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【戦略記事】 マイケル・ヘトリックのドラフト

【戦略記事】 マイケル・ヘトリックのドラフト

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Blake Rasmussen / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年2月22日

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 参加者唯一の初日全勝。マイケル・ヘトリック/Michael Hetrickがこの週末で2回目のドラフトに入ると、否が応にも彼への注目が集まった。昨日のドラフト・ラウンドで見事な腕前を披露した彼は、この環境の外も内も知り尽くしていることをはっきりと見せてくれたのだ。

 そんな彼が「デッキは芳しくない」と言うのだから、その言葉を信じるしかない。

「卓で何が起きているかはよくわかっていた。良くない方向に向かっているのは感じていたんだけど」ドラフトを終えて、ヘトリックはそう言った。「その場の誰もが、向かう先を途中で変えられなかったんだと思う」

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プロツアー初日を全勝で駆け抜けたマイケル・ヘトリックだが、2日目最初のドラフトに苦戦し、不安の残るスタートとなった。

 ヘトリックはドラフト中、自分を含め卓のプレイヤーたちが発するシグナルを読み取ってきた。しかし今回ばかりは――やはり自分を含め――どこからもシグナルが感じ取れなかったのだ。

 例えば、初手《アクロスの空護衛》から始めたヘトリックは――これはよくあるケースだろう――、2手目《ケラノスの稲妻》を流し、2枚目の《アクロスの空護衛》を選んだ。4手目にもう1枚《ケラノスの稲妻》を見つけることになっても、それを流し《ニクス生まれのトリトン》を取ったのだ。

「4手目がもう1色を決める最初のサインだったんだけど」と、ヘトリック。その場面を鮮やかに思い浮かべる。「でもその時点で青いカード(《ニクス生まれのトリトン》)をピックしていたし、赤2マナというコストが気になった。《アクロスの空護衛》を使うなら《ケラノスの稲妻》は使いづらいと思ったんだ。アグレッシブな白赤デッキを使うなら、唱えづらいカードは避けたい」

 不運にも、ヘトリックはその後デッキに入る青いカードに恵まれなかった。使えることは使えるが理想からは外れた白いカードが溢れていき、流れてくるのは緑のカードに偏った。ヘトリックは色変えを検討したものの、他のプレイヤーが緑に変えてくれるのを期待したという。うまくいけば、理想的な白青「英雄的」デッキへの道が開けるはずだと。(これについては後でもう少しつけ加えよう)。

 しかしこの卓には、ヘトリックの知らないところで強力な緑デッキをドラフトしているプレイヤーがいた。彼はちょうどヘトリックの反対側に座っていたのだ。こうして、そのプレイヤー――マシアス・ハント/Matthias Huntは6手目に《狩猟の神、ナイレア》を手に入れることとなった。

 そして、本当の悲劇は2パック目に訪れた。『テーロス』の1パック目を開けると、ヘトリックのドラフトしている色のカードがほとんどないのだ。仕方なく《ヘリオッドの選抜》をピックするヘトリックだが、しかし白青の方針は断固として続けた。一転、2手目は候補に恵まれ、《希望の幻霊》と《捕海》を残し《タッサの試練》を取る。ところが、そこからは悪くなる一方だった。それを物語るのが、彼の5手目《闇の裏切り》だ。

 5手目に。

なんとこのカード、信じられないことに青でも白でもない。それくらいしか言えないんだ。

 この時点で、ヘトリックは失敗を悟り、できることの少なさを実感した。それでもなんとかデッキを救い出そうと試み、最後のパックに望みをかける。

 ネタバレ注意――それは叶わなかった。

 3パック目のスタートは悪くなかった。ヘトリックは《天馬の乗り手》、《メレティスのダクソス》、《航海の終わり》、《雨雲のナイアード》から、《メレティスのダクソス》の1周を期待して(これも叶わなかった)《天馬の乗り手》を選んだ。《航海の終わり》は2手目に取ることができ、3手目には《捕海》、《トリトンの戦術》、《ヘリオッドの使者》を残し《希望の幻霊》をピックした。今度は《トリトンの戦術》が1周して戻ってきた。

「3パック目はどうしようもないってほどでもなかった。それでも『英雄的』を持つクリーチャーを1枚も引けていなかったら、もう文句を言い出すところだったよ」と漏らす、ドラフト後のヘトリックである。

 この卓には青をドラフトしているプレイヤーが3人か4人いる、とヘトリックは見積もりを立てた。この判断はほぼ正解だ。それから彼は、緑をドラフトしているプレイヤーは恐らくひとりであると予想した。これも見事に的中だ。全体を見ると、今回のドラフトでも彼の読みは冴えている。

 ならばなぜ、彼は「やめるべきだ」とのシグナルを受け取ってからもなお、《アクロスの空護衛》と《ニクス生まれのトリトン》に執着したのだろうか?

「『英雄的』を持つクリーチャーを中心にデッキを組みたいんだ」と、ヘトリックがこの環境に対する彼の方針を切り出した。「それなら『授与』を持つクリーチャーが最も大切で、次にコンバット・トリックだ。キャントリップを持つエンチャントも悪くないけれど、コンバット・トリックが優先だね。とにかく『授与』さえ取っていれば道を踏み外すことはないから」

 端的に言えば、これが白のデッキを推し進めていく理由となる。ヘトリックは、2色のうち白の方はまずまずの出来に収めたが、「授与」を持つ《ニクス生まれのトリトン》に引っ張られる形で赤より青を優先し、失敗へ至ったのだった。

 それでも彼は、このデッキで2-1はできると考えていた。今回は他のプレイヤーもお互いのピックを食い合っていたため、安全に進んだのが緑をドラフトしていたプレイヤーだけなら、卓全体のデッキ・パワーが低く、十分戦えるだろうという判断だ。

 ここまでの活躍を見せてくれた彼なら、きっとやってくれるだろう。

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