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【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』 初日ドラフト全勝者たち

【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』 初日ドラフト全勝者たち

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Melissa DeTora / Tr. Keiichi Kawazoe

2016年10月14日

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 ハワイ州ホノルル、プロツアー『カラデシュ』へようこそ! 466名で行われたカラデシュでのドラフトラウンドが今まさに終わり、57名のプレイヤーが全勝で今日の大会をスタートさせた。『カラデシュ』のリミテッドは今まででも特にユニークな環境だ。《パンハモニコン/Panharmonicon(KLD)》や《電招の塔/Dynavolt Tower(KLD)》のようなデッキの軸となるカードがプレイヤーに対して「寄せた」ドラフトを可能にしている。また、アーティファクトを参照するカードが、「強いカードを取るのか、アーティファクト・シナジーのために弱いカードを取るのか」という選択をもたらしているのだ。さらに、機体とコンバット・トリックによって古き良きビートダウンデッキもまた成立している。カラデシュは、まさに発明家にとっての楽園なのだ。

 3-0を記録したドラフトデッキの分布がこちらだ。

アーキタイプ
白黒10
緑白9
黒緑8
赤緑7
緑青6
黒赤5
白青4
青黒3
赤白3
青赤2
合計57

 白と、黒や緑を組み合せたデッキは今日一番結果を残した組み合わせとなった。青赤は一番少なく、他を見ても緑を含まないものはあまり良い結果を残していない。多くのプロは、今日「強いコモンを多く擁する緑をドラフトするべきだ」と考え、それが正しかった結果として、緑が3-0デッキの中で最も多く使われた色となったのだ。

 緑をドラフトして3-0したうちの一人が、プレイヤー・オブ・ザ・イヤー経験者で現在も世界ランキング8位に位置しているマイク・シグリスト/Mike Sigristだ。マイクはこのフォーマットで絶対に緑をドラフトしたいと考えており、結局今回も素晴らしい黒緑デッキを組み上げた。「《霊気との調和/Attune with Aether(KLD)》と《導路の召使い/Servant of the Conduit(KLD)》のおかげで凄く安定しているんだ。これを取っておけばいい、ってくらいだよ」と彼は言う。

 シグリストのデッキは、彼にとってのMVPである2枚の《牙長獣の仔/Longtusk Cub(KLD)》を含む、エネルギー・カウンターに満ちたものだ。「僕の初手は《逆毛ハイドラ/Bristling Hydra(KLD)》で、そこから2枚の《放埒/Live Fast(KLD)》と《水辺の虎/Riparian Tiger(KLD)》を取れたね」 シグリストは、この環境を非常にアグレッシブなものだと考えており、コンバット・トリックを重要視していた。その中でも、彼は《活力の奔出/Rush of Vitality(KLD)》を最も評価していた。この2マナのコンバット・トリックは、ゲームのテンポを変える。戦闘でクリーチャーを救うだけでなく、加えて対戦相手のクリーチャーを討ち取りながらライフまで得られるのだ。

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シグリストはこの環境で緑をドラフトすることに活路を見出し、成果を上げたひとりだ。

 3-0を記録した色の組み合わせで強かったのがもうひとつ、黒白だ。『カラデシュ』のリミテッドにおいて、白と黒は製造クリーチャーや《機械修復職人/Restoration Gearsmith(KLD)》、そして《隠然たる襲撃/Subtle Strike(KLD)》や《軽業の妙技/Acrobatic Maneuver(KLD)》といったコンバット・トリックなどから「高い」色として知られていた。それを考えれば、その組み合わせが強力で魅力的になることに不思議はなかった。

 ソルトレイクシティに住むケーシー・ブラッドウォース/Casey Bloodworthは彼にとって初めてのプロツアーのドラフトで3-0を記録したところだ。この色の組み合わせは彼がこの環境で最も好むものであり、今回その組み合わせをプレイできて満足しているという。彼のデッキは《光袖会の職工/Glint-Sleeve Artisan(KLD)》や《先見的な増強者/Visionary Augmenter(KLD)》、そして《襲拳会の部隊/Maulfist Squad(KLD)》のような製造クリーチャーを軸にしていた。「製造カードは《格納庫の整備士/Aviary Mechanic(KLD)》や《たなびき織りの天使/Wispweaver Angel(KLD)》のような明滅と相性がいいんだよ。霊気装置を実際のカードと交換していきたいところだね。よりアグレッシブに行くなら《鼓舞する突撃/Inspired Charge(KLD)》も使うだろうね」

 ケーシーは《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter(KLD)》や、初手の《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk(KLD)》といった非常に強力なレアをデッキに入れていた。「でも機械巨人は良くないね。たくさんの霊気装置を作るから、機械巨人を唱える場所がないんだ。これはやり過ぎってやつだね」

