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【観戦記事】 第4回戦:津村 健志(日本) vs. Jon Stern(カナダ)

【観戦記事】 第4回戦:津村 健志(日本) vs. Jon Stern(カナダ)

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Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa

2015年2月6日

原文はこちら

津村 健志(アブザン) vs. ジョン・スターン/Jon Stern(アブザン)

「ドラフトで全勝」という一文は、プロツアーのトップ8に名を連ねる際にはよくあることだ。このところ年々、プロツアーの規模が拡大するにつれ、1日目の、もしくは両日のリミテッドで完璧な滑り出しを見せることの意義は大きくなっている。そうして3連勝を果たした多くのプレイヤーには、ジョン・スターン/Jon Sternと、殿堂顕彰者・津村健志の名があった。

 2012年の殿堂顕彰者である津村は、2000年代初期において日本人プレイヤーの隆盛を支えた歴戦の強者である。彼はそのキャリアにおいて、瞬く間に強烈な数字を積み上げた。グランプリ・トップ8は13回、そしてプロツアー・トップ8は実に6回である。

 一方のスターンは、2度のグランプリ優勝を持つカナダの傑物であり、自身のさらなる栄誉を追い求めていた。プロツアーを長年戦ってきたプレイヤーながら、スターンはわずかなところで注目を浴びる機会を逃してきた。プロツアーでブレイクを果たしたいと考えるプレイヤーは多くいるが、殿堂顕彰者を倒し全勝を継続することは、そのために必要な次の一歩となるだろう。

それぞれのデッキ

 両者ともに、強力で前評判の高いアブザン・デッキをこの週末に持ち込んできていた。《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》がデッキのレベルを一段階引き上げ、《思考囲い/Thoughtseize(THS)》と《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》を使うデッキの主流をジャンドから奪い取った。《流刑への道/Path to Exile(CON)》、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》、《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》などあらゆるツールを使え、かつての《出産の殻/Birthing Pod(NPH)》デッキはアブザンに第二の生を見出したのだ。

 長期戦を見据えて構築されており、今週末でお披露目された最も興味深い一工夫は《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》の加入だ。追加のカードを、実質的にデッキのどのカードであっても取り戻せるのは強力であり、タシグル自身がゲームをさらに長期化させる。これが津村のプランであり、一方のスターンとそのチームメイトは《萎れ葉のしもべ/Wilt-Leaf Liege(SHM)》と《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》に寄せて、より攻撃的なアプローチに向かっている。

ゲーム展開

 スターンは《思考囲い/Thoughtseize(THS)》から口火を切り、津村から《突然の衰微/Abrupt Decay(RTR)》《流刑への道/Path to Exile(CON)》《思考囲い/Thoughtseize(THS)》を含むアブザン的手札が公開され、スターンは相手の手札破壊を捨てさせた。ところが津村のライブラリーの一番上から《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》が現れ、それが初動となった。スターンの《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》には《流刑への道/Path to Exile(CON)》を使う。スターンは《極楽鳥/Birds of Paradise(6ED)》と《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》を引くが、津村から《突然の衰微/Abrupt Decay(RTR)》が放たれる。

 消耗戦となったが、津村の引きが優っていた。

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第5回戦、ジョン・スターンと殿堂顕彰者・津村健志との間で、アブザンの激しいアクションが交換される。

 殿堂顕彰者の《漁る軟泥/Scavenging Ooze(CMD)》が《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》を処理したが、スターンは2枚目を唱えると即座にフラッシュバックし、スピリット・トークンを5体まで増やす。《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》で1体を失うが、《極楽鳥/Birds of Paradise(6ED)》が残り《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》の起動に備える。スターンはそれを選ばず、単にスピリット1体でリリアナを退場させ、《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》で津村のライフを12に落とした。

 津村の良い引きは、スターンの采配の前に力尽きてしまっていた。

 津村も《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》を持ってはいたが、スターンのスピリットと《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》への解答にはなっていない。スターンのクリーチャー全軍が押し寄せ、《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》で+1/+1カウンターを加えられる。次のドローまでは生き延びたものの、津村はスターンの軍勢に対応できるものを見つけられないのだった。

 第2ゲームは違うクリーチャーで似たような経過をたどった。津村は2体の《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》と《思考囲い/Thoughtseize(THS)》で先行し、スターンは《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》と《極楽鳥/Birds of Paradise(6ED)》、引き込んだ2枚目の《流刑への道/Path to Exile(CON)》で追随を試みる(これは即座に《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を除去した)。

 《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》がスターンのバリケードを築き、津村の3/4《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を押しとどめる。だが、《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》が出てくる。スターンの《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》が津村のライフを8にするが、津村も即座に《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》返しで11に戻す。双方に打開の手段がない。

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津村はガードを固めた。

 再びの《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》が、文字通り津村の軍勢の上を行こうというスターンの方針となった。津村は《思考囲い/Thoughtseize(THS)》を試みるが、スターンはそれを制止すると、解決前に《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》へ打ち込む。結果として津村の《思考囲い/Thoughtseize(THS)》のみの手札が示された。そしてスターンのスピリットは再び働き始め、フラッシュバックでさらに2体が現れた。津村の《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》はしばらく浮いていたが、2体目がスターンの計算を狂わせた。続くスピリットの攻撃でライフを5にされたが、津村は装備をまとった細菌・トークン両方で殴り返した。

