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(翻訳記事)準々決勝: Lukas Blohon(チェコ) vs. 永井 守(日本・神奈川)

(翻訳記事)準々決勝: Lukas Blohon(チェコ) vs. 永井 守(日本・神奈川)

Bill Stark / Translated by Yusuke Yoshikawa

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Lukas Blohon(ナヤ《出産の殻》) vs. 永井 守(緑黒タッチ赤《ケッシグの狼の地》)

 プロツアー・闇の隆盛に向けての話題の焦点は、2つのデッキに絞られていた。「人間ビートダウン」と「《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets(ISD)》」である。そしてその下馬評が正しかったことが証明された。両アーキタイプを合わせると、このホノルルのフィールドのほぼ半数を占めていたのだ。しかし、Lukas Blohonと永井 守のデッキを見ると、そうも思えなくなるだろう。

 永井は日本から唯一の代表として、このトップ8を戦うことになった。彼が選んだのは黒を主軸とした独自の《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》デッキで、これはChannelFireballのConley Woodsが製作したデッキの話から着想を得たものだという。

 永井の対戦相手、Blohonもまた、Conleyチームメンバーのひとりだ。このチェコ人プレイヤーは、さきに挙げた二大巨頭を避け、また他のチームメンバーの多くが選択した緑赤《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》でもなく、《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》デッキを持ち込んでいた。


このLukas Blohonと永井守の試合では、二大人気デッキの「《秘密を掘り下げる者》」と「人間ビートダウン」の姿を見ることはない。

Game 1

 Blohonはダイスロールこそ負けはしたが、すぐにマナ加速を開始した。《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(M12)》から《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》と続け、展開スピードで先行する。永井も遅れをとるまいと《不屈の自然/Rampant Growth(M12)》で加速してついていく。

 永井はクリーチャーの形をしたマナ加速、《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》をキャストすると攻撃を開始、さらにX=1の《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith(MBS)》で相手の盤面をクリアにし、形勢を自分のものへと引き寄せた。

 戦線を再建すべく、Blohonは《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》と《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》をキャストした。椅子に寄りかかり、平静を保ってはいるが、盤面は不利で手札は1枚しかないという状況に満足しているわけではなかった。

 《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》を見つけさえすればクリーチャーの連鎖を始められるのが彼のデッキなのだが、対戦相手の確かな脅威に追われている中で、それを時間内に探し出すことはできるだろうか?

 少しの後、それはどうやら難しそうだということが見えてきた。永井が《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》をキャストして、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》を持ってきたのだ。

 だがここでBlohonも、求めていたそのアーティファクトを引いて即座に反撃してみせた。《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》を生け贄にすると《悪鬼の狩人/Fiend Hunter(ISD)》を持ってきて、相手のタイタンを追放する。つい先ほどまではのろのろとした動きだったのに、なんという爆発的展開だろう!


第1ゲーム、永井はチェコ人の相手に一撃をお見舞いする。

 だが戦況がひっくり返ったのも束の間、またも天秤は逆に傾く。永井は2枚目の《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith(MBS)》を見つけると対戦相手のクリーチャーを一掃、《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》を取り戻す。そして《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》をキャストして《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》を除去すると、Blohonは投了し永井のリードで第2ゲームに向かうこととなった。

Lukas Blohon 0, 永井 守 1


Game 2

 マリガンを経て、Blohonは《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》で第2ゲームのスタートを切り、さらに《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》をレッドゾーンへ送り込みつつ、《アヴァシンの巡礼者/Avacyn's Pilgrim(ISD)》を加えた。これには永井も熱気を感じたことだろう。

 永井は《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》のみの立ち上がりだったが、Blohonが戦線に厚みを加えようと送り込んだ《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》には、《破滅の刃/Doom Blade(M12)》を準備していた。

 《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》が、マナ加速とブロッカー供給の両面で貢献し、永井は盤面をしばし安定させた。これが《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》と相打ちになるが、「不死」能力で3/2となって帰ってくる。そしてBlohonの《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》が、先ほどのマナ加速を帳消しにしてみせた。さらに永井は《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith(MBS)》をキャストするための黒マナ源に困窮しており、Blohonは破壊的なカード損失を避けられているのだった。


Blohonはチームメイトが《ケッシグの狼の地》を選んだのに対し、型破りでパワフルな《出産の殻》デッキで行くことにした。

 しかし、このゲームの潮流はきわめて速く変化する。永井の《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》が、必要としていた黒マナ源と暴力的な脅威を供給した。

 Blohonは巻き返せるのだろうか? その答えは《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》だ。このおかげで、相手の《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》を除去しつつ、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》の起動も抑えて《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》で攻撃することができた。

 永井の《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》が2枚目の《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》を導き、そこから2枚の《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》が現れる。勝負は双方ともに瀬戸際での総力戦の様相となった。

 だがBlohonの致命的な一撃が永井の2体の《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》にチャンプブロックを強いる。だが永井もこれを生き延びたことで、《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite(NPH)》への解答を用意して《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》と《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》で毒殺するというプランへの、最後の1枚に賭ける望みができた。

