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【観戦記事】 第16回戦:佐々部 悠介(日本) vs. Louis Bachaud(フランス)

【観戦記事】 第16回戦:佐々部 悠介(日本) vs. Louis Bachaud(フランス)

By Masashi Koyama


佐々部 悠介 vs. ルイ・ブショー/Louis Bachaud

 運命の分水嶺。

 プロツアー『破滅の刻』予選ラウンド、第16回戦。

 フィーチャーマッチエリアに呼ばれた4つのマッチは、その全てがプロツアーサンデー進出の可能性を賭けた戦いだ。

  • 石村 信太朗 vs. セス・マンフィールド/Seth Manfield
  • マキス・マツォカス/Makis Matsouka vs. ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez
  • サミュエル・ブラック/Samuel Black vs. ヤン・ウィンチャン/Yam, Wing Chun

 そして、佐々部 悠介 vs. ルイ・ブショー。

 緊張感あふれる、などというありきたりな言葉では表せない、運命の決戦。佐々部の表情も運命の戦いへ向けて硬くなっている......が、ブショーは対照的に柔らかい表情で佐々部に話しかける。

ブショー「ドラフトどうだった?」

佐々部「2-1だったよ」

ブショー「PV(パウロ・ヴィター・ダモダ・ロサ)と当たった?」

佐々部「いや、セス(・マンフィールド)と」

 緊張をほぐすためなのか、あるいはその他の理由によるものか。ともあれ、佐々部-ブショー戦は他のテーブルと異なり、ほんの少しだけ和やかなテンションで幕を開けた。


ゲーム1

 先手のブショーが《進化する未開地/Evolving Wilds(M13)》から《沼/Swamp(KLD)》をサーチし、2ターン目に《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》。佐々部は《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》を繰り出し、ブショーの《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》を《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》で除去する1~2ターン目の攻防。

 ブショーは先手の利を活かし《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》を呼び出すと、これが《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》を退け、戦場に定着する。

 この《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》が生き残り続けては厳しい佐々部だが、《無情な死者/Relentless Dead(SOI)》と2枚の《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》を送り出すのみで、《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》を落とすことのできるクロックを用意できない。

ゾンビを操る佐々部に、ゾンビを支配するリリアナが立ちはだかる

 ブショーは《ピーマの改革派、リシュカー/Rishkar, Peema Renegade(AER)》を呼び出すと、《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》の片割れを《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》で処理し、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》をX=2で唱え、即座に《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》にダメージを飛ばし佐々部の戦線を壊滅させる。

 佐々部は《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》を用意するものの、ブショーはこれを即座に《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》し、佐々部へ少しずつダメージを通し始める。追加のクリーチャーは無いものの、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》を成長させ、佐々部の小粒な軍団へ睨みを利かす。

 佐々部は《リリアナの支配/Liliana's Mastery(AKH)》で戦線を再構築し、《無情な死者/Relentless Dead(SOI)》とゾンビ・トークン2体がリリアナの加護を受け3/3というサイズでブジョーに立ち向かう。ブショーは《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》の[-2]で《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》を蘇らせ、横に並ぶゾンビ軍団への防波堤とする。

 忠誠度が2となった《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》をフルアタックで葬る佐々部だったが、ゾンビ・トークンを失ってしまい、盤面は寂しいものに。

 佐々部は2体目の《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》を引き込み、《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》を回収し粘りを見せるが、ブショーはこの《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》に《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》を打ち込む。当然佐々部は《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》を生け贄に捧げ、《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》を生き残らせるも、ブショーはこの隙に《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope(EMN)》で蘇らせた《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》の攻撃を通し、佐々部のライフは3。そしてこの《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》の能力で1枚のカードをライブラリートップへ残す。

 佐々部は《闇の救済/Dark Salvation(EMN)》を引き込みX=2で唱え、大きく育った《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)》と合わせ、盤面上はブショーを逆転してみせる。

 が、ブショーは先ほどトップに置いた1枚のカードをそっとプレイする。

 そしてライブラリーから公開したのは《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》!

