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【観戦記事】 第12回戦:Raphael Levy(フランス) vs. Patrick Dickmann(ドイツ)

【観戦記事】 第12回戦:Raphael Levy(フランス) vs. Patrick Dickmann(ドイツ)

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Jacob Van Lunen / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru

2014年8月2日

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 殿堂顕彰者ラファエル・レヴィ/Raphael Levyが最高レベルの大会でマジックをプレイするのは珍しいことではない。レヴィはプロツアーでトップ8に3回入賞しており、さらに、グランプリでは通算19回もトップ8に入賞しているのだ。最近、レヴィの名前は、プロツアー『テーロス』以来プロ・レベルのイベントを席巻しているヨーロッパのマジックのプロが集うチーム、「Team Revolution」と一体となっている。レヴィは現在マジックの連戦中だが、このイベントの終了後は8月31日に結婚するため南アフリカに行くという。今回、レヴィは今週末素晴らしい成績を残している、強力な新アグロ戦略である「Team Revolution」の《ゴブリンの熟練扇動者》赤デッキを携えてこのイベントに挑んだ。

 彼の対戦相手、パトリック・ディックマン/Patrick Dickmannはマジックのプロシーン的には比較的新人である。しかし、その短いキャリアの中でも、彼が挑戦者として相応しいことは証明されている。ディックマンは今シーズン、プロツアーで1回、グランプリで1回トップ8に入賞しており、40点のプロ・ポイントを得ている。彼が使うデッキは得意の青信心だ。

 両プレイヤーとも、このラウンドまでの成績は9勝3敗。ここで勝てばトップ8入賞の可能性が残るが、勝てなければ日曜への道は霧の彼方に消えてしまうことになる。

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パトリック・ディックマンとラファエル・レヴィはともにプラチナ・レベルを目指しており、ここで勝てばトップ8の目も。

懸かっているものは?

 来シーズンのプラチナ・レベルを得るために、レヴィは75位までに入賞する必要があり、そのためには、今日あと2勝しなければならない。結婚を控えて、レヴィは自身とその新妻になる人とがハネムーンで行くハワイに、新しいプロツアーのトロフィーを携えていきたいところだろう。

 ディックマンがプラチナ・レベルになるのにも75位までの入賞が必要だ。この対戦で勝てば、残り4ラウンドの間にあと1勝だけすればいいことになる。また、ディックマンは現在ドイツのワールド・マジック・カップにおけるキャプテン争いでトップに立っている。すぐ後ろには今大会現時点で10勝2敗のクリスチャン・セイボルド/Christian Seiboldが続いている。トップ8に手が届きそうな成績のセイボルドをキャプテン争いで制すためには、充分な成績を残さなければならない。

ゲーム展開

 マッチの開始前の会話で、この対戦はディックマンに有利だということは明らかになった。《ゴブリンの熟練扇動者》赤デッキは非常に強力だが、青信心には非常に相性が悪い。赤の新戦略はこのフォーマットの遅さを利用して有利を得るというものだが、青信心戦略は猛烈に早く、しかも《潮縛りの魔道士》と《波使い》というクリーチャーに頼った赤にとっての天敵が4枚ずつ入っているのだ。

 第1ゲーム、ディックマンは第1ターンの《雲ヒレの猛禽》で立ち上がる一方、レヴィは《山》を出すことしかできなかった。《審判官の使い魔》が戦場に出て、《雲ヒレの猛禽》が進化し、ディックマンの攻勢が始まる。レヴィは《炎樹族の使者》から《火拳の打撃者》を出し、ダメージレースを有利に傾けたように見えた。ディックマンは《審判官の使い魔》は防御に残し、《雲ヒレの猛禽》で攻撃を続ける。レヴィは《炎樹族の使者》で攻撃しながら《ラクドスの哄笑者》と《火飲みのサテュロス》を出してさらに盤面を育てていく。

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ディックマンは相性のいい相手の《ゴブリンの熟練扇動者》赤と対戦している。

 しかし、ここでディックマンは局面を一変させる《波使い》を出す準備が整った。レヴィの赤デッキにはプロテクション(赤)を持つ《波使い》に対処するカードが入っていないのだ。

