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【戦略記事】 ジェスカイ道

【戦略記事】 ジェスカイ道

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Corbin Hosler / Tr. Masashi Koyama

2014年10月11日

原文はこちら

その一:《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master(KTK)》を唱えよ。

その二:横向きにせよ。

その三:得をせよ。

 簡単に言ってしまえば、これがジェスカイ道だ。クリーチャーが呪文を強化し、呪文がクリーチャーを強化する(果敢のおかげだね)。そして全てが対戦相手のライフ総量を衰弱させる。

 ジェスカイは効率的な赤と白の除去呪文に、青のカウンター呪文といくばくかのクリーチャーを組み合わせ、それらをまとめ上げた効率的なデッキを典型的に体現する色の組み合わせだ。そして『タルキール覇王譚』において、まさしく望んだ通りのものを手にすることになる。即座にゲームを終わらせてくれる《飛鶴の技/Flying Crane Technique(KTK)》から、それが上手く行かなくとも再度手元に戻してくれる《眼の管理人/Warden of the Eye(KTK)》まで、ジェスカイが操るクリーチャーと組み合わさって、インスタントやソーサリーはタルキールの他の氏族が望むべくもないほど素晴らしいものになっている。

 コンビネーションこそがジェスカイのメカニズムである果敢をまとめ上げているのだ。果敢を持ったクリーチャーはコントローラーが非クリーチャー呪文を唱えれば+1/+1修正を与えられる。それが意味するところは、事態がすぐに手に負えないものになってくれることということだ。クリーチャーとその他の呪文のバランスを取ることは扱いにくいこともあるが、全てが一体となれば、間違いなく必殺のものとなるだろう。

 『タルキール覇王譚』ドラフトにおいてジェスカイデッキは非常に柔軟だ。除去とカウンター呪文で果敢持ちのクリーチャーを強化しながら対戦相手を妨害して、攻撃的な手段を取ることもできるし、よりコントロール寄りのスタンスを取って、《龍の眼の学者/Dragon's Eye Savants(KTK)》や《僧院の群れ/Monastery Flock(KTK)》などの融通の利く変異たち、そして大量のインスタントやソーサリーを盾にしつつ、数枚の強力カードに頼って戦い抜くこともできる。

 リミテッドにおいて、ジェスカイには象徴的な呪文が無いわけではない。《冬の炎/Winterflame(KTK)》は柔軟性をもたらしてくれるためポピュラーな呪文だし、《イフリートの武器熟練者/Efreet Weaponmaster(KTK)》は本セットの中でも最も強力な変異のうちの1枚だ。5マナ以下で表になるほとんどのカードに戦闘で打ち勝つことができるし、パワー修正能力のおかげで、他のクリーチャーに相打ちを取らせることもできる。

 ジェスカイは他の氏族にはマッチしない、面白い「デッキを組んでよ」カードを提供してくれるという点でも独特だ。強力な《物静かな熟考/Quiet Contemplation(KTK)》や《ゴブリンすべり/Goblinslide(KTK)》デッキを手にするドラフト以上に楽しいことはそうそうあるものではない。そして、そうしたアーキタイプが存在することはこのフォーマットの奥深さの証左だ。

 それから、「ぶっ壊れ」レアだってある。《飛鶴の技/Flying Crane Technique(KTK)》が最も知られているが、《龍流派の双子/Dragon-Style Twins(KTK)》や《内向きの目の賢者/Sage of the Inward Eye(KTK)》も同様にきっちり仕事をこなす。《カマキリの乗り手/Mantis Rider(KTK)》はそういった呪文のように即座にゲームを「ぶっ壊し」てしまう訳ではないだろうが、この氏族の中では最高のカードの1つであり、初日の全勝ジェスカイデッキ4つのうち、3つがこのすばしっこい飛行クリーチャーを擁していた。

 リミテッドにおける《カマキリの乗り手/Mantis Rider(KTK)》が強力なご褒美だとすれば、構築におけるそれは超強力な動力源だ。スタンダードに『タルキール覇王譚』が登場して以来、ジェスカイ・アグロデッキを支える屋台骨として一貫して有効に機能している。

おそらくジェスカイを最もはっきりと特徴づけているカードの一つである《カマキリの乗り手/Mantis Rider(KTK)》は、今週末スタンダードとリミテッドの両方で動力源になっている。

