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【観戦記事】 第16回戦:石原 隼(日本) vs. Joey Manner(アメリカ)

【観戦記事】 第16回戦:石原 隼(日本) vs. Joey Manner(アメリカ)

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Corbin Hosler / Tr. Tetsuya Yabuki

2016年10月15日

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石原 隼(ティムール「現出」) vs.ジョーイ・マナー/Joey Manner(白青フラッシュ)

 プロツアー・トップ8入賞が懸かった予選最終ラウンドは、マジックで最も緊張する瞬間だ。すべてが懸かった第16回戦は、熟練のプロでさえも緊張する。

 経験豊富なベテランですらナーバスになるのだから、今この場にいる石原 隼とジョーイ・マナーは間違いなくそれ以上のプレッシャーを感じているのだろう。両者とも、ここまで深くプロツアーの奥まで進んだのは初めてのことだ。両者ともプロツアー・トップ8入賞の経験はなく、そしてきっと、自身が日曜日にプロツアー王者の座を懸けて戦うことになるとは想像もしていなかっただろう。

 だが今、ここで勝った方はそれが実現する。

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極限の緊張の中、自身初のプロツアー・トップ8入賞を懸けて戦う石原 隼(写真左)とジョーイ・マナー(同右)。

それぞれのデッキ

 21歳にしてニュージャージー州のサマービルで「ザ・オンリー・ゲーム・イン・タウン/The Only Game in Town」という店舗のオーナーを務めるマナーは、人気デッキの使用を避け、瞬速を持つクリーチャーを中心にした自作の「白青フラッシュ」デッキを手に今大会に臨んだ。《大天使アヴァシン》、《鎖鳴らし》、《呪文捕らえ》を主力に据えたこのデッキは、《スレイベンの検査官》や《密輸人の回転翼機》などのアドバンテージ手段も擁している。一見まっすぐでアグレッシブなデッキに見えるが、マナーの本当の狙いは対戦相手のターンにおける手数だ。

 一方の石原は、グランプリ・福岡2002の4位入賞でグランプリ・トップ8入賞を1度経験している。ここで勝利すれば、最高の形でプレミア・プレイでのトップ8再入賞を果たすことができるだろう。そんな彼が選択したデッキは前環境を思わせるものだ。『カラデシュ』の新カードが活躍する環境の中で、彼の「ティムール『現出』」は《コジレックの帰還》や《老いたる深海鬼》、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》の力を最大限に引き出すものになっている。これはゲーム後半に最も強いデッキのひとつであり、石原としてはそこへ至るために力を尽くすことになる。

ゲーム展開

 第1ゲーム、マナーのデッキは《スレイベンの検査官》から《密輸人の回転翼機》という最高のスタートで彼に応えた。続けて《反射魔道士》も繰り出すマナーに対し、石原はマナ基盤を整えてなんとか《金線の使い魔》で付いていこうとした。

 石原は《コジレックの帰還》を放とうと構えていたが、その企みは《無私の霊魂》によって釘を刺された。マナーは2枚目の《密輸人の回転翼機》を追加し、石原のライフを削り取っていく。

 壁際に追い込まれた石原だが、ここで最高の防御を展開した――蜘蛛の大群だ。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が2枚続けて戦場へ降り立ち、《密輸人の回転翼機》を2体とも相討ちに取ることに成功する。しかしマナーも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の「紋章」をふたつ手に入れており、彼の軍勢は強力なものに育っていた。3枚目の《密輸人の回転翼機》が石原のライフを残り3点まで減らしたが、石原は《ウルヴェンワルド横断》から持ってきた《老いたる深海鬼》でもう1ターンの猶予を得た。

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壁際に追い込まれながらも、持てる力を尽くす石原。

 その1ターンが、彼に3枚目の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》をもたらした。彼はさらに《金線の使い魔》を2体繰り出し、ライフを7点まで回復させる。盤面を抑えるには十分な動きだったが、しかしマナーは《停滞の罠》で伝説の蜘蛛に対処してみせた。続く攻撃で石原のライフは残り2点に落ち、迎えたターンのドローでは解答を見出せなかった。石原はカードを片付け、次のゲームに目を向ける。

 第2ゲームも先ほどと同様にマナーが《スレイベンの検査官》から《密輸人の回転翼機》と繋ぎ、序盤のリードを取った。石原は《原初のドルイド》を繰り出し、のちの「現出」に備える。このときマナーの手札には《反射魔道士》があり、石原の序盤を崩す動きは持っていたが、3ターン目は《港町》をタップ・インするのみだった。

