マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

イベントカバレージ

【観戦記事】 ゲーム・オブ・デックス――「King of the Hill」初日

【観戦記事】 ゲーム・オブ・デックス――「King of the Hill」初日

authorpic_adamstyborski.jpg

Adam Styborski / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年8月1日

原文はこちら

 すべての道が頂上へ通じているわけではない。ただし「King of the Hill」の歩む道の先は常に頂上だ。玉座を守りながら各ラウンドを登り続けた者は、いずれ必ず自分がトップ8争いの渦中にあることに気づく。王たる証を得る方法はただひとつ――戦いに勝利することだけだ。

 プロツアー『ニクスへの旅』にて自身初のプロツアー優勝を達成した、世界ランキング9位、パトリック・チャピン/Patrick Chapinがプロツアーの舞台に戻ってきた。何はともあれ、まずは前回大会の優勝者を「King of the Hill」に据えることがフェアというものだろう。気になるのはひとつだけ。数多の挑戦者を前に、彼が王座を守れるかどうかだ。

chapin_koth.jpg
プロツアー『ニクスへの旅』優勝者、パトリック・チャピンは今大会を「King of the Hill」として迎える。
第1回戦:パトリック・チャピン(世界ランキング9位)が、フランク・スカーレン/Frank Skarrenに敗れる。

 リミテッドのグランプリを2度にわたり制しているフランク・スカーレンだが、君たちは彼の名前をチェックしていないかもしれない。しかしリミテッドの大きな大会で勝ち抜くというのは、決して簡単なことではない。40枚のデッキを操る技術に長けたスカーレンは、《屑鉄場の雑種犬》3枚を含むアーティファクトとのシナジーを搭載した青赤デッキをドラフトした。彼が率いる金属をくわえた猟犬の群れは、《寛大な拷問者》を擁するチャピンの青黒デッキをたやすく打ち破ったのだった。

第2回戦:フランク・スカーレンが、マルク・トビアシュ/Marc Tobiaschを下す。

 スカーレンがリミテッドの才能を発揮し、続くラウンドのトビアシュの挑戦を退けた。プロツアーの玉座に座るべき統治者は誰なのか、それを知らしめる。

 そして、「King of the Hill」が挑戦者を退けたのは、これが最後となった。

第3回戦:フランク・スカーレンが、ロバート・ユルコビッチ/Robert Jurkovicに敗れる。

 悲しいかな、永遠に世を治める王は存在しなかった。白黒デッキを組み上げたロバート・ユルコビッチが豊富な除去でスカーレンを追い込み、強烈なパワーを持つ《光波の護法印》でとどめを刺した。ドラフト・ラウンドを3戦全勝で乗り越えたユルコビッチは、「King of the Hill」として構築ラウンドを迎える。

第4回戦:ロバート・ユルコビッチ(白青コントロール)が、ジェレミー・デザーニ/Jeremy Dezani(世界ランキング2位/赤単「熟練扇動者」)に敗れる。

「King of the Hill」はスタンダードにも向き合わねばならない。ユルコビッチが敗れ去ったのは、ここだった。「白青コントロール」は、決して世界ランキング2位のジェレミー・デザーニが操る「赤単『熟練扇動者』」のような素早くアグレッシブなデッキに弱いというわけではないのだが、デザーニは王冠を奪うに十分たる力を持っていたのだ。

第5回戦:ジェレミー・デザーニ(世界ランキング2位/赤単「熟練扇動者」)が、リチャード・ニール・リーヴス/Richard Neil Reeves(青単信心)に敗れる。

 ほとんどのデッキには、「天敵」と呼べるものがある。どんなプランを持つデッキでも、それを台無しにする別のデッキが存在するのだ。デザーニの赤単デッキにとって、リチャード・ニール・リーヴスが手にした「青単信心」は、プロツアー『テーロス』優勝者による治世を終わらせるほどのものだった。「青単信心」が有する高タフネスの、あるいは強烈な影響をもたらすクリーチャーたち――すなわち《潮縛りの魔道士》と《凍結燃焼の奇魔》が、「赤単『熟練扇動者』」が持つ攻撃力を押さえつけたのだった。