 このデッキは従来の分類に当てはまらない、ちょっとした謎だ。テンポデッキではないけれど、そのように振る舞うこともあるし、大量の直接ダメージ呪文をプレイするが、かといって完全なバーンデッキであるわけでもない。ジェスカイデッキの美点は、求められたどんな役割も果たしてくれるところだ。コントロール相手にプレッシャーを与えることであろうが、攻撃的な相手に対し盤面をコントロールすることであろうが、だ。《ジェスカイの魔除け/Jeskai Charm(KTK)》のような柔軟な呪文のおかげで、いかなる役割を必要とされようが、その間で自由自在に動くことが簡単にできるのだ。

 そして、技術的にはスゥルタイのカードである《時を越えた探索/Dig Through Time(KTK)》が、今週末ジェスカイデッキの要となっている。このデッキに不可欠な要求を満たしていて、あちこちでコントロールデッキと張り合うためのカードアドバンテージを与えてくれ、攻撃的なデッキには引き離すための呪文を供給してくれている。

 このアーキタイプに最も多くを投資したプレイヤーの一人、マジック世界選手権2013王者であるシャハール・シェンハー/Shahar Shenharは、プロツアー前に他のデッキも試したが、選択肢の多さゆえにジェスカイへと戻ってきた。

「対戦相手と多く相互作用があって、対戦相手が何をしていようが計画を練ることができます。極端に不利なマッチアップが本当に無いんです。緑系のデッキは簡単な相手ではありませんが、絶対に勝算ははあります。本当に、このデッキは僕のプレイスタイルに合っています」と彼は説明した。

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マジック世界選手権2013王者シャハール・シェンハーは、今週末のスタンダードにおいて多くいるジェスカイ道の代表者の一人だ。

 典型的なジェスカイデッキから話を変えて、この氏族で話題にしなければいけない別のカードがある。そのカードはこのセットで合理的な理由により、他のどんなカードよりも注目を集めていた。初公開時にはレーダーの視認範囲のわずかに下を飛んでいたのに、だ。

《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy(KTK)》は複数のフォーマットでビッグウェーブを引き起こしており、もちろんスタンダードにおいても例外ではない。

 このカードがデビューした当時、ほとんどの人はこれを使って何を作ればいいのかわかっていなかった。徐々に人々は、このカードが与えてくれる、タップして能力を使えるカードとの連動という潜在能力に気づいてきた。モダンでは《極楽鳥/Birds of Paradise(M11)》のような大量のマナクリーチャーのおかげで、《血清の幻視/Serum Visions(5DN)》のような厳選された1マナ呪文によってデッキを引き切り、《ぶどう弾/Grapeshot(MMA)》や《肉体+血流/Flesh+Blood(DGM)》で止めを刺す恐ろしいデッキが作り出された。

 スタンダードで一般的なコンボは《撤回のらせん/Retraction Helix(BNG)》でクリーチャーを対象にとり、0マナ呪文である《霊体のヤギ角/Astral Cornucopia(BNG)》や《贈賄者の財布/Briber's Purse(KTK)》をバウンスし、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy(KTK)》の能力を誘発させて、この過程を繰り返すというものだ。これにより、デッキの乗り手はデッキを引き切りって勝利手段、一般的には《群の祭壇/Altar of the Brood(KTK)》を見つけるのだ。

 スタンダードでコンボデッキが何かしら成功を収めるという機会は滅多にないが、殿堂顕彰者ルイス・スコット=バルガスを含む多くのプレイヤーがいたる所でこのコンボデッキを手に成功を収めようと奮闘している。

「会場にいるのデッキの中には非常に相性がいいものもあるね」と語ったのは2回のグランプリ・トップ8入賞経験を持つダン・ジョーダン/Dan Jordanで、彼は今週プロツアーに向けてこのデッキに多くの時間を割き、その後他のデッキに落ち着くことになった。「しかし、このデッキは安定していないことがあるんだ。コンボデッキをプレイして、コンボを開始したら、いつだって勝ちに向かっていると確信するだろう。けど、《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy(KTK)》はときどき固まってしまい、自滅してしまうんだ。とてもバラバラで、でも強力なんだ。組み合わせに恵まれれば、今週末10-0したって驚かないよ」

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