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【観戦記事】 第7回戦:抹消 Reid Duke(アメリカ) vs. 三原 槙仁(日本)

【観戦記事】 第7回戦:抹消
Reid Duke(アメリカ) vs. 三原 槙仁(日本)

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Blake Rasmussen / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年2月21日

原文はこちら

リード・デューク/Reid Duke(世界ランキング3位/黒緑ミッドレンジ) vs. 三原 槙仁(世界ランキング13位/キキ・ポッド)

 世界ランキング13位、三原槙仁の試合前、その舞台では「『キキ・ポッド』デッキを使う三原がとんでもないことを次々とやってのけている」という噂話がささやかれていた。そのうちのひとつを拾ってみると、対戦相手が《差し戻し》を「撃ってしまった」ばっかりに、三原は2枚の《召喚の罠》を繰り返し撃ち込み、戦場が空の状態から突然コンボを決めたという。

 世界ランキング3位のリード・デュークと対峙し、フィーチャー・マッチ席へ座る三原。この世界王者経験者に先ほどの噂の真偽を尋ねると、彼は「その通り」とはっきり答えてくれた。1枚目の《召喚の罠》で《呪文滑り》を繰り出し、2枚目で《永遠の証人》を引き当てると《召喚の罠》を回収。回収した《召喚の罠》は《修復の天使》をもたらし(《永遠の証人》を「明滅」させ、再び《召喚の罠》を回収する)、すると最後の1発で《鏡割りのキキジキ》を引き込み、コンボが揃ってしまったのだ。

 これだけのエピソードを聞いてもこの試合への期待が高まらないなら、もう私にできることはないかな。

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世界ランキング13位、三原槙仁と世界ランキング3位、リード・デュークの対決。果たして、元世界王者はデュークの緑と黒の呪文に打ち勝ち、《出産の殻》が勝利を呼び寄せるだろうか?

 おっと、そういえばスーパー・スターにしてヘア・モデル、世界で一番のナイス・ガイであるリード・デュークと、それから三原のここまでの成績はご存知だろうか? 現在両者とも4勝2敗で、2日目進出は確実だとここで言っておこう。

それぞれのデッキ

 ビッグネーム対決となった今回のマッチアップだが、これは同時に今大会で最も精鋭が揃った2チームの戦いでもある。デュークが在籍するチーム「ChannelFireball」――「万神殿」と、三原が所属する「チーム・ジャパン」の2チームだ。デュークは彼が信頼を置いている緑絡みのミッドレンジ・デッキにこだわった。妨害手段と除去と強烈な脅威が満載の、「ジャンドの流れを汲む黒緑」だ。三原はもちろん、先ほど述べた通りナヤ・カラーの「キキジキ・ポッド」。多くのプレイヤーが「メリーラ・ポッド」を選択したため、すっかり影に隠れてしまった感はある。

 だがしかし、三原は「多くのプレイヤー」側ではない。そして、あえて繰り返そう、デュークも「多くのプレイヤー」側ではないのだ。

ゲーム展開

 デュークが初手に放った《コジレックの審問》は、《修復の天使》、《出産の殻》、《鏡割りのキキジキ》、《士気溢れる徴集兵》、《炎樹族の使者》と、土地が薄くきわどい手札を公開した。《コジレックの審問》で捨てさせられる序盤の呪文がひとつだけ、という手札だ。戦場に繰り出していた《貴族の教主》を《突然の衰微》で除去されると、三原は土地を強く求め、デッキがこれに応えた。

 一方デュークは《タルモゴイフ》を続けて展開し、ビートダウンを敢行する。三原の《出産の殻》が彼のデッキから厄介なものを引っ張り出してこないうちに、ゲームを終わらせるつもりだ。

 盤面で完全に遅れを取り、パワー4の《タルモゴイフ》2体と複数の《樹上の村》を相手にする三原。大きく息を吸うと、どうにか死なない方法を探し出そうとする。

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この状況で勝利への道を見つけ出せる者がいるとするなら、それは世界選手権2006王者の三原に他ならない。

