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【観戦記事】 準々決勝:Chris Fennell(アメリカ) vs. Jacob Wilson(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝:Chris Fennell(アメリカ) vs. Jacob Wilson(アメリカ)

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Blake Rasmussen / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年2月23日

原文はこちら

クリス・フェネル/Chris Fennell(ストーム) vs. ジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilson(メリーラ・ポッド)

 プレイヤーたちがトップ8への道を駆け上がる中で、「マッチアップ」に対する思惑は幾度となく交錯してきた。どちらが勝ち、どちらが負けるか。望ましいマッチアップは何か。そして何より、どれだけの勝ち目があるのか。

 クリス・フェネルとジェイコブ・ウィルソンにそれぞれの勝てる見込みを尋ねると、両者とも同じ答えを返してくれた――十分にあるよ、と。

 もちろん、デッキを信じ正確なプレイをこなさなければ先へは進めない。今大会が証明したのは、モダンで成功するためにはこのフォーマットの専門家になる必要があるということ、そしてデッキへの深い理解は莫大なアドバンテージになるということだ。

 それでもフェネルとウィルソンは、準々決勝を前にして両者とも自信をにじませた。どんな試合になるかと尋ねると、少しだけ違った予想を聞かせてくれる。

「接戦になると思います」ウィルソンが切り出した。「クリスのチームメイトで75枚同じデッキを使うアンドリュー・シュラウト/Andrew Shroutと対戦したんですが、3枚までマリガンしたせいで負けてしまいました。それでも倒せる盤面までは行きました。だから接戦だと思います」

 この敗北はウィルソンが今大会を通して喫した2敗のうちのひとつだ。彼が言うには、「ストーム」と当たったのはその1試合だけだったらしい。

「勝ち手段はふたつあります。ひとつはこっちが先にコンボを決めることなんですが、これはできなさそうですね。もうひとつはコンボの妨害。《思考囲い》とか《漁る軟泥》とか《罪の収集者》とか、少なくとも2方面から邪魔できます」と、ゴールドレベル・プロのウィルソンは解説する。「《煮えたぎる歌》は禁止されたから、重要なのは《ゴブリンの電術師》と《紅蓮術士の昇天》の2枚。それらが無ければマナを十分に確保できず、コンボ成立前に殴り切れますね」

 コンボ・デッキ同士のマッチアップとなったこの試合、両者の話によると、第1ゲームから激しい応酬が繰り広げられるという。

「お互いのコンボを止められるかどうかのチェスに似た試合になる」とフェネルが言い、第1ゲームの鍵を握るものとして《クァーサルの群れ魔道士》と《漁る軟泥》を挙げた。「ただ、こっちの引きが完璧なら3ターンでゲームを決められる。それから、邪魔が入らなければ勝つのはこっちだ。1ゲーム目で先攻だったなら有利なんだけど、今回は後攻だからたぶん50~55%で有利くらいまで近づくかな」(編訳注:スイスラウンドの順位により、より上位のウィルソンに先攻の選択権がありました)

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準々決勝で対峙したクリス・フェネルとジェイコブ・ウィルソンの両者は、お互いに勝利を信じている。しかしその予想が正しいと証明できるのは、どちらかひとりだけだ。

 お互いに勝利を信じる両者だが、成就できるのはひとりだけだ。

ゲーム展開

 試合が始まる前、フェネルがこれまで見たこともないような行動に移った。大きめの紙の切れ端を取り出すと、試合が始まるなり土地を除いたウィルソンのデッキリストを書き込んだのだ。

 デッキリスト全体を。

 クリーチャーをコストごとに分けて整理する。カードひとつひとつを仕分けすることで、ウィルソンのデッキに可能なことをいつでも正確に把握できるのだ。さらに《ギタクシア派の調査》を撃ち込めば、完全な情報を記録できる。

「本当はもっとこの作業を続けて詳細な情報を得るべきなんだ。こういうことは得意じゃないんだが、やらざるを得ない」フェネルが言う。

 試合がまさに始まるとき、両プレイヤーは目を閉じ、集中を高めた。

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フェネルはこの試合に向けて、非常に細かい準備を行った。有利を無駄にするプレイは避ける構えだ。

 ウィルソンの《貴族の教主》からゲームが始まり、一方フェネルは《ギタクシア派の調査》で情報を完成させた。公開された手札はクリーチャーと土地の強力なものだったが、フェネルが案じていたコンボの妨害手段はなかった。フェネルはさらに《貴族の教主》を《稲妻》で焼き、ゲーム・スピードを落とすことにも成功する。ウィルソンはすぐに2枚目の《貴族の教主》を繰り出したが、2ターン目《台所の嫌がらせ屋》は成就せず、「メリーラ・ポッド」側が出遅れる形になった。

 フェネルの理想通りの展開だ。

 さらに理想的なことに、フェネルは3ターン目に《魔力変》から《紅蓮術士の昇天》を引き込んだ。手札にはマナを生み出す「儀式」が複数あり、キャントリップも少々、さらに邪魔も入らない。次のターンにコンボを始められそうだ。

 そして、ウィルソンがタップ・アウトで《目覚ましヒバリ》を繰り出すと、フェネルはコンボ・スタートを決断した。

 《魔力変》2枚が《紅蓮術士の昇天》を機能させるが、デッキ・トップからは土地が押し寄せ、コンボを続けられなかった。仕方なく《ぶどう弾》で《目覚ましヒバリ》を除去し、ターンを渡す。フェネルの残りライフは9だ。

