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【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』 初日スタンダード・メタゲーム・ブレイクダウン

【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』 初日スタンダード・メタゲーム・ブレイクダウン

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Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年10月14日

原文はこちら

 プロツアー『カラデシュ』は大変な大会になった。と言っても、参加人数が多いというだけの話ではない。『カラデシュ』が発売されてから大型大会は1度しか開催されておらず、Magic Onlineに『カラデシュ』が導入されてからもまだ日が浅い今、スタンダードのメタゲームを把握するのは一筋縄ではいかない挑戦だ。「機体」を用いたアグロ・デッキの強さは広く知られているものの、まだまだ強力なカードの組み合わせが勝利の華やかさの影に潜んでいるはずだ。あらゆる解答を結集すれば、現在の環境に存在できないと見られているコントロール・デッキを見出すこともできるかもしれない。

 466人もの強者が集まった今大会では、以下のようなデッキ分布となった。

アーキタイプ使用者数使用率
ティムール「霊気池」8217.60%
黒緑「昂揚」5511.80%
黒赤アグロ388.20%
赤緑エネルギー316.70%
赤白「機体」296.20%
黒赤「マッドネス」214.50%
ジェスカイ・コントロール183.90%
バント・ミッドレンジ132.80%
マルドゥ「機体」132.80%
グリクシス「現出」122.60%
青赤「スペル」112.40%
ティムール「現出」112.40%
緑白ミッドレンジ91.90%
ジャンド「昂揚」81.70%
緑青「霊気池」71.50%
赤白人間71.50%
ティムール「巨像」71.50%
白青コントロール71.50%
バント「霊気池」61.30%
青赤コントロール61.30%
白黒コントロール61.30%
白青フラッシュ61.30%
青赤「現出」40.90%
スゥルタイ・ミッドレンジ40.90%
ティムール・エネルギー40.90%
白青ミッドレンジ40.90%
緑白人間30.60%
グリクシス・コントロール30.60%
マルドゥ・ミッドレンジ30.60%
赤緑「霊気池」30.60%
白黒アグロ30.60%
黒赤ミッドレンジ20.40%
青黒コントロール20.40%
4色「霊気池」20.40%
グリクシス「巨像」20.40%
白青「現出」20.40%
白無色ミッドレンジ20.40%
黒白ミッドレンジ10.20%
青黒「現出」10.20%
青黒「マッドネス」10.20%
4色「現出」10.20%
4色「機体」10.20%
グリクシス「欠色」10.20%
グリクシス「マッドネス」10.20%
ジェスカイ「巨像」10.20%
マルドゥ・コントロール10.20%
白単アグロ10.20%
白単人間10.20%
ナヤ人間10.20%
赤緑「昂揚」10.20%
赤緑ミッドレンジ10.20%
赤白天使10.20%
赤白装備10.20%
赤白トークン10.20%
ティムール・コントロール10.20%
ティムール・エルドラージ・ランプ10.20%
ティムール・ランプ10.20%
合計466100.00%

※編訳注:表に「ジャンド」(誤り)があったため、修正いたしました。


 このままでは多様すぎて分析しにくいため、もう少しまとめよう。

アーキタイプ使用者数使用率
「霊気池」系10021.50%
「昂揚」系6413.70%
ミッドレンジ系469.90%
アグロ系449.40%
コントロール系449.40%
「機体」系439.20%
エネルギー系357.50%
「現出」系316.70%
「マッドネス」系234.90%
人間系122.60%
「スペル」112.40%
「巨像」系102.10%
ランプ系20.40%
「欠色」10.20%
合計466100.00%

 ええと......これでもまだ多様だね。まあ、これで見ていくことにしよう。

「霊気池の驚異」

 4ターン目に《約束された終末、エムラクール》や《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を繰り出すというのはどんな気分だろうか? もし君がその気持ち良さを味わったなら、きっとそれに乗ってプロツアーへ行くだろう。つまり、そういうことだ。今大会では、複数のプレイ・グループやプロ・プレイヤーが《霊気池の驚異》という強力なカードを手に、スタンダードの海へ漕ぎ出したのだった。

「霊気池」系
バント「霊気池」6
4色「霊気池」2
緑青「霊気池」7
赤緑「霊気池」3
ティムール「霊気池」82

 大きく差をつけて「ティムール」の形が人気を博す結果になったものの、どの形も共通して《霊気との調和》といったカードで序盤からエネルギーを貯め、《霊気池の驚異》を戦場に放つことに注力している。たとえライブラリーの一番上から6枚に放つべき怪物がなくとも、《霊気池の驚異》が戦場にある限り、再びそれを起動するエネルギーを貯め直してやればいい。いずれは当たりを引くだろう。

