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【戦略記事】 デッキテク:藤村 和晃の「黒緑エネルギー」

【戦略記事】 デッキテク:藤村 和晃の「黒緑エネルギー」

By 矢吹 哲也

(この記事は第10回戦終了時に取材したものです。)

 第10回戦が終了した頃、2日目のドラフト・ラウンドで快調に2勝した熊谷 陸と藤村 和晃が結果を報告し合い、今回のデッキ選択について語る場面に遭遇した。

 そこでグランプリ・東京2016王者であり今シーズンの「スタンダード・マスター」レースでも上位を走る熊谷が、「デッキ選択かなり良かったですね」と藤村を称えた。藤村も気分が良くなったか、「いやー、やっぱりマジック楽しいなあ!」と身体を伸ばす。

 プロツアーの舞台で過酷な戦いに挑むプレイヤーたちの、何ということもないラウンドの合間のひと幕だが、ひとつ聞き逃せないことがある。

 そう、藤村のデッキ選択は良かった。彼は初日のドラフト・ラウンドを1勝2敗で負け越したが、その後の構築ラウンドを5戦全勝で切り抜け、トップ8入賞への道を残している。実は先週取材した際にも、藤村は今大会の構築ラウンドに自信を覗かせていた。「(デッキの幅が)広い環境は、けっこう得意なんで」と自身を評する彼のメタゲームに対する感覚は、本物のようだ。

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 第10回戦終了時点で8勝2敗で上位に食らいつく藤村に、2日目の構築ラウンドを前に今大会の武器について尋ねた。「ラムナプ・レッド」が多いことを見越して下した彼の決断は――

藤村 和晃
プロツアー『破滅の刻』 / スタンダード (2017年7月28~30日)
6 《森》
4 《沼》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》
4 《霊気拠点》

-土地(22)-

4 《光袖会の収集者》
4 《牙長獣の仔》
4 《歩行バリスタ》
4 《巻きつき蛇》
4 《地下墓地の選別者》
3 《ピーマの改革派、リシュカー》
4 《新緑の機械巨人》

-クリーチャー(27)-
4 《霊気との調和》
4 《致命的な一押し》
3 《闇の掌握》

-呪文(11)-
3 《不屈の追跡者》
2 《没収の曲杖》
2 《造反者の解放》
3 《大災厄》
3 《ヤヘンニの巧技》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード(15)-

 ――前環境の「黒緑エネルギー」だった。このデッキ選択について、藤村は次のように語る。

選択のきっかけ

藤村「まずは『赤単』を意識したときに、黒のミッドレンジ戦略が良いと思った。これが始まりです。その時期にちょうど、あんちゃん(高橋 優太)から『黒緑エネルギーを使おうと思っているんだけどどう?』とデッキの相談を受けまして。そのときは『昂揚』の方が『赤単』に対して強いんじゃないかと考えていたんですが、今は『昂揚』するメリットが少ないんですよね。達成するために《発生の器/Vessel of Nascency(SOI)》を投入するのもテンポ面で良くないし、《墓後家蜘蛛、イシュカナ/Ishkanah, Grafwidow(EMN)》も間に合わない。そして実際に試してみても、『黒緑エネルギー』の方が勝率が良かった。『赤単』を意識するなら『黒単ゾンビ』も悪くないんですが、黒1色であるがゆえにカード選択の幅が少なく、サイドボードを含めて構成に工夫の余地が少ないと判断しました」

デッキの強み

藤村「『赤単』には横並びが強いため、例えば機体系なら《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》、ティムール系なら《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso(KLD)》という風に、どのデッキにも戦線を横に広げられるカードが採用されていますよね。黒緑の場合は《地下墓地の選別者/Catacomb Sifter(BFZ)》がその役割を担い、面で負けない構成にしました。(末裔・トークン)で《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk(KLD)》に繋げられることもありますし、最近使われていないものの、《地下墓地の選別者/Catacomb Sifter(BFZ)》は良いですよ」

苦手なデッキとその対策

藤村「実は昨日の5回戦では(意識していた)『赤単』とは当たらず、『黒単ゾンビ』と2回当たったんですが、相性としては不利だと思います。やっぱり地上から攻めてくるデッキには滅法強いですよね。それでも『黒単ゾンビ』は小粒のクリーチャーを並べるばかりの展開になることも多いので、クリーチャーのサイズ差で押して勝てるケースが多々ありました。それからサイドボードの《領事の旗艦、スカイソブリン/Skysovereign, Consul Flagship(KLD)》と《ヤヘンニの巧技/Yahenni's Expertise(AER)》が効くので、思ったより悪くないのかもしれません」

『アモンケット』ブロックがもたらしたもの

藤村「枚数としてはほとんどなくて恐縮ですが、それでもサイドボードに搭載した《大災厄/Doomfall(HOU)》はかなり気に入っています。今の環境は(失っても惜しくない)マナを生み出すクリーチャーみたいなのがほとんどないので、3マナで1対1交換をするだけでも十分に強いんです。《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》や《スカラベの神/The Scarab God(HOU)》のような脅威も裏目なく潰せて、コントロールに対しても入れられるので、悩まず投入できました」

環境での立ち位置

藤村「現在はかなりの『アグロ環境』で、僅差のライフ・レースで差し切らないといけないというのが特徴的ですね。だからこのデッキとしても、大きなダメージ・ソースである《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk(KLD)》が引けるかどうかは勝敗に関わると思っています。ただ、前環境から『ゾンビに弱い』というイメージがついていたから、このデッキはあまり意識されていなかったんじゃないかなと。そこを突けたのは良かったと思います。デッキをシェアしたあんちゃんも構築4勝1敗でしたし、良い位置に立てていると思うので2日目も頑張ります!」


 彼が目指すプロツアー優勝への道は、いよいよ正念場を迎える。好調の波に乗り、藤村は残るドラフト最終戦と2日目の構築5回戦へ向かうのだった。

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