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【観戦記事】 第6回戦:渡辺 雄也(日本) vs. Zac Elsik(アメリカ)

【観戦記事】 第6回戦:渡辺 雄也(日本) vs. Zac Elsik(アメリカ)

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Melissa DeTora / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年10月14日

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渡辺 雄也(バント「霊気池」) vs. ザック・エルシク/Zac Elsik(ジェスカイ・コントロール)

 ザック・エルシクといえば、昨年モダンで「ランタン・コントロール」を作り上げたデッキ・ビルダーとして広く知られていることだろう。彼は今大会も、《電招の塔》や《奔流の機械巨人》、それから様々な「受け」の呪文を搭載したユニークな「ジェスカイ・コントロール」を使用している。

 日本の渡辺 雄也は、プロツアー・トップ8入賞3回、世界王者のタイトル、グランプリ・トップ8入賞24回といった輝かしい成績をもって殿堂顕彰を受けた。彼が今大会で使用するのは最新のコンボ・デッキである「霊気池の驚異」デッキだ。この週末に多く使用されている「霊気池の驚異」だが、渡辺は3色目として赤ではなく白を選択して《呪文捕らえ》や《実地研究者、タミヨウ》、《罪人への急襲》といったカードを採用し、コンボ・パーツが見つからない場合のプランBを備えている。

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コントロール・デッキの製作者として名高いザック・エルシクは、今大会でもコントロールを組み上げてきた。ここで対峙するのは、新たに殿堂顕彰者となった渡辺 雄也だ。

ゲーム展開

 ダイス・ロールに勝ったエルシクが先手を選ぶ。彼は7枚の初手をキープし、一方の渡辺はマリガンを喫した。引き直した6枚をキープすると、渡辺は占術で見たカードをデッキの底へ送る。

 エルシクが《鋭い突端》を置いてターンを渡すと、渡辺は《霊気との調和》で《平地》を持ってきた。続く2ターン目に渡辺は《織木師の組細工》を展開し、ザックは《予期》を唱える。続けて《導路の召使い》を繰り出した渡辺だが、ザックは《流電砲撃》を構えていた。

 渡辺は《ガラス吹き工の組細工》を追加し、占術で見たカードをライブラリーの底へ送った。そのターンの終了時にザックは《天才の片鱗》を唱え、両者ともドロー呪文や占術で手札を整えていく。まだ、仕掛けない。

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ロング・ゲームに備えるエルシク。彼の選択したデッキにとって望ましい展開だ。

 ついに渡辺が《霊気池の驚異》を引き込みそれを唱えたが、そこへ《否認》が合わせられた。これで渡辺はタップ・アウトになり、エルシクの《先駆ける者、ナヒリ》が着地。彼の手札がさらに改善されていく。クリーチャーが少ないマッチアップにおいては除去呪文が腐るため、それを捨ててドローを進められる《先駆ける者、ナヒリ》は大きな活躍を見せた。手札を完璧に整えたエルシクは、打ち消し呪文でサポートしながら《電招の塔》を通すことに成功する。勝ち手段を得たエルシクは、そのままゲームを掌握し始めた。

 エルシクは《天才の片鱗/Glimmer of Genius(KLD)》や《予期/Anticipate(BFZ)》といったドロー呪文を唱え続け、手札は充実一途だった。渡辺ができたことは、「組細工」を戦場に並べるだけだ。

 渡辺のターン終了時に《奔流の機械巨人》が着地し、エルシクは《天才の片鱗》を再利用した。エルシクは豊富な土地と手札で1ターンに複数の呪文を唱え、《電招の塔》は毎ターン3点のダメージを渡辺に与えていく。《奔流の機械巨人》による攻撃と《焼夷流》も受け、渡辺は後がなくなった。祈るように唱えた《霊気池の驚異》も《虚空の粉砕》を受け、それが渡辺の投了を促す一手となった。

 黙々とサイドボーディングを進める両者。このマッチアップはエルシクが極めて有利に見えるが、渡辺は15枚のサイド・カードのほとんどをデッキに投入している。無論それが何を意味するのかエルシクに知る由はない。「霊気池の驚異」デッキは対処されればもろく、打ち消し呪文1枚で崩されるデッキだ。だからこそ渡辺は、このマッチアップで勝つために別のプランが必要だったのだ。

