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【観戦記事】 第8回戦:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Zvi Mowshowitz(アメリカ)

【観戦記事】 第8回戦:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Zvi Mowshowitz(アメリカ)

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Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年8月1日

原文はこちら

 ブラジルのパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosaは、マジックの歴史上最も多くの勲章を持つプレイヤーのひとりだ。2012年度の殿堂顕彰者である彼は、驚くべきことにプロツアー・トップ8入賞を1回の優勝を含めて9回にわたり達成し、グランプリ・トップ8にはこちらも1回の優勝を含めて14回もの入賞経験を誇る。ダモ・ダ・ロサはここまで5勝1敗1分の成績で本日最後のラウンドを迎えた。この週末をここからさらに深みへと進めば、それはワールド・マジック・カップでの自国のキャプテンをめぐる争いでウィリー・エデル/Willy Edelを追い越す一発となるだろう。

 だがそんなダモ・ダ・ロサの対戦相手もまた、かなりのやり手だ。ニューヨークから参戦のズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitzは、2007年度の殿堂顕彰者。プロツアー・トップ8入賞は4回を数え、その中には史上最も意義深い勝利のひとつであるプロツアー東京2001での優勝も含まれる。またグランプリ・トップ8入賞は2度の優勝を含めて9回の経験を持っている。今大会の初日最終ラウンドへは、5勝2敗の成績を伴っての登場だ。

 ダモ・ダ・ロサがダイス・ロールに勝利し、両者ともに1ゲーム目の初手をキープする。

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初日最終ラウンドを最後まで戦い抜く殿堂顕彰者たち。

ゲーム展開

 両プレイヤーが試合開始を待つ間、モーショヴィッツがダモ・ダ・ロサのデッキ選択についてひと言残した。「そのデッキを使おうかとも考えたんだけどね。もうそんなデッキの動きを身につけられるほど、僕も若くないよ」

 ファースト・プレイはモーショヴィッツの《管区の隊長》。しかしダモ・ダ・ロサの手札には《拘留の宝球》があり、盤面を保つ。続けて《オレスコスの王、ブリマーズ》が繰り出されるものの、《至高の評決》が伝説の猫を即座に墓地へ送った。さらに《管区の隊長》と《群れネズミ》がタンデムを組んで躍り出るが、ダモ・ダ・ロサはもう1枚《至高の評決》を抱えていたのだった。

 またも《管区の隊長》、そして《群れの統率者アジャニ》が戦場に現れ、今度は次のターンまで生き残った。《群れの統率者アジャニ》の忠誠度を上げ、モーショヴィッツはクリーチャーの展開を続ける。しかし、《アゾリウスの魔除け》がダメージを防ぎ、3枚目の《至高の評決》が再び戦場を更地にした。ダモ・ダ・ロサが《思考を築く者、ジェイス》を投入し[-2]能力を起動すると、4枚目の《至高の評決》と《拘留の宝球》、そして《太陽の勇者、エルズペス》が公開された。モーショヴィッツは《太陽の勇者、エルズペス》と他の2枚を分け、ダモ・ダ・ロサは《至高の評決》と《拘留の宝球》側を手にした。この間にもモーショヴィッツの《変わり谷》が密かにサイズを上げており、4/4で《思考を築く者、ジェイス》に攻撃。《拘留の宝球》がようやく《群れの統率者アジャニ》を対処したものの、モーショヴィッツの盤面に残る《変わり谷》はプレッシャーをかけ続けていた。

 モーショヴィッツが笑い声を上げながらひと言。「猶予はあと5ターンかな!」

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ズヴィ・モーショヴィッツが操るアグレッシブな白黒デッキは、対戦相手のゲーム・プランを崩せるだけの力を持っている。しかし、その道のりは簡単ではなかった。

 《群れネズミ》がモーショヴィッツの盤面に加わると、ダモ・ダ・ロサは4枚目の《至高の評決》の使用を迫られた。4/4の《変わり谷》が引き続きレッド・ゾーンへ送り込まれたが、ダモ・ダ・ロサはこれを《アゾリウスの魔除け》で対処し、続くターンには《中略》で《冒涜の悪魔》の入場を許さない。両プレイヤーとも燃料が足りない状態が続いていたが、そこでダモ・ダ・ロサが《スフィンクスの啓示》を引き込み、一気にリードを築いた。《太陽の勇者、エルズペス》が戦場に現れると、その能力とプレインズウォーカー本体に対応すべく、モーショヴィッツは《胆汁病》と《英雄の破滅》の2枚を使わざるを得なかった。モーショヴィッツは《変わり谷》での攻撃を続け、さらに《幽霊議員オブゼダート》を通そうと試みるが、ダモ・ダ・ロサは彼にとって必須の打ち消し呪文をしっかりと持っていた。モーショヴィッツは《管区の隊長》を通したものの、ダモ・ダ・ロサは2枚目の《スフィンクスの啓示》で新たに6枚の手札を補充した。そして《霊異種》がダモ・ダ・ロサの盤面に降り立つ。続くターン、モーショヴィッツが《思考囲い》を放つと、ダモ・ダ・ロサの手札には無駄にならないカードが満載だった。モーショヴィッツは投了を選び、意識を第2ゲームに切り替えた。

