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【戦略記事】 リチャード・ニール・リーヴスのドラフト

【戦略記事】 リチャード・ニール・リーヴスのドラフト

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Jacob Van Lunen / Tr. Tetsuya Yabuki

2014年8月2日

原文はこちら

 リチャード・ニール・リーヴス/Richard Neil Reevesは、マジックの歴史の中で長きにわたり、最強のリミテッド・プレイヤーのひとりと評されてきた男だ。話はさかのぼるが、2002年の頃、当時のプロツアーはリミテッドと構築が分かれていた。その年は、リミテッドのプロツアーがふたつあったのだ。そしてニール・リーヴスはその両方でトップ8入賞を果たした。そんな彼が、最近の数カ月、静かに復帰の準備を進めていた。プロツアー予選を優勝に至るまで勝ち続け、この週末でも無敗のまま5勝というスタートを切った彼は、まだまだ最高レベルの戦いで渡り合えることをはっきりと示したのだ。私は2日目の開幕を飾るドラフトでリーヴスに注目し、またドラフト後に彼の考えを聞いてみた。

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リチャード・ニール・リーヴスは、プロツアーの舞台に不慣れな男ではない。2000年代前半、彼はリミテッドの偉大なスペシャリストのひとりと評されていたのだ。

 それでは、彼のドラフトに飛び込もう!

1パック目

初手

 リーヴスが開けたパックには「当たり」が入っておらず、彼のファースト・ピックは《包囲ワーム》か《エルフの神秘家》か、というところだった。リーヴスは《包囲ワーム》は「召集」を用いた戦略ではひと際優れたカードだが、《エルフの神秘家》は青緑や黒緑、赤緑といったデッキでも優秀だと感じ取った。彼は《エルフの神秘家》を選び、選択肢を広く取っておくことにする。

ピック:《エルフの神秘家》

2手目

 回ってきたパックはかなり弱かった。検討すべきカードは《カミソリ足のグリフィン》、《サテュロスの道探し》、《春のシャーマン》くらいだった。《春のシャーマン》は、純粋なパワー・レベルの点で他に劣る。《カミソリ足のグリフィン》は悪くないカードだが、2色目を決めるほどのものではない。リーヴスは、《サテュロスの道探し》は戦闘に向いたサイズを持っているわけではないものの、「召集」要員には十分だし、この環境にある様々な墓地利用とよく噛み合っていると感じた。事実、「召集」に使えて土地も探せるというのは、《残忍な実体化》や《包囲ワーム》との相性が抜群だ。

ピック:《サテュロスの道探し》

3手目

 リーヴスはまたもや使用に耐えるカードの少ないパックと出合うことになった。気に留めるべきカードは《練達の変身術士、ジャリラ》と《心鍛のゴーレム》くらいだ。もし私なら、ここで《練達の変身術士、ジャリラ》の使い道を見出そうとはしない。しかしリーヴスは、この環境において《練達の変身術士、ジャリラ》は極めて強力だと考えていた。戦闘に向かないクリーチャーを戦力に変えることができるのは、実に素晴らしい。《珊瑚の障壁》や《炉の小悪魔》、そして《サテュロスの道探し》など、強力な効果を持つ代わりにサイズが心もとないクリーチャーたちとの相性が良いのだ。とはいえ、彼はここまでで《エルフの神秘家》と《サテュロスの道探し》をピックしてきたため、これから先のピックはさておき、まずはしっかり《心鍛のゴーレム》をピックし、メイン・デッキの完成に時間を割くことにした。

ピック:《心鍛のゴーレム》

4手目

 選択肢を広くとっていたことが、ここで活きた。リーヴスは《密林の酋長》を受け取る。彼のデッキにとって、ここまでで最も強いカードだ。他のカードはこのボム・アンコモンに迫るものではなく、リーヴスは今後のピックにより明確な方向性を得たのだった。

ピック:《密林の酋長》

5手目

 5つ目のパックからは、《心鍛のゴーレム》と《ガーゴイルの歩哨》が姿を現した。リーヴスは、黒をベースにしたコントロール寄りのデッキには《ガーゴイルの歩哨》が良いが、ここまでのピックを鑑みるともう1枚《心鍛のゴーレム》をピックするのが正解だ、と力説する。

ピック:《心鍛のゴーレム》

6手目

 《呪われたスピリット》はこのセット内でも強力なカードだが、リーヴスは黒をドラフトしていない。それでも、このパックには彼の欲しいものが枯れていて、《呪われたスピリット》は万が一この後緑や赤のカードが手に入らなかった場合の黒への逃げ道となるのだ。

ピック:《呪われたスピリット》

7手目

ピック:《生きているトーテム像》

8手目

ピック:《帰化》

9手目

ピック:《ならず者の手袋》

10手目

ピック:《ルーン爪の熊》

11手目

ピック:《垂直落下》

12手目

ピック:《障害排除》

13手目

ピック:《不屈の宣教師》

14手目

ピック:《溶岩の斧》

2パック目

初手

 リーヴスの開けた2パック目はあまりにひどいものだった。使用に耐えるものはほとんどない。《ガーゴイルの歩哨》がひと際目立つカードというわけではないが、使用に耐える、という点では間違いない。あまりに厳しい内容に、ピックするものは明確だった。

ピック:《ガーゴイルの歩哨》

2手目

 またもリーヴスは弱いパックを受け取る。白と青に2、3マナ域のクリーチャーがあったが、リーヴスのデッキにとっては《弱者狩り》が強く、他の選択肢と比べるとピックすべきなのは明らかだった。

