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【観戦記事】 準決勝:玉田 遼一(日本) vs. Jon Finkel(アメリカ)

【観戦記事】 準決勝:玉田 遼一(日本) vs. Jon Finkel(アメリカ)

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Adam Styborski / Tr. Takuya Masuyama

2015年10月18日

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玉田 遼一(ジェスカイ)vs.ジョン・フィンケル/ Jon Finkel(ダーク・ジェスカイ)

 断固たる殿堂顕彰者、ジョン・フィンケル/Jon Finkelは、同じように素晴らしき準々決勝の対戦相手、世界ランキング18位であり同じく殿堂顕彰者であるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaを容易く下した。彼は準決勝へ進み、その華々しい経歴にさらなるプロツアーの勝利を加えることに一歩近づいた。

 そのためには、彼は玉田 遼一の進撃を止めねばならない。日本のマジック・コミュニティで高い評価と注目を受けていることで知られる玉田は、2回のグランプリトップ8や日本国内での優秀な成績を多数残している。彼の国の人たちは、彼がこのゲームで今まで競ってきた最も偉大な2人の伝説的プレイヤーである渡辺 雄也や津村 健志に並び立つと感じている。

 玉田にとって、彼の初のプロツアートップ8を優勝で飾ることは、日本では既に知られているその力量の認識を世界的なものとすることになるだろう。

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マジックの伝説、対するは世界の舞台に立った日本の古豪。玉田がワールド・マジック・カップに向けてその戦績に花を添えるのか、それともフィンケルがその経歴への新たな勝利の追加に一歩近づくのか?

デッキ

 双方のプレイヤーが《カマキリの乗り手》《焦熱の衝動》、そして最も重要な《ヴリンの神童、ジェイス》を同じくするジェスカイ・デッキを使っているが、最終的な取り組み方は劇的に分岐している。

 玉田のデッキは伝統的なジェスカイで完結している。《ジェスカイの魔除け》のようなカラフルなカードや《道の探求者》のようなアグレッシブなクリーチャーを使い、玉田のデッキは対戦相手に速やかに圧力をかけ、それを十分数の打ち消し呪文、除去、火力で支える。《宝船の巡航》は最適な呪文を再装填し、そしてこのデッキの要求する難しいマナの制限をいくらか緩和してくれる。

 フィンケルのダーク・ジェスカイは、いつもの面子に続いて《はじける破滅/Crackling Doom》や《黄金牙、タシグル》を使うための黒マナを『戦乱のゼンディカー』の2色土地を使って手に入れている。《時を越えた探索》は、《オジュタイの命令》や《コラガンの命令》のようなあらゆる状況で回答に近い柔軟で強力なカードでフィンケルの手札を満たす助けになる。

ゲーム展開

 フィンケルが1ゲーム目の主導権を握り、2ターン目に《ヴリンの神童、ジェイス》を着地させる。このマッチアップでの致命的なこのカードは、フィンケルにより多くのカードをもたらし、さらには墓地からの「フラッシュバック」という形で脅威となる。

 玉田が2ターン目にプレイした《道の探求者》は、アグレッシブな序盤を目指して進み始めた。フィンケルの《乱撃斬》がそれを防ぐ。玉田は《カマキリの乗り手/Mantis Rider》を繰り出すが、ジェイスの起動型能力で《はじける破滅》を捨てたフィンケルの選択によって、彼の唱えた《焦熱の衝動》が魔巧を達成し3点のダメージを与えた。

 ジェイスはフィンケルの次のターンに変身し、さらに《黄金牙、タシグル》が登場する。玉田は2枚目の《カマキリの乗り手》で応じ、フィンケルが動く前に《束縛なきテレパス、ジェイス》の忠誠度を3へと下げた。《龍語りのサルカン》がフィンケルの応援に駆けつけ、玉田のライフを9点まで落とし込む。

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フィンケルは最高のプレイヤーの1人であり、現在もなおプロツアーのトップを競う1人である。

 玉田は《カマキリの乗り手/Mantis Rider》と《ジェスカイの魔除け》で《龍語りのサルカン》を追い払うと、《ヴリンの神童、ジェイス》を出す。フィンケルは《黄金牙、タシグル》で攻撃し、《はじける破滅》を「フラッシュバック」して玉田のライフをわずか2まで追い込んだ。《魂火の大導師》が次の攻撃が止めとなることを確実にしようとしていた。