 残りライフ9――ウィルソンに何の手もなければ3ターンあるが、パワー2以上のクリーチャーが追加されれば残り2ターンだ。どちらのデッキも、主力となるコンボを始められるようには見えない。弱いドローを乗り越えて、予備のプランが成就するのに頼る。

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コンボに失敗したフェネルから優位を取ったウィルソンは、プレッシャーをかけ続ける。

 ウィルソンは《極楽鳥》と《ガヴォニーの居住区》を追加し、致死ダメージを用意した。フェネルはさらに土地を引き込むと、手札を放り、投了の意思を示した。

「80から90%は取れるゲームだったのに、ここで土地、土地、土地か」とフェネル。「何でもよかった。本当に何でもよかったのに。信じられない。こんなこと、これまで9戦で1回も起きなかった」

 一方、ウィルソンは残る2ゲームで運が離れないことを祈りながら、サイドボードへ手を伸ばした。

 ウィルソンのデッキは《思考囲い》、《罪の収集者》、《納墓の総督》、そして《調和スリヴァー》の4枚で強化される。《調和スリヴァー》は、フェネルが《倦怠の宝珠》を入れてくるとウィルソンが判断するかどうかで採用が決まるだろう。この試合の1時間前の時点で、ウィルソンはその判断を決めていなかった。しかしウィルソンの言うように、フェネルのコンボを妨害し逆にウィルソンがコンボを決めるか、あるいは殴り切るためには、時間を稼ぐ手段が2種類必要だ。

 一方フェネルは、ウィルソンが何をサイド・インしてきても《神々の憤怒》が有効だと言う。《エーテル宣誓会の法学者》が採用されていないことも、追い風だった。

「1枚でも《エーテル宣誓会の法学者》があったら、15%は勝率が下がったな」とフェネル。

 2ゲーム目は、開幕からフェネルが《ギタクシア派の調査》で情報を完成させた。しかし公開された手札は《貴族の教主》2枚、《出産の殻》、《思考囲い》、そして適切な土地、と恐るべきものだった。ウィルソンは必要な妨害手段のうち1種を持ち、その上《出産の殻》まで手に入れていたのだ。

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フェネルは第1ターン《ギタクシア派の調査》で情報という武器を備え、デッキの鍵となるエンチャントを繰り出す。

 このゲームもフェネルのスタートは悪くなかった。2ターン目《紅蓮術士の昇天》から、ウィルソンが2ターン目を迎える前にカウンターをひとつ載せた。このまま《紅蓮術士の昇天》が残れば、妨害を乗り越えられるだけのカードとマナをもたらしてくれるだろう。

 《紅蓮術士の昇天》が残れば。

 フェネルにとっては不幸なことに、ウィルソンは《突然の衰微》をトップデッキし、即座に「昇天」するプランを防げるようになっていた。《思考囲い》を撃ち込むと、ウィルソンは2マナ立たせてターンを渡す。この動きを受けて、フェネルは盤面に目を凝らした。

 妨害1――手札破壊。

「ナイスドロー」 《捨て身の儀式》に対応して《紅蓮術士の昇天》を破壊され、フェネルは呟いた。

 妨害2――エンチャント破壊。

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第2ゲーム、ここしかないタイミングでの《突然の衰微》トップデッキが、ウィルソンを前進させる。

「ここが優位に立つためのキー・ポイントになりました」と、ウィルソン。「あのままいけば、3ゲーム目に入っていましたから」

 それでも、フェネルはまだ脅威に晒されてはいない。彼は《信仰無き物あさり》やキャントリップ呪文でライブラリーを掘り進め、崩されたバランスを取り戻しにかかった。

 しばらく危険は訪れなかったものの、ウィルソンが《出産の殻》を起動し始めると、《貴族の教主》から《根の壁》へ、続けて《台所の嫌がらせ屋》から《納墓の総督》へ繋ぎ、フェネルの最後の手札を抜き去った。

 もはやフェネルには手札はなく、《炎の中の過去》さえあれば火を噴いていたであろう、溜まった墓地だけがあった。

ジェイコブ・ウィルソン 2-0 クリス・フェネル

 この試合の決め手となったのは《突然の衰微》だったが、ふたつ目の妨害手段が手に入ったことが重要なのであり、コンボの妨害をしたのが何であれアドバンテージをもたらしただろう、と彼は考えている。

「あれで彼ができることはほとんどなくなりました」と、《思考囲い》に続けて《紅蓮術士の昇天》を破壊したことに言及するウィルソン。「こちらが何もしなくても、4ターンか5ターンは動けないでしょう。もっと速く勝負を決めることもできたかもしれませんが、《神々の憤怒》は警戒しておきたかったんです」

 妨害には乏しいもののクリーチャーに恵まれていた第1ゲームについて尋ねると、ウィルソンは手札のキープに不満はなく、フェネルがコンボに失敗するのをひたすら祈っていたという。そして、そうなった。

「1ゲーム目は妨害手段がありませんでしたね」と、ウィルソン。「それでも3ターン目に5点で攻撃できる手札で、悪くなかったんです。『ストーム』はたまにうまく動かないこともありますから」

 ときには、そういう割り切りも必要なのだろう。それから、妨害は二段構えに限る。

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