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【観戦記事】 準々決勝:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Seth Manfield(アメリカ)

【観戦記事】 準々決勝:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Seth Manfield(アメリカ)

By Masashi Koyama

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パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa vs. セス・マンフィールド/Seth Manfield

 昨年のグランプリ・シドニー2017

 2015-2016シーズンのプロシーンを、独壇場と言わんばかりに席巻していたセス・マンフィールド。実際に彼と会ってみると、意外と言っては失礼なのかもしれないが、巨漢が並ぶ海外勢にあって比較的小柄な体躯だった。

 だが、当時の彼にはそんな小さな体からは想像できない貫禄があった。その刺すような眼光から放たれる空気感は、彼に近づくのもためらわれるほどに、厳しく鋭いものだった。

 だが、この京都で出会ったマンフィールドは当時に比べれば幾分穏やかな雰囲気になっていた。もちろん、それが良いか悪いのかは分からない。だが、少なくとも今シーズンの彼は昨年ほどの活躍を見せているわけではない。

 タイブレーカーを制してプロツアーサンデーに進出してきたマンフィールド。今、このテーブルに座る彼は大会前に会場で見た時よりも、眼光が鋭くなっているように思う。

 昨年の、大躍進を遂げていた頃を彷彿とさせる雰囲気を纏い、マンフィールドがプロツアー『破滅の刻』準々決勝のテーブルに着席した。


ゲーム1

 先手、ダモ・ダ・ロサが痛恨のダブルマリガン。ダモ・ダ・ロサは《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》、マンフィールドは《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》でお互いに1ターン目から動きあうが、ダモ・ダ・ロサは2枚目の土地を置くことができない。

 《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》が変身するもののマンフィールドは《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》と追加し、一気にダモ・ダ・ロサを追い詰める。

 ようやく《陽焼けした砂漠/Sunscorched Desert(AKH)》を引き込んだダモ・ダ・ロサは《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》を送り出すが、これが《削剥/Abrade(HOU)》で討ち取られ、マンフィールドの攻撃を受けてライフは早くも5。

 が、マンフィールドも土地が2枚で止まっており、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》を《削剥/Abrade(HOU)》すると、《損魂魔道士/Soul-Scar Mage(AKH)》と《ファルケンラスの過食者/Falkenrath Gorger(SOI)》を追加し、いったん攻撃の手を緩める。

 とはいえ、ダモ・ダ・ロサはマンフィールドの後手ドロー分を含めれば3枚のディスアドバンテージがあるのに加え、3枚目の土地が引き込めておらず苦しい状況には変わりない。マンフィールドのアップキープに《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》を《削剥/Abrade(HOU)》するが、《月の出の侵入者/Moonrise Intruder(SOI)》は攻撃に行けない状況だ。

 マンフィールドは再度《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》を追加。ダモ・ダ・ロサは《月の出の侵入者/Moonrise Intruder(SOI)》で攻撃に行き、これが《損魂魔道士/Soul-Scar Mage(AKH)》と相討ちに。《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》と《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》をブロッカーとして召喚する......

 ......が、マンフィールドからはここで《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》!

 ダモ・ダ・ロサは表情ひとつ変えず、戦場のカードをすくい上げ、ライブラリーへ戻した。

ダモ・ダ・ロサ 0-1 マンフィールド


 一方のパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサは、もちろんいつだって真剣ではあるのだが、マンフィールドほどに切れ味鋭い雰囲気を醸し出してはいない。

 もともとの顔つきもあるのだろうが、柔らかな表情をしている彼からは比較的穏やかな印象を受ける。それは、このプロツアーサンデーの舞台でも変わらず、ダブルマリガンに見舞われても、いつもと同じように淡々と、粛々と、相手を睨みつけることも不運を嘆くこともなくシャッフルを行っている。


ゲーム2

 これがプロツアーサンデーの魔物か。またもダモ・ダ・ロサはダブルマリガンの悲劇に見舞われる。

 マンフィールドの《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》に対し、ダモ・ダ・ロサは《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》からのスタート。

 先ほどと違い土地を引き込んでいるダモ・ダ・ロサは、《ファルケンラスの過食者/Falkenrath Gorger(SOI)》を並べるマンフィールドに対し、《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》を攻撃させずに、立たせたままターン終了。

 他方、マンフィールドはこちらも《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》を召喚し、すぐさま攻撃に向かわせると、ダモ・ダ・ロサのライフは15.