「先手もらいます。グッドラック」と、渡辺が声をかける。エルシクがそれに応じると、両者とも自信を持ってキープを宣言した。

 第2ゲームの初動は渡辺の《導路の召使い》だった。一方のエルシクはただ土地を置いてターンを返し続ける。《霊気との調和》で《平地》を獲得した渡辺は、《導路の召使い》で攻撃し、この試合初めてエルシクにダメージを与えた。

 渡辺は続けて《牙長獣の仔》でプレッシャーをかけた。彼はサイド後にコンボ・パーツの大半を抜いて、エネルギーを駆使する強力なクリーチャー陣で攻めるデッキに変えたのだ。これはエルシクにとって辛い展開になった。彼は除去のほとんどをサイド・アウトしていたのだ。3ターン目も土地を置いて、ターンを返すしかできない。

 渡辺は《導路の召使い》と《牙長獣の仔》を攻撃に送り出し、エルシクはこれに対応できず残りライフを14点まで落とした。エネルギー・カウンターをふたつ得た渡辺はそのままターンを返し、エルシクは何も打ち消せないまま《呪文捕らえ》を展開した。

 渡辺は《牙長獣の仔》で攻撃。エネルギー・カウンターを6個持つ渡辺の攻撃に対して、エルシクは《呪文捕らえ》でブロックしないことを選択した。渡辺は《牙長獣の仔》の能力を2回起動し、エルシクのライフは残り10点に。戦闘後、渡辺は《不屈の追跡者》を盤面に追加しようとしたが、これは《呪文捕らえ》に捕まった。これでエルシクがゲームを取り戻すための一歩は踏み出せたものの、依然として《牙長獣の仔》という深刻な問題が立ちはだかっている。

 エルシクは《先駆ける者、ナヒリ》を唱えたが、渡辺がそれを《否認》。エルシクはターンを返す他ない。渡辺は4/4の《牙長獣の仔》で攻撃し、エルシクは《呪文捕らえ》をチャンプ・ブロックに向かわせる。

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この大舞台で「変形サイドボーディング」戦略を見せ、殿堂顕彰者たる理由を見せつける渡辺。

 渡辺は《導路の召使い》を追加すると再び《牙長獣の仔》で攻撃し、エルシクの残りライフを5点まで追い詰めた。エルシクはそのターンの終了時に《天才の片鱗》を放つが、ターンを迎えると土地を置いて「go」と言うしかなかった。

 渡辺は2体の《導路の召使い》と5/5の《牙長獣の仔》による一斉攻撃を仕掛けてゲームを決めにいったが、エルシクは《神聖な協力》を「増呪」で唱え4点の回復と《導路の召使い》1体を除去した。《牙長獣の仔》は《呪文捕らえ》にチャンプ・ブロックされたが、渡辺は《不屈の追跡者》を唱えなおして盤面に追加した。

 エルシクは再び土地を置いてターンを返す。渡辺は《牙長獣の仔》と《導路の召使い》で攻撃。ここでエルシクは《奔流の機械巨人》を繰り出し、《神聖な協力》を再利用した。彼はもう4点のライフを獲得し、渡辺の《導路の召使い》を生贄に捧げさせる。《牙長獣の仔》の攻撃が通ると、渡辺は貯まったエネルギーを使ってそれを8/8にした。

 エルシクは再び土地を置いてターンを返す。渡辺も土地を置いて「手掛かり」トークンを生み出すと、すべての「手掛かり」を生け贄に捧げて《不屈の追跡者》を6/5に成長させた。渡辺の一斉攻撃に対し、エルシクは《奔流の機械巨人》をチャンプ・ブロックに向かわせた。

 渡辺は戦闘後に2枚目の《牙長獣の仔》をプレイし、エルシクはそれに対応して《奔流の機械巨人》から《天才の片鱗》。しかし解答は見つからず、ターンを迎えたエルシクはドロー後そのままターンを返した。

