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【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』ドラフト・ラウンド全勝者たち

【戦略記事】 プロツアー『カラデシュ』ドラフト・ラウンド全勝者たち

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Melissa DeTora / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年10月15日

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 今大会初日のドラフトを全勝したプレイヤーは57人。それから本日もう1度全勝できたのは、わずか6人だった。グランプリ優勝4回のマーティン・ジュザ/Martin Juza、殿堂顕彰者ラファエル・レヴィ/Raphael Levy、「ゴールド」レベル・プロのマシュー・ナス/Matthew Nass、現在世界ランキング1位にして新たに殿堂顕彰者となったオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald、そしてドナルド・スミス/Donald Smithとトラヴィス・ウー/Travis Wooの6人だけが、今大会のドラフト・ラウンド合わせて6回戦を全勝で終えたのだ。

 では、今回のドラフトを無傷で勝ち抜いたその秘訣とは何だろうか?

「ドラフトはたくさん練習しましたよ」と、ルイジアナ州ラファイエットに住むドナルド・スミスは答えた。「僕の周りではみんなリミテッドをしていましたから。今大会に向けて30回はドラフトをしましたね」

 殿堂顕彰者のラファエル・レヴィも同様に練習を積み重ねてきたと言う。「トゥールーズに大きなコミュニティがあって、全員でグランプリ・ロンドン2016に向けた練習をしようということになった。そこで妻のスタジオを借りて、1日中ドラフトをやったよ。ロンドンのドラフト・ラウンドでは4勝2敗だった。全勝が目標だったんだけど、ミスがあったかな。その後も練習を続けて、この環境を把握できた」

 『カラデシュ』リミテッドは、前環境の『イニストラード』や『異界月』とは大きく異なる。当時はシナジーが重要な環境だったが、『カラデシュ』リミテッドではシナジーはそれほど重視されないのだ。小さなシナジーが活かされる場面はあるものの、この環境については多くのプレイヤーが、シナジー重視のデッキよりマナ・カーブとコンバット・トリックを重視した方が良いと感じている。

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この環境ではマナ・カーブとコンバット・トリックを重視した方が良いことを理解し、今大会のドラフト部門を全勝で飾ったラファエル・レヴィ。

「この環境では、コンバット・トリックが除去のように機能する」と、レヴィは解説する。「僕の注目カードは《活力の奔出》だね」

 レヴィは2回とも黒をドラフトし、そのどちらにも《活力の奔出》が採用されていた。「一見スゴいカードには見えないけれど、何でもできるんだ。相手クリーチャーの除去に自軍クリーチャーの保護、ライフ回復、ダメージ・レースのサポート。《活力の奔出》があれば除去はいらないくらいだよ」

 彼は《飾りの勇気》についてもその強さを主張する。「この環境では1マナのコンバット・トリックが強いんだ。こいつも無視はできないよ」

 マシュー・ナスもまた、シナジーよりもマナ・カーブを重視することで今大会のドラフト部門を無敗で乗り切った。「マナ・カーブと除去が大事だね。2日目となる今日のデッキに特別なところはないよ。シナジーといえば《航空艇》と3/2のピンガー(《尖塔横の潜入者》)くらいかな。《亢進する地虫》を流して《鎧作りの審判者》をピックしたところはミスだった。シナジーを持つカードより、マナ・カーブを整える2マナ域の方がよかったね」

 オーウェン・ターテンワルドの場合、また別の戦略を心に留めていた。「行き先はレアが教えてくれるよ」と彼は言う。

 オーウェンの2回目のドラフト・デッキは青赤のコントロール寄りのデッキであり、エネルギーと爆弾レアを駆使するものだった。「初手に《霊気烈風の古きもの》をピックして、続けて《タカシオヤドカリ》をピックした。《霊気烈風の古きもの》をピックした時点で、戦場に出たときにエネルギーをもたらすクリーチャーをドラフトしていくよう意識した。《霊気烈風の古きもの》を確実に運用できるようにね。《タカシオヤドカリ》と《亢進する亀》を組み合わせることで、毎ターンすべてのクリーチャーをバウンスできるんだ」