ダモ・ダ・ロサ 1-0 モーショヴィッツ

 第2ゲームも両プレイヤーが初手をキープ。モーショヴィッツは1ターン目《思考囲い》でゲームを始め、ダモ・ダ・ロサの濃密な手札から《アゾリウスの魔除け》を抜き去った。モーショヴィッツは《管区の隊長》を続かせ、その攻撃を通して兵士トークンを1体戦場に加える。さらに《強迫》で《至高の評決》を抜くと、《万神殿の兵士》を戦場に加えプレッシャーをかけ続けた。ダモ・ダ・ロサは手札に2枚あった《思考を築く者、ジェイス》を1枚繰り出し、[+1]能力を使用。ところがモーショヴィッツはその隙に《幽霊議員オブゼダート》を通してのけた。

 ダモ・ダ・ロサは《思考を築く者、ジェイス》の[+1]能力を続け、モーショヴィッツは《冒涜の悪魔》を通す。X=2の《スフィンクスの啓示》が、《太陽の勇者、エルズペス》を唱えるのに必要な6枚目の土地をダモ・ダ・ロサにもたらした。《太陽の勇者、エルズペス》は、モーショヴィッツの軍勢を押し留めるほどの兵団を用意した。

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ダモ・ダ・ロサの白青デッキは、彼に膨大な量のカードと目的達成のための力を与えてくれる。

 《太陽の勇者、エルズペス》と《思考を築く者、ジェイス》が着々と忠誠度を上げていく一方、《幽霊議員オブゼダート》が「明滅」を繰り返し、ライフレースは最後の最後までもつれ込んだ。ダモ・ダ・ロサの残りライフはわずか2点まで追い詰められたが、《不死の霊薬》や《スフィンクスの啓示》が十分な時間を稼ぎ、やがて2人のプレインズウォーカーが最終奥義を放てるときを迎えた。

 ダモ・ダ・ロサは左手で頭を抱え、右手にカードを扇状に広げて持った。カードを凝視しながら「まだ死なないよね」とつぶやく。

 モーショヴィッツは笑顔で即答。「もちろんさ、ジェイスがいるじゃないか。少なくとも君が解答を探しに行かなきゃならなくなるまでは追い詰めたいね」

「あと24点でしたよね?」と、ダモ・ダ・ロサが尋ねる。

「だと思ってるよ。数え間違えていないことを祈ろう」モーショヴィッツは声をたてて笑った。

 その後、事態は面白い方向へ向かった。ダモ・ダ・ロサは《太陽の勇者、エルズペス》の最終奥義を使い、《思考を築く者、ジェイス》の方は忠誠度を8まで伸ばしたのだ。彼は兵士トークン1体と《変わり谷》で攻撃し、7点のダメージを与えた。

「この2体ちょうどで攻撃する場合に、何かできることありました? 攻撃する数を間違えたら、あなたに大きな有利を与えてしまうとわかったんです」

 モーショヴィッツはクリーチャーの群れをジェイスに向けて送り込んだ。3/3の兵士2体が《幽霊議員オブゼダート》の前に立ちはだかり、ダモ・ダ・ロサに莫大なアドバンテージをもたらした。《思考を築く者、ジェイス》の忠誠度を減らし、さらなる燃料を補給。そのジェイスは新たなジェイスに代わり、[+1]能力でモーショヴィッツの1/1軍団を無力化する。直後に《群れの統率者アジャニ》が駆けつけたものの、ダモ・ダ・ロサはX=6で《スフィンクスの啓示》を放ち、これで事実上モーショヴィッツがゲームを取り戻す可能性は閉ざされた。次のターンには《霊異種》がやって来て、終わりの予感を告げる。すべては、あと1度の攻撃で終わった。

 この試合での勝利により、ダモ・ダ・ロサは今大会の2日目、より深みへ進む上で最高のポジションを得た。今大会は、マジックにおける最も偉大なプレイヤーのひとりであるダモ・ダ・ロサが復活を告げるものとなるだろうか? その結果はこの後もプロツアー『マジック2015』のカバレージを追い、その目で確認してほしい!

ダモ・ダ・ロサ 2-0 モーショヴィッツ

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