 やがて、三原はひとつの回答へ至る。《炎樹族の使者》から《修復の天使》と繋げ、《出産の殻》で事態の打開を図ったのだ。が、しかし、《殺戮の契約》がコンボの芽を潰し、デュークは続くターンで投了を迫ったのだった。

 第2ゲームも、デュークは再び手札破壊からスタートした。公開された三原の手札には、《出産の殻》2枚、《呪文滑り》、《修復の天使》、そして土地が2枚......さらにその片方は《ニクスの祭殿、ニクソス》! スタンダードの「緑単信心」系デッキの先駆者である三原は、モダンでもこの『テーロス』のレア土地から離れることはなかったのだ。

 デュークは続くターンに《闇の腹心》をプレイしたが、手札破壊も除去も手に入らない。三原は《出産の殻》の起動を始め、《極楽鳥》を《幻影の像》へ変えるとこちらも《闇の腹心》を手に入れた。しかしこの「幻影の腹心」はすぐ《大渦の脈動》の対象に取られ、戦場から消えていった。これでデュークがまた一歩優位を奪う。

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今週末、リード・デュークは安心してモダンを戦える色を持ち込んだ――黒と緑だ。

 それでも、三原の戦場には《出産の殻》がある。続くターン、彼は《修復の天使》を構え、そこからどんな動きでもできた。

 ここでゲームの盛り上がる瞬間が訪れる――デュークはすべての解答を持っていたのだ。《修復の天使》には《死の印》を当て、《殺戮の契約》が《詐欺師の総督》を除去し、そして《闇の腹心》が......《ファイレクシアの抹消者》をめくった!

 だが三原もまだ手は尽きない。彼のデッキは実際に、どこからでもとんでもない動きが始まるのだ。今回は《根の壁》から《台所の嫌がらせ屋》、さらに《残忍なレッドキャップ》へと繋がり、とうとう《闇の腹心》を除去した。この動きで三原はライフを11まで取り戻した。

 そう、三原は瞬く間にライフを回復するのだ! これが《出産の殻》の、いや《出産の殻》ふたつの力だ。

 デュークの《ファイレクシアの抹消者》が三原のライフを6まで押し込むが、その後は2体目の《ファイレクシアの抹消者》を繰り出すのみ。2マナ立たせてターンを渡した。

 つまり、《出産の殻》ふたつに《残忍なレッドキャップ》が戦場にある状態で、三原がターンを迎えるということだ。この1ターンは極めて危険だ。

 そして三原は期待以上の動きを見せた。

 ひとつ目の《出産の殻》から《士気溢れる徴集兵》が飛び出し《ファイレクシアの抹消者》を奪うと、ふたつ目の《出産の殻》が《残忍なレッドキャップ》から《鏡割りのキキジキ》を持ってきた。《鏡割りのキキジキ》が《ファイレクシアの抹消者》をコピーし、突然13点ものダメージを叩き出したのだ! ひと目で即死級であるとわかるダメージを受けるデューク。三原のデッキには驚かされるばかりだ。

 そう、驚き。第3ゲームの三原のキープをうまく伝えるなら、「驚き」のひと言だった。デュークの《思考囲い》が、三原自身も「あれは良くない」と言っていた、ええと、興味深いハンドを公開したのだ――その内容は《鏡割りのキキジキ》2枚、《修復の天使》、《出産の殻》、《森》、《ニクスの祭殿、ニクソス》2枚、というものだった。よく言われる「緩いキープ」だ。

 《思考囲い》は当然《出産の殻》を抜き去り、続いて現れた《ヴェールのリリアナ》が、さらに数ターンほどで手に負えないものになった。

 2枚目の《思考囲い》が公開した三原の手札にも、唱えられるクリーチャーはなかった。デュークの手札も《ヴェールのリリアナ》の忠誠度が上がるにつれて減っていくが、彼女は最終奥義に向けて着々と力を貯めていた。