 佐々部のライフは、3。戦場には6枚のアンタップ状態の土地。

佐々部 0-1 ブショー


 入念にサイドボードを入れ替える両者。その傍らで勝利したドミンゲスが発する雄叫びが聞こえてくる。プロツアートップ8入賞の可能性を残した男の咆哮。

 ここからが、本当の正念場。


プロツアー初出場にしてトップ8の期待がかかる佐々部

ゲーム2

 再び佐々部が《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》からスタート。今度は《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》を追加し、一気にクロックを5点に跳ね上げる。

 ブショーは《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》を送り出すが、佐々部はこれを《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》で除去し、5点のクロックを継続する。

 ブショーはさらなる《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》を用意。佐々部はこれを除去することはかなわないものの、《無情な死者/Relentless Dead(SOI)》《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》と追加し、横に戦線を伸ばしていく。

 出遅れたブショーは《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》で《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》を除去、さらに《無情な死者/Relentless Dead(SOI)》を《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》するが、佐々部は《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger(KLD)》での攻撃を継続し、さらに《リリアナの支配/Liliana's Mastery(AKH)》でブショーを圧倒する!

 土地が3枚で止まっているブショーは、送り出すことができた《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SOI)》をやむなくブロッカーとして差し出さざるをえない。

 そして、佐々部の手からはダメ押しの《リリアナの支配/Liliana's Mastery(AKH)》2枚目!

 土地が伸びないブショーを尻目に、佐々部のゾンビたちがすぐに盤面を覆い尽くした。

佐々部 1-1 ブショー


 ここで11勝4敗のセス・マンフィールドが勝利を収め、仲間と共に大きな歓声を上げる。ひと卓、またひと卓と勝者と敗者がくっきりと分かれていく。

 このゲームの明暗は、果たして。


ゲーム3

 先手ブショーがマリガン。みたび佐々部が1ターン目《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》からスタートし、2ターン目には《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》を続ける。

 2ターン目に《進化する未開地/Evolving Wilds(C14)》で《沼/Swamp(KLD)》をサーチしてきたブショーだが、3枚目の土地を引き込むことができず、《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》で《墓所破り/Cryptbreaker(EMN)》を除去するに留まる。

 なんとか《ウルヴェンワルド横断/Traverse the Ulvenwald(SOI)》を引き込んだブショーは《森/Forest(AKH)》をサーチし《残忍な剥ぎ取り/Grim Flayer(EMN)》を展開するも、これは佐々部に《致命的な一押し/Fatal Push(AER)》で処理されてしまう。

 ならば、とブショーは《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》から《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SOI)》と続け、佐々部にとってほぼ不可侵の飛行クロックである《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》がアクティブに。

 除去を手札に抱える佐々部は《闇の救済/Dark Salvation(EMN)》X=2で《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SOI)》を除去し、ゾンビ・トークンを横に展開し、ダメージレースを押し通す。

 そして、ブショーが《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》をX=2で唱え、再び《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》をアクティブにしたところで、佐々部は《イフニルの死界/Ifnir Deadlands(HOU)》を《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》に起動。その《歩行バリスタ/Walking Ballista(AER)》が《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》に搭乗し、ゾンビ・トークンの攻撃をブロックしたところで《闇の掌握/Grasp of Darkness(OGW)》を合わせ、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》を落としてみせる!

 頼みの綱を失ってしまったブショーは《不屈の追跡者/Tireless Tracker(SOI)》を再び送り出すが、即座に《不帰/Never(AKH)》され、再び盤面は更地になってしまう。ブロッカーとして《新緑の機械巨人/Verdurous Gearhulk(KLD)》を出すも、佐々部は最後のひと押しとして《戦墓の巨人/Diregraf Colossus(SOI)》を追加し、ゾンビ・トークンを増産し始める。

 ブショーは《巻きつき蛇/Winding Constrictor(AER)》を追加のブロッカーとして展開するが、幾度も蘇る《戦慄の放浪者/Dread Wanderer(AKH)》とゾンビ・トークンの前に屈することとなった。

佐々部 2-1 ブショー

佐々部悠介、12勝4敗を堅持し、プロツアー『破滅の刻』トップ8発表を待つ!

 試合後、やはり他のテーブルと違い大きな咆哮も歓声もなく幕を閉じた本マッチ。健闘を称え合う言葉を交わした後、佐々部は見守る仲間たちに控えめなガッツポーズを見せた。

 その直後、残る最後のフィーチャーマッチが終わり、勝利を収めトップ8進出を確定させたヤン・ウィンチャンが仲間たちのもとへ駆け寄っていた。

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 嬉しさのあまり、人目もはばからず号泣するヤン。暖かく迎える友人たち。

 運命を懸けた戦い。それぞれのプレイヤーが全身全霊をもって挑むプロツアー。

 だからこそ、心温まる、心躍る瞬間が訪れる。

 そして、直後のトップ8プレイヤーアナウンスで佐々部の名前がコールされると、彼は嬉しそうに栄光の舞台へ駆け出した。

 佐々部の歓喜の時間は、まだ続く。

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