 デッキのエンジンが機能するまでの時間稼ぎや、他のデッキの攻め手をやり過ごす手段もバランス良く揃っている。中でも《コジレックの帰還》は、ゲーム序盤も終盤も盤面を一掃する力になってくれるだろう。

「昂揚」

「昂揚」系
黒緑「昂揚」55
ジャンド「昂揚」8
赤緑「昂揚」1

 前環境から「昂揚」デッキが再登場し、今大会に向けてプレイテストを重ねたプレイヤーたちからの人気を集めている。「昂揚」デッキはクリーチャー偏重のややアグレッシブなデッキだが、ミッドレンジ・デッキとしても優れた選択肢になっている。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》のようなクリーチャーは、他のアグレッシブな戦略を止める手段でありながらゲームの決め手となる。また《知恵の拝借》や《精神背信》のようなカードのおかげで対戦相手の手札を攻めることもでき、《霊気池の驚異》のようなコンボ・デッキとも渡り合えるのだ。

アグレッシブなデッキ

アグロ系
黒赤アグロ38
白単アグロ1
赤白装備1
赤白トークン1
白黒アグロ3

「欠色」
グリクシス「欠色」1

エネルギー系
赤緑エネルギー31
ティムール・エネルギー4

人間系
緑白人間3
白単人間1
ナヤ人間1
赤白人間7

「マッドネス」系
黒赤「マッドネス」21
青黒「マッドネス」1
グリクシス「マッドネス」1

「機体」系
4色「機体」1
マルドゥ「機体」13
赤白「機体」29

 広い目で見れば、アグレッシブなデッキが最も多くの選択肢を持ち、最大勢力となっている。赤白やマルドゥといった「機体」系のデッキは、《高速警備車》や《領事の旗艦、スカイソブリン》を最大マナ域に置いた攻撃的な展開で対戦相手を圧倒することを目指している。これに対する解答を持たない相手は、《経験豊富な操縦者》や《模範操縦士、デパラ》などによって素早くクロックを刻まれることだろう。今大会前に行われたスタンダードの大型トーナメントで優勝したことで、「機体」系のデッキはアグレッシブな戦略の第一候補となっているようだ。

 人気を集める戦略としてはもうひとつ、「黒赤アグロ」が挙げられる。このデッキは対戦相手のクリーチャーへの最高の解答として《無許可の分解》を搭載しており、また《ボーマットの急使》や《ピア・ナラー》によって攻め手の幅も広く、同時に《密輸人の回転翼機》や《高速警備車》のような「機体」でさらなるプレッシャーをかけていく。「機体」デッキと異なるのは、「機体」が絡むシナジーを採用していないことだ。「黒赤アグロ」における「機体」は、ただ強打を繰り出すためのものなのだ。

 「黒赤『マッドネス』」もまた前環境からの登場だが、今回は使用を検討するだけの強力なデッキに仕上がっている。このデッキは《無許可の分解》のような強力な除去呪文を獲得した代わりに、「マッドネス」を中心にした戦略から「墓地」を中心にしたものに変化している。動きとしては《墓所破り》でドローを進めつつ《憑依された死体》や《秘蔵の縫合体》で墓地を埋め、《癇しゃく》を添えていく。《癇しゃく》は《密輸人の回転翼機》や《安堵の再会》から「マッドネス」で放てれば理想的だろう。そして《屑鉄場のたかり屋》も、墓地からクリーチャーを戻す戦略を支えている。

 そしてアグレッシブなデッキの中でひと際輝いているのが「赤緑エネルギー」だ。これは「霊気池の驚異」デッキと同様に、序盤からエネルギーの力を活用するデッキだ。しかし「赤緑エネルギー」は、アーティファクト1枚によるコンボではなく《牙長獣の仔》や《通電の喧嘩屋》などのエネルギーを扱うクリーチャーを中心にした戦略をとる。《静電気式打撃体》と《顕在的防御》や《気宇壮大》によるコンボも備えているものの、このデッキはそれだけを狙ったものではない。《牙長獣の仔》や《逆毛ハイドラ》も、対処されなければ1枚でゲームを終わらせることができるのだ。

コントロールとミッドレンジ

コントロール系
青黒コントロール2
青赤コントロール6
グリクシス・コントロール3
ジェスカイ・コントロール18
マルドゥ・コントロール1
ティムール・コントロール1
白黒コントロール6
白青コントロール7