 続くターン、ダモ・ダ・ロサは4枚目の土地を引き込み、先ほどは攻撃を自重した《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》での攻撃から《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》、彼女の能力でマナを生み出し《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》と続け手札を使い切る。

 マンフィールドは2体目の《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》で《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》をブロックできなくさせると、《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》に向かってアタック。


セスは鋭い眼光でダモ・ダ・ロサへ攻勢を向ける

 《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》の忠誠度が2まで減少すると、ダモ・ダ・ロサは彼女を守ることもせずに攻撃へ向かい、マンフィールドのライフは8。返すマンフィールドの攻撃で《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》が葬られ、ダモ・ダ・ロサのライフは10。

 ターンエンドにダモ・ダ・ロサが《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》の能力を起動し、さらに《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》を引き込んだことで、マンフィールドのライフは2となり、続くターンにダモ・ダ・ロサの《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins(HOU)》に焼き切られてしまう算段だ。

 だが、マンフィールドが一呼吸おいてライブラリーから引き込んだのは本体に打ち込める《ショック/Shock(M14)》!

 ダモ・ダ・ロサに《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》を起動するターンは回ってこないのだった。

ダモ・ダ・ロサ 0-2 マンフィールド

ゲーム3

 みたび、ダモ・ダ・ロサは7枚でのキープを許されない。そして、6枚も。もし、プロツアーの女神なるものががいるのであれば、あまりに残酷なストーリーだ。

 ダモ・ダ・ロサが6枚をライブラリーに戻した瞬間、「このマッチは決したか......」と一瞬どこかフィーチャーマッチエリアの空気が緩んだように思えた。だが、この劣勢に立たされてもなお、ダモ・ダ・ロサだけはそんな空気すら感じさせず、変わらず淡々とシャッフルを行っている。彼は勝利を諦めてなどいなかった。ただ、少しだけ苦笑いしながら5枚をキープする。

 ダモ・ダ・ロサが《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》を送り出す。一方、都合3枚のカードアドバンテージがあるマンフィールドは落ち着いてこれを《削剥/Abrade(HOU)》で除去。一見、普通のプレイだが、もしかするとこれがキーポイントになってしまったのかもしれない。

 というのも、返すダモ・ダ・ロサの手札から戦場に放たれたのはダメージレースを成立させない《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》!

 これが《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》でアクティブになり、ダモ・ダ・ロサのライフを回復させながら攻撃へ向かう。

 マンフィールドは《焼夷流/Incendiary Flow(EMN)》《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》で《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》と飛行機械・トークンをアドバンテージを失いながらも焼き払い、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》の乗り手を攻める。

 が、ダモ・ダ・ロサは《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》《ファルケンラスの過食者/Falkenrath Gorger(SOI)》と展開し、乗り手を2体一気に増員する。マンフィールドはこれらの除去にも成功するが、ダモ・ダ・ロサは《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》で《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》による攻撃を継続。《ボーマットの急使/Bomat Courier(KLD)》も追加し、《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》への乗り手が途切れない。

 結果、除去が尽きたマンフィールドは《現実を砕くもの/Reality Smasher(OGW)》を送り出し、ダメージレースに方針を切り替えるのだが、ダモ・ダ・ロサが得た値千金の6点のライフはダメージレースであまりに大きく、ダモ・ダ・ロサがダブルマリガンから1本を取り返した。

ダモ・ダ・ロサ 1-2 マンフィールド


 誰もが「終わった」と感じていたこのマッチ。ダモ・ダ・ロサはダブルマリガンからゲームをもぎ取り、すんでのところで生き残った!

