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【観戦記事】 決勝:Justin Cohen(アメリカ) vs. Antonio Del Moral Leon(スペイン)

【観戦記事】 決勝:Justin Cohen(アメリカ) vs. Antonio Del Moral Leon(スペイン)

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Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki

2015年2月8日

原文はこちら

ジャスティン・コーエン/Justin Cohen(アミュレット・ブルーム) vs. アントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral Leon(青赤双子)

 今大会最後の試合に臨むべく、ふたりのプレイヤーがフィーチャー・マッチ・エリアに腰を下ろす。この場にいる両者はともに、プロツアー・シーンでは比較的新しいプレイヤーたちだ。このテーブルには、「プロツアー優勝」と刻まれたトロフィーがひとつ鎮座している。この試合の勝者はそのトロフィーとともに、肩書きに相応しい金額の小切手と、少なくとも今後6つのプロツアーへの参加権利と航空券が用意されるプラチナ・レベル・プロの待遇、そして世界選手権への招待を受け取るのだ。

 この試合に懸かるものは多く、そして両プレイヤーとも第2位に甘んじるつもりはない。

 ウィスコンシン州マディソン出身のジャスティン・コーエンは、今大会が初のプロツアー参加だ。史上最もエキサイティングな準決勝のひとつを勝ち取った彼は、一躍有名人になった。コーエンはあのプラチナ・レベル・プロにして現在世界ランキング20位のサミュエル・ブラック/Samuel Blackをハウスメイトに持ち、ふたりは数え切れないほどの時間を今大会の練習に費やしてきた。もしコーエンがこの試合に勝ったなら、歴代でも数少ないプロツアー初参加での優勝という、才能も技術もこの上ないプレイヤーたちによってのみ達成されてきた偉業を成し遂げることになる。

 コーエンの使用するデッキは「アミュレット・ブルーム」。驚くほど複雑なこのデッキは2ターン目に勝負を決めることもでき、また長いゲームにおいても《原始のタイタン》が正しい道を切り開き、恐ろしく複雑な方法で勝利を得ることができる。

 対するアントニオ・デル・モラル・レオンは、今大会で4回目のプロツアー出場となり、プロツアー・サンデーへの進出は今回が初めてだ。デル・モラル・レオンもまた、昼も夜もなく練習を積み重ねてきた。彼にとってマジックは、たとえ見返りがなくとも喜んでやるものであり、今大会での勝利は彼がこのゲームに注いだ努力のすべてを立証する機会となる。デル・モラル・レオンは同郷の仲間たちに「《欠片の双子》」デッキの達人として知られており、彼がその強力なコンボ戦略をこの週末に操っているのは驚くことではない。

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ジャスティン・コーエンとアントニオ・デル・モラル・レオンの両者。かたやプロツアー初出場、そしてもう片方も比較的新しいプレイヤーというふたりだが、今大会に向けて多くの時間と努力を注ぎ込んできた。あとわずか1試合で、どちらか片方に莫大な見返りがもたらされる。

 ふたりのプレイヤーは静かに決勝の幕が上がるのを待つ。触れてわかるほどに張り詰めた空気。両プレイヤーは心臓が高鳴るのを感じ、深く呼吸した。

ゲーム展開

 コーエンが2ターン目までに《精力の護符》を2枚戦場へ置き、異常なほど膨大なマナが生み出せる状況を作った。《シミックの成長室》が2回アンタップし、生み出されたマナから《花盛りの夏》。それが通ると、続けて《ボロスの駐屯地》が繰り出され、コーエンは3ターン目にして15マナもの壮絶な量のマナを扱えるようになった。

 デル・モラル・レオンは《ボロスの駐屯地》の誘発がスタックに乗るまでじっと待ち、そしてついに《ヴェンディリオン三人衆》を繰り出し即死する可能性を摘み取りにいった。彼は《召喚士の契約》か《古きものの活性》で悩み、最終的にどちらも手札に残すことを選択した。

 コーエンは莫大なマナを生み出し、《古きものの活性》から《トレイリア西部》、そこから《召喚士の契約》、さらにそこから《原始のタイタン》と繋ぎ、《トレイリア西部》と《シミックの成長室》を持ってきた。

 その後コーエンは、《処刑者の要塞》の能力を起動し、《原始のタイタン》で攻撃。《セレズニアの聖域》とさらなる《シミックの成長室》を持ってくる。

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このデッキの恐ろしさを遺憾なく発揮するコーエン。

 コーエンの次の戦闘ステップの開始時に、《やっかい児》で《原始のタイタン》をタップさせにかかるデル・モラル・レオンだが、《否定の契約》がそれを阻みにくる。それでも彼は《払拭》を持っていた。これでゲームは、デル・モラル・レオンが《欠片の双子》を引き込めば瞬く間に終わる状況になった。

 だがそれは叶わなかった。《原始のタイタン》へ差し向けるべき除去は持っていたデル・モラル・レオンだが、《迷える探求者、梓》によってもたらされた大量のマナで再び、《召喚士の契約》がゲームを終わらせる《原始のタイタン》2号をもたらしたのだった。