 レヴィはさらに《炎樹族の使者》で戦場を整えるが、ディックマンの《波使い》を倒すことが難しいのは判っていた。次のターンに《海の神、タッサ》が登場した。まだクリーチャーではないが、これで攻撃できる局面にするためディックマンに必要なカード操作ができるようになる。レヴィは対策手段を見付けることができなかった。ディックマンが《夜帷の死霊》を出して《海の神、タッサ》と2/3の《雲ヒレの猛禽》をレッド・ゾーンに送り込むと、レヴィは《炎樹族の使者》でブロックするしかなかった。《ゴブリンの熟練扇動者》が登場し、《波使い》がトークンの前に立ちはだかる。レヴィにとって、プロテクション(赤)は何よりも問題なのだ。ディックマンは攻撃しなかったが、このゲームは既に決まってしまったように見えた。《雲ヒレの猛禽》、《海の神、タッサ》の攻撃が始まり、そしてレヴィは倒れ伏した。

 しかし、第2ゲームはそう単純ではなかった。ディックマンは前ゲームの勝利に慢心し、この対戦にとって最適とは言えない手札をキープした。レヴィは《火飲みのサテュロス》で口火を切る。ディックマンが《雲ヒレの猛禽》を出し、レヴィは攻撃して《火飲みのサテュロス》の能力を起動する。ディックマンは《変わり谷》を唱えただけでターンを返す一方、レヴィは《ゴブリンの熟練扇動者》からゴブリンを生み出し始めた。ディックマンはゴブリン・トークンを《変わり谷》でブロックできるが、レヴィは《火飲みのサテュロス》で2点のダメージを毎ターン与え続ける。ディックマンは第4ターンに《思考を築く者、ジェイス》を出したが、レヴィは《軍勢の忠節者》を出し、そして《ゴブリンの熟練扇動者》の強力な誘発型能力のおかげでこのゲームに勝利を収めた。

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不利な下馬評を覆し、レヴィのデッキはしなやかに勝利を収めた。

 《ゴブリンの熟練扇動者》は『マジック2015』でももっともエキサイティングなカードの1枚であり、そのカードパワーは「Team Revolution」の使っているデッキによって完全に証明されている。

 マッチの第3ゲームに、ディックマンの《雲ヒレの猛禽》に対しレヴィは《ラクドスの哄笑者》で応えた。次のターン、ディックマンは2体の《審判官の使い魔》を並べるが、レヴィは《炎樹族の使者》から《火拳の打撃者》を出し、盤面に差を付ける。ディックマンの《潮縛りの魔道士》がレヴィの《火拳の打撃者/Firefist Striker(GTC)》を抑える。

 2人は、このマッチがどれだけレヴィに不利かという冗談を交わしていた。

 ディックマンが笑いながら「第2ゲームでキープした手札は酷かったですよ」と言うと、レヴィは「いや、よかったと思うよ」と答える。「あなたにとってでしょう」「もちろん、俺にとってだ」

 その次のターンは非常に複雑だった。レヴィは《潮縛りの魔道士》を片付けなければならないが、ディックマンの2体の《審判官の使い魔》があるせいで召集メカニズムを使わなければ不可能である。レヴィが《軍勢の忠節者》を出し、それも含むパーマネントを使って《かき立てる炎》を唱え、《潮縛りの魔道士》を除去する。だが新たな《潮縛りの魔道士》が登場して《火拳の打撃者》をタップ状態に留め、《審判官の使い魔》2体は戦闘態勢を保っていた。

 レヴィは反撃する。ディックマンはブロックに回せるクリーチャーを両方とも《軍勢の忠節者》に向かわせた。完全なブロックである。レヴィは《タイタンの力》を持っており、それを使ってディックマンの《潮縛りの魔道士》と相打ちにとることができた。続いて《凍結燃焼の奇魔》が登場し、レヴィは《ラクドスの哄笑者》2体と《炎樹族の使者》をレッド・ゾーンに送る。ブロックと合わせて唱えられた《稲妻の一撃》が《雲ヒレの猛禽》を除去するも、レヴィはカード、テンポとも大きく後れを取ることになった。

 ディックマンの《海の神、タッサ》でレヴィは攻撃できなくなり、《審判官の使い魔》がレヴィのライフを削り続ける。レヴィは《ミジウムの迫撃砲》で《凍結燃焼の奇魔》を片付け、再び攻撃することができるようになるも、ディックマンの飛行クリーチャーの大群には太刀打ちできなかった。レヴィは《海の神、タッサ》の信心を減らすべくブロックさせようとしたが、ディックマンは無視。そして次のターン、とどめとなる攻撃を仕掛けたのだった。

ラファエル・レヴィ 1-2 パトリック・ディックマン

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