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【観戦記事】 第15回戦:石原 隼(日本) vs. Tyler Hill(アメリカ)

【観戦記事】 第15回戦:石原 隼(日本) vs. Tyler Hill(アメリカ)

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Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年10月15日

原文はこちら

石原 隼(ティムール「現出」) vs. タイラー・ヒル/Tyler Hill(黒緑「昂揚」)

 石原 隼とタイラー・ヒルの両者は、どちらもまだ開花のときを迎えていない。そんな彼らが今、プロツアーで11勝3敗というスポット・ライトが当たるに相応しい成績を収めている。プロツアー『運命再編』からプロツアーへの参戦を始めたヒルは、この週末に驚くべき活躍を見せた。一方の石原は、2002年のプロツアー・ヒューストン以来断続的にプロツアーへの出場を続け、ついにこの舞台に至った。

 彼らが望むのはここでもうひとつ勝ち、悲願のトップ8入賞をその手に掴むことだ。

それぞれのデッキ

 ヒルの「黒緑『昂揚』」が狙うプランはただひとつ。「昂揚」を達成し、《残忍な剥ぎ取り》や《ゲトの裏切り者、カリタス》といったクリーチャーや《ウルヴェンワルド横断》のような呪文の力を存分に引き出すことだ。その後は《墓後家蜘蛛、イシュカナ》のようなカードも加わり、さらに差をつけられるだろう。そして手札破壊と《約束された終末、エムラクール》がその戦略を支え、また《最後の望み、リリアナ》もゾンビの黙示録を引き起こす。このデッキは墓地が肥え時間を稼げれば、それによるアドバンテージ差で押し切れるものなのだ。

 石原の操る「ティムール『現出』」もまた、「黒緑『昂揚』」と共通する要素を持っている。《約束された終末、エムラクール》を唱えることが決め手になる点。それから《ウルヴェンワルド横断》によってアドバンテージを得る点も同じだ。しかしその中核となる《老いたる深海鬼》や《不憫なグリフ》が、両者のデッキをまったく異なるものにしている。《巡礼者の目》や《金線の使い魔》を生け贄に、デッキ名にもなっている「現出」持ちのエルドラージを繰り出す石原のデッキだが、彼は《コジレックの帰還》のために赤を採用し、大型クリーチャーにつなぐ時間を稼いでいる。

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自身初のプロツアー・トップ8入賞へ向かう道を歩み続けるタイラー・ヒル(写真右)と石原 隼(同左)の両者。目指す先が見える場所へ至るのはどちらか?

ゲーム展開

 ゲームが始まるとまず、石原は《ウルヴェンワルド横断》で《山》を手に入れた。ヒルは前方に阻むものがない状態で《残忍な剥ぎ取り》を繰り出し、盤面の優位を得た。石原が続けて繰り出した《不屈の追跡者》はゲーム後半に彼の助けになると思われるが、ヒルは《最後の望み、リリアナ》でさらにプレッシャーを強めていく。

 石原は自分のターンをすぐに渡したが、ヒルのアップキープに《老いたる深海鬼》を「現出」させた。墓地の《コジレックの帰還》が誘発しヒルのクリーチャーは一掃されたが、《殺害》によって《老いたる深海鬼》も墓地へ行く。

 《最後の望み、リリアナ》はまだ立っている。

 「昂揚」を達成した《ウルヴェンワルド横断》で《ゲトの裏切り者、カリタス》を持ってきたヒルは、《最後の望み、リリアナ》の忠誠度を上げた。《発生の器》で2枚目の《老いたる深海鬼》を手に入れた石原は、《進化する未開地》を起動してこちらも「昂揚」を達成した。続けて《ウルヴェンワルド横断》から《墓後家蜘蛛、イシュカナ》も展開する。

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 ヒルの《残忍な剥ぎ取り》と《不屈の追跡者》が強力な防衛線を築き上げ、忠誠度7の《最後の望み、リリアナ》を守っていた。

 石原は《巡礼者の目》を展開し、《進化する未開地》を置いた。このターン中に《最後の望み、リリアナ》に手を出すことはできなかった。

「ゾンビ・トークンをくれないか?」と、ヒルは近くのジャッジに声をかけた。

 《最後の望み、リリアナ》がその「紋章」をヒルに与え、彼女の最終奥義によってゾンビ軍団が現れ始めた。石原は《巡礼者の目》で勢い良く攻撃すると、《ウルヴェンワルド横断》で《約束された終末、エムラクール》を持ってくる。

 彼はそれを唱え、ゲームはまたもや一転した。

 ターンを支配される前に、ヒルは《殺害》を石原の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》へ撃ち込んだ。ヒルの続くドローは《沼》で、石原がヒルの盤面を崩すのは困難に思えた。それでも《ゲトの裏切り者、カリタス》と《不屈の追跡者》、数体のゾンビがエルドラージの巨人へ突っ込んでいき、散っていった。