第6回戦:リチャード・ニール・リーヴス(青単信心)が、グレゴリー・オレンジ/Gregory Orange(白青コントロール)に敗れる

 再び、あるデッキが当たるべきでない相手と戦うことになった。ニール・リーヴスは、グレゴリー・オレンジと彼の操る「白青コントロール」デッキに王座を明け渡すことになったのだ。《至高の評決》に加えて神に対抗する手段を豊富に持つ「白青コントロール」を前に、リーヴスは開幕から苦戦を強いられた。こうしてオレンジは王冠を奪い、試合後のインタビューでリーヴスが治めた時代の歴史を学んだ。しかし戦いを先導する者は、彼らを破る敵のことを知る由がない――マジックは、そういった予想外の勝利に溢れているのだ。

第7回戦:グレゴリー・オレンジ(白青コントロール)が、オーウェン・ツァーテンヴァルド/Owen Turtenwald(世界ランキング5位/白黒ミッドレンジ)に敗れる

 先代の王と同じく、オレンジが「King of the Hill」の座についた時間も短かった。世界ランキング5位、オーウェン・ツァーテンヴァルドが、この日会場を席巻したデッキのひとつ――「白黒ミッドレンジ」――にその力を注いだのだ。除去と《ヴィズコーパの血男爵》のような対処の難しいクリーチャーで武装を整えたツァーテンヴァルドは、強力なデッキを最大限に活用し暗殺者のごとくオレンジを打ち倒した。今年の世界選手権の出場枠を争う戦いに参加する数少ないプレイヤーとなった彼は、ここまでの成績を7戦全勝とし、さらなるビッグ・タイトル獲得のための戦いに臨む。

第8回戦:オーウェン・ツァーテンヴァルド(世界ランキング5位/白黒ミッドレンジ)が、ザカリー・ジェシー/Zachary Jesse(黒単信心)に敗れる

 ところが、ツァーテンヴァルドの世界選手権参加への道程は決してスムーズなものにはならなかった。ザカリー・ジェシー、ここ数年は断続的にプロツアーへ参加しているこのプレイヤーもまた、この週末での成功を切望しているのだ。次のプロツアーの招待を得るために今大会を25位以内で終えたいジェシーだが、夏のはじめに予選を抜けた今大会において8戦全勝で2日目に進出し、さらなる高みへ進む準備を整えた。

 いずれも激しい戦いとなったふたつのゲームで、ジェシーは《群れネズミ》の力に賭け、世界ランキング上位のプレイヤーを乗り越えた。第2ゲームではツァーテンヴァルドが《地下世界の人脈》を最大限に活かし状況を変えようと力を尽くしたが、絶え間ないネズミの行進がジェシーを乗せ、初日全勝プレイヤーのひとりに導いたのだ。

 もうひとりの初日全勝プレイヤーは、殿堂顕彰者にして現在世界ランキング20位のウィリアム・ジェンセン/William Jensen。彼と渡り合うのは誰にとっても難題だが、ジェシーはその試練に耐えられることを証明してきた。本日の構築ラウンドでは、5つの異なるデッキが「King of the Hill」の座を得た。今後も勝者が次々と入れ替わるのは、必然と言えるだろう。

 その話はまた今度、別の日に語ることにしよう。

前の記事: 【観戦記事】 第7回戦:Melissa DeTora(アメリカ) vs. Jon Finkel(アメリカ) | 次の記事: 【観戦記事】 第8回戦:Paulo Vitor Damo da Rosa(ブラジル) vs. Zvi Mowshowitz(アメリカ)
プロツアー『マジック2015』 一覧に戻る