マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【観戦記事】 準決勝:Luis Scott-Vargas(アメリカ) vs. Owen Turtenwald(アメリカ)

【観戦記事】 準決勝:Luis Scott-Vargas(アメリカ) vs. Owen Turtenwald(アメリカ)

Walkinshaw-Profile.jpg

Ray "blisterguy" Walkinshaw / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年8月7日

原文はこちら

ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas(世界ランキング5位/バント・カンパニー) vs. オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald(世界ランキング2位/ティムール「現出」)

 世界ランキング5位のルイス・スコット=ヴァーガスは、3回連続となるプロツアー・トップ8入賞を決めた時点ですでに世界選手権の出場枠を獲得している。それどころか、もし世界ランキング2位のオーウェン・ターテンワルドが12勝4敗の成績でトップ8に入賞していなかったら、プレイヤー・オブ・ザ・イヤーを懸けた戦いに挑むところだった。だが今、そのターテンワルドがこの準決勝の舞台で彼の対面に座っている。そこは心配ないようだ。

 プレイヤー・オブ・ザ・イヤーのタイトル獲得を確実にしたターテンワルドは、同時に世界ランキング1位のセス・マンフィールド/Seth Manfieldを上回り、ワールド・マジック・カップ2016におけるアメリカ代表キャプテンの座を手に入れた。そして今大会の初日に発表した通り、彼は殿堂顕彰も受賞した。すべてがターテンワルドのものになったのだ!

 試合前、スコット=ヴァーガスは彼のプロ・プレイヤー・トークンにサインをしてオーウェンに渡した。オーウェンは笑顔でそれを受け取り、ポケットにしまった。

「ナヤを選ばなかったなんて、社会福祉課に報告してやろうか」と、ターテンワルドはシャッフルをしながらジョークを飛ばした。スコット=ヴァーガスは最近父親になり、産まれた娘の名前が「ナヤ/Naya」だった。しかし彼はこの週末、愛娘を差し置いて「『バント』・カンパニー」を選択したのだ。ターテンワルドが使用する「ティムール『現出』」は、ゲームを長引かせることができれば後半を圧倒できるだろう。スコット=ヴァーガスとしては妨害能力の高いクリーチャーの数々で序盤から攻め立て、ターテンワルドを守勢に回らせ続けたいところだ。

sf_PTEMN-20160806-552.jpg
まあまあ落ち着いて、「社会福祉課に電話してやる」というのはジョークだ。

ゲーム展開

 スコット=ヴァーガスは《ヴリンの神童、ジェイス》から《不屈の追跡者》でスタートを切り、ターテンワルドは《過去との取り組み》を2枚使ってライブラリーを掘り進めた。スコット=ヴァーガスは土地をプレイするとすぐに手掛かり・トークンを生け贄に捧げ、パワー4の《不屈の追跡者》で攻撃すると《無私の霊魂》を盤面に追加した。ターテンワルドは《ニッサの巡礼》を唱えたが、その後のスコット=ヴァーガスの攻撃で残りライフは早くも10点。スコット=ヴァーガスは土地を5枚立たせてターンを返した。

 ターテンワルドは少考し、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を展開。きちんと子グモも引き連れてきた。スコット=ヴァーガスはそれを意に介さない様子だったが、それはすぐに対処できるからだった。ターテンワルドのターンの終了時、スコット=ヴァーガスは《大天使アヴァシン》を瞬速で唱えると、《無私の霊魂》を生け贄に捧げて《大天使アヴァシン》の「変身」条件を満たした。

 スコット=ヴァーガスはターンを迎え、《大天使アヴァシン》を「変身」させた。さらに《浄化の天使、アヴァシン》の能力の誘発に対応して《ドロモカの命令》を放ち、4/3の《不屈の追跡者》へ+1/+1カウンターを置くとともに《浄化の天使、アヴァシン》と《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を格闘させた。アヴァシンの炎が戦場を焼き払うとターテンワルドはクリーチャーをすべて失い、残りライフ7点で合計パワー11のスコット=ヴァーガスの軍勢と相対することになったのだった。

 2ゲーム目、スコット=ヴァーガスは《節くれ木のドライアド》を《呪文捕らえ》するという動きでこのゲームを始めた。ターテンワルドは《巡礼者の目》から《老いたる深海鬼》を繰り出す。そして両者が何度か攻撃を交わし合ったのちに、ターテンワルドが《約束された終末、エムラクール》を解き放った。

「私にとって望ましい状況とは言えないね」とスコット=ヴァーガスはつぶやき、手札をテーブルに広げた。

 ターテンワルドは額にしわを寄せて選択肢を吟味した。スコット=ヴァーガスの手札には、《平地》と《集合した中隊》、そして《大天使アヴァシン》の姿があった。

 《ヴリンの神童、ジェイス》でドローすると2枚目の《集合した中隊》を引き込み、ターテンワルドはそれを捨てた。これで《ヴリンの神童、ジェイス》が「変身」すると、[-3]能力で墓地から《ドロモカの命令》を唱え、ターテンワルドの《節くれ木のドライアド》に+1/+1カウンターを置いてスコット=ヴァーガスのクリーチャーを1体討ち取った。残る2体のクリーチャーもターテンワルドが操る大型クリーチャーへ向けて突撃させると、最後に《集合した中隊》を放ち、6枚の中にクリーチャーが見つかったにも関わらず「見つからなかった」とターンを渡した。