 《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》が片方を、《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter(RTR)》がもう片方をブロックし、津村のライフが13に戻るとともにスターンは象を失った。《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil(ISD)》がスターンに《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》の生け贄を強いて、《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》が津村のライフゲイン・ラウンドを締めくくり最終的に16とした。

 消耗戦はアブザン・デッキの望むところである。押し切るために相手の防御の隙を見つけることが、より焦点となっていく。

 スピリットがリリアナを退場させるとともに、津村にわずかな傷をつけ、スターンは自身2枚目となる《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》を唱えた。津村は自分の《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》に《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》をつけ、殴りかかった。スターンは2体のサイと《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》でブロックするものの、《流刑への道/Path to Exile(CON)》が大惨事をもたらしてしまう。残されたのは4体のスピリット・トークン、《極楽鳥/Birds of Paradise(6ED)》、《復活の声/Voice of Resurgence(DGM)》となった。

 次の攻撃で津村のライフは46まで伸び、スターンはわずか6に追い込まれた。

 競争と言えたのは津村の側に《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》が現れるまでだった。スターンは《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》でスピリット・トークンを4体追加する一方、津村のタシグルが追加のカードをもたらし始めた。勝負を決めたのは、《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》を装備した《樹上の村/Treetop Village(ULG)》で、これは最後のダメージを押し込んだのだった。

 第3ゲームは津村の《思考囲い/Thoughtseize(THS)》で開幕したものの、スターンの手札には捨てさせるべきカードが何もなかった。「微妙なキープだったね」とスターンは試合後に認めている。当のスターンは、そこから《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》と《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》を引き込んで競争を始めた。津村は2体の《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を戦場に従えながら、自身の《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》を追加してゲームを膠着させ始めた。先の2ゲーム同様、スターンと津村は有利を得るべく立ち回っていた。

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津村のアブザンの戦略が《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang(FRF)》で後半の有利を得るものであった一方、スターンはスピリットと《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》でその上を行った。

 スターンは《包囲サイ/Siege Rhino(KTK)》を1体だけ送り込んだものの、それが《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》3体の賛美能力と《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》の起動を受け始めた。津村はこのサイを倒すために《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を犠牲にせねばならなかったが、2枚目は次のターンに単なる慰めになることはなかった。スターンはその攻防を経てライフ8となったが、《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》で少しの時間を稼いだ。

 津村のサイは引き続きスターンを包囲していたがすべてはブロックされて、《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》の起動によって2/2のスピリット・トークンが2体、2/3の《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》が2体のこっていた。津村は自身の《未練ある魂/Lingering Souls(DKA)》を唱えて通常のサイズのトークンを出すだけだった。スターンは《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》でカウンターを増やしながら有利を押し拡げていく。津村のライフは4に落とされた。

 タップアウトして《殴打頭蓋/Batterskull(NPH)》を出し、時間を稼げたかに思われたのだが、スターンは構わず攻撃した。最後の《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》の起動により、津村に4点のライフを得させることなく、空からスピリットで攻撃し8点のダメージを押しこむのに十分だった。

「《ガヴォニーの居住区/Gavony Township(ISD)》はすごく重要だと思うよ」

 スターンは試合後に言った。

「これが理由さ」

スターン 2-1 津村
津村 健志
プロツアー『運命再編』 / モダン
4 《湿地の干潟》
4 《新緑の地下墓地》
3 《樹上の村》
2 《草むした墓》
2 《沼》
2 《吹きさらしの荒野》
1 《森》
1 《神無き祭殿》
1 《平地》
1 《活発な野生林》
1 《寺院の庭》
1 《黄昏のぬかるみ》

-土地(23)-

4 《貴族の教主》
4 《タルモゴイフ》
1 《漁る軟泥》
4 《包囲サイ》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い》
3 《コジレックの審問》
3 《流刑への道》
3 《突然の衰微》
3 《ヴェールのリリアナ》
3 《未練ある魂》
1 《大渦の脈動》
1 《殴打頭蓋》

-呪文(21)-
2 《見栄え損ない》
2 《原基の印章》
4 《大爆発の魔道士》
1 《未練ある魂》
1 《ファイレクシアの非生》
2 《忍び寄る腐食》
1 《城塞の包囲》
1 《滅び》
1 《殴打頭蓋》

-サイドボード(15)-
Jon Stern
プロツアー『運命再編』 / モダン
4 《新緑の地下墓地》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《森》
3 《ガヴォニーの居住区》
3 《剃刀境の茂み》
2 《寺院の庭》
1 《神無き祭殿》
1 《草むした墓》
1 《平地》
1 《沼》

-土地(23)-

4 《極楽鳥》
4 《貴族の教主》
4 《復活の声》
2 《クァーサルの群れ魔道士》
3 《台所の嫌がらせ屋》
3 《ロクソドンの強打者》
4 《包囲サイ》
3 《萎れ葉のしもべ》

-クリーチャー(27)-
4 《流刑への道》
2 《思考囲い》
4 《未練ある魂》

-呪文(10)-
1 《殺戮の契約》
2 《思考囲い》
2 《虚空の杯》
2 《石のような静寂》
1 《突然の衰微》
2 《戦争と平和の剣》
1 《法の定め》
1 《神聖の力線》
2 《引き裂く突風》
1 《英雄の導師、アジャニ》

-サイドボード(15)-

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