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【観戦記事】 決勝:Ari Lax(アメリカ) vs. Shaun McLaren(カナダ)

【観戦記事】 決勝:Ari Lax(アメリカ) vs. Shaun McLaren(カナダ)

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Ray "blisterguy" Walkinshaw / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年10月12日

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 今年のはじめに開催されたプロツアー『神々の軍勢』を白青赤のデッキで優勝した、ショーン・マクラーレン/Shaun McLaren。彼はそのときと似たデッキを手に、ホノルルの地にやって来た。今、そのデッキには名前がついている――「ジェスカイ・ウィンズ」という名前が。

 そのデッキは果たして、その名の通り勝利を掴めるだろうか? そのためにはまず、アリ・ラックス/Ari Laxの「アブザン・ミッドレンジ」を打ち破らなければならない。ラックスはここまで長い間、プロツアー・トップ8入賞経験のない強豪のひとりとして知られていた。すでにグランプリ・トップ8入賞7回を記録している彼は今、待望のプロツアー・タイトル獲得まであと1試合のところにいる。

「こっちが後手で決まりでしょ? なんだかなあ!」 と、シャッフル中に軽口を飛ばすラックス。

「いや、後手になるって決まったわけじゃないよ」 マクラーレンが応えた。

「わお! それじゃあ後手はいかが?」 とラックスが申し出る。

「オーケー、君が後手だ」 マクラーレンは決断を下した。

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プロツアー『タルキール覇王譚』優勝トロフィー、その行方が決まるまで、あと1戦。

ゲーム展開

 この試合最初の動きは、マクラーレンが飾った。3ターン目《ゴブリンの熟練扇動者》を展開するとお供を呼び出すが、返しのターンにラックスの《英雄の破滅》を受けて退場した。《ゴブリンの熟練扇動者》がいなくなって、ゴブリン・トークンは攻撃を強制されていないものの、それでも攻撃に向かうことを選び、ラックスのライフを18点に減らした。

 ラックスはアンタップ後《包囲サイ》を繰り出し、マクラーレンの仕事を帳消しにした。

 ラックスのターン終了時、マクラーレンはアフターバーナーを吹かし、彼のゲーム・プランをフェイズ2へと移行した――《かき立てる炎》をラックス本体に撃ち込んだのだ。ところが、まだフェイズ1でやり遂げた仕事も少ないマクラーレンにとって、それはあまりに長い道のりだ。

 ラックスはアンタップ後、2体目の《包囲サイ》を送り出した。マクラーレンはただ微笑み、カードを片付けた。

ラックス 1-0 マクラーレン

「なになに、《軽蔑的な一撃》は1枚? オーケー!」ラックスはサイドボーディング中にマクラーレンのデッキリストを研究し、声に出した。対照的に、マクラーレンは静かに自身のカード選択に集中する。

 ラックスのサイドボーディングは以下の通り。

アウト:
  • 1 《英雄の導師、アジャニ》
  • 2 《太陽の勇者、エルズペス》
  • 1 《英雄の破滅》
イン:
  • 3 《胆汁病》
  • 1 《リリアナ・ヴェス》

 一方マクラーレンのサイドボーディングは以下のようになった。

アウト:
  • 2 《神々の憤怒》
  • 2 《稲妻の一撃》
  • 2 《払拭の光》
イン:
  • 3 《解消》
  • 1 《消去》
  • 1 《軽蔑的な一撃》
  • 1 《ファイレクシアの破棄者》

「マリガンします」 第2ゲーム開始前、マクラーレンが宣言した。

「よし乗った」 ラックスもマリガンを決断する。

「マリガンタウンの人口はふたりか」 とマクラーレンがジョークを飛ばした。

「勝負はフェアじゃないとね」

 両プレイヤーとも6枚の手札をキープ。マクラーレンは《カマキリの乗り手》で再び3ターン目スタートを記録し、ラックスの《森の女人像》を越えていった。ラックスは3枚目の土地が置けなかったものの、《森の女人像》の助けを得て《クルフィックスの狩猟者》を繰り出した。ライブラリーの一番上に土地があるか確認すると、申し訳程度に《エルフの神秘家》が姿を見せた。