「さっきのターンを私がコントロールしていれば、こうはならなかったのだがね」とスコット=ヴァーガスは笑い、ドローを確認するとカードを片付けた。

sf_PTEMN-20160806-560.jpg
《約束された終末、エムラクール》の面白さを認めるスコット=ヴァーガス。

 サイドボードで武装を整えたスコット=ヴァーガスは、序盤から盤面を掌握した。彼はターテンワルドの除去が追いつかないほどの速さでクリーチャーを展開していく。ターテンワルドは《崩れた墓石》を設置しようと試みたが、スコット=ヴァーガスの《呪文捕らえ》が待ち受けていた。続く《巡礼者の目》もスコット=ヴァーガスは《オジュタイの命令》で打ち消し、同時に墓地から《森の代言者》を戦場へ戻した。《森の代言者》と《不屈の追跡者》による攻撃でターテンワルドのライフは瞬く間に6点まで追い詰められる。続くドローも彼を救うものではなく、勝負は4ゲーム目へ移った。

 ターテンワルドはマリガンを喫したものの、《巡礼者の目》を生け贄にして4ターン目に《不憫なグリフ》を着地させ、さらに《墓後家蜘蛛、イシュカナ》も盤面に加えた。スコット=ヴァーガスも攻勢に出ようとしたが、《老いたる深海鬼》を《意思の激突》で打ち消しながらも徐々にライフを押されていった。そしてスコット=ヴァーガスがようやくダメージを抑えたと思ったそのとき、ターテンワルドが《約束された終末、エムラクール》を唱え、墓地の《コジレックの帰還》が戦場を焼き払うと、その後には13/13の怪物が残るのみとなったのだった。

「最終ゲームまでもつれさせたくなかったな」と、ターテンワルドが言葉を漏らす。

「グッド・ラックだ、オーウェン」とスコット=ヴァーガスは応じた。

「ああ、そちらも」

 スコット=ヴァーガスは《無私の霊魂》からゲームを始めたが、その後3枚目の土地を置けなかった。オーウェンは《節くれ木のドライアド》を2体展開し、《過去との取り組み》で素早くそれらの「昂揚」を達成した。スコット=ヴァーガスは3枚目の土地を手に入れると、《不屈の追跡者》を繰り出し《節くれ木のドライアド》のブロックへと向かわせた。しかし《無私の霊魂》で《不屈の追跡者》を守ろうとしたものの、《コジレックの帰還》で対応されてしまった。

 スコット=ヴァーガスは《反射魔道士》を盤面に加えるが、すでに残りライフは10点。ターテンワルドはさらなる攻撃で10点を7点にすると、《節くれ木のドライアド》を生け贄に《不憫なグリフ》へアップグレードした。スコット=ヴァーガスは《不屈の追跡者》を盤面に送り込み、5枚目の土地を置くと《森の代言者》も加えた。しかしもう手遅れに見えた。ターテンワルドは攻撃でスコット=ヴァーガスのライフを残り4点にすると、《節くれ木のドライアド》をプレイし直し、5マナ構えてターンを渡す。

「アップキープに何かあるかい?」と、スコット=ヴァーガスが尋ねた。

「いや、何も」と、ターテンワルド。

 スコット=ヴァーガスは息をひとつ吐き、手掛かり・トークンを生け贄に捧げた。《不屈の追跡者》と《森の代言者》という戦線に《無私の霊魂》を加え、土地を6つ立たせてターンを渡す。ターテンワルドは攻撃でスコット=ヴァーガスのライフを残り1点とし、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》と子グモを展開した。スコット=ヴァーガスは《反射魔道士》で《不憫なグリフ》をバウンスし、クリーチャーの数ではターテンワルドを上回ったが、到底攻撃できる場面ではなくそのままターンを返すしかなかった。

 ターテンワルドは1ターン置いて《不憫なグリフ》を出し直し、そして《老いたる深海鬼》で道を開くと、この試合を勝ち取ったのだった。

sf_PTEMN-20160806-593.jpg
プロツアー『異界月』決勝進出を祝い、ルイス・スコット=ヴァーガスはオーウェン・ターテンワルドへ右手を差し出した。
オーウェン・ターテンワルドがルイス・スコット=ヴァーガスを3勝2敗で下し、決勝へ!
Luis Scott-Vargas
プロツアー『異界月』 トップ8 / スタンダード (2016年8月5〜7日)
3 《森》
6 《平地》
1 《島》
3 《要塞化した村》
3 《大草原の川》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》
4 《進化する未開地》

-土地(26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《無私の霊魂》
4 《森の代言者》
1 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
3 《不屈の追跡者》
2 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー(26)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》

-呪文(8)-
3 《節くれ木のドライアド》
1 《ヴリンの神童、ジェイス》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
1 《不屈の追跡者》
1 《支配の天使》
1 《否認》
2 《オジュタイの命令》
2 《意思の激突》
2 《実地研究者、タミヨウ》

-サイドボード(15)-
Owen Turtenwald
プロツアー『異界月』 トップ8 / スタンダード (2016年8月5〜7日)
7 《森》
3 《島》
1 《山》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
3 《獲物道》
3 《シヴの浅瀬》

-土地(21)-

4 《節くれ木のドライアド》
3 《約束された終末、エムラクール》
3 《巡礼者の目》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《不憫なグリフ》
3 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(16)-
4 《発生の器》
4 《過去との取り組み》
4 《群れの結集》
2 《崩れた墓石》
4 《コジレックの帰還》
4 《ニッサの巡礼》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文(23)-
2 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《棲み家の防御者》
2 《失われた業の巫師》
2 《払拭》
2 《焦熱の衝動》
2 《侵襲手術》
1 《翼切り》
1 《久遠の闇からの誘引》
1 《否認》
1 《即時却下》

-サイドボード(15)-

前の記事: 【英語記事】 Semifinals: (19) Lukas Blohon (White-Black Control) vs. Samuel Pardee (Black-Green Delirium) | 次の記事: 【観戦記事】 決勝:Owen Turtenwald(アメリカ) vs. Lukas Blohon(チェコ)
プロツアー『異界月』 一覧に戻る