 第2ゲーム開始前のシャッフル中も、両者は押し黙っていた。コーエンは先ほどのゲームで《精力の護符》の誘発をいくつか間違えたことに対し、目に見えてフラストレーションを溜めていた。一方デル・モラル・レオンは自信に満ちた表情ではあるが、心の内では対戦相手のデッキの恐ろしさに震え上がっていた。

 コーエンは《血清の幻視》でコンボの準備を整え、3ターン目に《精力の護符》を繰り出した。《トレイリア西部》を「変成」し、「バウンスランド」を手札に加える。

 ターンの終わりに、デル・モラル・レオンは《詐欺師の総督》を繰り出し、直ちにゲームを終わらせる構えを見せた。迎えたターン、デル・モラル・レオンは《血染めの月》をプレイする。コーエンのデッキから通常の勝ち手段を奪ってしまうカードだ。

 それから間もなくして、デル・モラル・レオンは《詐欺師の総督》に《欠片の双子》をエンチャントすることに成功し、勝利を確実なものにしたのだった。

 第3ゲームはコーエンがダブル・マリガンを喫し、一方のデル・モラル・レオンは初手をキープ。

 デル・モラル・レオンは《呪文滑り》からこのゲームを始めた。これで、彼のコンボや《血染めの月》を《殺戮の契約》や《自然の要求》のようなカードから守る。

 《詐欺師の総督》がコーエンの4ターン目の終わりに姿を現すが、コンボ達成に必要な《欠片の双子》は引き込めず。デル・モラル・レオンは攻撃してターンを渡す。

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どうすれば対戦相手のコンボを失敗に追い込めるか、手札を吟味するデル・モラル・レオン。

 コーエンは《古きものの活性》をプレイするが、デル・モラル・レオンは《謎めいた命令》でそれを打ち消し、ドローを加えた。コーエンは《トレイリア西部》を「変成」して《否定の契約》を手に入れ、ターンを返す。

 デル・モラル・レオンは再び攻撃し、ターン・エンド。コーエンは《古きものの活性》を通し、《シミックの成長室》を手札に加える。デル・モラル・レオンは《瞬唱の魔道士》で《のぞき見》を「フラッシュバック」したが、まだ勝利に必要な《欠片の双子》は引き込めなかった。

 コーエンは《花盛りの夏》を唱え、土地のプレイとバウンスを繰り返し《集団意識》に必要なマナを生み出した。《差し戻し》がその動きを阻むが、コーエンは《花盛りの夏》をもう1枚持っていた。このターンさらに4枚の土地をプレイできるようになったコーエンは、「バウンスランド」を3回用いて6マナを生み出し、再び《集団意識》をプレイした。デル・モラル・レオンはこれに《否認》を合わせ、コーエンは《否定の契約》を放つ。デル・モラル・レオンはさらに《払拭》を当てて、このカウンター合戦に勝利した。

 続くターン、コーエンは《召喚士の契約》で《原始のタイタン》を手札に加えるが、この巨人も《差し戻し》に止められた。そしてデル・モラル・レオンはこのチャンスに《血染めの月》を貼り、コーエンが「契約」のコストを支払えないようにする。こうして、デル・モラル・レオンがトロフィーを獲得するまであと1ゲームになった。

 第4ゲーム、コーエンは《花盛りの夏》を2ターン目にプレイするが、デル・モラル・レオンは《呪文嵌め》を持っており、コーエンのとんでもない動きを阻止することに成功した。

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追い詰められたコーエン。彼のトーナメント・ライフが頂点を迎えるその直前で断ち切られる前に、勝利を手にする方法を探る。

 《シミックの成長室》が戦場に置かれると、すでに2度マナを生み出している《宝石鉱山》が手札に戻り再利用できるようになった。しかしその「バウンスランド」はアップキープにデル・モラル・レオンの《やっかい児》でタップされるという憂き目にあう。

 これが、ゲームを閉幕に導く一手だった。

 コーエンのアップキープに《詐欺師の総督》が飛び出し、再び《シミックの成長室》をタップする。コーエンは《ボロスの駐屯地》を置いてマナを伸ばすことしかできなかった。

 2枚目の《詐欺師の総督》が飛び出し、またしても《シミックの成長室》をタップする。

 続けてデル・モラル・レオンは《ヴェンディリオン三人衆》でコーエンの妨害を行い、そして、気づけば盤面もあと2回の攻撃で致死量になっていた。

 コーエンは最後までできることをする。《花盛りの夏》から手札に溢れる土地を繰り出し、来たるトップデッキに備えた。

 デル・モラル・レオンが全軍に攻撃を命じ、これで決着は次のターンに。コーエンはライブラリーの一番上に何もないことを確かめると、右手を差し出した。試合は決着。デル・モラル・レオンがやり遂げたのだ!

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アントニオ・デル・モラル・レオン、プロツアー『運命再編』優勝おめでとう!

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