 渡辺は戦闘後に2枚目の《牙長獣の仔》をプレイし、エルシクはそれに対応して《奔流の機械巨人》から《天才の片鱗》。しかし解答は見つからず、ターンを迎えたエルシクはドロー後そのままターンを返した。

 渡辺がいずれも致命打となる3体の攻撃を繰り出すと、エルシクは3枚目の《奔流の機械巨人》を唱えた。だが願いを込めた《予期》も解答をもたらさず、それを見てエルシクは投了を宣言した。

 両者は最終ゲームに向けてサイドボーディングに入り、渡辺は再びサイドの15枚すべてをデッキに混ぜた。ここでの選択がエルシクの運命を決める。渡辺のクリーチャーに対処すべく除去をサイド・インするか? 渡辺が最終ゲームは《霊気池の驚異》で勝負してくると見るか?

 エルシクは初手をマリガンし、6枚の手札に頷いた。最終ゲームが始まる。

 初動は再び渡辺の《導路の召使い》。エルシクはそのターンの終わりにそれを《流電砲撃》で除去する。土地を置いてターンを返したエルシクを後目に渡辺は《導路の召使い》を通したが、4ターンの《実地研究者、タミヨウ》は《呪文捕らえ》を受けた。

 渡辺は続けて2枚目の《実地研究者、タミヨウ》を唱え、今度は着地に成功した。[+1]能力で《導路の召使い》と《呪文捕らえ》に「《好奇心》能力」を付与すると、残ったマナで《牙長獣の仔》を追加する。エルシク側の動きは、《天才の片鱗》のみ。

 ターンを迎えたエルシクは《牙長獣の仔》へ《蓄霊稲妻》を撃ち込み、土地を置いてターンを返した。《実地研究者、タミヨウ》が忠誠度を増やすものの、両者とも有効な攻撃はできない。

 エルシクは《さまよう噴気孔》を置き、ターンを返した。渡辺は《実地研究者、タミヨウ》の忠誠度を上げ、最終奥義の準備を整える。エルシクとしては、何としても解答を見出さなければならない。彼は《天才の片鱗》を唱えたが、渡辺の《呪文捕らえ》に阻まれた。だがエルシクはそこへ《流電砲撃》を撃ち込み、改めて《天才の片鱗》を唱え直す。すると彼は3枚目の《流電砲撃》を引き込み、渡辺の盤面に残る《導路の召使い》の除去にも成功した。タップ・アウト状態の渡辺に対しエルシクは《鋭い突端》で《実地研究者、タミヨウ》を攻撃し、その忠誠度を3まで落として危機から脱することができた。

 渡辺は続くターンに動くことができず、《鋭い突端》の攻撃で《実地研究者、タミヨウ》を失った。これで両者とも土地以外のパーマネントがない状況になったが、クリーチャー化する土地を複数擁するエルシク側が大きな優位を取る形になった。

 渡辺は《霊気池の驚異》を唱えた。現時点で持っているエネルギー・カウンターは4個だ。エルシクはそれを通し、《奔流の機械巨人》を繰り出した。機械巨人はエルシクにドローと強烈なクロックをもたらした。

 渡辺がエネルギー・カウンターを得て《霊気池の驚異》を起動する猶予は1ターンしかない。次のエルシクの攻撃が致命打になるからだ。渡辺はドロー後土地を置くと、なんとか《約束された終末、エムラクール》を唱えた。エムラクール本体は《虚空の粉砕》を受けたが、次のエルシクのターンは渡辺の支配下にある。

 エルシクのターンをコントロールした渡辺は、《蓄霊稲妻》と《奔流の機械巨人》、《否認》という手札を見た。渡辺の取れる選択肢は多くない。エルシクは、彼の盤面に並ぶ《奔流の機械巨人》や《呪文捕らえ》、クリーチャー化する土地を対処できるほどの除去を持っていなかった。渡辺は《奔流の機械巨人》で墓地の《蓄霊稲妻》を再利用し、その《奔流の機械巨人》を除去することにした。

 ここで制限時間終了のアナウンスが流れ、エルシクが延長ターン1を迎えた。彼はクリーチャー化する土地をふたつ起動し、全軍で攻撃する。渡辺の盤面には、生き残れるだけのブロッカーはいなかった。

渡辺 1-2 エルシク

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