 三原は視線を落とし戦場から背けた。それでも、祈りを込めてデッキに問いかける。もはや実質ラスト・ターンだが、《台所の嫌がらせ屋》が欲しいな、と。

 すると、デッキは見事に応え、当然のように《台所の嫌がらせ屋》を三原へ届けた。

 一方デュークは、息切れを起こしていた。彼がなんとか盤面を維持しようと《ヴェールのリリアナ》を駆使する中で、三原のドローは復調し、《漁る軟泥》を引き込むと展開を続けた。

 デュークはたまらず《ヴェールのリリアナ》の最終奥義を発動。《漁る軟泥》と土地1枚、それから「頑強」済みの《台所の嫌がらせ屋》と土地2枚という風に三原の盤面を分ける。三原は残る枚数が多い方を選んだものの、《台所の嫌がらせ屋》は《殺戮の契約》で失われてしまった。しかしそれでも、彼は勝利への鍵となる《出産の殻》を戦場へ通した。

 ここでデュークが頼みの綱の《闇の腹心》を戦場へ送り込んだ。《ヴェールのリリアナ》が再び、恐ろしい音を立てて忠誠度カウンターを載せ始める。

 2枚目の《闇の腹心》とさらに《漁る軟泥》が、このゲームにおけるデュークの大幅な優位をもたらした。《詐欺師の総督》は《殺戮の契約》でほとんど何もさせずに抑えたが、三原の繰り出すクリーチャーは、そのすべてがとんでもない動きに繋がる怖さを持っていた。

 続けて現れたのは《幻影の像》だ。《漁る軟泥》をコピーすると、それを(《出産の殻》で生け贄に捧げ)「よりよき品物」である《イゼットの静電術師》に変える。デュークの笑顔が凍りつくと共に、《闇の腹心》が2体とも失われた。

 しかし、まだ《漁る軟泥》が残っている。墓地にも《漁る軟泥》の「エサ」となるクリーチャーがいっぱいだ。《漁る軟泥》は1ターンでみるみるうちに大きくなり、9/9まで膨れ上がった。デュークは、何が出るかわからない三原の《出産の殻》の世界を手探りで進み、乗り切ったのだ。

 デュークが緑黒をベースにしたデッキを使うのは、特別驚くことではない。それでも《ファイレクシアの抹消者》の採用には驚きだ。

「これまで数えきれないほどのクリーチャーと対峙してきて、巨大な《漁る軟泥》や《聖遺の騎士》にこっちのクリーチャーが踏み潰されるのがもう嫌だったんです」と、デュークは言う。「《ファイレクシアの抹消者》なら踏み潰せないだろうってね」

 第2ゲームではまさにその5/5に(さらにコピーまでされて!)やられたが、《出産の殻》デッキとのマッチアップでは《ファイレクシアの抹消者》は重要だ、と彼は力説する。

「殻と当たるのは大歓迎です。このマッチアップでは大量のマナ・クリーチャーと《台所の嫌がらせ屋》を突破する手段が必要になるんですけど、《ファイレクシアの抹消者》がその役を担ってくれますから」

 黒マナ4つというコストを支払えるようにするため、デュークは土地構成をいじる必要があった。彼のデッキには《黄昏のぬかるみ》と《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が採用されているが、これで《樹上の村》入りのマナ基盤を支えることもできているのだ。

 ともあれ、デュークは彼のデッキをまとめ上げ、これは三原のクレイジーな《出産の殻》デッキに対しても良く噛みあった。これでデュークは5勝2敗とし、順位でも上位に近づいた。このまま初日最終ラウンドへ向かう。

リード・デューク(世界ランキング3位) 2-1 三原 槙仁(世界ランキング13位)

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