 石原は《巡礼者の目》でマナの心配をなくした。続くターンに《原初のドルイド》を生け贄に《不憫なグリフ》を「現出」させられれば理想的だ。しかしマナーはここで土地が止まりながらも《反射魔道士》を2ターン続けて繰り出し、石原の盤面は空になった。マナーの攻撃を受け、石原のライフは残り8点となる。

 倒れかけたそのとき、石原はようやく6枚の土地を揃え、反撃の準備が整った。《老いたる深海鬼》がマナーの攻撃を防いだが、マナーはそのままターンを返した。つまり《否認》か《呪文捕らえ》か、《大天使アヴァシン》を構えている。

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さまざまな瞬速持ちのクリーチャーやインスタントを擁するマナー。対戦相手の動きをじっくり待ってから動くのは苦ではない。

 石原が状況を押し返すためのプランはシンプルだった。彼は《巡礼者の目》から《不屈の追跡者》と続け、持ってきた土地を置いて「手掛かり」を生け贄に捧げられるよう2マナ構えておくつもりだった。しかしその目論見も、《巡礼者の目》が《呪文捕らえ》を受けたことでくじかれた。結果、《不屈の追跡者》をプレイした後に置けた土地は《進化する未開地》となり、その後の展開が苦しいものになった。続く攻撃に対して《不屈の追跡者》は《反射魔道士》と相討ちにならざるを得ず、ライフも残り3点となる。

 石原の次なる一手は《コジレックの帰還》。たとえ妨害されても、墓地に行けばあとで再利用できるだろう。しかしここでも、マナーは《呪文捕らえ》という完璧な解答を繰り出し、「あとで再利用する」という道も断ち切った。マナーの戦線に《大天使アヴァシン》も加わったが、それでもまだ、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が石原の盤面を支えてくれていた。

 しかしこのとき石原は別の問題を抱えていた。マナーのクリーチャーが1体でも死亡すれば、《大天使アヴァシン》は《浄化の天使、アヴァシン》へ「変身」し、残る3点のライフが失われてしまう。

 選択肢を吟味した石原は、マナーの攻撃すべてをチャンプ・ブロックすることに決めた。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》に《停滞の罠》が差し向けられると、残る蜘蛛・トークンたちをすべて失いながらも解答を探す。そして、今大会最後のドローを行った彼は小さく笑みを浮かべながら引き込んだカードを見つめ、マナーのトップ8入賞を祝い右手を差し出したのだった。

石原 0-2 マナー
石原 隼 - 「ティムール・現出」
プロツアー『カラデシュ』 / スタンダード (2016年10月14~16日)
5 《森》
3 《島》
1 《山》
4 《植物の聖域》
1 《燃えがらの林間地》
3 《霊気拠点》
2 《ウギンの聖域》
4 《進化する未開地》

-土地(23)-

3 《原初のドルイド》
3 《金線の使い魔》
3 《巡礼者の目》
2 《不屈の追跡者》
1 《約束された終末、エムラクール》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
2 《不憫なグリフ》
4 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー(21)-
4 《ウルヴェンワルド横断》
2 《発生の器》
4 《過去との取り組み》
1 《霊気溶融》
4 《コジレックの帰還》
1 《生命の力、ニッサ》

-呪文(16)-
1 《厄介な船沈め》
1 《約束された終末、エムラクール》
2 《儀礼的拒否》
3 《否認》
2 《霊気溶融》
2 《人工物への興味》
1 《久遠の闇からの誘引》
2 《慮外な押収》
1 《生命の力、ニッサ》

-サイドボード(15)-
Joey Manner - 「白青フラッシュ」
プロツアー『カラデシュ』 / スタンダード (2016年10月14~16日)
9 《平地》
6 《島》
4 《港町》
4 《大草原の川》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地(25)-

4 《スレイベンの検査官》
4 《無私の霊魂》
3 《鎖鳴らし》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー(23)-
1 《石の宣告》
3 《停滞の罠》
4 《密輸人の回転翼機》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文(12)-
1 《保護者、リンヴァーラ》
2 《儀礼的拒否》
2 《断片化》
2 《神聖な協力》
2 《否認》
1 《石の宣告》
2 《即時却下》
1 《燻蒸》
2 《秘密の解明者、ジェイス》

-サイドボード(15)-

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