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【戦略記事】 変異入門

【戦略記事】 変異入門

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Corbin Hosler / Tr. Masashi Koyama

2014年10月10日

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 マジックプレイヤーの中には変異について全てを知っている方もいるだろう。『オンスロート』か『時のらせん』の間にプレイしていれば、《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》や《憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury(PLC)》のようなカードのおかげで、変異を取り巻くルールや戦略についてすべてを知っていることだろう。さらには《軽蔑する利己主義者/Scornful Egotist(SCG)》も(ああ、このカードは違うかもね)。

 そう、『タルキール覇王譚』で変異が帰ってきたことは我々の一部にプレイヤーとっては懐かしいものであるし、それ以外のプレイヤーにとっては裏向きクリーチャーの世界への新たな進出になるのだ。

 そして、なんという世界なんだろう。対戦相手が3ターン目にプレイした無色の2/2クリーチャーは1/4のアンデッド・ゴリラに変わるかもしれない(《シディシのペット/Sidisi's Pet(KTK)》だ)。そしてまた、《アブザンの先達/Abzan Guide(KTK)》として露わになり、ライフの総量を大きく動かしてしまうかもしれない。あるいは巨大な《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon(KTK)》にだってなりうるし、レンガ造りの壁にすぎないものだという結果になってしまうことだってある(《龍の眼の学者/Dragon's Eye Savants(KTK)》)。変異は類を見ない緊張感の厚みをマジックのゲームに導入し、そのことが独特の状況を伴うのだ。

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噴出制御や柔軟性、そして心理戦を可能にし、変異は新しいリミテッドフォーマットに興味深い空間を提示してくれる。

 初心者にとって、変異を取り巻くルールを学ぶことは大切なものだ。ゲーム中、変異クリーチャーを表にすることはスタックを用いない。つまり《打ち倒し/Bring Low(KTK)》はクリーチャーを表向きにすることを止めることができないということだ。おそらく最も大切なのは、全ての裏向きのカードは戦場を離れる時やゲームの終了時に公開されなければいけないということだ。裏向きのままクリーチャーが死亡する時であれ、あるいは手札に戻る時であれ、それは公開されなければいけないのだ。そうしなければ、ジャッジがあなたにゲームロスを与えなければいけないことになってしまうのだ。

 他の独特な変異の側面は、最も明白だが最も大切なことだ。つまり、3マナの2/2クリーチャーとしてプレイすることができることだ。カードの実際の点数で見たマナ・コストに関わらずマナカーブを満たしてくれ、《賢者眼の侵略者/Sage-Eye Harrier(KTK)》が5マナに届く前に戦場に立てることを意味している。そしてまた《僧院の群れ/Monastery Flock(KTK)》のような防衛持ちまでもが、変異ならば攻撃に参加できるということも意味している。

 そしてスタンダードに入る変異カードが未だ比較的少ない一方で、それらは『タルキール覇王譚』のリミテッドフォーマットを支えている。プロツアーでよく見られる光景の一つは、お互いが3ターン目にそれぞれの初動として降り立たせる変異クリーチャーのペアだ。そのことはまた先攻を非常に重要なものとする。デッキの中には後攻の方が好ましいものもあるが、最初のクリーチャーを表にして主導権を握ることは、概してこのフォーマットで成功を収めることとイコールであるし、対戦相手に何が隠されているか推測させることを強要することになるのだ。

「いつだって変異をプレイして先手を取りたいね」そう語るのはレイ・ペレス・ジュニアだ。彼はプロ・プレイヤークラブのシルバーレベルを獲得した印象的なルーキー活動を終えて2シーズン目を迎えている。「本当に重要なことは、対戦相手がどれほどのマナをオープンにしているか気を配って、対戦相手の変異が何であるか見当をつけることだ。またそのことで、変異で攻撃する時にブラフをかけることができる」

 変異クリーチャーの周りで行わるプレイを学ぶことは、「5マナルール」として知られるもののおかげでより一層単純なものになる。本セットにおいて、5マナ以下で表にすることができるカードで、2/2を一方的に打ち取れるものは存在しないのだ。そのことはテーブルの反対側で何が待っているのかを知識に基づいて推測できる目安になる。しかしながら、ひとたび対戦相手が5マナをアンタップしていれば、全てが白紙に戻ってしまうのだ。

「5マナルール」に従っていることを前提にすれば、《アブザンの先達/Abzan Guide(KTK)》のような変異クリーチャーは、大量の2/2の群れで攻撃したときにプレイヤーが手にしている力の程度を示しているということになる。

 そのことが誰もが変異のあるプレイを楽しめるわけではない理由の一つになっている。

「ほとんどの変異は素晴らしいものではない」多くのプロのようにプロツアーの1週間前からホノルルでテストプレイをしているダン・ジョーダンは言う。「常軌を逸したような4色や5色のデッキを手にプレイする人もいるだろうが、私はむしろベストなマナがある単純に着実な2色のデッキを使いたいね。17枚のカードと6枚の《灰色オーガ/Gray Ogre(4ED)》をプレイしていると言われるくらいなら、そうしたくはないね」

 ジョーダン自身は変異カードの群れをプレイしたくないわけではなく、むしろそれらが潜在的に示している力を認識している。

「対戦相手が5マナあるのであれば、裏向きのカードについてちゃんと配慮しなければいけない。」と彼は語った。「対戦相手がそうしていて、表になったものを倒せないのであれば攻撃に向かってはいけない。それが本当に興味深い心理戦の段階で役立ってくれるんだ」

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