 が、ダモ・ダ・ロサは喜ぶ素振りをおくびもみせず、また次なるゲームの準備を続ける。いつもの真剣な、それでいて柔らかい表情で。


ゲーム4

 ダモ・ダ・ロサが初めて7枚をキープすると、《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》と次々と送り出す。

 マンフィールドはそれぞれ《マグマのしぶき/Magma Spray(AKH)》《焼夷流/Incendiary Flow(EMN)》で対処し、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》でダメージを与え続けると、4ターン目にストレートで《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》!

 ダモ・ダ・ロサは先ほどゲームを支配した《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》を送り出すのだが、2枚目の《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》をこちらも2枚目となる《焼夷流/Incendiary Flow(EMN)》で対処され、セスの手札が1枚になると、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》に加え、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》まで追加したマンフィールドの打点はあまりに大きく、ライフレースが13対10と一気に逆転する。

 ダモ・ダ・ロサは《栄光をもたらすもの/Glorybringer(AKH)》を召喚し、「督励」なしで《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》とともに攻撃。《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》の能力が起動され、ダモ・ダ・ロサのライフは13。

 マンフィールドは《村の伝書士/Village Messenger(SOI)》を《マグマのしぶき/Magma Spray(ALA)》で焼き払い、攻撃。これでダモ・ダ・ロサのライフは3。


背水の陣、しかしダモ・ダ・ロサはいつもの表情で戦う

 ダモ・ダ・ロサは《ファルケンラスの過食者/Falkenrath Gorger(SOI)》《アン一門の壊し屋/Ahn-Crop Crasher(AKH)》と送り出し、《ファルケンラスの過食者/Falkenrath Gorger(SOI)》を《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》に搭乗させ、フルアタック。

 マンフィールドは「3対8だよね?」と互いのライフを確認すると、そのまま盤面を片付けたのだった。

ダモ・ダ・ロサ 2-2 マンフィールド


 ついに、ついにここまで来てしまった。

 2本連続で落とし、後がない状況から、そしてそのうえ3ゲーム連続でのダブルマリガンに遭いながら、ダモ・ダ・ロサが最後のゲームまでたどり着いた。

 ここに来て、ダモ・ダ・ロサの表情には活力が出てきたように思われる。背水からたどり着いた、誰もが予期していたなかった第5ゲームが始まる――


ゲーム5

 マンフィールドが《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》、ダモ・ダ・ロサが《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》からスタートする立ち上がり。

 ダモ・ダ・ロサが背水から立ち直ったことで、流れが変わってしまったのだろうか。マンフィールドは《山/Mountain(AKH)》2枚で土地がストップしてしまい、《焼夷流/Incendiary Flow(EMN)》で《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》は退けるものの、《マグマのしぶき/Magma Spray(ALA)》2枚を《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》とトークンに使わざるを得ない苦しい展開。

 ダモ・ダ・ロサは《砂かけ獣/Sand Strangler(HOU)》で《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》を処理し、《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》からみたび《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》!

 手札に火力を抱えるマンフィールドは乗り手である《地揺すりのケンラ/Earthshaker Khenra(HOU)》を処理するが、ダモ・ダ・ロサの手から降臨した《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》が走る!

 ようやく土地を引き始めたマンフィールドは《反逆の先導者、チャンドラ/Chandra, Torch of Defiance(KLD)》から《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ/Kari Zev, Skyship Raider(AER)》、ライフは10。ダモ・ダ・ロサが2枚目の《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》を使い捨てながら《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》で攻撃し、マンフィールドの残りは7。

 マンフィールドは《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》を召喚しブロッカーとして立たせるが、ダモ・ダ・ロサが《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester(AER)》の攻撃し、《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent(AKH)》を2回起動すると、ライフはピッタリ焼き切られてしまうのだった。

ダモ・ダ・ロサ 3-2 マンフィールド

パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサが準決勝進出!

 試合後、フィーチャーマッチエリアを離れたダモ・ダ・ロサ「おめでとう。素晴らしい試合だったよ」と握手を求めると、ダモ・ダ・ロサは照れくさそうに応じてくてた。

 いつもと同じ、いやそれ以上の破顔で。

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