ピック:《弱者狩り》

3手目

 リーヴスは1パック目で赤いカードに恵まれず、その見返りを期待していた。遅れてやって来た《稲妻の一撃》は、同じパックに《エルフの神秘家》があっても悩むことなくピックされた。

ピック:《稲妻の一撃》

4手目

 赤の流れが続く。彼のデッキには《業火の拳》が受け入れられた。

ピック:《業火の拳》

5手目

 《稲妻の一撃》がもう1枚現れる。赤に向かったことが正解であったとはっきりした。

ピック:《稲妻の一撃》

6手目

 《嵐潮のリバイアサン》はこの環境において非常に強力なレアだ。しかし、今回のドラフトにおけるリーヴスのプランでは、《エルフの神秘家》の方が適していた。《嵐潮のリバイアサン》を差し置いてピックするほどのカードはほとんどないが、《エルフの神秘家》は緑のデッキに欠かせないパーツであり、ここまで決して強くないカードを集めてきたリーヴスには色を変えることができないのだ。

ピック:《エルフの神秘家》

7手目

《残忍な実体化》

8手目

《鉱夫の破滅》

9手目

《帰化》

10手目

《真面目な捧げ物》

11手目

《新緑の安息所》

12手目

《人喰い苔野獣》

13手目

《氷河の壊し屋》

14手目

《ならず者の手袋》

3パック目

初手

 リーヴスの開けた3パック目は先ほどのものよりさらに悪いものだった。白クリーチャーにいくつか使用に耐えるものがあったものの、特筆するほどではなく、悪くない程度だった。《クレンコの処罰者》はリーヴスのデッキが唱えるには難しいカードかもしれないが、このパックからすれば2番目か3番目には良いものであり、リーヴスはそれをピックせざるを得なかった。

ピック:《クレンコの処罰者》

2手目

ピック:《国境地帯の匪賊》

3手目

ピック:《業火の拳》

4手目

ピック:《熱光線》

5手目

ピック:《屑鉄場の雑種犬》

6手目

ピック:《民衆の好意》

7手目

ピック:《民衆の好意》

8手目

ピック:《爆炎の稲妻》

9手目

《名誉の印》

10手目

《ゴブリンのドカーン物取扱者》

11手目

《研究助手》

12手目

《炎の壁》

13手目

《硬化》

14手目

《野生の大魔術師の杖》

 ドラフト後、私はリーヴスと席につき、ドラフト中に考えていたことを尋ねた。彼はフラストレーションを感じていた。パックがまるで彼に協力的でなかったのだ。彼は赤緑のプランとともに白青や白黒のドラフトも意識していたが、その期待に十分に応えるものは来なかった。リーヴスは決め手となるボム・カードを望んだが、それも手にできなかった。

 それでも、彼はしっかりとしたデッキを組み上げた。どうやら、同じ卓のプレイヤーの多くが途中で色を変えて、足を引っ張り合っていたようだ。リーヴスの赤緑デッキは決して心が躍るほどのものではないが、結果的に悪くないものになった。除去は5枚確保でき、まずまずのバニラ・クリーチャーも取り揃えることができた。彼はデッキに採用する最後の1枚を《人喰い苔野獣》にするかそれとも《爆炎の稲妻》にするか、というところで悩んだという。最終的に、彼は《人喰い苔野獣》を選んだ。

「このデッキなら全敗が10%、1勝2敗が30%、2勝1敗が50%、そして全勝も10%かな」

 ひとたび最高レベルの戦いに足を踏み入れれば、プレイヤーたちは勝利の可能性をできり限り突き詰めなければならない。『基本セット2015』のリミテッドでは、サイドボードも非常に重要な部分なのだ。リーヴスのサイドボードは極めて強かった。《炎の壁》、2枚の《帰化》、《障害排除》、《垂直落下》、《民衆の好意》、そして《爆炎の稲妻》。これらのカードを揃えた彼のサイドボードは、様々な対戦相手に対応できることだろう。

 かつてのドラフト・マスターは、ここプロツアー『マジック2015』の2日目ドラフト部門でいかなるパフォーマンスを見せてくれるのだろうか? 今後のカバレージをお見逃しなく!

ニール・リーヴスの2日目のドラフトデッキ
プロツアー『マジック2015』
9 《森》
8 《山》

-土地(17)-

2 《エルフの神秘家》
1 《国境地帯の匪賊》
1 《ゴブリンのドカーン物取扱者》
1 《ルーン爪の熊》
1 《サテュロスの道探し》
1 《ガーゴイルの歩哨》
1 《クレンコの処罰者》
1 《密林の酋長》
1 《生きているトーテム像》
1 《屑鉄場の雑種犬》
2 《心鍛のゴーレム》
1 《人喰い苔野獣》
1 《鉱夫の破滅》

-クリーチャー(15)-
1 《民衆の好意》
2 《業火の拳》
2 《稲妻の一撃》
1 《熱光線》
1 《弱者狩り》
1 《残忍な実体化》

-呪文(8)-
1 《障害排除》
1 《民衆の好意》
2 《帰化》
2 《ならず者の手袋》
1 《垂直落下》
1 《研究助手》
1 《硬化》
1 《真面目な捧げ物》
1 《野生の大魔術師の杖》
1 《新緑の安息所》
1 《炎の壁》
1 《呪われたスピリット》
1 《名誉の印》
1 《溶岩の斧》
1 《不屈の宣教師》
1 《爆炎の稲妻》
1 《氷河の壊し屋》

-サイドボード(19)-

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