 一方、赤や青はこの週末かなり不調だ。しかし、多くの強豪プレイヤーがこの色を選んで成功しており、殿堂顕彰者であるパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaもそのひとりだ。彼は赤白の非常にアグレッシブな機体デッキをドラフトした。「この環境はアグレッシブだから、とにかくたくさんの2マナ域をプレイしたいんだ。安めの機体は大好きだし、シナジーを活かせるなら4枚くらいは取っておきたいところだよ」 実際、パウロはこの赤白機体デッキで《航空艇/Sky Skiff(KLD)》3枚と《楕円競走車/Ovalchase Dragster(KLD)》1枚を使っていた。

「一番大事なカードは、このタップで1点飛ばせる3/2(筆者注:《尖塔横の潜入者/Spireside Infiltrator(KLD)》)だね。これは非常にアグレッシブなスタートを可能にしてくれるんだ。特に《航空艇/Sky Skiff(KLD)》を2ターン目にプレイできていればね。この環境ではよく戦線が膠着するし、飛行クリーチャーが多いわけじゃないから、そういう状況でこの組み合わせで追加のダメージを与えられるのは有効だろうね」

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パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサは赤白機体デッキで成功を見た。《尖塔横の潜入者/Spireside Infiltrator(KLD)》は特に良い働きをしている。

 パウロのキーカードは、他にも《ピア・ナラー/Pia Nalaar(KLD)》がある。ピアは赤いデッキでは常によく働くが、特にアーティファクトや機体とよくシナジーしている。これは搭乗する乗員2体を供給するだけでなく、ブロックを防いでくれるのだ。

 今日の3-0デッキで最も弱いもののひとつは、ちょうど今年殿堂に選出されたオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldのデッキだ。オーウェンは《つむじ風の巨匠/Whirler Virtuoso(KLD)》のために青をタッチした黒赤デッキをドラフトした。初手で《組織の密売人/Syndicate Trafficker(KLD)》をピックした後も、うまく方向性を見つけられずにいた。「ボムレアもないし、シナジーも作れないし、テーマもなかった。仕方がないからカードパワーが高いものを取っていったんだ」と彼は説明した。彼のデッキのハイライトは《無許可の分解/Unlicensed Disintegration(KLD)》だが、《歯車工の組細工/Cogworker's Puzzleknot(KLD)》や《プラカタクラブの用心棒/Prakhata Club Security(KLD)》2枚といった弱いカードを使わざるを得ない状況だった。

 オーウェンは結局青をタッチしたが、一方この環境でのタッチは非常に容易だと感じていた。特に弱いデッキは、それを埋めるために別の色のカードをタッチするものだ。《予言のプリズム/Prophetic Prism(KLD)》と《霊気拠点/Aether Hub(KLD)》は、無理なドラフトをすることなく色の安定性を増す。デッキ内のアーティファクトを増やせばマナ基盤の不安も少なくなり、タッチしたカードを引くための時間を稼いでくれるのだ。

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新しい殿堂顕彰者のオーウェン・ターテンワルドは厳しいドラフトをこなし、その実力で3-0を成し遂げた。

 白青もまた今日一番弱い色になり得たが、いくつかの強力な青いデッキがそれを覆した。そのひとつが、殿堂顕彰者・八十岡翔太の青白コントロールだ。青白もまた、除去や「戦場に出たとき」能力と明滅やバウンスの組み合わせでカード・アドバンテージを稼げる、「高い」色なのだ。たとえ霊気装置で広がった盤面を相手にしたとしても、《領事府の空船口/Consulate Skygate(KLD)》のような防御的なクリーチャーで守りきれるのだ。

 白青デッキで最も強力なフィニッシャーは《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent(KLD)》だ。このカードは一見弱く見えるが、デッキに軽いアーティファクトが多ければ4ターン目にさえ着地するのだ。八十岡は《歯車工の組細工/Cogworker's Puzzleknot(KLD)》や《炎鍛冶の組細工/Fireforger's Puzzleknot(KLD)》、そして《領事府の空船口/Consulate Skygate(KLD)》とともに、3枚の《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent(KLD)》をより早く戦場に送り出そうとしていた。

 その他、3-0を記録した中にはエリック・フローリッヒ/Eric Froehlich、リード・デューク/Reid Duke、マーティン・ジュザ/Martin Juza、 ベン・スターク/Ben Stark、オリヴァー・ティウ/Oliver Tiu、アリ・ラックス/Ari Lax、ラファエル・レヴィ/Raphael Levy、リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian、マーティン・ミュラー/Martin Muller、そして渡辺雄也といった強豪も並んでいる。

 総じて言えば、我々が予想していた以上に『カラデシュ』のリミテッドはアグレッシブな環境で、また多くのコンボや戦略の可能性が潜んでいるといえるだろう。アグロデッキに対抗しうる防御的な選択の余地も残っており、それはドラフトでコンボやコントロール戦略を成立させる余地へとつながっている。

 プレイヤーはこの日のリミテッド・ラウンドを終え、スタンダードのデッキでの戦いへと進む。さあ、40枚から60枚に持ち替え、より組み上げられたカードの組み合わせを見てみようではないか。

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