 マクラーレンは《ゴブリンの熟練扇動者》を戦場に加え、生み出されたトークンは愚かにも《カマキリの乗り手》とともに戦いへ赴いた。当然の結果として《クルフィックスの狩猟者》がその前に立ちはだかるが、しかし《カマキリの乗り手》がラックスのライフを14点に落とす。

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プロツアー『神々の軍勢』王者、ショーン・マクラーレンは今年2度目のプロツアー・タイトルを狙う。

 ラックスはようやく土地を引き込み、2体目の《クルフィックスの狩猟者》を繰り出した。マクラーレンは再び攻撃に向かい、今度はゴブリン・トークンを《クルフィックスの狩猟者》に阻まれる前に《かき立てる炎》の「召集」に用い、ラックスに撃ち込んだ。ラックスは2枚目の《森の女人像》をプレイ。そのターンの終わりにマクラーレンが《マグマの噴流》を放つとラックスのライフは残り5点になり、マクラーレンは「占術」したカードを1枚ライブラリーの一番上に置いた。

「良くないな」 ラックスはマクラーレンのライブラリーに渋い顔を向け、ひとこと。

 マクラーレンはカードを引き、攻撃。ラックスは《カマキリの乗り手》を《胆汁病》で除去するが、その際にペイン・ランドからダメージを受けた。マクラーレンはそれに対応して、《ジェスカイの魔除け》を差し向けたのだった。

ラックス 1-1 マクラーレン

 ラックスは第3ゲーム前のサイドボーディングを行わなかった。一方のマクラーレンは、後手番のときには明確にコントロール戦略へ移行していた。

アウト:
  • 4 《ゴブリンの熟練扇動者》
  • 4 《稲妻の一撃》
  • 1 《カマキリの乗り手》
  • 1 《ファイレクシアの破棄者》
イン:
  • 2 《払拭の光》
  • 2 《対立の終結》
  • 2 《嵐の神、ケラノス》
  • 4 《神々の憤怒》

 ラックスが3ターン目に《包囲サイ》を着地させたが、マクラーレンは《払拭の光》を用意していた。それでも2体目の《包囲サイ》は対処できず、続く《英雄の導師、アジャニ》にも対応するすべがなかった。

 マクラーレンの5ターン目、彼はタップ・アウトで《嵐の神、ケラノス》を繰り出し、これはラックスから苦い表情を引き出した。タップ・アウト状態のマクラーレンに、ラックスは《思考囲い》で攻め入る。マクラーレンの手札から《ジェスカイの魔除け》を取り去ると、残りは《かき立てる炎》と《龍語りのサルカン》になった。ラックスは続けて《真面目な訪問者、ソリン》をプレイし、マクラーレンのライフを5点まで落とした。

 マクラーレンはカードを引き、再びサイドボードに手を伸ばした。

ラックス 2-1 マクラーレン

 首をかしげながらも、マクラーレンは先手番の2ゲーム目で用いたサイドボード・プランへと戻した。そして2ターン目に《ファイレクシアの破棄者》をプレイし、《森の女人像》を指定する。ラックスはカードを引くとため息をつき、《マナの合流点》をプレイするとターンを返した。

 《ファイレクシアの破棄者》が攻撃に向かうが、ラックスは《胆汁病》を持っていた。マクラーレンはターンを渡し、ラックスが《平地》を置いてターンを返すと、終了フェイズに《稲妻の一撃》で彼のライフを16点にした。ラックスは4枚目の土地を置くと、《エルフの神秘家》を召喚する。