 オーウェンの持つ爆弾レアはもうひとつ。彼は《領事の旗艦、スカイソブリン》を擁していた。「《領事の旗艦、スカイソブリン》を引けば負けないことはわかっていたから、毎ゲーム引き込めるように《安堵の再会》も3枚採用してチャンスを増やした。間違いなくデッキ内最強の1枚だからね。《金属紡績工の組細工》まで使って引こうとしたよ」

 全勝者のほとんどが、緑を好んでドラフトしていた。「空いていれば緑がいいね。クリーチャーのサイズは最大だし、コンバット・トリックも強い。どの色と組み合わせてもいいけれど、僕としては特に赤緑が好きかな」とレヴィは言う。

 ドナルド・スミスもそれに同意した。「緑か黒がいいですね。ただし、緑と黒を一緒には使いません。青がやや扱いにくく、できれば避けたい色です。それから、赤白も避けたい。緑の良い点は、タッチも簡単でどの色とも組み合わせられるところです。マナ基盤を整える力もかなり高いため、タッチできるものを積極的に探していきたいですね。僕のチームでは、《つむじ風の巨匠》も緑のカードだと冗談で言われていますよ」

 マーティン・ジュザも、青をドラフトするのは避けたいと語る。「青はやるべきことがはっきりしない。2/1バニラがあったり2/3の果敢持ちがいたりするのに、スペルが弱かったりね。青のカードはそれ単体ではなく他のカードとうまく組み合わせることで強さを発揮するから、ドラフトが難しくなるわけだ」

 とはいえ、その青も全員から避けられているわけではない。マシュー・ナスの場合、他の色よりも青を好んでいる。「でも《風のドレイク》と《ヒレナガ空鯨》のプランは良くないけどね」と、彼は言う。「青をやるなら、そのプランはおすすめしない。コントロール寄りに組んでいくべきだ。緑青が理想かな。それから、青赤はできるだけ避けたい。僕から見れば赤が一番弱い色だよ」

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この環境における各色の役割を理解し、今大会のドラフト部門を無敗で切り抜けたマット・ナス。

 初日の全勝者たちの中で最も多く使用されたアーキタイプは白黒だった。そして2日目も、マーティン・ジュザとトラヴィス・ウーが白黒で全勝を維持した。白黒は最も多くの引き出しを有している。アグロ寄りにもコントロール寄りにも向かうことができ、トークンで横に並べる戦略も膨大なアドバンテージを稼いでいく戦略も可能だ。そんな白黒の中でも、マーティンのデッキは特に目を引くものだった。「素敵なデッキが組めたね」と、彼は《航空艇》3枚と《夜市の見張り》2枚を採用したデッキを広げて見せてくれた。《夜市の見張り》はそれ単体では強いカードではないが、「機体」と組み合わせることで強力な1枚となるのだという。

 以下に、今大会ドラフト部門全勝者の各アーキタイプを掲載する。

プレイヤー初日ドラフト2日目ドラフト
マーティン・ジュザ緑白タッチ青白黒
ラファエル・レヴィ黒緑黒赤
マシュー・ナス緑白赤緑
ドナルド・スミス緑白タッチ青赤緑
オーウェン・ターテンワルド黒赤タッチ青青赤
トラヴィス・ウー白黒白黒

 分析すると、以下のことがわかるだろう。

  • 緑を使用したデッキは6個。
  • 白を使用したデッキは6個。
  • 黒を使用したデッキは6個。
  • 赤を使用したデッキは5個。
  • 青を使用したデッキは1個。しかし3個のデッキが青をタッチしている。
  • 3色のデッキのすべてが、タッチ色として青を選択している。

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