ミッドレンジ系
バント・ミッドレンジ13
黒赤ミッドレンジ2
黒白ミッドレンジ1
緑白ミッドレンジ9
マルドゥ・ミッドレンジ3
赤緑ミッドレンジ1
赤白天使1
スゥルタイ・ミッドレンジ4
白青フラッシュ6
白青ミッドレンジ4
白無色ミッドレンジ2

 大方の予想に反して、『カラデシュ』導入後のスタンダードにおいてもコントロールはメタゲームに存在し続けている。最も人気を集めたのは「ジェスカイ・コントロール」。《蓄霊稲妻》や《焼夷流》といった除去呪文を採用し、重い呪文には《虚空の粉砕》や《否認》、その他の打ち消し呪文で対処している。意外な採用カードとしては、《電招の塔》が挙げられるだろうか。これによってインスタント・タイミングで使える「3点火力」が増え、コントロールの助けになっているようだ。《燻蒸》の姿が見受けられない、あるいは採用しても1枚であるのは、驚くことではないだろう。この週末に必ず意識すべきアグレッシブな「機体」系のデッキに対して、ソーサリー・タイミングの除去は有効でないのだ。

 ミッドレンジにも多くの選択肢が見受けられるが、「バント」と「緑白」の形が一歩リードしているようだ。また、ほぼすべてのリストに《大天使アヴァシン》と《森の代言者》が採用されている。青を含む形には、かつての「集合した中隊」デッキから由緒正しき《反射魔道士》と《呪文捕らえ》が採用されているようだ。前環境と同様に、これらのミッドレンジ系デッキはマナ・カーブに沿ってクリーチャーを展開していき、そのクリーチャーの質でアグレッシブなデッキを退ける。ゲーム後半には《新緑の機械巨人》が列を成して現れ、圧倒的サイズで戦場を制圧することだろう。

その他の選択

「巨像」系10
グリクシス「巨像」2
ジェスカイ「巨像」1
ティムール「巨像」7

「現出」系31
青黒「現出」1
青赤「現出」4
4色「現出」1
グリクシス「現出」12
ティムール「現出」11
白青「現出」2

ランプ系2
ティムール・エルドラージ・ランプ1
ティムール・ランプ1

「スペル」11
青赤「スペル」11

 「現出」系デッキも、前環境からほとんど形を変えずに戻ってきた。《老いたる深海鬼》は変わらず対戦相手の妨害手段として強力な1枚であり、また戦場に出たときと死亡したときに利益をもたらす《金線の使い魔》が新たに登場したことで、「現出」の生け贄も獲得した。「グリクシス」と「ティムール」の形では採用するクリーチャーは異なるものの、《老いたる深海鬼》などの大型クリーチャーを引き込むまで盤面を制圧する手段は《コジレックの帰還》で共通している。

 「ランプ」系の使用者は今大会極めて少なく、わずか2名に留まった。両者とも「ティムール」の形をとっている。

 《金属製の巨像》は、この環境にもうひとつコンボ・デッキを生み出すに至った。「霊気池の驚異」デッキと異なり、「巨像」系デッキでは《金属製の巨像》のためのマナ加速(《領事の旗艦、スカイソブリン》など)それ自体が脅威にもなる。必要なパーツを探す手段には「霊気池の驚異」デッキ同様《光り物集めの鶴》が採用され、また「注目のストーリー」である《行き詰まりの罠》は《金属製の巨像》を素早く繰り出す助けになりながら時間も稼いでくれる。そしてこのデッキを刺激的なものにしてくれるのは《ウギンの聖域》だ。これによって《金属製の巨像》が次々と手札に加わり......もちろんその頃には0マナで展開できるはずだ。《燻蒸》が多くのデッキに採用されていない今、複数の《金属製の巨像》が並ぶ盤面への対処は極めて難しいだろう。

 「青赤『スペル』」も「青赤『熱病の幻視』」として前環境に存在していたが、ほとんどのプレイヤーが《熱病の幻視》の使用を避けて《電招の塔》を使うようになった。このデッキは、「ジェスカイ・コントロール」のように赤の除去呪文でゲームを長引かせながら、《奔流の機械巨人》でゲームを終わらせることを狙う。また「マナを支払わず」《稲妻》を撃てるというのは極めて強力であり、《予期》や《棚卸し》、《苦しめる声》といったドロー呪文を駆使して《電招の塔》を運用している。

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