「エンドに、《マグマの噴流》本体」 マクラーレンが宣言する。

「僕?!」 笑い声とともに言うラックス。「なんてこった!」

 両プレイヤーとも土地をプレイし、ラックスは狂気に駆られたゴブリン・トークンが再び突っ込んでくるのに備えて《エルフの神秘家》を立たせておいた。

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アリ・ラックスはプロツアー・タイトルに向けて慎重に歩みを進める。

「エンドに、《かき立てる炎》本体」 マクラーレンが宣言する。ラックスのライフは10点まで落ち込んだ。マクラーレンは《島》を置いてターンを返す。

 ラックスは《真面目な訪問者、ソリン》をプレイ。

「考えます」 マクラーレンはそう答え、自身の墓地を広げた。

「対応して《時を越えた探索》?」 ラックスが尋ねる。

 マクラーレンは《真面目な訪問者、ソリン》を《解消》し、「占術」で見たカードをデッキの底へ送った。そのターンの終了時、彼は墓地を「探査」し《時を越えた探索》を唱えた。アンタップ後、そのままターンを渡す。

 ラックスは《包囲サイ》をプレイし、自身のライフを13点に回復。マクラーレンのライフは17点に減らした。マクラーレンはそのターンの終わりに《かき立てる炎》と《稲妻の一撃》を撃ち込み、ラックスのライフは残り6点に。マクラーレンは自分のターンを迎えると、再びドロー後そのままターンを返した。

 ラックスは《包囲サイ》で攻撃し、マクラーレンのライフを13点に。ラックスは「強襲」込みで《風番いのロック》をプレイし、その際に6点のライフは5点になった。

「ここで死ぬかな?」 ターンを返す際にラックスが尋ねた。「生き残れれば最高なんだけど」

 マクラーレンは残された選択肢を吟味する。ターン終了時、彼は今一度ラックスへ火力を撃ち込み、残りライフ1点まで追い詰めた。

「それ、叩きつけてみる?」 マクラーレンがドロー・ステップに入ると、ラックスが尋ねた。

「ゆっっっくり、めくることにするよ」 マクラーレンは渋い顔で答えた。

「ここからでも観客の声が聞こえちゃうのは知ってるでしょ。どうせわかっちゃうよ」 マクラーレンがカードを覗くと、ラックスは彼を急かした。そして、ラックスの言葉通りに、別室にいる観客の歓声が溢れた。

「僕の負け? 何の歓声だったの? 教えてくれ!」 ラックスは我慢できなくなった。マクラーレンはじっと座って静かに選択肢を吟味し続けた。

マクラーレンが引いたのは、《カマキリの乗り手》だ。

 ラックスの戦場には、アンタップ状態の《風番いのロック》とそのトークンを含め合計パワー11点。マクラーレンのライフは残り13点で、ラックスの攻撃の第一波は耐えられる。そしてライブラリーの一番上のカードが火力なら、ここで《カマキリの乗り手》を持っておけば、《風番いのロック》のライフゲインがあっても勝利を奪い取ることができるかもしれない。

「これはもしかしたら世界一ゆっくりな手札公開なんじゃないかな」 ラックスは笑う。

 最終的に、マクラーレンはラックスが何かコンバット・トリックを持っている場合を想定して、防御を空けるのではなく《カマキリの乗り手》を戦場に出すことを選んだ。

 不幸なことに、ラックスは2枚持っていたのだ。1枚目の《アブザンの魔除け》が《カマキリの乗り手》を追放し、そして2枚目が、マクラーレンに残された13点のライフをぴったり取り去るだけのパワーをラックスに与えたのだった。

 マクラーレンは笑顔を見せ、祝福の握手を差し出した。ラックスはその手を呆然と見つめた。まるで、この試合が優勝を決する最後のものであったことを、理解していないかのように。

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そう、これが最後だったのだ。

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アリ・ラックス、プロツアー『タルキール覇王譚』優勝おめでとう!

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