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【観戦記事】 準々決勝:Antonio Del Moral Leon(スペイン) vs. Lee Shi Tian(香港)

【観戦記事】 準々決勝:Antonio Del Moral Leon(スペイン) vs. Lee Shi Tian(香港)

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Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年2月8日

原文はこちら

アントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral Leon(青赤双子)vs. リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian(バーン)

 モダン・フォーマットでは3度目、キャリアを通して「4度目」のプロツアー・トップ8入賞。世界ランキング6位、リー・シー・ティエンの気力は充溢していた。チームメイトたちとの練習の日々が《ジェスカイの隆盛》に傾いていた彼の心を引き離し、最も適切だとチームが判断した「バーン」デッキを彼の手に取らせた。おそらくアジア最高のプレイヤーとして、そして世界でも最高のプレイヤーの一角として揺るぎないリーだが、プロツアー優勝の肩書きを掴めば間違いなく、のちの殿堂顕彰者投票の場で彼の名前が叫ばれることになるだろう。叫び。うん、「熱さ」を持つこの選手にぴったりだ。

 アントニオ・デル・モラル・レオンは「Magic Online Championship Series」を戦ったプレイヤーだ。今大会が該当するシーズンの「Magic Online Championship Series」で優勝し権利を獲得した彼は、プロツアーの舞台へ上がる方法だけでなく、成功のためには行動が必要であることを示している。彼は統率の取れたテスト・チームが輩出したプレイヤーではないものの、今大会に参加するスペインのプレイヤーたちとの関係をしっかり築き上げ、ワールド・マジック・カップ2014ではスペイン代表の一員として共に戦った。

それぞれのデッキ

 リーの選択した「バーン」は、同じくトップ8を戦うセス・マンフィールド/Seth Manfieldも似通った構成のものを使っている。それはまさしく数字の計算だ。《稲妻》や《裂け目の稲妻》、《焼尽の猛火》、そして《ゴブリンの先達》といった昔ながらの赤いカード群に『タルキール覇王譚』から《僧院の速槍》が加わり、より強力なものになっている。それから白をタッチすることで《稲妻のらせん》という優秀なカードを採用できるようになり、サイドボードにはミラー・マッチ対策に《コーの火歩き》を搭載できる。リーのチーム全体がこの週末で成功を収めているのを見ると、どうやら「バーン」は最適な選択であったようだ。

 激動を迎えるより以前、モダンは《若き紅蓮術士》や《稲妻》を駆使しアグレッシブにダメージを与えていく、強力な「《秘密を掘り下げる者》」系のデッキの巣窟だった。だがこのデッキは屋台骨たる《宝船の巡航》を失い、すると青赤の系譜を《欠片の双子》で取り戻すプレイヤーが現れた。この強力なオーラは《やっかい児》や《詐欺師の総督》にエンチャントすればゲームに勝てるだけでなく、デッキ内のあらゆる呪文に化ける《瞬唱の魔道士》など、トリッキーな動きができる。このデッキはモダンが採用された初のプロツアーで優勝を勝ち取り、その後も使用者を集め続けた。そして今大会でも、デル・モラル・レオンだけでなく同じくトップ8入賞のイェルガー・ヴィーガーズマ/Jelger Wiegersmaもこの日曜の舞台へと導いたのだ。

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「Magic Online」プレイヤー、アントニオ・デル・モラル・レオンが、4度目のプロツアー・トップ8へ進出した世界ランキング6位のリー・シー・ティエンと対峙する。

ゲーム展開

 リーはいつものように、試合が始まると感情を高まらせた。

「緊張しているかい?」シャッフル中、リーはデル・モラル・レオンに問いかけた。

「いえ」とデル・モラル・レオンは答える。

「僕はここに座るの4回目になるけど」とリー。「まだ緊張するよ」リーは手を合わせて揉み、椅子の上で身体を動かし緊張をほぐした。間もなくして試合は始まった。

 第1ゲームが始まるなり、デル・モラル・レオンは「《欠片の双子》」デッキがたどるべき道を行った。手を揉みほぐすと、彼は《血清の幻視》でコンボに必要なパーツを探しにいく。一方リーもまた、「バーン」ならではの立ち上がり。1ターン目《僧院の速槍》は、《稲妻》をはじめとしたスペルを撃ち込む構えだ。《炎の斬りつけ》が《僧院の速槍》を退場させるが、《ゴブリンの先達》が続く。

 3マナを立たせてターンを渡していたデル・モラル・レオンは、《詐欺師の総督》でリーの《ゴブリンの先達》をブロック。

「コンボ?」リーが尋ねる。果たして、デル・モラル・レオンの次のターンのプランはいかに。ダメージを通すことに失敗したリーは、マナを残してそのままターンを渡した。デル・モラル・レオンは《詐欺師の総督》でリーを攻撃し、4枚目の土地を置けずにターンを返した。

 マナを立たせたデル・モラル・レオンからは、2枚目の《詐欺師の総督》か《やっかい児》か、あるいは《ヴェンディリオン三人衆》が飛び出し手札を覗いてくると思われた。リーはそのターンの終わりに《稲妻のらせん》を撃ち込み、自分のターンのドローを終えるとターンを渡す。ターンの終わりに現れたのは《ヴェンディリオン三人衆》。リーの手札には《稲妻》、《欠片の飛来》、そして《稲妻のらせん》が待ち構えていた。《稲妻》をライブラリーへ送り1マナのインスタントを2枚放てないようにしてから、デル・モラル・レオンは《詐欺師の総督》へ《欠片の双子》を貼り付け、第1ゲームを奪ったのだった。