 しかし奇跡は起きず、1対1のタイで彼らは第3ゲームに移ることとなった。

Lukas Blohon 1, 永井 守 1


Game 3

 永井は《太陽の宝球/Sphere of the Suns(MBS)》から《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》で加速というきわめて素早い立ち上がり。すわ第4ターンの《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》キャストか、と思われたが相手の《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》で《太陽の宝球/Sphere of the Suns(MBS)》で邪魔される。しかし永井には2枚目の《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》があり、問題は彼の手札に6/6があるかどうか、という点になった。

 彼は持っていなかった! パワフルなクリーチャーに向けて十分なマナ加速をしたにもかかわらず、永井はマナベースの構築を続けつつ、《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》で1点ずつ攻撃することしかできない。

 この間に6マナに到達したBlohonは最初のファッティを送り込んだ。《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(SOM)》だ。だがこのモンスターは《古えの遺恨/Ancient Grudge(ISD)》によりサイズダウンされ、永井もとうとう《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》にたどり着き、《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》を得た。

 《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》は《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》と《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》をもたらすが、《忘却の輪/Oblivion Ring(M12)》が6/6を除去して永井の努力を無にしようとしてくる。Blohonは展開した戦力で圧力をかけるが、《古えの遺恨/Ancient Grudge(ISD)》のフラッシュバックで「接死」のワーム・トークンを失ってターンを返す。

 永井は2枚目の《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》をキャストする機会を得て、これで追加の2枚の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》を持ってきつつ、すでにあった2枚でBlohonに3個の毒カウンターを与えた。

 ここでBlohonの戦場に《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》が轟く効果音を立てて着地。《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum(M12)》が《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》となり、相手の唯一の《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》を打ち壊す。

 永井はもう1枚を手札に持っているのだろうか? もしくは、この土地を持ってこないという勇み足を犯したことで、勝機を失ったのか? ともかく《原始のタイタン/Primeval Titan(M12)》が攻撃し、《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》のおかわりを持ってくるが、6/6は《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》との交換で失った。しかしながら永井は自身の《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》を持っており、これで《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》を処理することができた。

 これで、Blohonが何も持っていなければ次のターンに毒殺するチャンスを得たわけだが、このチェコ人プレイヤーは脅威を使い果たしてしまったのだろうか?


Blohonの《出産の殻》は毎ターン、彼のクリーチャーをアップグレードさせる。しかしそのためには戦場に維持しなければならず、《古えの遺恨/Ancient Grudge(TSP)》と《酸のスライム/Acidic Slime(M12)》を相手にしてはそう簡単なことではない。

 Blohonは《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells(DKA)》をキャストしてターンを返し、永井のとどめの一撃へと首を差し出した。永井は3体の《墨蛾の生息地/Inkmoth Nexus(MBS)》を戦闘へ送り込み、そのうち1体を《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run(ISD)》でパンプアップして、Blohonの対応を待った。果たして何もなく、二人は第4ゲームへ意識を切り替えた。.

Lukas Blohon 1, 永井 守 2


Game 4

 背水の陣にあって、Blohonはマリガンを余儀なくされた。6枚は満足行くもので、まず《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》、それから次のターンに2体目を続けた。この0/1は大して怖くもないものだが、これにより素早い《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》がもたらされた。急にBlohonの《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》が輝きを増したのだ!

 一方の永井は、彼のデッキの序盤の本分であるマナ加速よりも優先して、《刃砦の英雄/Hero of Bladehold(MBS)》を除去せねば負ける事態になった。《喉首狙い/Go for the Throat(MBS)》がその仕事を見事にやってのけたが、Blohonは《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》と《刃の接合者/Blade Splicer(NPH)》でこちらも好対応を見せる。

 急場しのぎの《黒の太陽の頂点/Black Sun's Zenith(MBS)》X=1で相手の戦力を削ぐが、依然、永井は不死で増強された《絡み根の霊/Strangleroot Geist(DKA)》(3/2)とサイズダウンしたゴーレム・トークン(2/2)という5点クロックにさらされている。

 戦闘後、Blohonは苦慮していた。手札にある最後のカードについて、キャストすべきかどうか悩んでいるのか? その1枚が《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》と明らかになるが、彼の一旦停止の理由もまた明確に知られた。なぜなら、彼は相手の除去の可能性にもかかわらず、これを即座に起動せずに残したのだ


永井はマッチの最中、何度も「頂点」カードでシャッフルをし続ける。

 それは現実のものとなり、永井の《古えの遺恨/Ancient Grudge(ISD)》がこのパワフルなアーティファクトを戦場から除去してみせ、そこから《緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith(MBS)》を使って《極楽鳥/Birds of Paradise(M12)》を探し出す。

 だがBlohonがわざわざ《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》を使ったのには、クレバーな理由があった。それは、対戦相手に対処を強いることで、最大限のマナ加速をさせないようにという狙いだった。次の戦闘ステップを得て、永井のライフは10となる。

 だがこれまで同様、形勢は一変した。

 《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》が永井のもとに降臨し、ゾンビの群れがあっという間にBlohonを取り囲んだ。これに対処して生き延びるのに十分の土地を引くことができず、2体目の《墓所のタイタン/Grave Titan(M12)》を目にするに至って、チェコのスタープレイヤーは負けを認めて握手を求めるのだった。

Lukas Blohon 1, 永井 守 3

永井 守が3-1で勝利して、準決勝に進出!

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