 玉田は《ヴリンの神童、ジェイス》を《束縛なきテレパス、ジェイス》に変身させ、手札を増やすために《宝船の巡航》を唱えた。玉田は《道の探求者》でブロックすることを宣言すると、《ジェスカイの魔除け》で《黄金牙、タシグル》をフィンケルのライブラリーの一番上に戻す。フィンケルはブロックを強制して、《黄金牙、タシグル》を呼び戻す。

 もう1枚の《ジェスカイの魔除け》が《黄金牙、タシグル》をライブラリーに戻し、玉田は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で2/2騎士・同盟者・トークンを出す。フィンケルは《黄金牙、タシグル》を出し直し、止めの《乱撃斬》のために《束縛なきテレパス、ジェイス》の忠誠値を3に上げた。

 玉田はジェイスを使い切り《黄金牙、タシグル》をまたまたライブラリーの上に戻し、《焦熱の衝動》で《魂火の大導師》を除去、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で攻撃してフィンケルの《束縛なきテレパス、ジェイス》を倒す。もう1枚の《道の探求者》は次のターンに玉田がライフを得るための手段だ。

 より重要なことは、玉田が首尾良くフィンケルの戦場を空にしたことだ。

 自分のターンに何もせず、フィンケルは《時を越えた探索》のためのマナを残した。玉田はギデオンの紋章を得て《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を張り替える。次のターンには7点のダメージを与えて、ライフを6点まで押し上げた。

 フィンケルは《カマキリの乗り手》を繰り出し、玉田のライフを3まで落としてターンを返した。今回は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も攻撃に加わり、フィンケルはその致命的な攻撃をブロックする。

 フィンケルのターン、絶妙のタイミングでもう1枚の《カマキリの乗り手》が姿を現した。そして何も対応はなく、玉田の反撃はあと一歩届かなかったのだった。

 第2ゲームは再びフィンケルから2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》が登場し、それが3ターン目の《強迫》を呼び込んで玉田の《ジェスカイの魔除け》を取り去った。玉田の《カマキリの乗り手》がダメージを与える前に《焦熱の衝動》で除去し、フィンケルはアンタップしてジェイスを変身させて《強迫》を「フラッシュバック」、今度は《龍語りのサルカン》を手札から落とした。

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玉田はこの日の最高のプレイを見せ、この週末すぐにファンを獲得した。

 《見えざるものの熟達》は玉田のサイドボード・カードであり、そしてその能力はクリーチャーを生み出し、さらにはライフも獲得する。フィンケルは確実に予示クリーチャーを生み出していく玉田にターンを返すだけだった。玉田は戦線を広く展開し、続くターンにさらに予示して攻撃を繰り返し、《束縛なきテレパス、ジェイス》の忠誠値を致命的な3から遠ざけた。

 8マナを並べたフィンケルは、無色の2/2を作り続ける玉田に何かを期待しているように見えた。殿堂顕彰者が《光輝の炎》で行動を起こす前に、次の攻撃で《束縛なきテレパス、ジェイス》がついに倒される。玉田はまたフィンケルのターンの終わりに展開をやり直すだけだ。玉田は《見えざるものの熟達》のためにマナを残し、フィンケルに行動を迫る。フィンケルのサイドボードである《影響力の行使》は玉田の考慮に入っていた。

 その通りに事は起こったが、玉田はさらに予示するプランを維持し続けた。《コラガンの命令》が予示クリーチャーを倒して、フィンケルは回収した《ヴリンの神童、ジェイス》を再びプレイした。玉田の予示の進軍は新しいジェイスへの《絹包み》による中断を挟んで引き続き行われた。《はじける破滅》がフィンケルへの2点ダメージを防ぐが、玉田に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を呼び出す余地を残してしまった。

 《龍語りのサルカン》と《乱撃斬》が《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に仕事をさせないが、これによりフィンケルの手札はとうとう空になってしまった。2枚の《カマキリの乗り手/Mantis Rider》が先ほどのフィンケルのサルカンにお返しをした。次のフィンケルのターンに《コラガンの命令》がブロックとの合わせ技で《カマキリの乗り手》を1体除去したが、それは依然として、フィンケルがライブラリーの一番上からの別の脅威に対して対応し続けなければならないことを意味していた。