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デル・モラル・レオンは、この日曜日の舞台にただひとりでいるわけではない。スペインのプロツアー参加者たちが、彼を応援している。

 第2ゲーム、リーは《裂け目の稲妻》の「待機」からゲームを始め、デル・モラル・レオンは《血清の幻視》から切り出した。リーは続けて《大歓楽の幻霊》をプレイし、デル・モラル・レオンの2枚目の《血清の幻視》を自身に牙むく《ショック》へと変えた。リーは《大歓楽の幻霊》で攻撃し、《溶岩の撃ち込み》を放つ。デル・モラル・レオンは少し考え、《否認》を合わせた。

「待機」の明けた《裂け目の稲妻》を受け、デル・モラル・レオンの残りライフは12点と頼りない。それでも彼はライフが10点になるのを受け入れ、《蒸気孔》をアンタップ状態で戦場に出した。リーのターンに《やっかい児》を繰り出し《大歓楽の幻霊》をタップしたが、彼のライフは残り5点に落ち込む。デル・モラル・レオンは3枚の土地を立たせたまま、ターンを返した。ターンを迎えたリーは、《僧院の速槍》をプレイする。

 デル・モラル・レオンは《差し戻し》を使い、《大歓楽の幻霊》の能力で残りライフが3点に。リーは《僧院の速槍》をプレイし直し、《やっかい児》が《大歓楽の幻霊》をブロックするのを見届けた。《大歓楽の幻霊》はその仕事を終えた。デル・モラル・レオンのライフを、リーのデッキに入っているあらゆる呪文の範囲内に落とし込んだのだ。

 さらなる《血清の幻視》が、デル・モラル・レオンに4枚目の土地をもたらした。そしてリーのアップキープに、《僧院の速槍》へ《稲妻》が差し向けられる。リーは何もプレイせずターンを渡した。デル・モラル・レオンも同じだった。この膠着が破られたのは、続くリーのターンの終わり、デル・モラル・レオンが《やっかい児》で土地をタップさせたときだった。リーは手札に抱えていた《焼尽の猛火》を2枚解き放ったのだ。

 デル・モラル・レオンが対処できたのは、1枚だけだった。

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会場内で最も元気なプレイヤーのひとりであることを見せるリー。

 ここまでの2ゲームでは、両プレイヤーにとってもそのプランを押し通すことが必要なため、開幕のテンポの良さが勝負を分けた。第3ゲームもそれは同じだ。リーは《渋面の溶岩使い》を繰り出し、デル・モラル・レオンはいつものように《血清の幻視》をプレイする。

「毎回トップに置くね」デル・モラル・レオンが「占術」したカードをライブラリーの一番上に戻すと、リーが声を上げた。彼は《渋面の溶岩使い》で攻撃すると、2枚目を繰り出しターンを返す。デル・モラル・レオンは《稲妻》、《詐欺師の総督》、《炎の斬りつけ》と動き、リーの盤面は2枚の土地を残して白紙になった。リーの手札から《ゴブリンの先達》が飛び出し攻撃へ向かうと、デル・モラル・レオンのライブラリーの一番上から《払拭》が公開された。デル・モラル・レオンは4枚目の土地を置き、ターン・エンド。リーはエンド時に《頭蓋割り》を放つ。デル・モラル・レオンが次のターンも土地を置いて終えると、リーはもう一度《頭蓋割り》を撃ち込んだ。

 これでデル・モラル・レオンのライフは残り8点。

 デル・モラル・レオンの手札から《瞬唱の魔道士》が現れ、厄介な《ゴブリンの先達》を《稲妻》で打った。するとリーはマナを残してターンを渡す。ターンを迎えたデル・モラル・レオンは、2枚目の《瞬唱の魔道士》で《血清の幻視》を「フラッシュバック」し、さらにライブラリーを掘り進めた。

 デル・モラル・レオンのターンの終わりに《稲妻》をプレイしたリーだが、これは《払拭》で防がれる。彼は迎えたターンに《大歓楽の幻霊》を繰り出した。だがリーのライフも危険域に入っており、彼はそれを《瞬唱の魔道士》のブロックに向かわせるしかなかった。

 続くデル・モラル・レオンの動きは《欠片の双子》。リーはそれに対応できなかった。それでも《詐欺師の総督》が自身のコピーを生み出したタイミングで《破壊的な享楽》を放ち、コンボの成立を阻止する。必死の粘りを見せるリーだが、デル・モラル・レオンの攻撃で残りライフ4点まで落ち込んだ今となっては、生き残ったとは言い難い。

 《溶鉄の雨》でデル・モラル・レオンのライフも同じく4点まで落ち込んだが、リーの盤面にはブロックに向かえるクリーチャーがいない。デル・モラル・レオンが選択肢を吟味する間、リーはただ頭を振るばかりだった。《瞬唱の魔道士》が1体で攻撃し、リーのライフは残り2点。リーはドロー後ターンを返す。

 《瞬唱の魔道士》と《詐欺師の総督》が攻撃へ。だが《稲妻》がリーにもう1ターンの猶予を与えた。じっと耐える時間を終え、リーは手札に残った2枚のカードを解き放つ。だが《裂け目の稲妻》は《差し戻し》を受け、《大歓楽の幻霊》は《呪文嵌め》を受けたのだった。

 デル・モラル・レオンは、残ったクリーチャーに命令を与え、タップ・アウト状態の対戦相手に突撃させる。スペインの応援団は、会場中に響く歓声を聞いたことだろう。リーは握手を求めたのだった。

アントニオ・デル・モラル・レオンが世界ランキング6位のリー・シー・ティエンを2勝1敗で下し、準決勝へ!

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