 ターンのコントロールを取り戻したヒルは《過去との取り組み》を引き込み、それで《ゲトの裏切り者、カリタス》を手札に戻した。ゾンビの群れで攻撃し、石原の残りライフを8点まで落とす。先ほどの戦闘で《ゲトの裏切り者、カリタス》が《約束された終末、エムラクール》にダメージを与えたため、ヒルのライフは残り28点あった。石原の《約束された終末、エムラクール》と《巡礼者の目》による攻撃で一挙14点を受けたが、ヒルもお返しとばかりに《約束された終末、エムラクール》を唱える。

 石原は満を持して《老いたる深海鬼》を繰り出し、ヒルの《残忍な剥ぎ取り》と《ゲトの裏切り者、カリタス》、ゾンビをタップさせた。しかしターンを奪ったヒルが石原の手札を見ると、そこは《老いたる深海鬼》と《生命の力、ニッサ》で埋まっていた。ヒルが「現出」を悪用して盤面を荒らしたあとに、石原が再びゲームをひっくり返すことはできなかった。

 第2ゲームはヒルが《発生の器》で墓地を肥やし、石原は《金線の使い魔》を繰り出した。ヒルは《ウルヴェンワルド横断》から《ゲトの裏切り者、カリタス》を戦線に送り、《闇の掌握》で「現出」の種となる《金線の使い魔》を除去しておく。

 石原は《原初のドルイド》を繰り出し、続けてこちらも《ゲトの裏切り者、カリタス》を展開した。ヒルは《過去との取り組み》で《残忍な剥ぎ取り》を手に入れたが、石原は続くヒルのターンのアップキープに《老いたる深海鬼》を繰り出すことに成功した。石原の攻勢が始まり、ヒルのライフは残り12点へ。

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蜘蛛の軍勢に守られ安心した表情の石原

 ヒルは《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を盤面に加え、石原のエルドラージに対するブロッカーを揃えていった。しかし《約束された終末、エムラクール》が石原に、ヒルの軍勢に対する命令権を与える。ヒルのクリーチャーは望まぬ戦闘を強いられたが、その後石原はヒルにも《約束された終末、エムラクール》のプレイを許した。

 石原のターンを奪ったヒルだが、石原の手札にはもう1枚《約束された終末、エムラクール》があった。エムラクールといえども、この状況では何もできない。

 しかし両プレイヤーには、それ以上の問題があった。この時点で決着が付いておらず、ラウンド終了時間が迫っている。石原は少なくとも勝ち星で並ぶために、素早くこのゲームを終わらせなければならなかった。彼は2枚目の《約束された終末、エムラクール》を唱え、再びヒルのターンを奪った。《ウルヴェンワルド横断》で何も見つけず、《約束された終末、エムラクール》同士を相討ちにした。《ゲトの裏切り者、カリタス》と立ち並ぶゾンビを前に、ヒルは第3ゲームを戦うことになった。だがこの時点で、残り時間は1分。

 その上彼はマリガンを強いられた。これにて、第3ゲームは1ターン目を迎える前に決着することになったのだった。

「引き分けかな?」と、ジャッジが近くで見ている中シャッフルをしていたヒルが声をかけた。

「そうですね」と、石原は同意し右手を伸ばした。

 ヒルと石原の両者は互いに11勝3敗1分となり、トップ8入賞を決めることができなかった。彼らがプロツアー・ドリームを叶えるには、次こそ勝たなければならない(そして他の誰かが負けなければならないだろう)。

石原 1-1 ヒル
石原 隼 - 「ティムール・現出」
プロツアー『カラデシュ』 / スタンダード (2016年10月14~16日)
5 《森》
3 《島》
1 《山》
4 《植物の聖域》
1 《燃えがらの林間地》
3 《霊気拠点》
2 《ウギンの聖域》
4 《進化する未開地》

-土地(23)-

3 《原初のドルイド》
3 《金線の使い魔》
3 《巡礼者の目》
2 《不屈の追跡者》
1 《約束された終末、エムラクール》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
2 《不憫なグリフ》
4 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(21)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
2 《発生の器》
4 《過去との取り組み》
1 《霊気溶融》
4 《コジレックの帰還》
1 《生命の力、ニッサ》

-呪文(16)-
1 《厄介な船沈め》
1 《約束された終末、エムラクール》
2 《儀礼的拒否》
3 《否認》
2 《霊気溶融》
2 《人工物への興味》
1 《久遠の闇からの誘引》
2 《慮外な押収》
1 《生命の力、ニッサ》

-サイドボード(15)-
Tyler Hill - 「黒緑昂揚」
プロツアー『カラデシュ』 / スタンダード (2016年10月14~16日)
8 《沼》
6 《森》
4 《花盛りの湿地》
4 《風切る泥沼》
2 《進化する未開地》

-土地(24)-

4 《残忍な剥ぎ取り》
1 《森の代言者》
2 《金線の使い魔》
1 《不屈の追跡者》
3 《精神壊しの悪魔》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《新緑の機械巨人》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー(16)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
2 《発生の器》
4 《闇の掌握》
3 《過去との取り組み》
2 《殺害》
1 《破滅の道》
4 《最後の望み、リリアナ》

-呪文(20)-
2 《節くれ木のドライアド》
2 《不屈の追跡者》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《死の重み》
3 《精神背信》
2 《人工物への興味》
1 《知恵の拝借》
1 《餌食》
1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-サイドボード(15)-

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