や「緑白『大変異』」、そして「ダーク・ジェスカイ」といったデッキは、前哨戦でもすでに支配的な活躍を見せていた。ほとんどのチームがそれらのアーキタイプのどれかに落ち着き、すでに活躍しているデッキに託すことにしたのだ。だがそんな中で、チーム「TOGIT」のメンバーたちは、ほとんどのプレイヤーが研究を進めなかった新しく刺激的な戦略に挑み、一からデッキを組み上げたのだった。

 恐らく、《ズーラポートの殺し屋》を用いたデッキ自体は、多くのチームが少なからず試したことだろう。その戦略における最適な色の組み合わせは「黒緑」であることが明白に思われた。だが黒緑の形はプロツアーを戦うにはやや力不足で、多くのチームは別のデッキの研究へと移った。しかしチーム「TOGIT」は《ズーラポートの殺し屋》を用いたデッキの研究をさらに進め、ついに「青黒」の組み合わせが他の色より効果的にこのカードを使えることを見つけ出したのだ。

 チーム「TOGIT」謹製、「青黒アリストクラッツ」をご覧いただこう!

Christian Calcano - 「青黒アリストクラッツ」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 / スタンダード
8 《沼》
1 《島》
3 《窪み渓谷》
4 《汚染された三角州》
4 《血染めのぬかるみ》
2 《溢れかえる岸辺》
1 《領事の鋳造所》

-土地(23)-

4 《血に染まりし勇者》
4 《シディシの信者》
4 《搭載歩行機械》
4 《スゥルタイの使者》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《異端の癒し手、リリアナ》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
4 《つむじ風のならず者》

-クリーチャー(32)-
1 《吸血の儀式》
4 《残忍な切断》

-呪文(5)-
2 《魂の略奪者》
3 《強迫》
1 《吸血の儀式》
3 《軽蔑的な一撃》
2 《究極の価格》
1 《否認》
3 《完全無視》

-サイドボード(15)-

 私はクリスティアン・カルカノ/Christian Calcanoに時間を割いてもらい、この新しく刺激的なアーキタイプについて話を聞いた。

 カルカノは、チームが作り上げた破天荒なデッキについて喜んで話してくれた。「まず何より、僕らのデッキの動きが誰もわからないことだね。デッキ自体が強いのはもちろんだけど、そのプランの独特さが合わさることで一気に強力なものになる。デッキの動きがわからないから、対戦相手が頻繁にミスを起こすようになるんだ」

 この「青黒アリストクラッツ」には特に面白い相互作用がいくつもあるんだ、とカルカノは喜々として続ける。「《ナントゥーコの鞘虫》と《つむじ風のならず者》が揃えば大量のダメージを与えることができ、一気に対戦相手を倒したことも何度もあった。《つむじ風のならず者》で《ナントゥーコの鞘虫》をブロックされない状態にしてからクリーチャーをすべて生け贄に捧げてやれば、致命打を通すことができるんだ。このデッキに潜む『魔物』は《ナントゥーコの鞘虫》さ。こいつは相手に解答を迫り、対処できないままターンを与えてしまえば敗北必至だ」

 このデッキはまた、《異端の癒し手、リリアナ》を用いるデッキとしても、これまで私たちが目にした中で最高のものであると言えるだろう。このデッキでは《異端の癒し手、リリアナ》を「変身」させるのが容易で、こちらは《血に染まりし勇者》のようなカードを捨てながら対戦相手の手札を攻めることができるのだ。「《異端の癒し手、リリアナ》は簡単に『変身』するし、墓地のクリーチャーを戦場に戻す能力も他のどのデッキよりうまく使えるだろうね」と、カルカノは言う。「《反抗する屍術師、リリアナ》の能力を[-1]で起動するだけで《シディシの信者》を戦場に戻すことができ、対戦相手の脅威をバウンスできる。しかもその過程でライフ・ドレインまでできるんだ」

 このデッキはまた、スタンダードで最も目覚ましい活躍を見せるカードのひとつである《搭載歩行機械》も他のデッキよりはるかに有効に使えている。「このデッキの《搭載歩行機械》はすごいよ!」と、カルカノは声を大にして言った。「《シディシの信者》に《ナントゥーコの鞘虫》、《つむじ風のならず者》。デッキの3分の1が《搭載歩行機械》と噛み合うんだ。しかも《搭載歩行機械》はそれ自身もまったくもって最高のカードだからね」

 と、ここでカルカノは「このデッキを作ったのはパスカル・メイナード/Pascal Maynardだから、このデッキの相互作用を全部知りたかったら彼を探すといいよ」と言い残して、次の試合へと駆けていった。

 私はメイナードを見つけ出し、このデッキの相互作用をひと通り教えてくれ、と頼んだ。彼は「大丈夫? けっこう複雑だけど!」と、笑顔を見せた。「まず《ズーラポートの殺し屋》が戦場にあれば、《シディシの信者》で自分を戻して何度も唱え直し、他のクリーチャーを生け贄に捧げることで青マナの続く限り対戦相手のライフを吸い取ることができる」

 この相互作用は、また別の相互作用を使う際の「サクリ台」にもなるだろう。

「それから、《ズーラポートの殺し屋》が戦場にある状態で《反抗する屍術師、リリアナ》の能力を[0]で起動すると、《搭載歩行機械》が戦場に戻ってすぐに墓地へ行き、対戦相手のライフを吸い取れる」と、メイナードは続けた。「また、《搭載歩行機械》をX=0で唱えて《異端の癒し手、リリアナ》をすぐに『変身』させることもできるね」

 これは《異端の癒し手、リリアナ》の除去耐性のなさを補い、また《シディシの信者》や《ナントゥーコの鞘虫》を用意せずとも能動的に「変身」ができるようになる。

「そして、《シディシの信者》で《つむじ風のならず者》をバウンスしてプレイし直せば、クリーチャー・トークンを追加できる」と、メイナードはさらに続けた。「『予示』した《搭載歩行機械》を0マナで表向きにすれば、《異端の癒し手、リリアナ》を『変身』させたり対戦相手のライフを奪ったり、《残忍な切断》のコストを下げることもできる。『予示』クリーチャーが《残忍な切断》や《搭載歩行機械》だったら、《シディシの信者》で手札に戻すのもいいね」

 数えきれないほどの相互作用を持つこのデッキは、恐らくスタンダードで最も複雑なものだろう。やや精神的に消耗するデッキだが、間違いなくそれに見合う強さを持っているのだ。

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