 玉田の2枚目の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が、ブロックされなければ次のターンで止めを刺すことを約束した。フィンケルは最後のあがきに《黄金牙、タシグル》を出したが、それは《軽蔑的な一撃》された。

 いくらかの我慢を要したが、玉田はついにスコアをイーブンに戻した。

 3ゲーム目にはフィンケルの2ターン目《ヴリンの神童、ジェイス》は見られなかったが、彼は《焦熱の衝動》を玉田の2ターン目に出した《搭載歩行機械》に撃ち込んだ。3ターン目の《黄金牙、タシグル》はフィンケルの代わりに仕事をするだろう。

 《勇敢な姿勢》がこの強力なシャーマンを破壊したが、フィンケルは2枚目を繰り出した。玉田も同じく2枚目の《勇敢な姿勢》をプレイし、《見えざるものの熟達》を自軍に加えた。今度は《完全なる終わり》が何も予示させなかったが、《風番いのロック》が同じように場を制圧した。

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シャッフル時に顔を背ける玉田

 強力な呪文もついに底をついてしまった。フィンケルは首を振りながら《竜使いののけ者》をプレイする。ドロー時の観衆のざわめきとともに、玉田はプレイを早め始めた。

「好かない音だ」とフィンケルは言った。

 《龍語りのサルカン》が《竜使いののけ者》に語りかけ――入ってくるな、と――そして玉田の攻撃によりフィンケルのライフは9まで落ち込んだ。2枚目の《竜使いののけ者》は次の玉田の止めの攻撃に対して十分な回答とはならなかった。

「これと土地しか引いてない」と《竜使いののけ者》を指してフィンケルは言った。他のデッキを打ち破ってきたこのテク・カードは、この場で彼が必要としたものではなかった。

 玉田の仲間たちがフィーチャー・エリアの端に再結集し、彼のプロツアー『戦乱のゼンディカー』決勝進出を祝福した。

 日本のために玉田が脚光を浴びる時が訪れたのだ。

玉田 遼一が2勝1敗でジョン・フィンケルを破って決勝進出!
玉田 遼一 - 「ジェスカイ」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 トップ8 / スタンダード
2 《平地》
1 《島》
2 《山》
2 《大草原の川》
1 《燃えがらの林間地》
1 《梢の眺望》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《樹木茂る山麓》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《神秘の僧院》
1 《シヴの浅瀬》

-土地(24)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《道の探求者》
4 《カマキリの乗り手》
4 《搭載歩行機械》

-クリーチャー(16)-
4 《焦熱の衝動》
4 《勇敢な姿勢》
1 《絹包み》
4 《ジェスカイの魔除け》
3 《宝船の巡航》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(20)-
2 《アラシンの僧侶》
1 《風番いのロック》
2 《引き裂く流弾》
1 《払拭》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《見えざるものの熟達》
2 《正義のうねり》
1 《焙り焼き》
1 《絹包み》
1 《龍語りのサルカン》

-サイドボード(15)-
Jon Finkel - 「ダーク・ジェスカイ」
プロツアー『戦乱のゼンディカー』 トップ8 / スタンダード
1 《平地》
1 《島》
2 《山》
1 《沼》
2 《大草原の川》
1 《窪み渓谷》
1 《燻る湿地》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《神秘の僧院》
1 《遊牧民の前哨地》

-土地(26)-

1 《竜使いののけ者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《魂火の大導師》
4 《カマキリの乗り手》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(14)-
2 《払拭》
2 《焦熱の衝動》
2 《乱撃斬》
4 《はじける破滅》
3 《コラガンの命令》
3 《オジュタイの命令》
1 《完全なる終わり》
2 《時を越えた探索》
1 《龍語りのサルカン》

-呪文(20)-
1 《竜使いののけ者》
3 《アラシンの僧侶》
1 《フェリダーの仔》
2 《強迫》
3 《軽蔑的な一撃》
1 《焙り焼き》
2 《光輝の炎》
2 《影響力の行使》

-サイドボード(15)-

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