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【戦略記事】 大活躍カード――時を越えた探索

【戦略記事】 大活躍カード――時を越えた探索

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Marc Calderaro / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年10月12日

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 「探査」はその素晴らしさを広く示してきた。殿堂顕彰者、ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasは、このセットの発売前から《宝船の巡航》が強力だと想像していた。《残忍な切断》はクリーチャーへの対処手段として、《沼》が入るデッキならどこにでも採用されている。《死の投下》は、登場するなりリミテッドにおけるトップ・アンコモンのリストに載った。

 そしてそれらに話題を取られていたカードがある――《時を越えた探索》だ。

 歴史的に見て、カードをふるい分ける効果を持つ呪文でコストが極めて重いものは、弱くないにせよ手放しで使えるようなものではなかった。《祖先の記憶》は強力なカードだが、5マナのソーサリーというのは望ましくない。構築環境で《祖先の記憶》が唱えられたのは、そのマナコストを完全に踏み倒す《ドリーム・ホール》とともに使われる場合だけだったのだ。

はじめは《宝船の巡航》の陰に隠れていたと思われる《時を越えた探索》。この週末、それはついにスポットライトの下に躍り出た。

 この歴史的な認識に加え、すでにこのセットには《Ancestral Recall》を彷彿とさせるカードが収録されていたため、プレイヤーたちの目は他に向いた。レガシーにおいて、ボブ・ファン/Bob Huangの手により『タルキール覇王譚』のカード満載の青赤デッキがデビューしたが、《僧院の速槍》や《宝船の巡航》が採用されている中で《時を越えた探索》の姿は1枚も見受けられなかったのだ。しかしその後迎えたこの週末、今やなぜこのカードが(1週間程度とはいえ)そんなにも長い間放っておかれたのか、想像することすら難しい。《時を越えた探索》は今大会で成功を収めた青いデッキのいたるところに採用され、これを入れていない青いデッキが想像もつかないほどだ。アーキタイプに関係なく、青マナを使うデッキなら《時を越えた探索》を採用する余地があるのだ。

 では、その成功の秘訣とは?《時を越えた探索》が採用されたアーキタイプをざっと見て回ろう。まずは、コントロールから。グレゴリー・オランジェ/Gregory Orange、世界ランキング2位オーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwald、同6位スタニスラフ・ツィフカ/Stanislav Cifka、アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneo、そして同5位イヴァン・フロック/Ivan Flochの面々は、全員が《時を越えた探索》をデッキに4枚採用し、青ダブル・シンボルの呪文がこれだけ、というケースが多かった。コントロール・デッキにとっては適切なタイミングに適切な解答を得るということが必要不可欠であり、《時を越えた探索》はその点においてまさに天の賜物だったわけだ。それはインスタント・タイミングでカード・アドバンテージを生み出せるだけでなく、《胆汁病》が必要なときには探し出してくれる。第13回戦のフィーチャー・マッチでは、同5位のイヴァン・フロックがブラッド・ネルソン/Brad Nelsonの超アグレッシブな「赤白トークンズ」を相手にしたが、1度ならず2ゲームとも《時を越えた探索》が《胆汁病》をもたらしたのだった。カードをより多く手に入れたいのがコントロール・デッキというものだが、その理由はただ対戦相手と1対1交換をしても勝てるようにしたいから、というだけではない。コントロール・デッキが欲しいカードは、他のものとしっかり噛み合うものなのだ。7枚見て選べば、それは間違いなく実現することだろう。

 ツィフカに言わせれば、《時を越えた探索》がなければコントロール・デッキは「絶対に使えない」という。クネオもその意見に強く頷いたが、「さすがに0マナで《祖先の記憶》をプレイするのには敵わないですがね」と付け加えた。クネオは、かつての《ドリーム・ホール》デッキが《時を越えた探索》の効果に2マナを払うことすらなかったことを、よく憶えているのだ。

 続いてコンボ・デッキに話を移すと、「《ジェスカイの隆盛》コンボ」デッキにも《時を越えた探索》は可能な限り多くの枚数が積まれている。このデッキは無限コンボを達成するために4枚のカードを集める必要があり、また主に《ジェスカイの隆盛》の効果によって手札を捨てるため、《時を越えた探索》を2マナか3マナで唱えることも多いのだ。ルイス・スコット=ヴァーガスとデイヴ・ウィリアムズ/Dave Williamsの両者は《時を越えた探索》をルールの許す上限いっぱい採用し、一度に1枚のみならず2枚もコンボ・パーツを見つけ出していた。とりわけ良い点はどこか? 対戦相手のターンの終わりに撃てることだ。次のターンには負ける盤面であっても、7枚のカードを見るという力は何もないところからの逆転勝利に繋がる最後の望みになるのだ。

 最後は、《時を越えた探索》を極めて強力に使いこなす「ジェスカイ・ウィンズ」だ。このデッキは他と比べても特にこのカードの良さを引き出している。カードを引く呪文が採用されていない形がある一方で、《時を越えた探索》はほとんどの形に採用されているのだ。とりわけ、バーン・デッキが8マナのドロー呪文を採用している、ということは特筆すべきだろう。正直なところ、そのせいでこのデッキに名前をつけるのがとても難しい。《時を越えた探索》が入っているのに「アグロ」と呼んで良いものか、火力呪文が15枚も搭載されているのに「ミッドレンジ」と呼んで良いものか?《時を越えた探索》を強力なものに足らしめているものの例を挙げるなら、併せて《ゴブリンの熟練扇動者》や《カマキリの乗り手》、《道の探求者》の存在は無視できない。シャハール・シェンハー/Shahar Shenharのデッキは《時を越えた探索》を3枚採用しており、成功の要因の多くがそのためだったと言う。

「何せ、これは2マナなんです。他にどう言えばいいんでしょう?」シェンハーも多くのプロ同様ドロー呪文を好み、中でも軽いものが好きだ。《時を越えた探索》を採用しない形については、「マッチアップというものを知らないんですね」と言及する。「特にミッドレンジやコントロールとのマッチアップでは、これの出番です」シャハールいわく、火力が欲しいときには《時を越えた探索》が持ってきてくれるのだ。

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この週末に人気を集めた「ジェスカイ・ウィンズ」を使用する、シャハール・シェンハー。《時を越えた探索》を高く評価したプロ・プレイヤーのひとりだ。

 アンドリュー・クネオがシェンハーの構築にひとつだけ文句をつけたが、それは的確だった。「待った。3枚しか採用してないのかい?」 聞いたかみんな、このカードは素晴らしい。

 この新環境には、驚くべき新要素がたくさん現れた。「アブザン・ミッドレンジ」の活躍や、「マルドゥ・プレインズウォーカーズ」、新しいコンボ・デッキ、誰もが不可能だと思っていた「青黒コントロール」デッキ、そして既存のアーキタイプの急激な衰退。プロツアー『タルキール覇王譚』は、《時を越えた探索》の隆盛を後世に語り継ぐことになるだろう。

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